ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について 作:笛ふき用
時系列:白竜の日 27日 昼から夜
き、緊張したぁ。あんなに大勢の人の前で演説するなんて初めてだったから、魔物の群れに切り込むよりも緊張したかもしれない。
それにしても、みんながあんなに生き生きと働いている。大人も子どもも。すごいと思う。僕やフルカスたちは戦う人間だ。そういう風に訓練してきたし、そうなるべく育てられそして生きてきた人間だ。
でも村の人たちは違う。日々平和に生きている、戦いにはほとんど縁のない人ばかりだ。そんな人たちが魔物に何度も踏みつけられ、心がへし折れて打ちひしがれていたのに立ち上がった。今彼らはああやってビルドの書いた設計図を組み立てることで戦っているんだと僕は思った。
そんな彼らにビルドが次々と指示を出してる。いつもどおり口数は少ないし、緊張感のない笑顔だけれど、その指示は細かくて的確だ。
まずぐるっと設計図の外周に【たいまつ】を等間隔に置き魔物避けにして、そのうえでハンソロさんたちに村の外での作業をしている村人たちの安全確保をまかせ、危ないときはすぐ村に避難する様いう。
次に村の中で残って作業する人たちに、料理と一緒に【小麦】の世話をお願いしていた。定期的にちゃんと見て、実っていたら刈り取って大事にとっておいてくれと。何でも【肥料】を撒いて畑の土を【腐葉土】に変えたので普通の何倍ものスピードで【小麦】が育つらしい。だからこそしっかり様子を見て実ったらすぐ刈り取って次にまた生えてくるのを待たなくてはいけないらしい。
へ~、【腐葉土】っていのがあれば【小麦】って半日で育つんだ。すごいなぁ。
それにしても珍しくビルドがまじめな顔をして
こむぎ は たべちゃ だめ
としつこいくらいに村人に伝えていた。
そうして村でできることをやってから僕らは今までは別行動だったフルカスたちと久々に一緒に行くことになった。
特にフォンとカダルが大喜びしていた。これでもう罪のないスライムを倒さなくていいんだ……って。涙を流しながらスライムにごめんよごめんよといっている二人の肩に僕はそっと手を置いて、がんばったね、ありがとうといっていると、あのあくまがしれっと、
ふぉん かだる すらいむ は あぶら を しぼるために いるんだよ
と無慈悲極まりないことをいっていた。それもいつも通りのへらへら顔のまま。奴にとってはスライム=【油】であって、生き物という意識すらないのか!そんなビルドの言葉に震えあがる僕たち。
あいつには人間の心がないに違いない……。そして悪魔はその後もっと恐ろしいことをいい放つ。
あとで じかんが できたら ぼくじょう を つくるよ
はっせいする すらいむ や いっかくうさぎ を じどうで たおす やつ
拝啓 魔王バラモス様
いますぐ 世界中のスライムといっかくうさぎを出現にしないようにしてください。うちの勇者パーティには悪魔が混じっています。
勇者 より
そんな文面が僕の脳裏をよぎるほど、僕らは彼等の運命に深く深く同情した。止められない僕らを許してくれ! じゃあ代わりに君がやってよとか言われたら僕の心がおれちゃうから。
そんなことはさておき、ビルドの行動について一つ、設計図について一つ、僕は気になっていたことをたずねることにした。
ねぇ、ビルド。どうして【小麦】を手に入れてすぐに帰って来たの? 今からまたさっきの場所に戻るんでしょう?
ん? こむぎ の たね を うえて こむぎ を ふやす ためだよ
いっこくも はやく ふやす ひつようが あった からね
なんでそんなに【小麦】が必要なの?
こむぎ で つみわら を たくさん つくる からだよ
【つみわら】って何?
かちく を かうのに つかう どうぐ だね
ますます分からない。【小麦】が必要なのは、【つみわら】をたくさん増やすためで、それを使ってどうやってどくどくゾンビを倒すのだろう?
じゃあ、あの設計図にあった、【タルカタパルト】と【銅の投てき機】って何?
たるかたぱると は たる を とおく に とばす へいき
どうの とうてきき は わら を とばすん だよ
そこまで言うとビルドは、
今夜にでも実践してあげるから今は【銅】を回収しに行こうといい僕らは先ほどの場所へと急ぎ始めた。
経験豊富なフルカスの顔を見るけど、首を振られる。物知りなカダルも首をかしげるばかり。フォンも僕と同じで全く分からず頭から煙を吹きそうだ。
ともかく僕らはこの後、たくさんの魔物を退けながらひたすら【銅】と【石炭】、【小麦】と【小麦の種】そしてそのほかを採取し続けた。
そんな中、ビルドは一人高い山の頂上にのぼり何かを見つけたようだった。
……じかん まにあう かな
とぽつりつぶやきながら。
時系列:白竜の日 27日 夜から未明にかけて
あらかた見える範囲で各種素材を取りつくした僕らは【キメラのつばさ】で村へと戻って来た。
ビルドはふくろから【焼きキノコ】を取りだしむさぼりながら、
おつかれ さま しばらく やすんでて
といって作業台で作業を始めた。
あっという間に見たことのないものばかりできていく。
まず【石材】から鉱石を溶かすための【炉】をつくり広場に三つばかり並べ一気に【銅】を【銅のインゴット】に変えていく。それを待っている間に、【小麦の種】を畑に植え、また臭い粉をばらまき、そして【小麦】から【つみわら】を作った。
【つみわら】は人間一人が隠れられるくらいの大きなわらのかたまりで、フカフカで気持ちのいいものだったのでみんな代わる代わるその感触を確かめてうれしそうにしていた。特にフォンがお気に入りで私、今夜これで寝る! っていいだしたのには笑った。
そんな中でもビルドは次々に作業を進めていく。
出来上がった【銅のインゴット】を加工して、【銅のバネ】なる筒状のうずまきみたいなへんてこなものを作ったかと思うと、それを【木材】と【ひも】を組み合わせておおきな何かを作っていく。
そして出来上がったのが、穴の開いた大きなタルが斜め向きに乗っかった今まで見たこともないような変てこな道具。
【タルカタパルト】 が 完成した!
できた と顔をあげたビルド。続いて次の作業に取り掛かる。僕たちも、ハンソロさんたちも、村の人たちも興味津々でその作業を見ていた。
ビルドはまた【銅のインゴット】を加工すると大きなお皿のようにして、それと【木材】と【ひも】を組み合わせておおきな何かを作っていく。さっきとは全然違う背の高い何かだ。
【銅の投てき機】 が 完成した!
やがて出来上がったそれをみたフルカスとカダルが異口同音に、投石機? といったけれど、ビルドは首を振ってこういった。
どうじゃ とうせきき に ひつような きょうど が でないよ
これは とうてきき これで つみわら を とばすよ
そういってその二つをもって外へ。
ぞろぞろとついていく僕ら。作りかけの決戦場までくるとそこに二つを並べてビルドはこういったんだ。
いまから あいつら を どう たおすか いっかいだけ みせるよ
そういうとビルドは石垣でできた床に【タルカタパルト】と【銅の投てき機】を少し離して並べる。
次に【タルカタパルト】の前方からやたら重そうななにかがたっぷり入った【タル】を装填して、レバーを引いた。
そうしたら勢いよくタルは弧を描いて飛び、決戦場の土の部分に落ちて、割れて何かをまき散らした。
……すんごい嫌な予感がする。
そう思いながら視線をスライドさせるとロープを引っ張り【銅の投てき機】のお皿の部分が上に向くようにした後、【つみわら】を【銅の投てき機】のお皿の上に乗せ、おもむろに取りだした【たいまつ】で火をつけてロープから手を放した!
みんなの目が空を燃えながら飛ぶ【つみわら】を追っていき、地面に落ちたところで炎が一気に燃え上がる!
唖然とする僕らを尻目にビルドは凶悪なほどのドヤ顔でこういったのだ。
じっけん せいこう ぞんび は もやすに かぎる
ってね。
これで僕にも分かった。ビルドの奴、離れたところからあのどくどくゾンビを炎でやっつけるつもりなのかと。
それで村の前の地面を全部石垣で埋めるのね、って理解したけど納得できるかぁ!!!
こんなの勇者の戦いじゃないと思うんですけどぉ!
誤字脱字、感想お願いします。
というわけで、レーベの村攻防戦はゾンビの投石機対タル&わらファイヤーの戦いとなってしまうことが決まりました。
ありがちで申し訳ない。
ちなみにこのつみわらに火をつけるは、DQB2でもできます。他はオリジナル要素ですが。
このようにできるだけ半歩だけずれたらできるオリジナル要素のみでやっていきたいと思っています。