ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について 作:笛ふき用
時系列:白竜の日 28日 夜から未明
目の前で轟々と燃え続ける炎、いや火柱を見ながらビルド以外の人間の思いは一致していた。
なんつーおっかないもんこさえとんねん、こいつ。
そんなことは関係ないとばかりに、早々に【タルカタパルト】と【銅の投てき機】を回収し、いったんふくろに戻した。
いまは かくして おくよ
たぶん だいじょぶ だけど みられる と めんどう だし
そういって満足そうな顔をして、村へと入っていった。早々と追加であと二個ずつ【タルカタパルト】と【銅の投てき機】を完成させそれもふくろにしまう。つづいて【つみわら】も十二個、設計図に必要な分は完成させてしまうビルド。
僕はあらためて設計図を見返して、これでほぼ完成したことを確認し、さすがにぼーとしているビルドに声をかけた。
ビルド、あともうちょっとで完成だね。これでやつらを迎え撃てるね。
僕がそういうとビルドはふるふると首を振ってこう言う。
まだ みずが ひけて ないから
きょう は ねる おやすみ
そういって寝床に向かうビルド。僕がもう一度設計図を確認すると確かにそこには【石垣】の壁のすぐ前に水路が書いてあった。
実際、水路自体はもう完成している。でも水が張っていないからただの空堀である。
水か。この村には北東、つまりおじいさんの家の前に大きな池があるけれど、ちょっと見るだけでも水路はけっこう広い、いや長い。だから池の水ではたぶん足りないんじゃないかなっていうのは僕でもわかった。
さて、どうするんだろう? そう思ったところでビルドに付き合ってだいぶ不眠不休だったせいか僕も眠くなってきた。それじゃおやすみなさい。
追記 普段寝ないビルドが珍しく寝たせいで、僕のベッドが無かった。おかげで、村の人同士が寝てる隙間の土の上でその日は寝ることになった。
わらのベッドで気持ちよさそうにいびきをかいているビルドに殺意が沸いたのは言うまでもない。
追記の追記 つちのうえはいたい。そしてつめたい。
時系列:白竜の日 29日 早朝
体が痛い。全身カッチコチだ。わらのベッドおそるべし。あるとないとじゃ大違いだわ。
微妙にぎこちない体をゆっくりと動かしながら僕は起き上がる。どうやら僕が最後で他の人たちはもうとっくに起きだして食事をはじめているらしい。
外でキノコが焼けるいい匂いが小屋の中にまで届いている。とりあえず外に出てみんなに挨拶をして、自分の分の【焼きキノコ】をほおばっているとなぜかビルドの姿がない。もう外で決戦場の仕上げでもやっているのかなと、外を見に行ってみるとそこにもいない。
あいつ、どこいったの?
嫌な予感がした。いつもの奴だ。もう慣れっこになってしまった。こういう時、ビルドは高い確率でなにかをやらかしているのだ。そうして誰かビルドの行方を知ってそうな人がいないかと探してみると、フォンが一生懸命【石垣】をつんでいるのが見えたので声をかけることにした。
フォン、ビルド知らない?
するとフォンはやれやれという顔をして僕にこういった。
おはよう、お寝坊さん。ビルドたちならとっくに昨日みんなで行った銅が取れた場所に行ったわ。私たちは貴方が起きたら一緒に来てほしいって言われてそれまで待っていたのよ。
お~い、カダル~。アレルが起きて来たわ。出発するわよ~。
そう声をかけると、【石垣】をひぃひぃ言いながら運ぶカダルが地面にへたり込みながら、
わ、わかった。でもちょっとだけ休ませて……。ちょっと限界……。
って言ったんだけど、元気いっぱい体力満点のフォンは僧侶でもやしっこなカダルの意見を間然に無視してこういった。
ほら、いくわよ! ……だってこれ以上残ってたらまたいつスライム狩りやらされるかわかったものじゃないじゃない!
その言葉にカミナリにでも打たれたかのように立ち上がり支度をはじめるカダル。完全に顔色が悪い。さらにその言葉をいったフォン自身も若干震えてる。
……よっぽどスライム狩りが精神的にキテるんだねぇ(遠い目)
そんなこんなで僕らは先日から銅や小麦を手に入れたアリアハン東部に向かうことにした。……したんだけど。
ひょうたんのくびれのように極端に狭まった場所。アリアハン中央部から東部への唯一の道である高い山と高い山の谷間に差し掛かったころ、ふと違和感を覚えた。
何だろう、おかしい。妙に暗いというか。そこまで考えが及んで気が付いた。
何、このまっすぐな影。今ちょうど昼時だからよくわかる。天頂にある太陽が作り、地面に定規で引いたようにまっすぐで、それがまるで黒い橋のように見える影がそこにあった。
あわてて空を見上げる僕ら三人。断言するけれどこんなものは昨日きた時にはなかった。そしてはるか上空で響く小さな小さな建築音。
あのビルダーバカ、今度は一体何をやらかすつもりだ! ていうか既にやらかしているけど! 急いで岩山を駆け上るけれど、なかなかの高さでなかなか上まで到達できない。そんな間にも少しづつ全貌が見えてきた。
山の中腹でみるそれは、僕の目にはレンガでできた橋、のようなものが着々と作られているように見えた。
それも普通のオレンジ色のレンガじゃなく、砂色……に見えるレンガである。ゆっくりと足場を確認しながら登る僕ら。
そして頂上にたどり着いた僕ら三人が見たものは高山と高山の間に乗っかった長い長いレンガの道とそれを黙々と作るビルド。そしてそんなビルドを襲いに来る魔物を【とげこんぼう】でナイスに弾き飛ばしつづけるフルカスだった。
よぅ、と気軽な雰囲気であいさつしてくるフルカスに僕らに気づかずに作業に没頭するビルド。
またたく間に西に、つまりどんどん村のあるほうへと向かって伸びていく天空の道。僕がフルカスにこれは何なのと尋ねるとフルカスはいつも通りにやりと笑ってこういった。
ビルドが言うには、これは【水道橋】というものらしいぞ。ほら、あのあっちの山の向こうに大きな湖があってな。これもビルドが言うにはそこの水は雪解け水でいい水だからということで、村まで引くことしたそうだ。
その言葉を聞いた僕はその湖というものを見るため水道橋なるものを東にたどり、そしてそこにあったものはレンガでできた小さな小屋とそこからずっと西に向かって伸びるレンガの道。そして山の上にあるとは思えないほど大きな湖だった。
地形を確認すると、その湖はちょうど山に四方を囲まれている場所ですり鉢状にくぼんでおり底が見えるくらいきれいな水をたたえていた。
なるほど。つまりビルドは最初からあそこの水路に水を入れるためにこの大掛かり過ぎる水の道を作る気満々だったわけだ。おそらくこのレンガの材料は【砂】と【土】だと思う。そりゃフルカスたちに頼んで【砂】を多めにとってきてもらったはずだよ。こんな大きな国家事業でやるような長い長い建造物を作るならそざいはいくらあっても足りな……ちょっと待って。
ちょっっっと、まて。つまりはナニか? どくどくゾンビへの対抗措置を始めたその瞬間から、おおよそこういう風にやるつもりだったっていうことか? ビルド的には全部予定通りだったっていうことか? じゃあ、この大量のレンガを作るのに使った【砂】はどこのものだ。すでにあれほど大量の【砂レンガ】が並んでいる。その材料はどこからやってきた?
急いでフルカスのところにUターン。スタミナを使いはたしても根性で走り切る。たどり着いたころには肩で息をしていたけれど、そんなことより大事なことがある。だから僕はフルカスに尋ねた。
ねぇ、フルカス。聞きたいことがあるんだけど。
お、おぅ。どうしたアレル。顔が怖いぞ。で、なんだ。
この前さ、丸一日かけてアリアハンの西に【砂】を取りにいったでしょ?
ああ、行ったな。
どれだけ、取って来た?
え~、いっぱい。だな。
具体的に。
え~、アレル、あのだな。怒らないできいてほしいのだがこれは全部ビルドの指示であって……。
だ・か・ら。具体的にどれだけ取って来たの?
……全部だ。
はぁ?
……そこにあった【砂】ブロックひとつ残らず全部だ!
その言葉を聞いた瞬間、理性がかっとんだ。周りにいた共犯三人がなぜか僕の顔を見てガタガタおびえていようが関係ない。
僕は内なる衝動に突き動かされ、ダッシュしながら手におおきづちを握りしめ諸悪の根源の名前を呼んだ。
ビルドぉぉぉぉぉぉ! 歯ぁくいしばれぇ!!
ん? っといった顔で振り返ったビルドの顔面に叩き込まれるハンマー。ビルドの体は(実にギャグ漫画的に)放物線をえがいて飛び、そして空中でくるりと回転してキリッとした顔で着地を決めたビルドが文句をいおうとして、ヒィッという顔になった。
いくらなんでもやりすぎだぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!
このバカ、山と森だけじゃ飽き足らず砂漠までも消しやがった! 許せねぇ! 僕の故郷の景色を何だともっていやがる! アリアハンの大地の怒りを知れぇ!
それからビルドを砂レンガの上に正座で座らせたのち始まった大説教は、共犯のフルカスは同罪なので正座で、仕方なく従っただけの二人には僕怒ってないのに二人はガタガタ震えてるだけという奇妙な様相を呈したまま昼時まで続くのであった。
追記 のちに僕があの時の顔をするとき、仲間たちが【はんにゃのめん】だ! 【はんにゃのめん】がでたぞ! というようになった。遺憾である。
追記の追記 説教が終わってのビルドの一言。
やれやれ ひどいめに あった
つぎは ばれないように やろう
説教が一時間延びた。
追記の追記の追記。この後しばらく経ってからだが、砂漠はビルドの手によってなぜか湖になった。その詳細はまたいつか。
誤字脱字、感想よろしくお願いします。
というわけで天誅が下りましたね(笑)ギャグパートなので大丈夫。ケロッとしてます。
はんにゃのめん 防御力255 呪われている 常に混乱状態になる