ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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というわけで今回で決着です。




14 決戦! レーベの村! 4

時系列:白竜の日 30日 昼 決戦 つづき

 

 現状はほぼ五分か、正直少しこちらに分が悪いというのが僕の認識だ。

 

 確かに僕らは初手で相手になかなかに手痛いダメージを与えることに成功した。だけどそれと引き換えにこっちの手の内は見せてしまった。神がかったビルドの読みと事前準備が功をそうして現状対等以上に戦えているけれど、そのアドバンテージもここまでだろう。

 

 その証拠にゾンビマスターの奴に最初の余裕ぶった様子はもうまるでない。奴自身の中でこちらを『蹂躙すべき雑魚』から『警戒すべき敵』へと格上げしたらしい。

 

 おそらく奴の次の手は……。

 

 来イ くさったしたい! ドンドン 来イ!

 

 どくどくゾンビ! 吐ケ! ソシテ 生マレロ! バブルスライムドモ!

 

 予想通りの物量戦法! 呼び出されたくさったしたいとバブルスライムは合わせて12体。かなり多い! だけどこいつらは全部囮、陽動だ。本命はあくまでどくどくゾンビの岩投げによる壁の破壊だ。だから僕はみんなに指示を出す!

 

 フルカス、フォン、カダル! 向かってくる魔物たちを頼む! 僕とビルドでどくどくゾンビに対応する!

 

 おう! という三人分の声とともに【たいまつ】片手にまずは颯爽とフォンが突っ込む! ジャンプ一番、そのままくさったしたいに飛び蹴りをかまし宙を一回転。そのまま魔物の進行方向の【つみわら】2つに火をつける。

 

 ひとつにくさったしたいが突っ込み火だるまに、もう1つのほうもそのつみわらの炎のおかげでバブルスライムが怖がって近寄ってこない!

 

 その後もまるで燕のように決戦場を飛び回るフォンにフルカスとカダルも負けていない。どっしりと構えたフルカスがやってくるくさったしたいを次々と【とげこんぼう】ではねとばし、何匹か集まったところでカダルが【つみわら】に【たいまつ】で火をつけて、さらにそこでバギの呪文を唱えて炎を大きくすることで効率的に魔物を倒していく。ついでに巻き込まれるバブルスライムもいっぱいいた。

 

 こっちは3人に任せておけば大丈夫と意識をどくどくゾンビとゾンビマスターに集中。ビルドも今は下手に動かずじっと様子を伺っている。そうこうしている間にも、どくどくゾンビは沼からあらわれたり、また沼に沈み込んだりとフェイントを繰り返すが、くさったしたいが残り数体になったところでしびれを切らせたのか、

 

 エェイ! ヤレ! どくどくゾンビ!

 

 と命令した。場所は……北側! さっき壁を抜かれたの南側と逆方向! すかさず走りこんで僕が【タルカタパルト】にタルをセット、岩を持ち上げたのを確認してタルを発射する! 見事命中! 油がまき散らされ、続いてビルドが間髪入れずに燃えた【つみわら】を発射する!

 

 再びどくどくゾンビの体が燃え上がり、そして大岩が落ちて頭に直撃。ズズンという大きな音とともに決戦場に倒れこんだ!

 

 すかさず全員で駆け寄って攻撃にうつる! 動けないうちにできるだけダメージを! 燃え続けるどくどくゾンビに次々にダメージを与える。ビルドは極悪なことに【たいまつ】を振りかざし、どくどくゾンビにさらなる炎によるダメージを与えていた。そんな中、

 

 マホトラ!

 

 どくどくゾンビごしに呪文を唱える声が響き、カダルに魔法でできた何かが命中! うぐっというカダルの声。何があったと駆け寄るとカダルが、

 

 くそう、マホトラだ。ごっそりMPを持っていかれた。もうバギ1回分くらいしか残っていない!

 

 マホトラか、MPを奪い取る厄介な魔法。実際に見たのは初めてだけど、思いのほか厄介だな。

 

 そうこうしているうちにどくどくゾンビは立ち上がり再び毒沼の中へ。

 

 戻り際、燃やした【つみわら】を置きなおすビルド。用意できた【つみわら】は残り5個。有利なのは間違いないけれど、カダルのMPも含めてこっちの手札がだいぶ減ってしまっている。くそう、いい感じに進んでいるのに全く気が抜けないな。魔物とはいえやる、ゾンビマスターめ。

 

アレル側 

 

 アレルの体力 まんたん

 

 拠点防御力 80 (20のダメージ)

 

 【油タル】×18 【つみわら】×5

 

 ゾンビマスター側

 

 どくどくゾンビの体力 残り30%

 

 

時系列:白竜の日 30日 昼 決戦 けっちゃく

 

 再び仕切りなおした僕たちは、敵の次の攻撃に備える。ゾンビマスターはまた大量のくさったしたいを呼び出してこちらにつっこませてきた。ここまでは同じ動きだったけれどここからが違った。

 

 どくどくゾンビ! 毒ノカタマリヲ 奴ラニ向カッテ吐キ出セ! ドンドンヤレ! 奴ラノ好キニ サセルナ!

 

 そのゾンビマスターの命令に一声大きく叫び声をあげたどくどくゾンビは口からおぞましい色をした毒のかたまりを吐き出しはじめる。次々に襲い掛かるくさったしたいと放物線をえがいて飛んでくる毒のかたまりの波状攻撃だ! みんなそれでもうまくかわしているけれど、ちょっとずつ押し込まれたりダメージをくらったりしはじめた。特に毒のかたまりは地面ではじけてそのしぶきをさわるだけでも毒におかされてしまう。そのたびに【やくそう】や【どくけしそう】を消費していく。

 

 このままじゃまずい。そう思い僕がビルドを振り返ると、ビルドはうんとうなづいてくれた。前線へと躍り出る僕。フルカスをすり抜けてカダルに攻撃しようとしていたくさったしたいをどうのつるぎで切り付ける。そのまま左手の【たいまつ】で密集地帯の【つみわら】に火をつけるものの、そこに毒のかたまりが! とっさと避けるけれどしぶきをくらう!

 

 アレル は どく に おかされた!

 

 アレル に10 の ダメージ!

 

 くそう、急いで持っていた【やくそう】と【どくけしそう】で回復している間に、またヒューンという音の後、後ろで轟音がして壁が破壊された。今度は……真ん中!

 

 くそ、してやられた。ビルドが放った燃えた【つみわら】は奴に命中したけれど、すぐに毒沼にもぐったのでほとんどダメージは与えられていない。

 

 振り向くと珍しくビルドが悔しそうな顔をしている。

 

 やばい、おそらく一手足りない。おいつめてはいるけれど敵の戦力はほとんど無限なのに対してこっちの戦力は少しづつ貯金を取り崩している形だ。あちらにもそれがわかったのかゾンビマスターの声が響く!

 

 ザマアミロ! 人間! ザマアミロ! 人間メ! アキラメロ! 俺サマノ勝チダ! オマエラノ負ケダ!

 

 くそ、このままじゃじり貧だ。何か手を考えないと! そう思った僕の背中のほうから声がした。

 

 おい! このゾンビ野郎! これ以上好きにやらせねぇぞ! 

 

 振り返ると門のところに、ハンソロさん、マーリンさん、エルシドさんに村の大人の男の人が四人も!

 

 勇者様! わたしたちも戦います! タルをセットしたりやつみわらに火をつけるくらいなら、おれたちもできますから! 

 

 他の村の人たちは? 大丈夫なんですか? 

 

 僕がそう尋ねると、

 

 代表して道具屋のご主人がこういった。

 

 みんないってくれといってくれました! ちょっとのあいだくらい、自分たちの身は自分たちで守ると!

 

 そういって三つのカタパルトと投てき機にそれぞれ二人づつの人間がついた! 前衛もハンソロさんが来たことで戦士が二人、それにまほうつかいのマーリンさんが来たことで後衛の火力と僧侶のエルシドさんの回復もあてにできる!

 

 僕は仲間たちにすかさず指示を出す!

 

 フルカスはそのまま奴らを近づかせるな! フォンは遊撃! 後ろのみんなが狙われた場合すぐに倒して! カダルは今はセット役に回って。バギは温存しておいて、チャンスを待とう。あとビルドは、臨機応変で!

 

 おう! とさっきよりも大きな声が聞こえた。よし、これなら勝てる!

 

 そう思って僕は前衛に専念することにした。

 

 みると悔しそうなゾンビマスターの姿が!

 

 何ダ! オ前タチハ! ドウシテアキラメナイ! ドウシテダ! クソウ! クソウ! ヤレ! どくどくゾンビ! ヤッテシマエ!

 

 追い詰められてヤケになったゾンビマスターが叫び声で命令する。

 

 それに応えたのか、終わりを悟ったのかどくどくゾンビは一声大きく吠えてから今まで一番大きな大岩を持ち上げてきた。

 

 場所は、真ん中! すかさず近くにいた僕とビルドが動く。タルをセットし発射! 僕はカダル、行くよ! とカダルに声をかけそのまま奴らの懐に突っ込む! 万が一にもあんなものをぶつけられたら村の木の壁なんてもたない! ここで確実に止めを刺す! そんな意思をもって駆け出した僕らの上を燃えさかる【つみわら】が飛び越えていく。

 

 目の前で燃え上がる炎! ズズンとひときわ大きな音を立てて倒れるどくどくゾンビに向かって僕がメラの呪文を、カダルが虎の子のバギの呪文を唱える!

 

 目の前の炎も巻き込んで暴れまわる炎の竜巻は、どくどくゾンビの体を燃やし尽くしていく。

 

 そして、

 

 ウォォォォォォォォオオオオォォォォオオオォン……!!

 

 断末魔の声が響き、どくどくゾンビは倒れた。

 

 そしてそれを見て、ヒィッィ! と悲鳴を上げて逃げようとするゾンビマスターの背に僕は手を伸ばす。

 

 今僕の中に何かの力の目覚めを感じた。その力が導くまま僕は右手をあげ、ゾンビマスターの背に向けて呪文を唱えた!

 

 デイン!

 

 僕の声に応えて天より裁きの雷がくだりゾンビマスターを焼き尽くす!

 

 ギャアアアアアァァァァアァァァァァ!!

 

 黒こげになって倒れるゾンビマスター。ドサリと音とともに背後から歓声が起こる。みんなが大声で喜んでいる。

 

 床にへたり込んでいるカダルに手を差し伸べて立たせながら、僕は燃えカスと煤だらけになった決戦場を眺めてから右手を握りしめて突き上げ勝鬨をあげる!

 

 僕たちの勝利だ!

 

 

 

 まもののむれ を やっつけた!

 




誤字脱字、感想よろしくお願いします。

というわけで決着です。後始末が終わりましたら、ロマリアに向かいます。

なお、日計ランキング62位感謝です。

おかげで頑張れました。
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