ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について 作:笛ふき用
これからもぼちぼち頑張ってまいります。
白竜の月 30日 夜
つ、疲れたぁ。ひとしきり勝利の喜びをかみしめた僕らは、その後どっと疲れが出て村の【たき火の憩い場】でへたり込んでいた。
フルカスも、フォンも、カダルももう疲労困憊だ。みんな地下通路の向こうにある避難所から帰ってきた村の人たちに甲斐甲斐しくお世話をされていた。
にもかかわらず、村の外から元気よく何かを壊す音が聞こえる。ようやく静かになった夜にガンガンガンうるさいにもほどがあるけれど、それに突っ込む余裕すらもうない。
あのゾンビマスターとどくどくゾンビを倒した死闘の後、疲れ果てた僕らを尻目にビルドは休む間もなく働き始めた。
よし もう ひつようない から こわすね
といって、せっかくみんなで作った【レーベの決戦場】を破壊しだした。本当にいったいどこからあの体力と破壊とビルドに対する欲求が沸いてくるのやら本気で意味が分からない。
さて他のみんなはハンソロさんたちや村の人達とまだワイワイやっているけれど、僕は日記を書きたかったので一足先に小屋に戻り残る力を振り絞って今机に向かっている。
それにしても文章にするとよくわかるけれど、僕たちよく勝ったなぁと改めて強く思う。完全に綱渡り。なにかが一歩でも間違えていたら今頃レーベの村は跡形もなかったと思う。
正直に言って初めてどくどくゾンビとゾンビマスターを見た時、普通にやっても絶対に勝てないなと思った。差し違える覚悟を決めていた。
勝てたのは、あいつらがあの時そのおごりゆえに引いてくれたことと、ビルドが完璧な準備を整えてくれたおかげだ。
みんなは僕が突然目覚めた新しい力で最後にゾンビマスターに止めを刺したことをさかんに褒めてくれたけれど、正直僕のやったことなんてほんのわずかだ。
今回の勝利はほとんどビルドのおぜん立てとなかまや村の人たちの頑張りのおかげ。
それにしてもガンガンうるさいなぁ……、あれ楽しいんだろうか? いや、楽しんだろうなぁ。顔はいつも通りの顔だったけど目がいつも以上に爛々と輝いてたし。
それにしても僕はもっと勇者として頑張らないとなぁ……、でも今日はもうだめだ、もう……、眠いや……。
地竜の月 1日
あ~、いい朝だ。すがすがしい朝っていうのはこういうのをいうんだろうな! 昨日の失敗を反省して今日はあらかじめ作っておいた【わらベッド】で寝たから体もいたくないし!
外に出て朝食の【焼きキノコ】を食べる。おいしいなぁ……、【焼きキノコ】。ジューシーなキノコをほおばりながら、村の様子を見渡してみた。
小屋の様子、変わらない。小麦畑、いい感じに実ってる。宿屋も道具屋も武器屋もちゃんとあった。被害がなくて本当によかった。
……で、何これ。この抜け道の階段のあったところだけどさ。なんで見たこともないあたらしい小屋が立ってるの? あ、容疑者がちょうど扉から出てきたわ。聞こう。
ビルド、その小屋なに?
ん? おはよう、あれる。これは のうか の そうこ だよ
とち が もったいないし かいだん は かくさないと
いっせきにちょう だよ
いや、そういうことじゃないんだよね。それが大事なのはよくわかるけど、こっちは一晩たったら小屋ができてたことに突っ込んでるんだよ!
さてはビルド、寝てないなお前! あの激闘の後徹夜で作業してたのか! どんな体力だよ! ホントに人間か、君は!
ん? よゆう だよ にんげん は ねなくても しなない
いや、死ぬよ? 全然死ぬからね!
と僕が言うといつものように首をかしげてかわいそうな子を見る目で僕を見てどこかに行ってしまうビルド。
いつか僕のいっていることが正論ってことをおもい知らせてやる……。僕が新たな決意に燃えているとお~いという声が聞こえてきた。
フルカスたちだ。おはようと声をかけて改めて昨日の頑張りをねぎらった。三人ともニコニコしている。当然だ。あれだけ頑張ったんだから、と思ったんだけど、急にフォンとカダルの顔が暗くなった。またスライムといっかくうさぎに懺悔し始めるのか思ったら違って、
ダメだわ……、私全然役に立てなかった。
右に同じだよ。アレル、足引っ張って済まなかった。
なんて異口同音に言いだすものだから僕はびっくりした。
それなら僕も一緒でといおうとしたところでビルドがどこからともなくひょっこり顔を出して珍しく強い口調で言い切った。
みんな できること を ちゃんと やったから!
ひとり かけても かてなかった よ!
そういってちょっと怒りながら外に出ていった。すぐに何かを積み上げる音が聞こえ始めたから外の【石垣】の壁を直しているんだと思う。
……一番頑張ったビルドにああいわれたら何にも言えないよね。口には出さなかったけど、みんなで同じことを思ってそして笑った。
その後みんなで外に出て唖然とした。そこにあったのは昨日まであった木の壁の姿はなかった。かといって石垣の壁も昨日までのものじゃない。なんか分厚くてなっていて、そして上に人が歩いている。
おい、ビルド。君はあの後もしかして【決戦場】で使った石垣再利用してすでにここまで壁を作ったってことか? この分厚い壁を?
しょうじき はちだんずみ は やりすぎた
そら が せまく なる
はんせい したから ろくだん に してみた
ビルド、そこじゃない。やりすぎたのはそこじゃないんだ。そして反省するところも違う。君がやり過ぎたのはほとんど今までの経緯全てで八段とかは些細なことだ。あとするべき反省はまず寝ていないことと事前に僕たちにやるって説明する努力を放棄していることだよ?
さてはビルド。君、徹夜でテンションが上がり過ぎて止まらなくなっているな?
とりあえずまずは元気いっぱいなビルドを羽交い絞めにしてベッドで寝かせることからはじめよう。ビルド以外の僕ら四人の気持ちが今までで一番ぴったりと一緒になった、そんな朝のことだった。
追記 ビルドを(わざわざマーリンさんに頼んでラリホーの呪文で)寝かしつけた後フルカスとカダルに言われ、嫌々アリアハンにもどって嫌々王様に今回の顛末を報告した。
最初はまた兵士の派遣の催促に来たのかと思ったらしく嫌そうな顔で僕を早く追い払おうとしていたけど、僕が今回の顛末を報告すると安心したのか露骨に態度が変わった。
安全が確保できたと感じたのだろう、手のひら返しで近々レーベに人をやろうと思っておったのにそちたちはもう解決してしまったのか! さすが勇者オルテガの息子。それでこそアリアハンの勇者アレルじゃ! とか言い始めた。
あげくばつが悪いのか何かをごまかすように褒美にこれをやろう、とか言って無理やり何か謎の水晶玉を渡された。何じゃこれ。何の役にたつの? これが。絶対渡すべきものが他にあるでしょ。例えば城の兵士が持ってる鉄の装備とかさ。彼ら戦いに出ないんだったら僕らにくれよ。
一応これは何ですか? って聞いたら、よくわからないがお前たちの旅の助けになるだろう! とかぬかしやがった。よくわからないってなんだよ。そのせいで隣にいた大臣さんがあっちゃ~って顔をしながら僕に目で謝ってたよ。
これだからおうさま(笑)はよぉ!
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追記の追記 ルイーダさんにもこの顛末を報告した。ものすごく喜んでくれたしとにかく僕のことも仲間のことも村の人たちのことも褒めてくれた。それに今後もなんでも協力するって言ってくれた。
ホント、ルイーダさんは最高だと思う。
それに比べてあのおうさま(笑)はよぉぉぉ!
…………ここから先は文字が乱れて読み取れない。
誤字脱字、感想お待ちしています。
誤字報告ありがとうございます。報告してくださった方々、この場を借りて感謝申し上げます。
さて、あと二話くらいでアリアハン脱出です。
ちなみに石垣の壁は厚さ三ブロックの総石垣製で扉は大トビラというようになってます。
さすがに他の北南東はまだ木の壁のまんまですwww