ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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16 レーベの村を ふっこう しよう 10

地竜の月 2日

 

 おはよう!

 

 あさですよ、アレル。

 

 さぁ いってらっしゃい

 

 というお母さんの声に送り出されて実家を後にレーベの村へと戻る僕。昨日はおうさま(怒)に憤怒のあまり、ルイーダさんのところで慣れないお酒を飲み過ぎたためにつぶれてしまい、そのまま実家に担ぎ込まれて一夜を過ごしたらしい。

 

 運んでくれた人たちや今もレーベの村に残って頑張っている仲間たちに申し訳ないやら情けないやら……。

 

 だれど、今はそれどころじゃない。全くもってそんなことは大事の前の小事、どうでもいいことだ。故に家の外にダッシュで出た後、即【キメラのつばさ】を空へと放り投げ、レーベへと戻る。

 

 もはや一刻の猶予もない。急がないと……、危ないんだ!

 

 僕の膀胱と尊厳が!!!

 

 しょんべんもらす勇者とか本気で死ねるからな!!

 

 そんな固い決意とともにたどり着いたレーベの村で僕が見たのは絶望の光景だった。

 

 ……トイレにたくさんの人が並んでるぅぅぅ!!!

 

 生まれたての小鹿のようにプルプルしながらトイレに並ぶ僕。はやく、はやくぅ!!

 

 その後、僕の下腹部を決戦場に行われた激闘に何とか耐え抜いた後の、あの解放感といったらなかった。率直に言って、最高だった。

 

 ともあれ今度、ビルドにアリアハンの実家とルイーダの酒場にもトイレを作ってってお願いしておこう。おもに僕の勇者、いや一人の人間としての名誉と尊厳のためにね!

 

 とりあえず社会的な死を何とか免れた僕は、村の中を見回した。広場で料理をする人、小麦畑で働く人など様々だけれどすっかり村は平和を取り戻していた。

 

 さて、僕のなかまたちは……、と探しはじめると、いた。

 

 村の中心からみて西側、今まで何も建てられていなかったところ辺りから何かを壊す音がしている。そしてそちらからお~とかすげ~とかっていうみんなの声。

 

 たぶんビルドがまた何か建物を作り出して、みんながその見物や手伝いをしているに違いない、そう思ってそっちのほうを見たらあるのはみんなの姿だけ。

 

 肝心のビルドの姿がない。近寄ってみて、……唖然とした。

 

 何この、丸々大きい建物がすっぽり収まりそうな縦穴は。しかも深い。下に向かって六ブロック分かな? この高さは。ずいぶん深いぞ。

 

 やがて満足いくスペースに掘れたのか、ウンウンとうなづいた後穴の底の部分に隙間なく【石の床】を敷き詰めはじめるビルド。

 

 毎度のことながら何をやっているのかな? 僕は僕と同じように穴の淵から見ていたフルカスに尋ねた。

 

 ねぇ、フルカス。今度は何事?

 

 おぉ! アレル。戻ったか。うむ、これのことだな。昨日お前がアリアハンに行ったあとビルドがな、

 

 ここに さかば を たてるよ

 

 といったのだ。けれども何やら悩んでいるようで一日動かなかったのだが、つい先ほど何か思いついたらしく突然に地面を掘りはじめてあっというまにこの状況だ。はっはっは! まったくわからん! アレル、お前ならわかるんじゃないか?

 

 うん、そう自信満々にいわれても僕にも分からない。分かるはずがないんだけどね。

 

 分からないことは聞くしかない。僕は床を敷く作業が終わって壁と柱を作り出したビルドに上から声をかけた。

 

 ねぇ、ビルド! これは今何を建てているの?

 

 そうするとビルドは僕を見上げてこういった。

 

 おかえり あれる きのう かえって こなかった けど

 

 きのう は おたのしみ だったの?

 

 途端に周りにいたみんなに笑われた。違うわ! おたのしみってなんだ! やけ酒飲んで不覚を取っただけだ!

 

 そういうとまたみんなに笑われた。ビルドもいつも以上に笑っている。ていうかよほど面白いのか地面でごろごろしながら笑い転げている。

 

 さらにはフルカスがガッハッハと笑いながら、バンバンと背中を叩いてきた! 俺たちの勇者様にはこの俺が酒の飲み方を教える必要があるなぁ! とか言って。

 

 ……むかつくぅ! なんだかとってもむかつくぅ!

 

 やがて笑いつかれたビルドが立ち上がってこういってきた。

 

 え~とね いま は 【はっこうじょ】 を つくってるよ 

 

 それが できたら うえに 【さかば】 を たてる から てつだってね

 

 そう長台詞をしゃべるといつものようにぜーはーいってた。それにしても【酒場】に【発酵所】?

 

 つい昨日にお酒で失敗した僕に対する嫌味かよぉ! 

 

 僕がそんな被害妄想に襲われている間にもどんどん作業は進んだ。

 

 そして僕が現実に帰還するころに完成した【発酵所】は、何本も柱をしっかりと立てたとても頑丈そうな作りの部屋で、壁際に上との出入り口になるんだろう階段と、そして見あがるほど大きな【大きな酒ダル】が二つに【収納箱】がひとつ、そしてたくさんの【タル】が並んだ立派なものだった。

 

 なるほど。この上に酒場が建つのか。そりゃ便利そうだけど……、そこで疑問がひとつ。

 

 ビルド、何でお酒を造るの?

 

 僕がそういうと、ビルドはいつものイラっとする感じでこういった。

 

 おさけ じゃないよ

 

 じゅーす だよ

 

 【こむぎ】 で こむぎ で できた じゅーす を つくるん だよ

 

 をい。そういう戯言は僕の目を見ていえ。すーと目をそらすな! そしてビルドの言葉を聞いたフルカスとハンソロさんたちと村の男衆が大喜びし始めた。

 

 いやっほ~い! ジュースだ、ジュースだ! 麦でできたジュースだ!

 

 ってそんなにうれしいか、お酒と酒場! そこから作業は急ピッチで進み、フルカスたちをはじめとした酒飲みたちの協力の元あっという間に建物が建ち、立派な【バーカウンター】や【酒ダル】が備え付けられた部屋が完成した。早速手にどこからか取りだした【銅のジョッキ】を持って催促しだす男たちに今だけバーテンダーになったビルドが、

 

 はい おまたせ しました 【むぎのじゅーす】 ですよ

 

 といってあくまでもと言い張るシュワシュワした【麦のジュース?】を注ぎ入れた【銅のジョッキ】をサーブしていく。うれしそうな顔であっという間に飲み干していく男たち。おい、口のまわりに泡ついてるよ。泡。

 

 うまい! 最高だ! この村に来てよかった! なんていいながら陽気になって飲んで騒いで歌いはじめる男たち。

 

 ビルド、君ほんとに何でもできるよね。バーテンダーまでできるとは思わなかったよ!

 

 あと、ダメ人間まで作れるとは恐れ入った。こいつらもう今日は使い物になんないじゃないか!

 

 あとな、僕がいくら世間知らずでも【ビール】くらい知ってるわ! 何だよ、【麦のジュース】って!

 

 追記 翌日、当然のように村は二日酔いの人間だらけになった。全員、白い目で見られていたのは言うまでもない。

 

 阿呆どもめ! 夜通し飲むからだ!

 

 追記の追記 あとで気になってなぜ【酒場】が完成しないのかビルドに聞いてみると、

 

 【さかばのかんばん】 が ないと 【さかば】 はかんせい しない

 

 でも【さかばのかんばん】 を つくる のに 【てつのいんごっと】 が たりない からね

 

 といわれた。よくわからなかったけれど、色々建物を作るっていうのが大変なことだけ僕にも分かった。




誤字脱字、感想お待ちしています。

おさけ は はたち から!

やべ~、最初酒場の場所、東って間違えて書いてました。

本当に申し訳ないです。切腹!
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