ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について 作:笛ふき用
次にアルスが目を覚ました時、目に飛び込んできたのは今までみたこともないほど青い空。
空が近いのだ。
ここは? と目の前に手を伸ばすと見慣れた自分の手が見えた。小さいけれど毎日の剣の稽古で堅くなった自分の手のひらごしに太陽の光が零れている。草の匂いと背中越しに感じる感触にアルスは自分が草原に寝転んでいることを理解して起き上がって周囲を確認する。
……少なくてもアレル様じゃなくなったみたい。
そう思って辺りを見回すと、遠くから自分のところに歩いてくる人影が見えた。真っ黒な髪をして青い服に身を包んだ壮年の男性。どんどん近づいてくる姿は先ほどまでのアルス自身だった人。優し気でそれでいて圧倒されるような気配を持った男性がぼう然としているアルスへと近づき、腰をかがめて目線を合わせて挨拶してきた。
「ようこそ。小さな勇者くん。名前は……確かアルスだったかな?」
それだけいってアルスの小さな手を取って、手をつないでそれじゃあ行こうかといって男性は歩き出した。
ここは記憶のはざま。遠い過去に勇者アレルが残した心の世界である。
アレルとアルスが歩きはじめてどれだけだったのだろう。やがてたどり着いた先にあったのは白い木でできた小さな東屋であり、その下にテーブルセットがあった。
放された手を名残惜しく思いながら促されるまま席につくアルスを優し気に見つめるアレル。
「さて、アルス。僕の話を聞いてくれるかい?」
「はい! 勇者アレル様!」
文字通り憧れの英雄を見る目でキラキラした目で見つめられたアレルは苦笑しながら、さて、何から話そうかな……と一言言ってからゆっくりと話を始めた。
アルス自身が体験した試練のこと、そしてあの不吉なゾーマの予言について。それを聞いた仲間たちがそれぞれ『ケンオウ』を名乗り自分たちの力と技を後世に伝えようとしたことや、仲間たちの中でも特に事態を重くみた『建王』ビルドが、徹底的に自分たちの世界も、地下世界アレフガルドも調べつくし、将来生じうる闇について可能な限り対策を施したこと。
そして、その中でもアレル自身が存命中に起きた二つの秘められた戦い、すなわち『ゴルゴナ事件』とその背後に存在する異世界の魔神の脅威についてや、恐るべき力を持ったゾーマの妃が起こした『クインゾルマ事件』について詳細にアルスに語って聞かせたのだ。
その上でアレルはいった。
「アルス。どれだけ準備してもいつか必ず闇は世界を覆うだろう。だからこそ僕の子孫である君たちにお願いする」
そういってテーブル越しにアルスの頭を撫でながら、偉大な勇者アレルはいった。
――ひとつ。常に備えをおこたらないように。闇は常に僕たち人間の弱い心につけ込むからね。
――ひとつ。みんな仲良く。心に光あるものが手を取り合って進めば、絶望なんてあっちからどこかにいっちゃうさ。
――ひとつ。やがて王になる君は、一度王である前に人である自分を見つけないといけない。僕があの頃見た王たちのような存在に君はならないでくれ。
そして最後にひとつ。一番大事なお願いだからよく聞いてくれ。
――ビルドの末裔たちを常にしっかり監視して、やばいことを始めたら身を挺してでも止めること! じゃないと世界が壊れかねないからね!
と、最後だけ嫌に気合の入った表情で告げて勇者アレルはアルスの黒い髪から手を放し、じゃあ、君のあるべきところにおかえりといった。
待って、待ってください! もっとお話したいこと、聞きたいことがたくさん! という言葉が言えぬままアルスは水底から水面へとひっぱられる感覚とともに、勇者ロトの残した試練を終えた。
それからのちのこと。カ―メン王国五代目国王カ―メン五世アルスは、幼き頃の勇者ロトからの訓戒を生涯忘れず、融和と協調をもって常に朗らかに人に接しながらその治世を平和のままに終え、王国と世界をつぎの時代に伝えた名君として語り継がれることとなる。
特に彼を語るうえで欠かせないのが果てしない発展をつづけていた『建王』ビルドの末裔の街、ビルドバーグの民のカ―メン王国への招聘、いやその過半数の強制移住の決断である。
これによってカ―メン王国はさらなる発展を、ビルドバーグ自体はぐつぐつとよく煮込まれた地獄の窯の底のようになっていたやばい奴らの密集具合がほどよく分散されたことにより、発展速度と方向性に歯止めがかかり世界平和に大きな貢献をなしたことにより、アルス王はカ―メン王国ならびに世界の歴史に名を太字で残した。
アルス王は後に何度もこう話したという。
――勇者ロトは正しかった。本っ~~~当に正しかった。いつもちゃんと備えること、みんな仲良くすること、そして危ないものは常に監視して危ないと思ったらすぐに止めることはどんなに時代が進んでも大事なことだ。
と何度も何度も語っていたと当時の側近の手記に残されている。
誤字脱字、感想お待ちしてます。
ロトの紋章に関してはやり切りました!
ロトの紋章なんてなかった! 継ぐ者も(ちゃんといたけど)いなかった!
全部初代ロトとその仲間たち(主にビルド)が対処しちゃいました! 終了!
簡単に各自の末路を。
魔剣ネクロス……原作屈指の鬱な中ボスだが、原作通りフルカスの下に行き封印されたのち、フルカスからの相談でビルドがやってきてあえなく御用。べっこべこにビルダーハンマーで刀身と性根を叩き潰されたうえで、ただの素材として再処理され、ちゃんと使える変な意思のないただの魔剣ネクロスとして再スタートを切る。
但し、歴代剣王愛用の究極の魔剣【はかぶさの剣】(しかも結構いっぱいある)には遠く及ばず、今もサマンオサ地方にある剣王の里で自分を使ってくれる主人を待っている。なおしっかりと調教済みのため精神を乗っ取るような真似とかは無理。
冥王ゴルゴナさん……異魔神の精神体の召喚のため、アープの塔に出向くもアープの塔がビルドにより解体済みのため途方に暮れているところに『賢王』カダルと『建王』ビルドとゴルゴナと同じく復活した太陽王ラムーの三人がかりによる奇襲を受けほとんど何もさせてもらえず、また逃げることもできずにあえなく今度こそ死亡。
異魔神さま……今もオメガルーラで飛ばされた異次元の果てにて意識だけの存在として漂い続けている。なお、仮に精神体を召喚されても肉体の封じられた闇のオーブにはビルドによる二重三重のセーフティロックがかけられている。
ちなみに最終ロックは、物理的に闇のオーブそのものが分厚いオリハルコン製の箱の中に封印されており、ビルド自身でも壊せないレベルで厳重に封印されたうえ、いくつものダミーをばらまいたうえで誰も知らない場所に封印された。
さらにもし仮に闇のオーブにもどれても、オリハルコンの箱がかたすぎて膨張する体がその箱の中で膨張するも箱を内側から破壊できない為、そのまま『げっこう』なしで圧死しつづけるため事実上復活は不可能。むしろやったら死ぬ。
異魔神様は泣いてもいいと思う。
クインゾルマ……またの名をおかあさま。原作通り偶然復活を果たす前にビルドの草の根ローラー作戦で発見され、勇者アレルとゆかいな仲間たち勢ぞろいで強制的に復活させられその場で打ち滅ぼされる。
もと にんげん とか ぞーまさま は いい おっと とか しらんわ
とはその時の『建王』ビルド談。
なお大魔王ゾーマの遺体は、戦後きっちりと勇者たち一行によって適切な処理がなされたため、もし万が一、もとい京が一原作通りにいってもゾーマの遺体モグモグイベントは発生せず詰む。
クインゾルマも泣いていい。
その他の関係者
アルスもカ―メン王国のみんなも、ジャガンことアランもローラン王国の人たちもアステアもそのお兄ちゃんもみんなみんなおおよそ幸せに暮らす。
ルナフレアは剣術指南としてカ―メンにやってきたイケメン剣王サーバインを婿にもらって幸せなお嫁さんに。タルキン老師は老衰でみんなに惜しまれながらベッドで死ぬんだよぉぉ!!
最後に『拳王』フォンを除く大魔王ゾーマ戦時の勇者パーティの装備
勇者アレル
E ロトの剣(≒11における勇者の剣・改)
E 光の鎧
E 勇者の盾
E 勇者のかぶと
『剣王』フルカス
E はかぶさの剣
E 英雄王のよろい
E 英雄王の盾
E 英雄王のかぶと
『賢王』カダル
E ときのおうしゃく
E メタルキングよろい
E メタルキングのたて
E メタルキングかぶと
『建王』ビルド
E ビルダーハンマー
E メタルキングよろい
E メタルキングのたて
E メタルキングかぶと
他に賢者の石・メルキドシールド・魔法の大砲など多数。
ふつーふつー(棒)
……正直ゾーマ様、超頑張りました。