ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について 作:頭がポップコーン
今回は導入なので短いです。
1 ロマリア編 ロマリアの街
地竜の月 6日
僕をお母さんと一緒に育ててくれたおじいさん。つまり勇者オルテガの父にあたる人は実に物知りな人だった。おじいさんはアリアハンの名家の生まれにもかかわらず故郷であるアリアハンを今の僕と同じくらいの頃に飛びだして世界中を見て回った。冒険家なる仕事をしていたようだ。
なんでもそのころはまだ今のように世界中で魔物が大暴れしているわけでもなく、船も各大陸の大きな国や街をつなぐ定期便が出ていたし、アリアハンも南海航海の一大寄港地として賑わっていたそうだ。あのビルドと出会ったナジミの塔も元々は遠く海を行く船乗りたちの道しるべとなる灯台であったらしい。そんなアリアハンへとやってきていた船の一隻にチケット一枚だけ握りしめて冒険の旅に出たらしい。
そんなおじいさんだから本当に多くのことを僕に教えてくれた。剣術に魔法、サバイバル術に星の見方……などなど。その中の一つに世界地理がある。幼いころおじいさんのひざの上で僕はよく机の上に広げられたおおきな世界地図を見せてもらったものだ。
南海に浮かぶ大国、古き覇者の国アリアハンより方角を北西に距離は遥か彼方。
どれほど離れた場所であって任意の二点間を一瞬で移動することができる摩訶不思議な移動手段である旅の扉。その中の一つである封印されていたいざないのほこらを通り、僕らがやってきたこの国こそロマリア。
傾き始めた太陽が照らす世界最大の大国である。
ロマリア側のほこらから飛び出した僕ら。まず感じたのはアリアハンとは風が違うこと。アリアハンと少し違う少し乾いたような海風が肌をなでる。
ここからが旅の本番。アリアハンを飛びだした僕らはこれからいくつもの国や街を巡って魔王バラモスの居城へとたどり着かなきゃならない。
でもそんな大事な使命があるのに、不謹慎かもしれないけれど僕はドキドキしていた。
おじいさんの口癖がよみがえる。
――旅はよいぞぉ! アレル! 大きくなったらお前も旅に出るのじゃ!
来たよ、おじいちゃん。遠いところに。
そのままほこらから北上していくと大きな街が見えてきた。あれがロマリアの街か……
でかい……。アリアハンにも負けないくらいに大きな街だ。でも……、何だろう。街の外から見ているだけでも何だか……。
なんだか ひへい してる かんじ だね
僕の思っていたことをきちんとした言葉に変えてビルドがいってくれた。
僕の目にうつった世界一の国の都は何だか疲れているように見えた。そしてそれは間違っていなかったんだ。
街の大きな入り口から中に入ろうとすると門番の人に呼び止められる。
初めて見る風体のものたちだな、何者だってね。
僕はアリアハンを旅立った時に、どうのつるぎとかといっしょに授かったきれいな短剣を彼に見せた。正しくいうと短剣の柄の部分についているアリアハン王家の紋章を見せたのだ。
最初はいぶかし気な顔をしていたけれど、思い出したかのように僕に敬礼して挨拶をしてくる兵隊さん。慌てて一人を王宮に報せに走らせた。
失礼ですが、お名前を伺っても?
と聞かれたので僕はこう答えた。
アリアハンから参りました、勇者オルテガの子、アレルと申します。ロマリア王にアリアハン王から書簡をお預かりしていますのでどうかお目通り願います。
ってね。結構練習したからちゃんと言えてよかったよ。
ロマリアの街は外から見て通りだった。とても大きくて豊かそうで歴史もあって……、でも疲弊していた。何というか活気がなかった。
大通りを過ぎ、王宮の門をくぐり圧倒されるほど大きな城の中に案内される。案内の人に従ってやがて玉座の間に至るとそこには初老の男性がいた。
よくぞきた!
ゆうしゃオルテガのうわさは
ききおよんでおるぞよ!
といってきたのがロマリアの王様だった。はい、ありがとうございます。とこたえながらちらりと王様をみる。自信には満ち溢れてはいる。でも何というか……、アリアハンの王様とはまた違う意味で困った人に僕の目には見えた。
では たのみが ある!
カンダタというものが
このしろから きんのかんむりを
うばってにげたのじゃ。
それを とりもどせたのなら
そなたをゆうしゃとみとめよう!
さあ ゆけ! アレルよ!
それを聞いて僕が、僕たちが思ったことは一つだった。
いくらなんでも唐突過ぎるだろ……。
初対面の僕らにいきなりそれですか……。そもそもそのカンダタって誰よ。きんのかんむりが盗まれたってじゃあ今あなたがかぶっているそのキンキラキンのかんむりは何なの?
あっけにとられていた僕らが固まっていたうちに、何やら後ろから騒がしい声がしてきた。どうやら衛兵さんと女性がもみ合っているらしい。
陛下! 陛下! どうかお話を聞いてください! このままではロマリアが滅びてしまいます!
え~い、黙らんか。今は客人の前であるぞ!
振り返ってみてみるとメガネをかけた官吏風の女性が必死に何かを王様に訴えようとしているようだった。厄介事の匂いがする……。アリアハンとレーベの経験が僕に警鐘を鳴らす。
なのでひとまず僕らは退出しようとしたんだけど、おぉ! と大きい声を出した王様がそこにいた。
アレルたち は にげだした!
だが しかし まわりこまれてしまった!
おぉ! アレルよ! もうひとつ たのみを きいてくれ!
わが ロマリアこうざん をせんきょした まものたち をたおし
こうざんを もとにもどすのだ!
では ゆけ! アレルよ!
……どうやら僕らはトラブルから逃げ損ねたらしい。
誤字脱字、感想お待ちしてます。
さてロマリア編です。
ここからさらにビルダーズぽくしていきますので、しばしお待ちください。
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いつものダイマでした。