ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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2 レーベ ミッションスタート!

白竜の月 17日

 

 僕たちがレーベの村に到着すると村の姿は前と一変していた。のどかな田舎の村は何者かに襲われ、見るも無残な姿になっていたんだ。

 

 美しい田園風景は失われ、代わりにあるのは焼け落ちた建物の残がいとそこかしこに広がる毒の沼だった。

 

 ひでぇ、とけわしい顔でフルカスがいう。いつも強気なフォンも言葉が出ないようだ。カダルの顔も青ざめてる。ビルドも……、珍しくまじめな顔をしていた。

 

 どこかでうめき声が聞こえた気がした僕たちは急いで声をたどっていくと道具屋の中から声がした。

 

 僕が大丈夫ですかって声をかけると助けてくれっていうから、フルカスがガレキをどかそうとするとビルドがおおきづちを振り上げてた。ビルドやめて! って叫ぶ間もなくビルドがガレキをぶっ叩くとガレキが石材に。

 

 ……冷静に考えてみると変だぞ。なんでガレキをたたいただけで石材になるの?

 

 あわてていた頭が急に冷静になったせいか、今まで無意識に見ないことにしていた事実に僕は気が付いた。小さなころから家の手伝いでずっと薪割りしていたから気が付いた。

 

 木をきづちでたたいて木材になるなら、おのはこの世にいらないってことをね!

 

 そんなどうでもいいことを僕が考えているうちに、カダルが薬草とホイミを使って道具屋のおじさんを治療していた。

 

 よかった、命に別状はないみたい。しばらくして落ち着いたおじさんに僕たちは話をきいた。

 

 どうやらバブルスライムとフロッガーの大群が突然村を襲ったらしい。村の人たちはカギのかかった村のはずれのおじいさんの家(僕たちがドアを開けるためにとうぞくのかぎが必要になった理由だ。つまりとうぞくのかぎは無駄になった。ちくしょう)に逃げ込んだらしいんだけど、おじさんはどうしても自分の店が心配で店の奥に隠れて村が壊れていく様子を見ていたらしい。

 

 なるほど、そういうことか。これで僕たちがこの前のフロッガーの大群に襲われたことにも納得できた。

 

 これは王様に報告しておかないと、と思っている僕におじさんがこういった。

 

 勇者様、どうかこのレーベの村を元通りにしてもらえませんでしょうか?

 

 おじさん。僕は勇者であって、大工さんじゃありません。

 

 そう僕がいおうとしたその時、僕の後ろで気配が変わった。明らかに変わった。振り返るといつも通りのへらへらした笑顔なんだけれど目に炎が燃えているなかまがひとりいた。

 

 ビルドだ。

 

 その瞬間、僕の脳裏にこんな言葉がよぎったんだ。

 

【レーベの村をふっこうしよう!】

 

 ってね。うん、僕たぶん疲れてるんだ。

 

 

 

白竜の月 18日

 

 とりあえず僕たちはまず村の人々の無事を確認することにした。まず本当に不幸中の幸いだけれど、村の人たちにけが人はいたけれど、死んだ人はいなかった。

 

 でも建物はどこもかしこもボロボロになってしまっており、みんなが寝泊まりする場所にも苦労するありさまに、ビルドが動き出した。

 

 なに? まずは なにか たべよう だって?

 

 そういったビルドはまたたく間にたき火を十個並べてそこになまにくを入れていく。

 

 料理が出来上がる前にふくろから大きな木のテーブル、木のイスを4つ、木でできたお皿をセットしたところで次々になまにくが焼けてステーキに。

 

 レーベの村の人たちは涙を流しながら、ステーキを食べてた。なぜだかその姿に僕もフルカスもフォンもカダルも涙が出てきた。

 

 ビルドはいつものように締まりのない顔に笑顔を浮かべてウンウン頷いていた。

 

 そっか、勇者って魔物を倒しているだけじゃダメなんだなってことを僕は今日学んだんだな。

 

 その後お腹がいっぱいになった村人たちが、いろいろと僕たちにお願いしてきた。

 

 まずはいつまた魔物が襲ってくるかわからないから、魔物たちを何とかしてほしい。

 

 これには僕たちみんなうなづいた。望むところだからだ。

 

 次に村の復興を手伝ってほしい。これにはビルドが激しくうなづいていた。……村の復興は大丈夫だろう。むしろやり過ぎないかが心配である。

 

 最後に、またもし今回のようなことになった時の備えについて考えてほしいっていうことだ。これには正直僕らも困った。ビルドもすぐにはいいアイデアが出ないようだ。

 

 とりあえず僕たちがやるべきことは、魔物が攻めてきた時に撃退すること、村を元通りにすること、そしてもしもの時への備えだ。

 

 よ~し、やるぞぉ!

 

白竜の月 19日

 

 僕は物心がついたころから、父さんの仇をとるためにきびしい訓練に耐えてきた。剣の腕を鍛えたり、魔法の勉強をしたり、他にもいろいろだ。そのことに後悔はないし、そのことが今の自分を支えてくれてるって思ってるんだけど、僕はどうやら世の中のことを何にも知らなかったってことを知ったんだ。

 

 そう、僕は今日一つ世界の真理を知った。

 

 おおきづちで壊したものはなんでもブロックやアイテムになるんだってこと!

 

 朝いちばんから始まったビルドのレーベの村復興作業はまず、全てを更地にすることから始まった。

 

 ビルドが満面の笑顔のまま、まるでドラゴンが爆走するかのようにどんどん跡形もなくレーベの村を、元レーベの村跡に変えていく様子を、僕も、僕のなかまたちも、レーベの村人たちも、ぽかんと口を開けてみているしかなかった。

 

 ……ビルド。僕、村とか街って作るのも壊すのももっと大変なものだと思ってたよ。

 

 そうして唖然としている僕らに、どうしてだろう? キレイな金髪の上に?をうかべてみていたビルドはやがて何かを思いついたらしく、ふくろからごそごそと何かをたくさんとりだした。

 

 【おおきづち】

 

 だった。

 

 へ~、そのおおきづちって大量生産できたんだね。僕はてっきり世界に一本だけの特別な魔法のかかったスーパーおおきづちだと思ってたよ。そんな僕らにおおきづちを無理やり渡してくるビルドに僕は思った。

 

 いや、君みたいに何でもかんでもそんな風に壊せるわけないでしょ?

 

 いや、だからさ。なにを いって いるの? っていう顔はおかしいよビルド。うん、散々見てたからおおきづちの振り方自体は僕らも分かってるからお手本をしますように振り回さなくていいからね。

 

 そのうち、ん~という顔で怒ってきたから僕らもしぶしぶ目の前の土の塊をぶっ壊すと……え?

 

 なんで土がブロックに? どういうこと?

 

 目の前で超ドヤ顔のビルドを殴りたい。もう一回確かめるために他にも叩いてみるとドンドンブロックに変わっていく。

 

 ほら さっさと てつだって 

 

 とだけいって喜々として教会を解体し始めるビルドの背中を見ながら、僕は僕の中にあった普通の常識が破壊されていく音を聞いたのであった。

 

 追記 その日は、ビルドが即興で作った大きな木の小屋でみんなでわらベッドで寝ました。

 

 あと村はその大きな木の小屋とうぞくのカギのかかっていたおじいさんの家をのぞいてまっさらな更地に変わってしまいました。

 

 犯人は今僕のとなりでのんきにいびきをかきながら寝ている金髪の悪魔です。周りの人間にも恐ろしい破壊の力を感染させる破壊の権化です。

 

 ……僕はバラモス以上にとんでもないものをこの世界に解き放ってしまったのかもしれない。




誤字脱字、感想よろしければお願いします。

はい。というわけで整地が終わりました。

はい、ただの整地ですよ? ビルダーならふつーふつー。

魔物が全てを壊す? ビルダーに勝てるわけねぇだろ!

かかってこいよ、バラモス! バラモス城になんてひきこもってないでかかってこい!(死)

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