ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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大変お待たせしました。申し訳ありません。


6 ロマリア鉱山をふっこうしよう! パート1

時系列 地竜の月 10日 未明

 

 ガン! ガン! ガン!

 

 ……とまぁ。本当に濃密な四日間であった。というわけで今僕は土砂を取り除きビルドを除く僕らで仮に復旧した、鉱山街南東にある鉱山夫たちの宿舎である建物で日記を書いている。毎度のことだけれど毎日書かないと内容がすごい……。これじゃ日記じゃなくて記録じゃないだろうか。

 

 ガン! ガン! ガン!

 

とはいえもう習慣だし、色々考えをまとめたり、あとで思い返したりするのにすごくいいからやめる気もないんだけれど。

 

 ガン! ガン! ガン! ダン! ダン! ダン!

 

 そんな物思いにふけっていると外からいつまでも途切れずに聞こえる何かを壊す音が聞こえ続けていることを無視できなくなってきた。立ち上がって【木の窓】からちらりとたくさんのかがり火に照らされた鉱山街の今の姿を見る。

 

 揺らめくオレンジ色に照らされた廃墟と化した鉱山街の風景、と聞くと普通なら寂しげな感じか、寒々とした感じを想像してしまうはずなんだけど。

 

 何なのかな? ていうか明るすぎないかな? 今はお昼かな? それともそのオレンジ色の光からして夕方なのかな? それとも何かの火祭りかな? そんなそこらじゅうの壁にゴースト対策と明るさの確保のため、床も壁も本当にいたるところに【たいまつ】や【壁かけたいまつ】などで行列ができている鉱山街を所狭しとビルドが駆け巡っている。

 

 シュタタタタタタタ! ガン! ガン! ダン! ダン!

 

 あ、ゴーストが一匹夜にもかかわらず外で動き回っている

ビルドに気づいて襲撃をかけようとしたものの、鉱山街のあまりの明るさに入り口前で涙をうかべて回れ右した。

 

 ガン! ガン! ダン! ダン!

 

 さっき東の土砂を片付けたかと思えば、つぎの瞬間には北東のトロッコ乗り場であり、採掘所の入り口への道をふさいでいる土砂や邪魔な岩にいつものようにおおきづち振るって一発で粉砕していた。

 

 もきゅもきゅ ごっくん ぷはー

 

 そんな中、定期的に【焼きキノコ】をほおばるビルド。

 

 なんでも【焼きキノコ】に限らずキノコを使った料理には物が壊しやすくなる【破壊力】なる力をあげる効果があるらしく、その有り無しで作業効率が随分変わるらしい。

 

 個人的には、あれは燃料だと思う。ビルドのやる気と体力を維持するために必要な燃料。キノコにはそういう不思議な成分が入っているんだろう。

 

 なんかやべー成分が。

 

 そしてそんなビルドのやる気の結果を確認するために、ちらりと今度は部屋の中を見た。そこにはかなり広い室内にしきつめるようにビルドお手製の【わらベッド】が。

 

 その数なんと20。

 

 おかげでかなり広いはずの宿舎の部屋は入り口のスペースと一人が通るための通路と僕が日記を書いていた【石のテーブル】と【石のイス】の置いてあるスペース。そして【木箱】と【イス】、そして【救急キット】で構成された【救急セット】以外は全部【わらベッド】で埋まっていた。

 

 そして20個並んだベッドも5つを除いて埋まっていた。時折寝ている鉱山夫であるあらくれたちの痛みを訴える声や恐怖に震える声、響き渡る大音響のいびきなどにまじって、時折けが人たちの治療(ホイミ)のためにMPを限界まで絞り出して力尽きた本日のMVPであるカダルの、

 

 無理ぃ……。もう限界ぃ……。

 

 といううめき声が聞こえる。

 

 ちなみにフォンは女の子だから護衛もかねてマリルさんと一緒にマリルさんの家でもある鉱山事務所で寝ている。最後にフルカスが何をしているかというと、今も外でビルドの護衛をしながら眠気を噛み殺しながら見張りをやってくれているんだけど……。眠気がつらいのか、眠気で頭が逝っちゃってるのかさっきからしきりにボディビルのポーズの名前を叫びながらポーズの練習を繰り返していた。

 

 フロント・ダブル・セップス! サイド・チェスト! バック・ダブル・セップス! 

 

 見なかったこと、聞かなかったことにしよう。僕自身の眠気がみせた幻(マヌーサ)、そして幻聴(メタパ二)だろう。

 

 というわけで……今日のところはもう寝よう。

 

 そう思ってもう一度だけ縦横無尽に鉱山街を駆け回るビルドの姿を見る。

 

 常にダッシュで動き回り、何かを壊し、何かを作るその姿に頼もしさよりも空恐ろしいものしか感じない。

 

 だってビルド。君、今日僕らと同じ山道を登り切ったはずだよね? おまけに中腹からずっと人間一人肩に担いでさ。にもかかわらず元気過ぎないかな? ていうか君以外の仲間全員、平気なふりしてたけど山登りで体力ガリガリ削られたせいで実は鉱山街についてから今までずっと気力だけで動いてたんだよ? 

 

 なのに、君は何でそんなの元気なの?

 

 たぶん君だけだよ、本気で元気なの。おかげで僕はそろそろビルドが人間かどうかの自信がなくなってきたよ、マヂで。

 

 そう思いながらもそもそと【わらベッド】にもぐりこみベッドの誘惑に耐えられなくなった僕はゆっくりと意識を手放していった。

 

 ……ドン! ドン! ……フロント・ダブル・セップス! サイド・チェスト! ……ガン! ガン!

 

 いつまでも終わらない軽快な破壊音と建築音、そしてフルカスの暑苦しすぎる叫び声から逃れるように。

 

地竜の月 11日

 

 翌日、目覚めると外の風景は一変していた。

 

 ……ある意味で想定外で。ある意味で完璧に予測通りに。

 

 あれだけぐちゃぐちゃになっていたロマリア鉱山街。どのくらいぐちゃぐちゃだったかというと、砂場に作った模型の街にバケツいっぱいの砂を思いっきり加減なしにぶちまけたかのようにぐちゃぐちゃだった昨日の夜。

 

 けれども今朝の段階で鉱山街の東側の土砂やガレキは全て撤去され、壊れてしまっていた建物も仮ではあるけれどすべて使える状態になっていたのだ。

 

 僕と同じように宿舎から起きだしてきたあらくれの人たちが目ん玉が飛びださんばかりに、そして何が起こったのか理解できない気持ちなのだろう、あんぐりと大きく口を開け唖然とする中、僕はあぁ……、少し前の僕がいる! と思って染まってしまった自分が悲しくなった。

 

 そんな鉱山街という集落単位の劇的なビフォアアフターを起こした怪物はある程度やり切ったことに満足したのか、鉱山街の中央にある広場で大いびきをかきながら鼻ちょうちんをプピープピーと作って大の字に寝っ転がっていた。

 

 ……そんなビルドを通りすがりに見るマリルさんたちまだ染まっていない人たちの表情ときたら。

 

 仮とはいえそして半分とはいえ復旧した鉱山街の現状に素直に喜んだらいいのか、この一晩でのあまりの変化に驚いたらいいのか、これまでの自分たちの苦労は何だったのかと嘆いたらいいのか、そのほかの感情も入り混じってもんのすごい表現に困る変な顔でビルドのことを見ていた。

 

 ……わかるぅ。……ものすんごいよくわかるぅ。

 

 そんな微妙な空気の中、むくりと起き上がるビルド。軽く目をこすり、そしてこういった。

 

 むぅ じゅうごふん も ねてしまう なんて

 

 ぼく とっても つかれてた みたい

 

 なさけない!

 

 そういってビョンと勢いよく立ちあがりすぐさま作業を再開しようとしたビルドを僕も含めた人間全員で

 

 をい!!!

 

 とツッコミを入れたのはいうまでもない。

 

 気を取り直して正午。ビルドに(強制的に)休んでもらった後、若干落ち着いたのだろうマリルさんがこう切り出してきた。

 

 勇者様、ビルド様、そして皆様。私たちをお助けいただきましてありがとうございます。おかげ様をもちまして鉱山街がこんなにも……。

 

 といいかけたところで、ビルドが大変申し訳ないことをしたかのようにこういった。

 

 ごめんね まりるさん 

 

 ぼくの ちから が たりない ばっかりに

 

 まだ はんぶんで

 

 しょぼんと肩を落とすビルド。そして怨念たっぷりにぶつぶつと呟きだす。

 

 てつ が てつ さえ あれば!

 

 おおかなづち さえ あれば!

 

 とっくに おわってる のに!

 

 地面とたたいて自分の不出来さを嘆くビルドに周りはドン引き。てつぅ てつぅ という呟きにもドン引き。

 

 ……お前はこれでもまだ不満なんかい、と。そしておおかなづちあればもう全部おわっとったんかい、と。

 

 そんなビルドの手をひざまづいて手に取り、顔を引きつらせながらマリルさんがビルドを立ち上がらせてこう続けた。

 

 ビルド様、私たちは昨日から今朝にかけて貴方様が起こしてくださった奇跡に大変感謝しております。ですのでそんなことをおっしゃらないでくださいませ。

 

 そして話を切り替えるようにゴホンと咳ばらいをして次なるお願いをしてきたのだ。

 

 この時、僕の脳裏に毎度不意に飛びこんでくるいつもの謎電波が!

 

 ミッション! 

 

 【ロマリア鉱山 を ふっこう しよう! 1】

 

 1. 鉱山街を復興しよう     (30/100%)

 2  坑道を取り返そう       (0/100%)

 3. 武器・防具を納品しよう【銅】 (0/100%)

 

 うっわ~。一気に三つも。何々、鉱山街の復興は今の状態でもまだ三割なの? 次に坑道を取りもどそうって、魔物に占拠された坑道を取り返せってことかな? 最後に……納品? 武器と防具? 【銅】ってどういうこと?

 

 そんなことを考えていると、僕の頭の中で流れたそんな言葉の説明が目の前にいるマリルさんの口から始まる。

 

 まずは、とにもかくにも鉱山で働く鉱山夫のみんなのやる気と安全を確保するために鉱山街の復旧作業をお願いします。分からなくなったり迷ったりしたら私や他のものに何が必要か、何をしてほしいか聞いてもらえると助かります。

 

 次に鉱石を再び採掘できるようにするため、魔物に占拠された坑道を取り返してください。まずは昨日ビルド様が道を開いてくださった東側の坑道からお願いいたします。

 

 最後にロマリアの武器防具不足の解消は一刻を争う状況です。鉱石が取れ次第、ビルド様の手で武器や防具を作って頂き私のところまで持ってきてください。まずは東側の坑道で豊富にとれる【銅鉱石】から【どうのつるぎ】10本と【せいどうの盾】×10個をお願いします。あとは私が【キメラのつばさ】を使ってロマリアのお城に運びますので。

 

 いろいろ厚かましいお願いばかりをさせていただき、本当に申し訳ないのですが皆さんだけが頼りです。どうぞよろしくお願いいたします!

 

 そう締めくくったマリルさんの言葉に僕は僕のすぐ横でやる気いっぱいでおおきづちを振り回すビルドを見てとにかく、

 

 今回も大変だぁ。こりゃあ物理的に鉱山が消えかねないなぁ。

 

 とだけ思った。




誤字脱字報告のご協力、感想お待ちしてます。

というわけでミッションが本格的にスタートしました。

ロマリア編で単独で一番長い鉱山編のはじまりです。

ビルダーズ感を出せるよう今まで以上に頑張ります。
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