ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

32 / 60
8 ロマリア鉱山をふっこうしよう! パート3

地竜の月 11日 夜

 

 赤や緑や普通のドラキーの大群を倒してから、約半日。約一名を除いて各自食事と休憩としながら、【石炭】を取りまくった。

 

 おかげで取れた【石炭】の数、何と300個。うちビルドが掘り出した量、250個。ジョヴァンニさん曰く、おいらたちが一か月かけて取る量をビルド君、たった半日で……、だそうである。

 

 本職の鉱山夫たち何人分の働きかな? 暗算で計算ができないくらいじゃない? ホントに。

 

 そんなビルドは、ドラキーたちのいた石炭採掘場で目についた【石炭】を全て回収したのち、採掘場自体の広さを二回り広げた後、さらに二つ新しく採掘用のトンネルを開通させたところでようやく満足したのか、

 

 よし きょうは これくらい で かんべん してやる

 

 というわけで おまたせ

 

 と【わら床】に座って談笑していた僕らにいった。

 

 僕らが延々と続く単調な【石炭】の採掘作業に滅入ってしまって、気分転換を兼ねて採掘場の隅にいつもビルドが作っているような休憩用の小屋をみんなであーでもないこうでもないと喧々諤々やりながらようやく作り終えて、さらにお腹が減ったからたき火で焼きキノコを食べ終わって一服し終わるくらいの時間、ビルドは飽きることも倦むこともなくひたすら【石炭】を掘り続けただけでなく、これから再びロマリア鉱山が再開した時のためだろうか、丈夫な木のブロックでできた足場を作ったり、新しく自分で掘ったトンネルを柱で補強したりしていた。

 

 そんな鉱山のことなんてまったく知らない僕ですら規格外の働きをしただろうことが容易に想像がつく働きをした後のビルドは、

 

 ひさびさに おもうぞんぶん 

 

 そざい あつめ した きが するなぁ

 

 と満足そうな顔でニコニコ笑っていた。

 

 そしてジョヴァンニさんは完全に固まっていた。信じられないモノでも見たんだろう。気持ちはよくわかる。

 

 坑道を、一人で、半日どころか、数時間かからず、二本も、掘る。どう考えても頭がおかしいのだから。

 

 そうして東の坑道から脱出呪文【リレミト】で帰ってきた後も、ビルドの動きは止まらない。というか鉱山街に帰り着くやいなや一人で勝手に坑道の壁に今回の土砂の撤去で大量に手に入れた【土岩】を使って階段みたいにしてすいすい山道を登って行ってしまった。

 

 あまりの早業に休憩はしたものの慣れない坑道という場所での戦いやその他諸々の作業に疲れ切っていた僕らは止めることすらできずビルドはたいまつ片手に一人、夜のロマリア

北部山脈へと姿を消した。その姿を見たジョヴァンニさんが一言ポツリと漏らした言葉がこれだ。

 

 ビ、ビルド君は多分人間じゃないんだな! たぶん種族【ビルダー】なんだな!

 

 ジョヴァンニさん、その言葉頂きました。種族【ビルダー】。今後ビルドがらみで理不尽なことがあっても全部その一言で片付けられそうな気がしてきたよ!

 

 ありがとう、ジョヴァンニさん!

 

 追記 僕が疲れた体にむちを打ってビルドを探しに行こうとしたら、みんなに止められた。今の状態の僕が行っても二次災害になるだけだし、どうせビルドはケロッとしたいつもの締まりのない笑顔で帰ってくるだけだから、だって。

 

 さすがビルド。良くも悪くも信頼が半端ない。

 

 地竜の月 12日 

 

 一つ悟ったことがある。やる気で満ち溢れているときの種族【ビルダー】には睡眠がいらないらしいという真理である。

 

 その結果が翌朝目を覚ました僕らが見た、いや見せつけられたのは、鉱山街東側から僕らを見下すかのように突如出現したキャベツの段々畑であった。

 

 これにはかなりビルドの非常識さに慣れてきた僕たち仲間も、昨日から非常識を通り越して奇跡を見ている気になっていたマリルさんたち鉱山街のみんなも全員同じように口をあんぐり開けて驚くしかなかった。

 

 どうやら昨日山へと消えたビルドは、山の上に水源を探しに行っていたらしい。それを滝にしてうまく水を引いてきた上に、東側だけとはいえ鉱山街を囲う【黄山岩】でできた壁、鉱山街のすり鉢のへりにあたるところに水路をつくって流していたのだ。

 

 そしてその狭さのためにおよそ使い道のなさそうなすり鉢状の段差をうまく利用して、【キャベツ】の畑まで作るなんて……。

 

 やばいわ、種族【ビルダー】。

 

 そんな復興二日目にして鉱山街の景観を変えたビルドはというともう朝から超ハイテンションで既に食事も済ませたのか僕らに話しかけてきた。

 

 超ニコニコ顔で!

 

 おはよう みんな ちょっと は やすめた?

 

 じゃあ きょうは つぎの こうどうへ いこう

 

 ビルド、まずは君が休もうね。ホントに。そして待ってくれ。僕らまだご飯も食べてないし、トイレも行ってないから。

 

 僕がそういうとビルドは珍しくぶーたれた顔をした後、

 

 じゃあ じゅんび できたら よびにきて

 

 とビルドは街の西側にダッシュで行ってしまった。どうやら休むという選択肢は今の奴にはないらしい。

 

 ホントやばいな、種族【ビルダー】は!!

 

 というわけで準備を終えた僕らは、昨日と同じようにジョヴァンニさんと一緒に坑道内部へと侵入した。さて、残る坑道は二本。向かって正面の坑道と、左の坑道である。

 

 さて、どちらから行くべきか悩んでいると道案内のジョヴァンニさんが教えてくれる。

 

 こっちの真っすぐ正面の坑道ではお嬢から頼まれてる【銅】の装備を作るのに必要な【銅鉱石】と【スズ】がたくさんとれるぞ! だから今日は正面の坑道にいくぞ!

 

 そういって先頭を走りだすジョヴァンニさん。

 

 あなた戦えないんだからそんなに先行したら危ないって……と思いながらも彼の後をついていく僕ら。こうして坑道探検生活二日目が始まった。

 

 昨日と同じように道すがら道をふさぐ土砂を取り除き、壊れたトロッコの線路を修理しながら先を進んでいると、たいまつが照らす先の地面がもこもこもこと地面が不自然に盛り上がった。

 

 みんな とまって かまえて くるよ

 

 ビルドの警告に身構える僕ら。ヒィと声をあげ後ろに下がるジョヴァンニさん。そして次の瞬間、土の中からスコップを持った謎の魔物が飛び出して……、

 

 いたずらもぐら が あらわ……え?

 

 来れなかった。

 

 ごちーん! という音が行動内部に鈍く響く。

 

 そう、謎の魔物が穴から飛び出してくる前にビルドがそいつの頭をぶっ叩いたからだ。謎の魔物の出番も許さず、名乗りすらも奪った鬼のようなビルダーはこともなげにこういった。

 

 どうやら この こうどう は

 

 もぐら に せんきょ されてる みたいだね

 

 そういったビルドの顔にはありありと じゃま! と書いてあった。

 

 そして惨劇は始まった。

 

 いたずらもぐら が あらわ……ごちーん!

 

 いたずらもぐら が あらわ……ごちーん!

 

 いたずらもぐらたち が あらわ……ごちーん! ごちーん! ごちーん!

 

 キラースコップ が あらわ……ごちーん!

 

 キラースコップたち が あらわ……ごちーん! ごちーん! ごちーん!

 

 まもの の むれ が あらわ……ごちーん! ごちーん! ごちーん!

 

 坑道を進むたびに現れる謎の魔物たちは、僕らにその姿を見せることさえできずにビルドのおおきづちの一撃によって倒され続ける。

 

 フォンがボソッとつぶやいた。

 

 ビルドのやつ、多分魔物が地面から勢いよく飛び出すタイミングを見計らってぶっ叩いているんだわ。だから全部カウンターみたいになって全部会心の一撃なんじゃないかしら。……とにもかくにも魔物ながら同情しちゃうわ。

 

 その言葉にビルドを除いた男たちはうんとうなづいた。ビルド、それは勇者パーティーのメンバーの所業じゃない。悪魔の所業だと僕は思うよ。

 

 そうして僕らがその魔物の姿を初めて見れたのは結局坑道の奥。これまた昨日と同じように少し開けたスペースがある銅とスズの採掘場でのことだった。

 

 僕らを待ち構えるように玉を二つ重ねたような体に手足がある初めて見る魔物。

 

 いたずらもぐらなんだな! キラースコップもいるんだな! いつも作業を邪魔する鉱山の厄介者なんだな! で、でも、あんなに大きなキラースコップ、おいら見たことも聞いたこともないんだな!

 

 そこにいたのは僕たちの中で一番の巨躯を誇るフルカスと比べてもさらに大きな藍色の毛玉。そいつが手に大きなスコップを持ちこっちをにらみつけている。さらにそいつを囲うように茶色の魔物がたくさん。

 

 ニンゲン! ヨク ココマデ キタナ! ダガ コノコウドウハ モウ オレタチノ モノダ!

 

 キラースコップ が あらわれた!

 

 いたずらもぐら が あらわれた!

 

 まもののむれ が あらわれた!

 

 その堂々とした名乗りに僕はさっきまでの世界の法則を破壊していたんじゃないかという不安感から解放されほっとすらした。

 

 そして僕らはこの日昨日と同じようにひたすら【銅鉱石】と【スズ】を掘ることで大量のそざいを手に入れたのである。

 

 【銅鉱石】と【スズ】 を たくさん てにいれた!

 

 ミッション! 

 【ロマリア鉱山 を ふっこう しよう! 1】

 

 1. 鉱山街を復興しよう     (30/100%)

 2  坑道を取り返そう      (20/100%)

 3. 武器・防具を納品しよう【銅】 (0/100%)

 

 

 追記 あの魔物たちがどうなったか、って?

 

 哀れ過ぎて書けるわけないじゃないか!

 

 ただ音で表現すると、

 

 ごちーん! ごちーん! ごちーん! ごちーん! ごちーん! ごちーん!

 

 ごちーん! ごちーん! ごちーん! ごちーん! ごちーん! ごっちーん!

 

 だったよ。あとは察してほしい。




誤字脱字報告へのご協力、感想お待ちしています。

合掌……ちーん。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。