ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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今回は繋ぎの話です。申し訳ない。


11 ロマリア鉱山をふっこうしよう! パート6

地竜の月 13日 朝

 

 深夜に装備の更新を終えた後いつものように泥のように寝て起きたといいたいところなんだけど。

 

 ビルドぉ! がんばってくれたのはわかるけど寝ろよぉ! 夜中の間ずっと武器や防具作ってただろ! キンキンカンカン響き渡ってろくに寝れんかったわ!

 

 そう文句をいうも。

 

 え? でも じかん もったいない

 

 とこんな感じでビルドにそんなことをいっても無駄なのはいつものことで。ともあれビルドが夜通し作った大量の武器防具をふくろにいれて僕とフォンは夜決めた段取り通り、まずロマリアの街へと【ルーラ】の呪文で移動した。

 

 全身が光で包まれ目を閉じた次の瞬間あっという間にロマリアの街についた。門番の人が突然現れた僕らに驚いていたがあらわれたのが数日前旅立った僕らだと気付くとあらかじめ言われていたのだろう急ぎ大臣殿へと知らせるために王宮に走ってくれた。その後他の衛兵さんの案内で王宮内の一室にて待つこと三十分くらいだろうか、退屈になったフォンが軽く鍛錬を始めたころに大臣殿が慌てた様子で部屋に飛びこんできた。

 

 勇者殿、なんともう鉱山を開放してくださったのですか?

 

 と息は荒いながらも声に隠し切れない喜びを乗せて僕に尋ねてくる大臣殿に僕は今までの経緯と状況を説明しだした。

 

 僕たちがたどり着いたとき、鉱山街は本当にボロボロで魔物を倒してすぐに、はいじゃあ鉱山の再開どころの状況ではなかったこと。まずは鉱山街の機能を半分だけ復活させ、とりあえず比較的被害が軽くて道がふさがれていない東の坑道に入ったこと。二日かけて東の坑道の三つある坑道の内、二つの坑道を魔物から取り戻したこと。そこで手にいれた【石炭】と【銅】、そして【スズ】を使ってうちのビルドが【せいどうのつるぎ】のような青銅製の武器をたくさん作ったから持ってきたことなどを説明し、その証拠とばかりにふくろから大量の青銅製の武器防具を取りだした。

 

 その数、【せいどうのつるぎ】が三十振に【せいどうのやり】も同じく三十本。さらに【せいどうのよろい】と【せいどうのたて】、【ブロンズキャップ】がそれぞれ五十個づつというまさに大盤振る舞いだった。

 

 それを見て飛び上がらんばかりに喜ぶ大臣殿と警護の兵士たち。これで何とか戦える! ロマリアを守れるぞ! と武器を手に取って涙を流す兵士たちの姿に大臣殿もまた涙を流して喜んでいた。

 

 勇者殿、この短期間にこれほどの成果をあげていただきこの大臣、なんとお礼を申し上げていいのか……。

 

 あとは言葉に詰まったのか僕の手を両手で握って感謝を伝えてくる大臣殿のうしろで、ありがとうございます、ありがとうございますと口々にいいながら武器防具を持って兵士たちが次から次に部屋に入っては装備を取り換えていく。

 

 この時の僕の気持ちが分かるだろうか? はっきり言っていたたまれない。

 

 ……だってさ。正直、この手柄の九割九分、ビルドの手柄じゃない? 僕、ちょっと戦っただけで他になんもしてなくない? やばい、ケツがむずむずする。

 

 もっと頑張ろう。自分自身の尊厳のために。そう決意をし直した僕はおそらく同じような決意を固めただろうフォンと一緒にロマリアの街を後にした。

 

 ルーラ!

 

 ホントに便利だなぁ! ルーラ。大陸と大陸の間でもひとっ飛びだ!

 

  ミッション! 

 【ロマリア鉱山 を ふっこう しよう! 1】

 

 1. 鉱山街を復興しよう     (30/100%)

 2  坑道を取り返そう      (20/100%)

 3. 武器・防具を納品しよう【銅】 達成!

 

地竜の月 13日 昼

 

 というわけでやってきた? 戻ってきた? レーベの村である。何だかかなり懐かしい感じがするけれども、まだ一週間しか経ってないはずなのになぁ。

 

 それにしてもこの総【石垣】造りの壁の重厚感と威圧感よ。高さ六ブロック分、正面であるここからは分からないけれど横三ブロックという、壁を構成する素材こそ違えどアリアハンの城下町を守る壁と変わらないその偉容たるや。すごいわ、ホント。そんな風に僕とフォンが壁に改めて唖然としていたら、上から鋭い誰何の声が。

 

 何ものだ! ……アレルか? どうした、帰ってきたのか?

 

 首をかなり上に向けて声のするほうを確認するとそこにはピンク色の鎧を着たナイスガイ。ハンソロさんだ。

 

 しばらくぶりです、ハンソロさん。村に入っていいですか?

 

 おう、勿論だ! おぉ~い、みんな。アレルたちが帰ってきたぞぉ!

 

 ハンソロさんのその声に村の中から歓声が上がり、村の大扉が開いて僕らは約十日ぶりにレーベの村へと足を踏み入れた。

 

 村の人たちに挨拶をし、歓迎されながら村の様子を確認する。宿屋も武器屋も道具屋も、他の建物も村の景色はどこも変わりがなかったけれど何かが違う気がした。

 

 何が違うのか……、と思ったときに気が付いた。人が多いんだ。そう思って改めて歓迎してくれている人たちを観察してみると、明らかに旅支度の人や一連のレーベの村復興の過程で見知った村人じゃない人たちの姿が多くみられた。

 

 これは……、と思った僕がハンソロさんを見ると察したのだろうハンソロさんが説明してくれた。

 

 すごいだろ。お前らがロマリアに行ったあと、アリアハンから使者が来てな。その使者がアリアハンに戻った後、『レーベの村がすごいことになっている』っていろんなところで言いまくったらしい。そこからうわさがうわさを呼び今じゃこんなに人でいっぱいなのさ。

 

 そこまでは晴れやかな顔で語ってくれたハンソロさんだったが、その後その表情を変えて僕に小声でささやいた。

 

 ……あとロマリアから決死の覚悟で逃げてきた人たちもちらほらいる。お前らがほこらを再び使えるようにしたらしいっていううわさを聞いてイチかバチかって気持ちでこっちにきたんだと。おい、アレル。ロマリアで今何が起きてるんだ?

 

 その件を話しに来たんですと僕が短く伝えると、ハンソロさんは重々しく頷いてこの場での質問の続きを一度飲み込んでくれた。そして騒ぎを聞きつけてやってきたマーリンさんとエルシドさんも合流して挨拶を交わした後、村の大人たちを村の教会に集めてもらえるようにお願いした。なんとなく事情を察した三人が村人を集めるために散っていく背中を見ながら僕はビルドが立て直した村の教会へ。

 

 たのもしき カミの しもべよ

 

 わが きょうかいに どんな

 

 ごようじゃな?

 

 ごほん……、おかえりなさい勇者様。ようこそお戻りに。ですが、はて、フォン殿だけですか? 他のお仲間は?

名誉村長殿がおられたなら相談したいことがあったのですが……。

 

 村のまとめ役である神父様の言葉に苦笑いしながら僕は切り出した。

 

 神父様、お久しぶりです。今日は皆さんにお願いがあって戻ってまいりました。皆さんが集まってからご説明いたしますので、教会をお貸しいただけますか?

 

 僕がそういうと神父様は笑顔でうなづいてくれた。

 

 さて、何から話せばいいのやら。

 

地竜の月 13日 夕方 

 

 結果から言うと話し合いはすんなり終わった。

 

 レーベの村からしばらくの間、毎週【小麦】を50個提供してもらえることになったのだ。勇者様たちのため、そして私たちと同じように苦しんでいる方たちのためでしたらとこころよく【小麦】の供給に応じてくれた村の皆さんには感謝の言葉もなかった。

 

 ただ、宿題をひとつ。

 

 村に人が増えたせいで家が足りません。そざいと設計図さえあれば我々にも家が建てられると思うのですが、我々だけでは何ともならず。勇者様ご一行がお忙しいのは重々承知しております。ですがどうか一度ビルド殿に村に戻ってきてもらえるようにお願いできませんでしょうか?

 

 代表として神父様が申し訳なさそうにいった言葉に分かりました、可能な限り早くビルドと一度村に戻ってきますと応えて僕はまず最初の【小麦】を50個持って、再びルーラを使ってロマリア鉱山街へと飛んだ。

 

 ……一つめどがついたらまた一つか。なかなか難しいね。

 

地竜の月 13日 夜

 

 レーベの村のみんなと色々と話し合った後、日が落ちる直前に【ルーラ】で僕らはロマリア鉱山街へ帰り着いた。

 

 ルーラの魔法というのは、多分に感覚的な話になるんだけれど、Aという場所とBという場所を瞬間的に移動する魔法なんだけれど、でもそのAとかBとかいう場所はその場所の空の上に移動して空からゆっくりと落ちてくるというよくわからない魔法である。

 

 僕がそんなことをルーラの覚えたての時に話すとビルドがこんなことをいったのが妙に耳に残っている。

 

 るーら はね

 

 ざひょうかんいどう の まほう だから ね

 

 かべのなかにいる! に ならない ように なってる んだよ 

 

 って。何その『かべのなかにいる!』って、よくわかんないけどすごい怖いんだけど! と僕が言うとそういう怖いことにならないためにルーラの魔法は創られているんだよって教えてくれたんだけど……。ビルドは魔法使えないはずなのになんでこんなに詳しいんだろうと思ったことは確かだ。

 

 そういうば僕はビルドのことほとんど知らないなぁ……。

 

 閑話休題。現実逃避ともいう。

 

 つまりそんな前置きをして何がいいたかったかというと、出る前と今のロマリア鉱山街の違いがすごいってことがいいたかった。

 

 上から見た鉱山街の姿は、簡単にいうと【黄山岩】でできたすり鉢でその底の部分に鉱山街の街がある。

 

 けれど今の姿といえば……。

 

 たいまつの灯りで照らされた鉱山街の……色が、色がおかしい。

 

 緑? なんで緑。土と【黄山岩】で構成された鉱山街の色は茶色もしく淡いレンガ色であるはずが、何故緑?

 

 少しづつ高度を下げていくごとにどんどん詳細な姿が見えてくる。

 

 地面に木が植わっている。それにそもそも土だった地面が草原の地面に置き換わっている。だから緑なのか。

 

 それだけじゃない。道が完全に【石の床】で舗装されている。なんていうかそれだけなのに、今までの鉱山街とは雰囲気が違う。

 

 そして広場に降り立った僕らは街を見回してあらためて街の変わりようにびっくりした。

 

 まずとりあえず街の西側にあった片付いていなかった土砂やガレキがかたずけられ、おそらくだけれど酒場や道具屋も建物がきれいになっており本来の鉱山街の姿を取り戻していた。

 

 次に大きく変わっていたのが、東側。

 

 まず僕たちが宿泊していている鉱山夫さんたちの宿舎が二階建てになっていた。それはわかる。分からないのがその屋上が緑地化していたことと、その緑地に木が生えていたことだ。二階建ての屋上から生える木ってすごい……。

 

 ていうかどうやって持って来たのさ……、その木は。下の森から木を引っこ抜いて担いで持ってきたっていうの? 想像するだけですごいな。ビルドが木を肩に担いでダッシュで山を駆け上がる姿は。

 

 そんな変化に隠れてではないだろうけど、しれっと東側と同じように西側の斜面にもキャベツ畑ができているのも見逃せない。その畑に水を供給するためだろう、東側から鉱山街正面の門の上に水道橋を使って水を通してある。

 

 芸が細かい……。何このユーザービリティの高い環境。そしてそのために景観が完全に変わってしまっている。

 

 やばい、効率を最優先して人員配置間違えたかもしれない。

 

 ジャジャーン。フルカス、アウト―。チェンジ。

 

 だって君じゃビルドのブレーキにはならないみたいだし。

 

 なにこの、一度は住んでみたいホワイト労働者の街。そして広場の真ん中で呆然と立ち尽くすマリルさん親子と荒くれたちに満足そうな笑顔のビルドっていう絵は。

 

 とりあえず……、まずはいつも通り聞き取りと説教からかな。

 

 追記  【ビルドのブレーキ】獲得!

 

 は、また電波が! なんか僕に新しい称号が生えた気がする! 僕は勇者!




誤字脱字報告、感想お待ちしてます。

誤字修正のご協力、皆様いつもありがとうございます。



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