ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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15 ロマリア鉱山をふっこうしよう! パート10

地竜の月 15日 さらにつづき

 

 つい先ほどビルドの手によって現出し、キノコの魔物を全て炭へと変えた煉獄地獄の凄惨な現場にて。その黒こげの残がいに見向きもせずビルドはおおきづちを、振るう! 振るう!! 振るう!!!

 

 しかしかなり壁を構成している【グレー岩】という岩がよっぽどかたい岩なのか、普通なら二度三度叩けば壊れる今までの【土岩】や【白い岩】のようなブロックとは違い、なんと五回も叩かないと壊れなかった。

 

 それでもまるでひるまず疲れも見せず壁の中に埋まっている鉄を必死に探すビルド。既に採掘開始からたぶん二時間は経っているが以前ビルドが止まる様子はない。

 

 僕らは街から持ってきた【パン】や道中手に入れた【キノコ】を【たき火】で焼いたおなじみの【焼きキノコ】などでお腹を満たしていた。

 

 こんなふうにビルドがいろいろやってる間にも、僕らは僕らなりにやれることを探してやっておくことにした。まずフルカスたち三人は地底湖にそざいを探しに行った。

 

 なんでもカダルが前に患者さんやケガ人たちを寝かせるための【わらベッド】よりもいいベッドが作れないかと尋ねたところ、ビルドに【わた】があればできると言われていたらしく、今回【わた】が取れる【わたげ草】を見つけたカダルが【わた】と【わたげ草のタネ】の確保を主張し、広大な地底湖の周辺や点在する小島にぽつぽつと生えている【わたげ草】を魔物を退けながら三人はそざいの採取を行っている。

 

 ……僕は残念ながらビルドとジョヴァンニさんの護衛を兼ねて待機中。できれば僕も行きたかったけれど二人を放っておくわけもいかず、こういうことになっている。

 

 それからどれほど時間がたっただろう、フルカスたちが満足のいく量の確保できたため僕に合流し、オ、オイラも掘るんだな! 頑張らないと! またあんな怖いゴメンなんだな! といってひたすら頑張っていたジョヴァンニさんが力尽きてひんやりとした地下の地面に【わらベッド】を敷き横になってからさらに長い時間がたった後、ようやく ガイン! ガイン! という甲高い破壊音が響き続けた地底湖に静寂が戻った。

 

 ふー いやー きびしかった

 

 たしかに ここの こうみゃくは てつ の こうみゃく としては だめだね

 

 ぜんぜん なくて くろう したよ 

 

 と話す内容とは裏腹に戻ってきたいつも通りの間の抜けた話し方といつも以上のニコニコ顔でいつものビルドが戻ってきた。

 

 ビルド、満足した?

 

 ん? うん とりあえず 【てっこうせき】 3こ てに いれたよ

 

 僕はその言葉に絶句した。3個ぉ! え、あんなに時間をかけてあんなに頑張ったのにたったの3個だけなのぉ! のと。

 

 そして素直にその言葉をビルドに伝えるとビルドは笑ってこういったのだ。

 

 あれる あのね とりあえず さいていげん なんとか なるんだよ

 

 これだけ あれば あの じゃまな おうざんいわ がこわせる はんまー が つくれる からね 

 

 そこまで言って膝に手を置き息を荒げてヒーヒーいいだすビルドにいつもならなんでだよと突っ込むところだけど今日だけはかえって安心した。

 

 よかった……、あのおっかないビルドはお静まりになった……と。

 

 そして聞き逃せない重要な言葉を僕の耳はとらえていた。【黄山岩】が壊せるハンマー? それがあれば西の坑道も……。その事実に思い至った僕にビルドがこういった。

 

 だから はやく りれみと 

 

 僕はみんなが近くにいることを確認して【リレミト】の魔法で地下深くから脱出した。

 

 よし、ビルドの言葉が確かならもうすぐ西の坑道に入れるはずだ。そうすれば豊富な鉄鉱石を採掘できる坑道があるはず。そして鉄さえ取れるようになり鉱山街が復興さえすればロマリアの国が危機を脱するのもそう遠いことじゃない。

 

 それにしてももっと困難だと思っていた鉱山街の復興だけれど、かなり順調にいっている。東の坑道は全て解放したし、魔物自体は出るだろうけど東坑道だけなら鉱山の再開は可能だと思う。

 

 つまり【銅】と【スズ】と【石炭】は安定的にまた供給可能になったということだ。

 

 

 それに鉱山街自体の復興もビルドと街のみんなの頑張りもあってそう遠いことじゃない。やばいと一時慌てにあわてた食料の問題もどうやらひと段落したといっていいだろう。

 

 順調だ、とっても順調。

 

 これならあともう少しで今回の冒険も成功に終わるはずだ。これであの頑張り屋のマリルさんやマリルさんのお母さん、そして何故か半裸のマスク姿だけど気のいいあらくれさんたちの顔に本当の笑顔が戻るはず。

 

 よし、もう少し頑張るぞ! と僕は決意を新たに地上へと帰還した。

 

 そして地上に戻ったとき、外はもう夜でちょうどご飯時だった街の人たちはご飯の真っ最中だったけれど、食べるのもそこそこに地下から戻ってきた僕らの周りに殺到した。

 

 そんな期待で目がキラキラしている彼らに東の坑道の完全な解放をみんなに報告した。

 

 坑道を占拠していた強い魔物は全部やっつけたので気をつければ東の坑道なら以前のように操業できると思います、と僕が言うと鉱山街に歓声が轟いた。そうしてあらくれさんたち同士が肩を抱きあったり泣いたり踊ったり歌ったり食べたり筋肉に力を入れたりポーズをとったりして喜びを爆発させた。

 

 

 やった! やったぞ! これで採掘を再開できる!

 

 ありがとうございます、ありがとうございます! 勇者様、みなさん!

 

 さすが勇者ちゃんたちだわ! お礼に私がとっておきの筋肉パフパフしてあげる!

 

 いや、それは けっこう です

 

 そんなやり取りの後。

 

 最後に満を持してビルドが鉄をてにいれたこと、鉄があればビルドは西の坑道をふさいでいる【黄山岩】を壊せるハンマーを作れることを(僕が代わりに)話すとみんなの喜びがもう一度爆発した。

 

 まるでお祭りのように元気いっぱい、喜びいっぱいに包まれた中に槌音が響く。

 

 喧騒の中いつの間にか、作業を始めていたビルドが【炉】で手にいれた【鉄鉱石】全部使って作った【鉄のインゴット】×5を使って【金床】に向かって何かを作り始めたのだ。

 

 その音に気付いたみんな。やがて喧騒は止み、ギィン! ギィン! という鎚音が夜の闇に響くことしばし。

 

 出来上がったのは、鉄のインゴットを使用した真っ黒で武骨でそして巨大なハンマーだった。それをビルドは何度か感触を確かめるように振りまわしそれから勢いよく右手で掲げた。

 

 【おおかなづち】 を てにいれた!

 

 これで 今まで 壊せなかった 硬いものが 壊れるように なるぞ!

 

 また電波がきた! でも今回分かりやす! よし、これで先に進める! そう思って今までほとんど足を向けなかった西の坑道のほうを見る。

 

 遠くに見えるその場所は入り口に設置された二つの壁かけたいまつで照らされておりその姿が遠くからでも確認できるのだが、そうすることに意味はほとんどない。

 

 入り口全てを隙間なく【黄山岩】でふさがれているからだ。

 

 その為、ビルドでさえ僕たちが鉱山街に着いて早々に、

 

 あ これ いまは むり

 

 とさじを投げていたほど。

 

 その時僕はビルダーのこととかよくわからないものだからこんなふうに言ってしまった。

 

 ビルド、本当に無理なの? 君なら何とかできるんじゃない?

 

 と尋ねると珍しく真剣な顔つきと声でこういって僕を諭してくれた。

 

 あのね あれる 

 

 ぼくに だって できること と できないこと が ある

 

 くやしい けど いまの ぼくでは 【おうざんがん】 をこわす どうぐ を つくれない

 

 そざい が ない からね

 

 といい、いつものように息切れを起こしてからニッコリ笑って最後のこうも付け加えた。

 

 まぁ きみに きたい されるのは うれしい から いい けどね

 

 その時にビルドにも無理なことがあるということを僕は思い知った。そして決意と自信に満ちた今のビルドを見ると今まで西の坑道を見るたび一番悔しい思いをしていたのは、実はビルドだったんだろうなと感じた。

 

 そのビルドが鉱山街のみんなに声をかけた。声はいつも通りのいまいちやる気が感じられない声で表情もいつも通りの締まりのない笑顔のはずが何だかとっても力強く感じたのは僕の気のせいだったのだろうか?

 

 みなさん おまたせ しました

 

 にしの こうどう まえに いこう

 

 そう言っていち早く走り出すビルド。

 

 そしてその言葉の意味が最初理解できずに惚けていたけれど、じわじわと言葉の意味を理解した街の人たちが歓声をあげながら灯りに照らされた夜の鉱山街をビルドを追って走り出す。

 

 僕はそんな中、泣きながらうずくまり何度も何度も「ありがとうございます、ありがとうございます」と繰り返すマリルさんを立たせて一緒に西の坑道へと向かう。

 

 坑道入り口に立ちふさがる【黄山岩】の壁の前に立つビルドとそれを少し離れてぐるりと取り巻きながら見ている鉱山街のみんなが待っているところにようやくたどり着いた僕らとマリルさん。そして役者がそろったのを確認したビルドが

 

 きたね まりるさんたち 

 

 じゃあ いきます 

 

 といって振り返り壁に向かってハンマーを振りかぶったまま、力をため始めた。

 

 ためる。まだためる。

 

 まだまだためる。まだまだまだためる。

 

 そしてためにためた何かのエネルギーでビルドが輝いたと思った次の瞬間、

 

 ――おうぎ ちょう すーぱー ずどーん はんまー!

 

 そのいつも通りの気の抜けた掛け声とともに繰り出されたビルドの必殺技は至近距離に雷が落ちたときのようなものすごい轟音を響かせてあれほど硬かった分厚い【黄山岩】の壁などものともせずに全て粉々に破壊した。

 

 へへ~ん 

 

 と得意げに振り返ったビルドに感謝の言葉と万来の拍手が降り注ぐ。

 

 こうして僕たちは西の坑道へ足を踏み入れることができるようになったのである。

 

 そんな中、ビルドだけは何故か真剣な顔つきで開いたばかりの坑道の闇の奥をじっと見つめていた。

 

 なにか の こえ? …… いったい なに?

 

 と小さくつぶやくビルドの声が何故か大喜びのみんなの歓声の中なのにやけに僕の耳に残った。

 

 

 1. 鉱山街を復興しよう     (70/100%)

 2  坑道を取り返そう      (50/100%)

 3. 武器・防具を納品しよう【銅】 達成!

 

 

 

 ここまでの ぼうけん を セーブ しますか?

 

 ▶ はい

 

   いいえ

 

 




誤字脱字、感想お待ちしてます。

というわけでロマリア鉱山編も東の坑道は完全に終了して西の坑道の冒険へと突入いたします。

おうぎ ちょう すーぱー ずどーん はんまー!

ビルドの奥義で、直線状にある邪魔なもの全てを破壊する必殺技。そのハンマーに壊せるもので、ビルダーが壊したいと思っている直線状の全てを破壊するイベント用の大技である。

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