ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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17 ロマリア鉱山をふっこうしよう! パート12

地竜の月 16日 

 

 さて、僕による私製天誅をどてっぱらに喰らったいたずらビルダー。全力ダッシュ+高所からの急降下攻撃によりしばらくの間のたうち回っていたんだけれど、しばらくするとなんでもなかったかのように立ちあがった。

 

 それからこの後、ビルドが驚くべきことを言ったのである。冒険とさらなる素材を前にしてビルドが言い放った次の言葉が僕たちを混乱の極致に叩き込んだのである。

 

 さてと きょう は もうよるも おそいし

 

 このへんで かえろう

 

 なにぃぃぃ!

 

 すかさず僕が駆け寄ってまずビルドのおでこに手を当てる。

 

 ……熱は、ない。

 

 次に僕が鋭く背後に視線を向けるとそこには注意深く周囲を見回すフルカスの姿が。

 

 アレル! ダメだ、魔物の姿はどこにもない!

 

 けれど、幻覚魔法【マヌーサ】を使う魔物の姿はなかった。

 

 次にフォンが駆け寄ってきて、

 

 正気に戻りなさい! ビルド! ほら、早く!

 

 ビルドの頬に容赦のない往復ビンタをぶちかます!

 

 ぶべべべべべべ いたい いたい やめて ふぉん

 

 ダメみたい、アレル! 強めに叩いたのに【メタパ二】が解けないわ!

 

 え~い、カダル! 何か都合のいい僧侶の魔法ないのか!?

 

 え、だからそんなのはないけど……じゃあ、これでどうだ、覚醒魔法【ザメハ】!

 

 

 だが 効果は なかった!

 

 いいかげん に しろ!

 

 ぼかーんという音とともに宙に舞う僕らの体と飛んでいく意識。

 

 この後、ビルドのおおかなづちで全員天井まで打ち上げられることで僕らは気を失ってしまった、らしい。

 

 らしいの理由は簡単で、僕が次に目を覚ました時には次の日の朝で、場所も西の坑道の中じゃなく鉱山街の宿舎の二階で、おまけに寝ていたのは今までのわらベッドではなくシーツの清潔な白がまぶしい【ベッド】の上だったからだ。

 

 もちろんビルドの仕業であろう、昨日ビルド自身が鉄の採取をしている最中にみんなが集めた素材を使ってもう【ベッド】を作ったのか……、とわらベッドではありえないほど滑らかな布の滑らかな感触を堪能しているとあることに気が付いた。

 

 今までの宿舎の部屋と景色が明らかに違う……。何が違うって今までこの場所にはわらベッドが並んでいたはずなのに、今この場には真っ白なシーツの【木のベッド】が整然と並んでいたのだから、そりゃあ景色の一つや二つ一変していても何もおかしくはないんだけれどそういうことじゃなく。

 

 ベッド以外にもベッドとベッドの間には【木のテーブル】が置かれ、そのテーブルの上には【花の鉢植え】まで置いてせいだろうか。

 

 だから何というか……、

 

 【はじめての寝床】 の 豪華さ が 上がった!

 

 昨日までの【はじめての寝床】よりも部屋の豪華さが随分と上がった気がする。そして部屋の豪華さってなんだ! といつも意味不明な電波にツッコミを入れてから僕は外へと飛びだした。

 

 お腹空いたから、何か食べよう……。

 

 後からマリルさんに聞いた話だけれど、昨日の僕たちの反応にはさすがのビルドもお怒りだったようで、

 

 あいつら ぼく を なんだと おもってる んだ!

 

 こんと か! 

 

 ゆうしゃ あれる ひきいる こんと しゅうだん か!

 

 ざんしん! それって とっても ざんしん!!!

 

 ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 とその怒りを全て残っていた街の改築にぶつけた結果、最後まで手を付けていなかった道具屋や酒場が完成したことにより僕たちの寝ている間に、

 

 【ロマリア鉱山街の設計図(仮)】 が 完成した!

 

 らしい。

 

 というわけで僕が外に出たら街の新しいシンボルになるだろう物見やぐらの下にみんな集まってビルドを胴上げしているところだった。

 

 何が何だかわからないけれど、ミッション二つ目達成である。

 

 

 1. 鉱山街を復興しよう      達成!

 2. 坑道を取り返そう      (60/100%)

 3. 武器・防具を納品しよう【銅】 達成!

 

 

地竜の月 16日 つづき

 

 さて、おかしなことは続いた。

 

 街の復興も終わったことだし、さらなる鉄を求めて西の坑道に潜ると当然いうはずのビルドがおかしな行動に出たのである。

 

 あれる きょう は みんな おやすみ ね

 

 ぼくは そのあいだに まちの たてもの を ちぇっく するから

 

 そういって出来上がったばかりの鉱山街の手直しを宣言してビルドはどこかに去っていった。

 

 ……おかしい。あのそざいバカがあれほど渇望した鉄素材を前にして西の坑道に突撃しないのはおかしい。 

 

 おおかなづちができたからってそれで満足するようなビルドではないのである。鉄があれば鉄の武器も防具も、鉄で作れる様々な建材や家具の類も作れると鉱山への道中や夜、あんなに熱弁していたビルドがハンマー一本作った程度で我慢しているのはさすがにおかしい。

 

 そう思って今までの流れを思い返してみる。

 

 何かビルドの様子におかしなところがなかったかどうか、ひとつづつ思い出してみる。

 

 まず、街の姿があっという間に変わる。普通。いつものビルドだ。

 

 次に、今回は鉄だったけれど、素材を求めての暴走。ちょっと今回は特別やばい感じだったけれど、普通。やばかったけれどこれもいつものビルドだ。

 

 寝てないこと……、これに至っては僕はこの旅に出てからビルドが寝ているところを見たことのほうが珍しいので寝ているほうがおかしい。つまり普通。

 

 冷静に考えて、ビルド的には普通の行動でも一般的に見れば変かおかしいところしかなかったけれど逆にそのことが今のビルドの行動のおかしさを際立たせている。

 

 悩んでいても仕方ない。こういう時は聞くに限る、そう思った僕はビルドの姿を探して新しく出来たばかりのやぐらにのぼることにした。もしビルドが外にいるなら、上から街が一望できるからもしビルドが動きまわっているならすぐに分かるからだ。

 

 明々とたいまつの灯りに照らされる街の姿。その中で喜びいっぱいの人たちの輪の中にビルドの姿はなかった。

 

 僕はしかたなく縄ばしごをおりて、通りすがりの荒くれの人をつかまえビルドを見なかったか尋ねたけれど見ていないという。

 

 仕方なしに片っ端からチェックするといっていた建物を一軒づつ確かめることにした僕が最初の建物である宿舎に入ると……。

 

 いた。ビルドである。

 

 何故か今までそんなことしたことないのに建物の壁に柱を何本も立てていた。

 

 ビルド何やってるの?

 

 そう僕が尋ねるとビルドは僕のほうをちらりと見て、

 

 ん~ ほきょう こうじ かな

 

 たいしん こうじ とも いう

 

 補強? 耐震? どういうことだ? 質問したことで謎がさらに深まった僕はビルドに近づいてさらに聞いた。

 

 ビルド、何か隠してない? 

 

 僕の言葉に、ビルドはやれやれという顔をしてから口元に右手の人差し指を一本立ててからその辺にあった食卓の椅子に座り、僕にも同じように座るように促してきた。

 

 素直のすわった僕にうなづいたビルドが説明を始める。

 

 ひみつ だよ? いま みんな が よろこんでる のに みずを さしたくないから

 

 あのね あれる 

 

 さいしょから おかしいと おもわなかった?

 

 おおじしん と おなじ たいみんぐ で とつぜん あらわれた まものたち 

 

 そう言われて僕は、あっと声をあげた。確かにタイミングが良すぎる。つまりこのロマリア鉱山の一件も、レーベの村と同じように魔物の襲撃によるものだとしたら……。

 

 僕の考え込んだ顔にまた一度うなづいたビルドが続ける。

 

 そもそも ろまりあ たいりくってさ 

 

 じばん や がんばん が しっかり してるから 

 

 まちまで こわれるような

 

 おおじしん なんて そうそう おきるわけ が ないんだよ

 

 あと、山に水を引きに行ったときに確認したけど本当に自然に起きた地震ならそれらしい痕跡が見つかるはずなのにそれもなかったしね、そうつづけたビルドはいつものように長台詞に疲れたのか休憩中。

 

 その間にさらに考えを進める僕。ではなぜ魔物は鉱山に巣くうだけで街の人たちを襲ったりしなかったんだろう。あの僕たちが来る前のぼろぼろの鉱山街なら東坑道の魔物たちが襲い掛かってくるだけでひとたまりもなかったはずなのに……。

 

 きづいた? ぼくも それが きになってた

 

 いくつか おもいあたる かのうせい は あるけど

 

 いまは いわない かのうせい だからね

 

 だけど ほんかくてきに にしの こうどう に もぐる まえに

 

 まちの たいしん ほきょう こうじ が ひつよう かな と おもってね

 

 そう言ったビルドはイスから立ち上がり再び宿舎に等間隔に柱を立てる作業に戻っていった。

 

 ぼそりと僕に不吉なことを言ってから。

 

 あれる こんかい は こんじょう いれないと やばい かもよ

 

 いやな よかん が するんだ

 

 ビルドのその言葉に僕は宿舎から飛び出してつい先ほど開通したばかりの西坑道への入り口へと走った。

 

 夜の闇の中、たいまつの火が照らす坑道の入り口がぽっかりと僕を飲み込む大きな魔物の口のように見えてしまい、僕は人知れず震える体をおさえていた。

 

 そして思い出した。ビルドが坑道を開通させてすぐ、みんなが喜んでいる中でこぼした言葉を。

 

 なにか の こえ? …… なに?

 

 

 あの坑道には。なにかが、いるんだ。




誤字脱字、感想お待ちしてます。

というわけで突如暗雲が立ち込めてまいりました。

ロマリア鉱山編、ここから佳境へ向かいます。
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