ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について 作:笛ふき用
地竜の月 19日
それから三日間、僕たちとビルドは西の坑道に入ることなくいろいろと準備をした。
まずは街の建物の補強工事。柱を立て、その柱に梁を通し、最後に柱と梁の間に、【ささえ木】を入れる徹底ぶり。それを全部の建物に施しつつ、それぞれの建物の部屋のレイアウトや家具の交換や足りない物を作ったりした。テーブル、イス、タンスにクローゼットなどなど。さらには途中だった街路まで【石床】で舗装されたアリアハンの街やロマリアの街と同じような美しい道へと生まれ変わった。
そんな風に有り余るビルダーの造る意欲と目の前にぶら下げられた鉄という素材の誘惑を忘れるためにビルドはいつものように昼も夜もなく働き続け、鉱山街をそれはそれは素晴らしい街へと生まれ変わらせたのだ。
正直、もうあのぐちゃぐちゃだった鉱山街の面影は全く残っていない。ついでに鉱山街を上から見た時にその面積の大部分を占めていた茶色いスペースももはやほとんど残っておらず、木や草、畑の緑で埋め尽くされてしまっていた。
いや、本当に、これじゃ鉱山街じゃなく、高原の保養所だろというカダルのツッコミは果てしなく的を得ていると思ったね。
そんなビルドの活躍を横目に僕たちもやるべきことをやっていた。フルカスは元気になった数人のあらくれさんたちが復旧した東の坑道へと試しに行ってみるというのでその護衛に。今回も勇気を出して一緒に坑道へと入ったジョヴァンニさんと、何故か女の人みたいなしゃべり方をするのにムキムキぞろいのあらくれさんたちの中でも一際目を引くガタイのあらくれさんであるコジモさんがいうには、
もう大丈夫なんだな! 魔物は出るけれど鉱山があんなことになる前の坑道と同じなんだな! ちょっとしかいないし、強いのもいないんだな!
この程度の魔物だったら十分ワタシたちの力(きんにく)でも倒せるわ! ありがとう! 勇者様たち! Chu♥
ということで東の坑道では作業が再開し、日々少しづつではあるが石炭と銅、スズが取れるようになってきている。
次にカダルは変わらずケガ人たちのお世話をしているけど、ビルドが作ってくれた【木のベッド】のおかげか、それとも街のいたるところに植えられた【薬葉のしげみ】から作れる薬草のおかげか、みんなどんどん良くなってきておりもうすぐオレの仕事はなくなりそうだと三日目の夜に話してくれた。
そしてフォンと僕はというとそこらじゅうを飛び回っていた。
レーベに行ったり、ロマリアに行ったり、鉱山街に戻ったり、東の坑道に潜って素材を集めたり。それぞれの場所でそれぞれの仕事をしていたんだ。つまり雑用である。
そうして街の補強工事も終わり、各地を回って集めた素材で足りなくなっていた食料の備蓄も完了し、枯渇していた【やくそう】の補充も完璧にし、ついに満を持して西の坑道へと再突入することになったのである。
その日の昼。
それでは いまから こうどう に はいりますが
こうどう では かってな こうどう は ひかえて ください
そんないつも勝手な行動しかしないビルドの間の抜けた声での注意にたくさんの声が返ってきた。
はい! 大丈夫です! ね、みんな?
だ、だいじょうぶだぞ! お、おいら危ないことしないぞ!
うっふん、大丈夫よ! ビルドちゃん。もちろん無茶はしないわ。 そうよねぇ、あんたたち!
お~~! 任せとけ! お嬢は俺たちが守ってみせるぜぇ!
そうだそうだ! 俺たちは用心(きんにく)深いんだ! 安心(きんにく)してくれ!
というわけでメンバーは、僕となかまたちに加え、監督官として西の坑道の現状を確認したいと言って動向を申し出たマリルさんと、そんな彼女を心配したあらくれさんたちからジョヴァンニさんとおネエ言葉のコジモさん、そしてさらに三人のあらくれさんの計11人という大人数となった。
なんとなく不安だなぁ……とも思うけれど、ジョヴァンニさんを除くあらくれさんたちは手にビルド謹製の【せいどうのつるぎ】を持ち、さらにコジモさんに至ってはフルカスと同じように【せいどうのだいけん】を振り回して戦うことも十分できる戦士たちであるとフルカスが太鼓判を押したため、それならばと僕たちも同行を認めた経緯がある。
そんな準備万端の僕らはこうして西の坑道へと再び足を踏み入れたのだ。
ドキドキしながら先へと足を進める僕らだったけれど、中は拍子抜けするほど何もなかった。
前に動かしたゴンドラを修理したビルドがそれにみんなを乗せて下に下すと、そこはだだっ広い空間でそこから蜘蛛の巣のように四方八方に細かな坑道が続いていたものの、魔物が出ることもなくただただ崩れた土砂をたいまつ片手に片付けて先へ先へと進んでいくだけの単調な探索が続いていったのである。
正直、気が抜けてしまった。特に最初はかなり緊張していたあらくれさんたちが途中から軽口をたたきあいながら土砂を片付けるその姿は生き生きしており、そんな幸せそうなみんなの姿を見ながら僕は今回はビルドの心配のし過ぎだったかな? と首をかしげたものの、依然ビルドの顔は険しいまま。
いや、何もないがゆえに余計に珍しいマジの顔になるビルドに僕たちだけはこの何もないことに、どこか薄気味悪いものを感じながら奥へ奥へとすすんでいったのだ。
ちなみにこの階層の鉄は全て取りつくした後であり、鉄が取れるのはこのさらに下に広がる広大な空間であるらしく、この時の僕たちはそこへと向かって坑道をひたすら下へ下へと降りて行った。
そしてやがてたどり着いたのは、見上げるほど高い天井と中央に太い楕円形の柱を持った鉱山街が丸々すっぽり二つほど入りそうなほど広い空間だった。
その偉容をビルドは、僕には意味が分からなかったけれどこう一言で表現した。
おいおい けいばじょう かよ
そしてその壁のいたるところに見える鉄、鉄、鉄。
おびただしい鉄が埋まるその場所こそ、僕たちが目指していたロマリア西の坑道の最深部であった。たいまつを掲げても天井まで光が届かないほどの高さ、そしてあまりの広さに僕たちが圧倒されていると、
ここだぞ! ここが、ロマリアを支える俺たちの鉄の大坑道だぞ!
うっひゃ~! 帰ってきたぞ! ここが俺たちの仕事場だぁ!
たまらないわぁ! あぁ、愛しの鉄がこんなに!
そう言って涙をうかべて走っていくジョヴァンニさんたちあらくれさんたち。
まって! と止めるビルドの制止の声も届かない。本来ならビルドと同じように止めてくれるはずのマリルさんもようやくたどり着いた鉄の坑道に涙を流してへたり込んでしまっていた。その間にもあらくれさんたちは壁際へ。一番近くの露頭している鉄鉱石めがけて一直線に走っていく。
やめろ! まだだめだ!
必死であらくれさんたちを止めるために駆け出すビルド。それに続いて僕たちも走り出すけれど、この空間に呆然としていたわずかなタイムラグがこの場合致命傷だった。
よし、行くんだぞ! ここからまたおいらたちの鉱山生活のスタートだぞ!
そう言ってつるはしを振り上げ、振り下ろすジョヴァンニさん。
だだっぴろい空間に、
ギィィィン! ギィィィン!ギィィィン!
と金属同士がぶつかる甲高い音が響き渡り、その後静寂がおとずれ――
GAAAOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!
雷鳴のようなナニカの鳴き声がロマリア鉱山地下深くにある大坑道を物理的に震わせた。
武器を抜き、構える。手がふるえる。ありえないほどのプレッシャーと、坑道どころか鉱山全体を揺らすほどの振動が同時に僕たちの体を襲う!
そしてザバァ! という水しぶきの音の後、ズウゥン! ズウゥン! という足音とともにそいつは暗闇を裂いてあらわれた。
ビルドが無言でたいまつを掲げる。
その灯りに照らし出されたヤツはあまりにも大きかった。
灯りに反応したのか、ぎょろりと金色に光る眼は爬虫類のように縦に鋭い爪痕がはしったかのよう。そんな眼の怪物が遥か高いところから小さな僕たちを見下していた。
どくどくゾンビ? 比べ物にならない。
だって。
縦は三階建ての建物くらい高さ。長い長い首で、その首の先には竜の頭がついていた。そしてその小さな城や砦のように感じるほど巨大なその体は硬い硬い亀の甲羅で覆われていたのだ。
竜の頭に、亀の体。僕はその魔物の名前を知っていた。だけど、それは……。
ビルドが、絞り出すようにそいつの名前を告げる。
首長竜。テドン沖の悪魔。船殺し。サマンオサの悪夢。
『出会ったら死ぬ』といわれ、数々の異名をとどろかせるこの世界でも最悪の魔物の一体。
GAAAOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!
……がめごん!
ロマリア鉱山に巣くうもの! ガメゴン が あらわれた!
誤字脱字、感想お待ちしています。
アレレ? ロマリア鉱山編、楽勝で終わると思った?
残念! 地獄決定ですよ!
というわけで、
ドラクエ3におけるみんなのトラウマ・ガメゴンさんの登場です。しかも超ビックサイズ。
ちなみにアレルたちの装備は、青銅装備です。
もう一度言いましょう。
ロマリア辺りで、青銅装備で、レベルもそこそこで、編成的に物理型、つまり魔法使いなしで、ガメゴンです。
オワタwwwwwwwwwwwww