ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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ちょっと短い考察回です。




21 決戦! ロマリア鉱山! 3

地竜の月 20日 つづき

 

 マリルさんのお父さんの話はそこで終わった。その長い話を聞き終えた僕は何とも言えない気分だった。

 

 何故なら話の中に『魔王バラモス』という名前が出てきたからだ。目指すべき目標だった僕たちが倒すべき相手だけど、だれもその姿すら知らないどこか遠い存在であった魔王バラモス。そんな魔王バラモスに僕はなんとなくこんなイメージを持っていた。

 

 魔王ってやつは魔物の本拠地で玉座に座って何もせず偉そうにして、そしてその強大無比な力を持って勇者を迎え撃つだけの存在だと思っていた。

 

 けれどもマリルさんのお父さんが話してくれた情報から見えてきた現実の魔王バラモスは違った。さっき戦ったガメゴンのように今まで見たことも聞いたこともないほど強力な魔物を作ることができるほど強い力を持っている強大無比な魔物なのは間違いないんだろうけどそれだけじゃなく、今回みたいに人間への侵攻作戦を考えてそのための魔物を用意して、さらに側近に指図してその作戦を実行させるなんてことをやっているなんて。

 

 しかも人間ごときが、とか言ってはいそうだけど、その実人間を侮っていないなんて。

 

 ……あたまいいね ばらもす

 

 天井からぽつりぽつりと水が滴る音だけがする狭い空間にぼそりとビルドの呟いた言葉が響く。

 

 同感だ。頭いいよね、魔王バラモス。

 

 そしてもう一つ、分かったことがある。

 

 おそらく頭がいいのは、魔王バラモスとその側近だけだ。

 

 何故かって? 今回のこうもりおとこの死にざまを考えればわかる。低位の魔物はおそらく考えたり我慢したりがひどく苦手なんだ。僕はこの時レーベの村での出来事を思い出した。

 

 あの凶悪極まりないどくどくゾンビとそれを操るゾンビマスターのことを。

 

 あいつもたぶんバラモスかその側近に送り込まれた魔物だったんだろう。そして今回のことと併せて推理するとアリアハンに対するバラモスの計画は多分こうだ。

 

 アリアハン奥地の森辺りにどくどくゾンビを隠して目立たないようにして、どくどくゾンビがいるだけで生まれ続けるくさった死体やバブルスライム、フロッガーなんかでじわじわとアリアハンを侵攻する計画だったんじゃないだろうか?

 

 ちょっと魔物が増えたくらいならアリアハンの人たちも、おかしいな? で済ませてしまうだろうし、本格的におかしなことに気がついてもその時にはもうアリアハン大陸はどくどくゾンビによって生み出された魔物でいっぱいになり手遅れだったはずだ。

 

 正直、その通りにされたら僕らはその事実に気づかず何事もなくアリアハンを脱出した後、しばらくして何かの拍子にアリアハンに戻った時にゾンビによって滅ぼされた故郷を見せつけられたはずだ。

 

 背筋に直接ヒャドをぶち込まれたかのような寒気がした。

 

 危ない、本気でやばかった。アリアハンでもロマリアでも打つ手が効果的かつ悪辣すぎる。

 

 でもゾンビマスターもこうもりおとこと同じで我慢が出来なかったんだ。強大な力を持つどくどくゾンビを与えられて、人間が苦しむところを見るという自分の欲に負けてあんな風に姿を現した。そして姿を見せたがゆえに、僕らに倒されたというわけだ。

 

 つまり……、とそこまで考えたところでまたビルドが僕の頭の中を代弁してくれた。

 

 でも みるめ ないね ばらもす

 

 そういうことなのだ。魔王バラモスもその側近も自分たちが賢いがゆえに馬鹿の考えが分からない。奴と側近だけが賢過ぎて馬鹿が馬鹿な真似をやる理由が分からない。つまりバラモスたちは見る目がないのだ。

 

 まだまだ続く僕らの冒険の旅、そのまだまだ序盤だろうこの早い段階でそのことが分かってよかった。

 

 

 そんな考えにふけっているとフォンが呆れたようにこう言ってきた。

 

 ねぇ、アレル。今回の顛末はわかったけどさ。とりあえずここからみんなで出る方法考えない? 

 

 ……あ、忘れてた。ここに避難するときに入り口を閉じちゃっていたはず。しかも【黄山岩】で。でも大丈夫、僕には脱出魔法【リレミト】がある。

 

 みんな僕の周りに集まって、と僕が声をかけるとわらわらとみんなが集まってくる。ひぃふぅみぃよぉ……。

 

 うん、無理だね。僕らだけならともかくこの大人数をいっぺんに脱出させることはできないや。

 

 かといって置いていくわけにもいかない。何人かはもう限界だ、早く安全な場所で養生させてあげないと。

 

 だから次に……念のため入り口を確認するも隙間なく積まれた【黄山岩】でふさがれており外には出られなかった。

 

 でも大丈夫! ビルドが持ってるおおかなづちがあれば【黄山岩】だって簡単にって……、ちょっと待て。

 

 おおかなづちって確か……、記憶をたどって【おもいだす】僕。

 

 くらえ そして さようなら ぼくの おおかなづちちゃんいちごう

 

 いけ! おうぎ だいにだん! 

 

 ひっさつの ちょう ぐるぐる はんまー!

 

 そして放たれたおおかなづちはものすごい勢いで回転しながらガメゴンの眉間へと一直線で飛んでいく。

 

 ビルドの 超グルグルハンマー!

 

 かいしんの いちげき!

 

 がめごんに 255 のダメージ!

 

 おおかなづち は くだけてしまった!

 

 念のためもう一度【おもいだす】僕!

 

 おおかなづち は くだけてしまった!

 

 やばい……、もしかして詰んだ?

 

 ビルド、どうしようと慌ててビルドを見るとビルドはもうベッドを片付けて部屋のすみで【たき火】で【キノコ】を焼いていた。

 

 ビルド、キノコ焼いてる場合じゃないよ! ここからどうやって出るのさ!

 

 と僕が聞くと、ビルドは首をかしげてからしばし考えてポンと手をうってから僕をいつものアホを見る目で見てきた。

 

 ほい 

 

 そう言ったビルドの手にはいつの間に手に入れていた【鉄鉱石】がいくつか。

 

 そして狭い空間に何とかスペースを作って、【ふくろ】から取りだした【炉】を取りだしそれを【石炭】と一緒にくべた。

 

 そしてビルドはしばらくして出来上がった【鉄のインゴット】を僕に見せつけてきた。

 

 あふれんばかりのどや顔で。

 

 ……こいつ、まじでやばい。あのド修羅場の真っただ中で冷静に先を見越して【鉄鉱石】を確保していただとぉ! いくら壁一面にたくさんあったからってそんな時間、ホントにあったのか?

 

 ……その手際に感心する一方、目の前のどや顔のウザさたるや……。

 

 拳を握りしめ唇を痛いほどかみしめて立ち尽くす僕にビルドはこう言ってトドメをさした。

 

 あれる~ 

 

 もしかして ここから でられない とか おもって あわててたん じゃないよね?

 

 ぼくが なかに はいって そとに でられない

 

 そんな みす するとでも おもったの?

 

 

 もし そうだと したら

 

 

 

 ……うけるぅ(笑)

 

 

 

 あははははははははははははははは!

 

 あはははははははは!

 

 ひぃ~ ひぃ~ あはははははははははははは!!!

 

 そう言って地面を転がりながら爆笑し始めるビルド。

 

 その有様を自分でも恐ろしいほど、冷え切った心と眼差しで僕は見つめた。

 

 これは何だ……、何か? なるほど……、つまり(ピー)てくれということでよろしいか?

 

 そう解釈した僕は迷うことなく爆笑しながら地面をごろごろ転がり続けるビルドにおもむろに近づき、それからその場で右足を高くあげ、ビルドが仰向けになる瞬間を見計らって勢いよくどてっぱらに突き刺した!

 

 ぐっふぅーーーーーー!

 

 ビクンビクンと地面でのたうち回るビルド。さもありなんとうなづくフルカスに、僕と同じことを考えていたのだろう自分もバカにされたと感じていたらしく笑顔で親指を立ててぐっと拳を突き出してくるフォン、さらにこの騒動でようやく目覚めたせいで周りにまるでついていけていないカダル。

 

 そして一連のやり取りを見せられてドン引きしているロマリアの人たち。

 

 もしも勇者一行に夢をみていたならごめんなさい。うちのパーティこんなもんです。

 

 追記 その後、何事もなく完成した【おおかなづち】(二号)により僕らは無事全員ロマリア鉱山内部から脱出を果たした。

 

 どうやら情報通り鉄さえ叩かなければガメゴンはやってくることもなかったため、拍子抜けするほど安全に僕らは道々崩れた岩や土砂を片付けながら地上へと帰還したのであった。




誤字脱字、感想お待ちしてます。

次回、もう一話挟んで決戦場作りへと向かいます。

次回終了後、R様から皆さんにお話があるそうですよ!
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