ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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22 決戦! ロマリア鉱山! 4

地竜の月 20日 さらにつづき

 

 昨日の僕たちとガメゴンとの戦闘のため、ビルドがところどころ崩れた西坑道の邪魔者を新しくできたばかりの【おおかなづち】で壊しつつ開いた道を、長い地下生活で弱り切った人たちやけが人に肩を貸しながら僕らは地上を目指して歩いていた。

 

 その道中、僕はどうしても気になっていたことをビルドに尋ねることにした。

 

 ビルド、もしかして鉱山に入る前からあのでっかいガメゴンがいること知ってたの?

 

 どうして?

 

 一旦、邪魔者を壊すのを中断し僕を振り返ったビルドが不思議そうに聞く。僕は質問を続けた。

 

 だって、そうでもなければこの西の坑道に入る前に耐震補強? だっけ? あんなことする理由が無いじゃん。何かがいるとは僕は聞いてたけど、さすがにあんなにデカい魔物なんて想定外にもほどがあったからさ。でもビルドは予想してたんでしょ? ああゆう何かがいること。

 

 だから、どうしてその予想ができたのかを聞いておきたかっただけ。

 

 僕がそう言うと、その事実に今気づいた人があっと驚きの声をあげ、訳がわからない他の人に説明している。

 

 そんな中ビルドは腕を組んでん~~とうなりだしてしばらくしてからゆっくりと言葉を選んで話しだした。

 

 まず なんらかの まもの の しわざ ていうのは よそう してた

 

 ひがしこうどう のせんきょ も あったし たいみんぐ がよすぎたからね

 

 ……ちょっと きゅうけい。

 

 そう言って一度言葉を切るビルド。他のみんなはそのビルドの予想の的確さに驚いていたけれど、僕にとってここまでは事前に聞いていた予想で何も驚くことはなかった。

 

 しばらくして息が整ったビルドが再び口を開く。

 

 それが なにかの ちからで じしん を おこしてる かのうせい も

 

 なんとなく よそう してた

 

 でも さすがに それが なにかまでは わかって なかったよ

 

 ぼくは もっと まほう てきな なにか だと おもってた んだけどね

 

 まさか物理的に岩山に穴を開けてたとは……あいつ等、力技すぎるだろといって話を切り上げて前を向いて作業に戻るビルド。たちまち目の前の土砂が片付いていく。

 

 でもまだ一つ疑問が、今のやり取りの中で生まれた新しい疑問だ。それが僕の口を突いて出た。

 

 ビルド、最後に一ついいかな? 

 

 さっきビルドは魔法的な手段だと思ったって言ってたけど、ビルド自身はその方法を知ってるってこと?

 

 僕がそう聞くと、ビルドは僕に背中を向けたまま小さな声でこういった。

 

 ……ひみつ かな

 

 すくなくても いまの あれるは しらなくて いいことだよ

 

 その言葉を最後にこの話題に関してビルドが話してくれることはなくなった。

 

 どうやらビルドには僕らが知らない秘密がまだまだいっぱいあるようだ。ただハチャメチャで物づくりと環境破壊もとい素材集めが好きなだけのビルダーじゃない。もっと大きな秘密をビルドは隠している……、僕はこの時そう思った。

 

 やがて到着した鉱山街は事前のビルドの耐震補強の効果もあってところどころ壊れていたけれど、概ね出発前の姿をとどめていた。

 

 心配顔で僕らを迎えた居残りの人々だったけれど、西坑道で死んだとばかり思っていたマリルさんのお父さんや仲間たちの生還に最初驚き、そして喜び、最後に泣き出しながらみんなで大騒ぎした。

 

 体の弱っていたみんなをベッドに寝かせ、自分もヘトヘトだろうに治療を始めるカダル。喜ぶ街の人たちの様子に同じように喜びながらもどこか浮かない顔のフルカスとフォン。そして、気が抜けたのか門の上からぼー―――と地下の方を見つめるビルド。

 

 それぞれの思いが交錯しつつ……、僕らはこの夜に今後のことを話し合うことにした。喧々諤々僕たちだけの議論は真夜中まで続いた。

 

 そして よが あけた!

 

地竜の月 21日

 

 この日は目覚めてからすぐに大忙しだった。

 

 まずはロマリア王宮に今回の事実を伝えに行かないといけないというマリルさんのお父さんの言葉にしたがって、僕とマリルさんが代表してロマリアに。

 

 前回と同じようにルーラでロマリアの街の正門前に移動すると、すぐに王宮の大臣殿へと取り次がれた。

 

 ほとんど待たされることなく転がり込むように部屋に入ってきた大臣殿に一つ一つこのの経緯を説明していく。

 

 西の坑道へ入れるようになったこと。

 

 坑道の奥に超巨大なガメゴンがおり、戦闘になったこと。

 

 命からがら逃げきりその先で死んだと思っていたマリルさんのお父さんや鉱山夫たちと合流したこと。

 

 そして今回の事件がバラモスの手の物の仕業だということを知ったことなどを順序良く話したうえで、光る額と頭に汗を浮かべながら話を聞いていた大臣殿に僕は昨日の夜僕らだけで話し合った今後の考えを伝えることにした。

 

 大臣殿、ロマリアの現状はいかがでしょうか? 

 

 ……そうですな。小康状態といえるでしょうか。以前いただいた青銅製の武器防具のおかげもありまして何とか国は平穏を保てているかと。

 

 そうですか、でしたらしばらくの間ロマリアは鉄なしでも大丈夫ですか?

 

 ……どういうことでしょうか?

 

 これは仲間と相談した結果なのですが、現状鉄さえ掘らなければあのガメゴンが暴れだす危険性は低いと思われます。そして、であればロマリア鉱山に関しては一旦西坑道を封鎖という形にして、我々はマリルさんのおと……失礼、父上から得た情報からロマリアと同じような被害を受けている可能性が高いイシスを目指して旅を再開しようかと思いまして。

 

 そ、それは困ります! 

 

 そう言って席を立ち上がる大臣殿に僕は冷静に話を続ける。

 

 そうは言いましてもあのガメゴンは強敵です。正直、現状の我々では情けないことにまともな方法では太刀打ちできません。そして奴は現状鉄が取れないことを除いて実害のない存在になっています。で、あれば我々は冒険の旅をつづけ力をつけた後でもよいのではないか? そう考えているのです。

 

 そ、それは……。

 

 大臣殿がどさりと椅子に座り込んで頭を抱えた。さもありなん。確かに喫緊の課題に関してはクリアされたうえ、相手はガメゴン、しかも通常のガメゴンよりもはるかに強力だろう魔王バラモス特製のガメゴンである。下手に手を出さない方がいいというのも理性的な大臣殿のこと、十分に理解できているはずなのだ。現実的は妥協せざる得ない、けれど。

 

 お話は分かりました。ですが何とか……、何とかなりませぬか。勇者殿。

 

 だが、国を預かるものとしてリスクをとってでもあの鉱山の再開は急務だ。だからこそ。

 

 我らにできることなら、何でも致しますから!

 

 こういっちゃうんだよねぇ!

 

 僕は口元を隠してニヤリと笑った。

 

 ――想定通りと。

 

 では、大臣殿。お願いがいくつか……。

 

 そう言って僕が切り出した話を聞くにつれ、大臣殿とマリルさんの顔色がどんどん悪くなっていく。僕はその様子を見ながら、昨日の夜のビルドの話を思い出していた。

 

 ――もういちど もぐって かくにん しないと だんげん できないけど

 

 ――あの がめごん を たおす ほうほう は ある

 

 そう言ってビルドは紙の上にではあったけれど、奴を倒すための決戦場の設計図を僕らに見せた。

 

 それはまさに僕らの度肝を抜くような大仕掛け。まさかそんな方法があるとは……。

 

 相変わらずビルドはとんでもないことを考えるとみんなで驚いた後、フルカスはいつものように力強く頷き、フォンは決意を秘めた顔で僕のことを見て、そして無理難題を吹っ掛けられたうえ、責任重大なカダルは顔が真っ青になっていたけれど。

 

 確かにその方法なら、あのデカすぎるガメゴンを倒せるかもしれない。

 

 だから僕らは深夜、勝算を持ってこの時点でのガメゴン討伐を決めた。

 

 逃げるのなんてまっぴらだ。だって勝つ可能性が少しでもあるなら最善を尽くすのが、勇者ってものでしょ?

 

 だから待ってろ、ガメゴン。そして魔王バラモス。

 

 お前が恐れた人間の団結の力ってやつを見せてやるから。

 




誤字脱字、感想お待ちしてます。

投稿時点で日刊ランキング45位、ありがとうございます。

というわけでこの後、R様の登場です。

今からがんばりますww
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