ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について 作:頭がポップコーン
水竜の月 1日
……何日ぶりの日記だろうか。一週間? もっと長く感じたけれどようやく怒涛の一週間が終わり、月が地竜の月から水竜の月へと変わったこの日、全ての準備を終えた僕らはついに明日あのガメゴンへと挑む。
正直、今はこれまでの準備のために東奔西走し、くたくたでへとへとだけれど忘れないうちに覚えている範囲で記憶をさかのぼって日記を書いておくことにする。
地竜の月 24日
【青銅のインゴット】500個分の【銅】、【スズ】、そしてそれを生成するための【石炭】。考えるだけで途方もない量になるその素材の採掘をビルドは鉱山街のあらくれさんたちに任せた。
そして僕らはこの日からひたすらその間にそのほか必要な準備に奔走することになる。
まずこの日、僕らはビルドがしばらく前に見つけたという東坑道の地底湖の滝裏へと突入した。
その場の美しさに目を奪われている暇もなくそこに巣くう魔物たちは襲い掛かってきた。【おばけキノコ】や【マタンゴ】、地底湖の住人でありとがった巻き貝を身に着けた【スライムつむり】に、硬い殻と鋭いハサミを持ちそれだけでも厄介なのに放っておくとどんどん増えていく恐ろしい【ぐんたいガ二】、そんなうっとおしい【ぐんたいガ二】を【ホイミ】で回復させてくる青い【ホイミスライム】と姿はそっくりで色が白、触るとマヒする【しびれくらげ】、極め付きはへらへら笑いながら【ふしぎなおどり】を踊ってこちらのMPを削ってくる【わらいぶくろ】と硬いよろいに身を包んだ鎧騎士の亡霊【さまようよろい】などなど。
そんな数も種類も多種多様で厄介きわまる魔物どもをちぎっては投げちぎっては投げしながら、そして当然魔物からもそざいを回収し、途中で休憩も挟みつつ僕らはどんどん奥へと進んでいった。
回収できた主な素材は、既出の【わたげ草】【ツタの実】、【光るツタの実】に加え、はしごのようにも使える【つた】、【シルク草】という新しい布が作れそうな素材に、【黒い染料】、【青い染料】、【緑の染料】などの染料と呼ばれるものに色を付けることができる素材、他にもぐんたいガ二が落とす【カニの爪】、わらいぶくろの落とす【まどわしそう】など新しい素材が他にもいっぱい。
素材がいっぱいでホクホクのビルドをよそにどこまで続くのか分からない地底湖を隅から隅まで探索しつくした僕らがその最奥で見つけたのは青い水の中に沈む崩れて遺跡だった。
明らかに現代の様式ではない、今の世界の文明とは異質な文明が残したであろう装飾が目を引くその遺跡とその光景は、地下を照らすヒカリ苔の光を受け青々と輝く水の中でひどく幻想的なものだった。
……そんな不思議な景色に僕らがしばし見とれていると止める間もなくビルドが水へと飛びこんでいた。
飛びこんだビルドは透き通った水の中で何か調べるかのように遺跡の壁をさわったり、水の中でおおかなづちを振るったりするも遺跡は不思議な力に守られており、石でできているように見える扉があったのだけどその中にも入れなかった。
やがて息が続かなくなったのだろう、浮かび上がってきたビルドを叱ろうとするも、その時のビルドの顔は今まで見たこともない悲しそうな顔で。
しばらく水面を見つめていたビルドは体を振るって水をまき散らした後、いつものビルドに戻っており、リレミトで僕らは地上に戻った。
ちなみに、この間、即席の小屋を作って食事と休憩をすること何と三回。外に出た時には既に二日が経過していた。その日はそのままベッドに直行した僕ら。
その日、僕はあんなに疲れていたのに夢をみた、気がする。
その夢の中で、遠いいつか、僕はあんな不思議な造りの建物を、見ていた気が、したのだ。
地竜の月 27日
この日、前日までに手に入れた素材を使って装備の大幅な更新が、ビルドの手によって行われた。
その結果、僕らの装備はこうなった。
あれる Eせいどうのつるぎ
Eみかわしのふく
Eせいどうのたて
Eブロンズキャップ
ふるかす Eせいどうのたいけん
Eせいどうのよろい
Eなし(どうぐぶくろにせいどうのおおたて)
Eブロンズキャップ
ふぉん Eブロンズフィスト
Eみかわしのふく
なし
Eはねぼうし
かだる Eせいどうのやり
Eみかわしのふく
Eせいどうのたて
Eブロンズキャップ
びるど Eせいどうのつるぎ
Eみかわしのふく
Eせいどうのたて
Eブロンズキャップ
ひと目でわかるように、今回一番変わったのが、【みかわしのふく】である。この服、何がすごいかって服なのに防御力が【せいどうのよろい】と変わらない上に、何故か敵の攻撃をかわしやすくなる効果と、走るとき移動速度が少しだけ早くなる効果があるすぐれものであった。
ちなみに、使用した素材は【わたげ草】三個、【シルク草】二個、【まどわしそう】一個、そして【緑の染料】である。
さらにビルドは新しい飲み物を発明した。【発酵ダル】に【ツタの実】を入れて【ルビーラ】なる新しい飲み物を作りだしたのだ。
それに群がる鉱山での重労働につかれた荒くれたちで街はこの日から空前のルビーラフィーバー。あらくれさんたちのやる気にさらなる火が入り、翌日以降の鉱物採掘量が増えることになった。
それだけでも素晴らしい効果をもたらした【ルビーラ】だけど、それ以外にも意外な効果が。これを飲むと走るときに疲れにくくなるのだ。
これには僕らもニッコリ。当然作戦へと組み入れた。
但し、困った副作用が。疲れにくくなる効果が切れるたびに次々飲むとトイレの問題がね……。
ちなみにこの時点での素材の回収率は、20%に満たない。若干ビルドがイライラし始めたのはこの辺りである。
さて、装備を更新した僕らは以前から見ないふりをして棚上げしていたことに挑む決意をする。その為にいったんルーラでアリアハンに帰還し、アリアハンの街を南に1時間ほど歩くとそこにいたのは、王冠をかぶったひときわ巨大なスライム、【キングスライム】の姿があった。
実はこの【キングスライム】。ビルドと出会ってしばらくして見つけていたのだが、当時遠目に見て明らかに格上の空気を放っており挑むのはためらわれた。それでも好奇心には勝てず軽くちょっかいを出しては見たものの、あっさりとかえりうちにあい命からがら逃げだした経緯がある。
そんな忘れていたかった強敵だが、ビルドに今回の作戦には僕ら自身のれべるあっぷ? が言われ、一念発起しリベンジにやってきたのだ。
岬から海を眺める【キングスライム】にこっそり後ろから近づく。すでに僕らはこの直前に攻撃力を高める【ステーキ】、ぐんたいガ二の素材で作れるようになった防御力を高める【ゆでがに】、そしてスタミナアップの【ルビーラ】を飲んで準備万端。
それでも前回の苦い経験を忘れられず、じわりじわりできれば不意打ちをと思い近づくが、あと少しのところでまるですべてお見通しだというかのように振り向く【キングスライム】。その顔にはニヤリという笑いがあった。
そして意を決して飛びこんだフォンの一撃によって戦闘の火ぶたは切られた。
強敵! 【キングスライム】 が あらわれた!
この後、とんでもないタフネスを発揮した【キングスライム】との戦いは数時間に及ぶ死闘を経てついに僕らの勝利という形で決着した。
最後にニヤリと笑って溶けるように消えていく【キングスライム】。奴はこの岬で海の向こうに何を見ていたのだろうか……。
そんな強敵を倒した結果得られたのは、何に使えるかわからない【スライムの王冠】と【スライムピアスのレシピ】なるアイテムを作るためのレシピだった。
ビルドがやたらとやったーと喜んでいたけどいったいなんだったんだろうと、この時激闘に疲れ果てて地面に寝そべっていた僕はそんな風に思ったのであった。
追記 この【スライムピアス】、誰でも装備できるうえ装備するだけで防御力が結構上がるすぐれものだった。但し作るためにスライムの落とす素材で今までなぜか手に入らなかった【スライムゼリー】なる素材を手にいれるため、再びスライムの虐殺をする羽目になったフォンとカダルには正直同情を禁じ得ない。
さらに悪いことに、この【スライムゼリー】。めったに落ちない素材らしく必要な個数集めるのに大変に苦労した。当然入手難易度に比例して倒すスライムの数が増えるために二人の表情は完全に死んでいた。
そして次の日の朝日が昇るまで、アリアハンの大地からスライムたちとついでに巻き込まれたいっかくうさぎたちの断末魔の叫びが途切れることはなかったのである。
南無。
誤字脱字、感想お待ちしています。
ダイジェスト展開っていったのに、箇条書きの予定が……。
何とか次で終わらせて、R様の解説+あの日の夜に何を話していたのかを書いて、決戦へ行きたいなと思っています。
なかなか思い通りにいかないなぁ!
あ、みかわしの服の素材はオリ要素かなり入れました。
ビルダーズ2ならもう少し簡単に作れますよ!
追伸 現在、私の生活環境が激変しまして落ち着くまでまとまって時間(よりも文章を書く集中力)が取れそうにありません。
落ち着きましたら、おそらく前以上に余暇が生まれると思いますので再開しますのでお待ちの方おられましたら、それまでしばしお待ちいただけると幸いです。