ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について   作:笛ふき用

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4 レーベの村を ふっこう しよう パート2

白竜の月 22日

 

 う~ん、なぜだろう。妙な電波を受信した気がするなぁ。

 

 さて、村に襲いかかってきた魔物の群れを撃退し、僕自身のアイデンティティを取り戻した日から一夜たち、僕は今日も一日土木作業員のAとして汗を流した。

 

 ビルドの書いた設計図はすごい。これさえあれば僕たちのような素人でも簡単に建物を建てることができるんだ。そしてその過程で僕は今まで知らなかった建築の基本を理解できた。

 

 部屋とは、ブロックを二段以上積み重ねてできた壁で囲われた空間に扉をつけることで完成すること。

 

 中に何を置くかによって部屋が何のための部屋か変化すること。今回の場合は宿屋なので作るのは寝室だ。レーベの村を解体した時に出た【ベッド】を二つ部屋に置き、泥と木材、それからスライムから絞り上げた油を使って作られた【カベかけトーチ】を部屋につけると、そこが【はじめての寝床】になる。

 

 なるほど。知らないことばかりで何もかもが勉強になるなぁ……じゃないよ! 昨日の夜誓ったばかりなのに、もう流されてしまってお昼過ぎてるじゃないか!

 

 恐ろしい……、これがビルダーの感染力。いや、影響力のすごさか。何とかお昼ご飯の【焼きキノコ】を食べ終わったあたりで自分を取り戻した僕は、ビルドを探して文句を言うことにした。

 

 理由? 八つ当たりだよ!

 

 そうやって他の人たちが宿屋づくりにはげんでいるのを横目に、僕は諸悪の根源を探す。そうして村の中を見渡すと……、いない。

 

おかしい。今の村は余計な障害物(建物ともいう)がないおかげでどこまでも見通しがよくて、村の中にいるなら姿が必ず見つかるはずなのに……。

 

 そうして村の中を探していたら、村の外からホッとかハッとかいう声が聞こえてきた。

 

 ビルドとフルカスの声かな? そう思って外の様子を見て……、絶句した。

 

 なんか割と太めで先のとがった木の棒がいっぱい並んでるぅ!!

 

 ビルド! ビルド、これ何なの? 

 

 僕はくい気味(ダジャレじゃないよ!)に、ビルドに尋ねた。

 

 さかもぎ だよ

 

 さかもぎ? 何これ、超こわいんだけど。だって村の西側に入り口の部分をのぞいてびっしり先のとがった杭が二列くらい並んでるんだよ?

 

 これで まものも ちかづけ ないよ

 

 なるほど……、確かに。でもそれなら村の北や南や東にも置かないと村を守れないんじゃない? いや、もしそんなことになったら見た目が本当に怖いからいいんだけど。

 

 僕がそんな素直な疑問をぶつけると、ビルドはそんな僕にあきれるようにこういった。 

 

 あれる まものは きまった ほうこう からしか おそってこないよ 

 

 このむらなら にし からだよ

 

 珍しく長いセリフを話したビルドは作業を再開した。僕はそんな恐ろしい杭が並ぶ光景を見ながら、僕なら絶対ここから襲ったりしないのにと思った。

 

 ともあれ、これで村の人が望んでいた村を守るための施設が一つできた。これからも頑張らないと! 僕は意気揚々と宿屋の建築現場に戻ってその後も汗を流した。

 

 そうして夜になる前、宿屋ができた! みんな出来上がった宿屋をみて涙を流して拍手をしながら喜んだ。特に宿屋のおじさん親子の喜びようはすごかった。ビルドに何度頭を下げてありがとうありがとうといっていたのが感動的だった。その様子にフルカスもフォンもカダルも涙を流していた。

 

 よ~し、明日からも村の一日でも早い復興のため頑張るぞ!

 

 追記 小屋に帰る前に完成したらしい【逆茂木】の様子を見に行くと、【逆茂木】のまわりにたくさんの【油】や【なまにく】が落ちていた。スライムやいっかくうさぎが通りがかりに何も知らず当たったに違いない。

 

 あわれなスライムといっかくうさぎの冥福を僕は心から祈った。

 

 追記の追記 やっぱり寝る前に『僕は勇者です。魔王バラモスをたおして世界を救うために旅をしています』っていう回数を三回から五回に増やすことにした。

 

 

白竜の月 23日

 

 宿屋ができた翌日。僕たちは出来上がったばかりの宿屋とおじいさんの家のあいだの空き地にやってきた。

 

 みんなが集まったところで、ビルドがまた空中で踊るように設計図を書き始めた。

 

 できあがったのは、【道具屋と武器屋の設計図】だった。こじんまりとした小さな道具屋と武器屋を並んで建てるつもりの設計図。

 

 設計図を書き上げたビルドは、【収納箱】に必要なそざいや家具なんかを入れていく。僕らはここから必要なものを取りだして、設計図通りに仕上げればいい。

 

 いつの間にやら慣れてしまった建築作業をはじめようと思ったところで、ビルドから声をかけられた。

 

 あれる ぼくたちは いつまでも このむらを まもっていられない

 

 だから かわりに だれか このむらを まもって くれるひと さがそう

 

 ……なんてことだ。ビルドがとっても長ゼリフでしかもこの上なくまともなことをいっている! だとぉ!

 

 しかも本来僕が考えないといけないようなことを一生懸命僕が大工の真似事をやっていた間に考えていただとぉ!

 

 あまりの衝撃に、両手、両膝をつき地面にへたり込む僕と、同じように衝撃を受けたフォンとカダル。

 

 特にカダルがショックをより強く受けたようで あれ? パーティの知恵袋ポジションってオレのポジションじゃないの? ていうか今のオレ、存在感ゼロどころかマイナスまでいってない? とかぶつぶつ言っている。

 

 やばい、ここでリーダーシップを僕がとらないと。勇者から勇者(笑)への転職を余儀なくされてしまう!

 

 僕は何とか表面上とりつくろってからビルドにいった。

 

 ビルド、いい意見だ。ありがとう。じゃあ今すぐアリアハンにもどって王様に兵士を派遣してもらえるようにお願いしてくるよ。

 

 僕がそういうと、ビルドはうんうんうなづいて僕にとあるアイテムをわたしてきた。

 

 【キメラのつばさ】が二つ。

 

 わるいけど ひとりで いってきて

 

 あれるが いないあいだ ぼくたちが むらを まもってる

 

 僕は力強く頷いて【キメラのつばさ】を手にアリアハンへとワープした。

 

 心のうちに焼き焦げるほど焦燥をかかえながら。

 

 やばい、これ以上飲み込まれないようにしないと。

 

 僕は勇者アレル。勇者オルテガの息子、アリアハンの勇者アレルだ!

 

 自分自身に改めて強く強く言い聞かせる。だってこのままじゃビルダーのビルド様とそのなかまの一員になっちゃうぅぅ!




誤字脱字、感想よろしくお願いします。

逆茂木 そざい 木材×2 ヒモ 

効果 当たった魔物にダメージを与える+魔物がノックバック(小)

初の完全なオリジナル要素です。ビルダーズにはないので念のため。
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