ドラゴンクエスト3 そして伝説へ……のはずが、僕の四人目の仲間がだいぶおかしい件について 作:笛ふき用
白竜の月 24日
ふっざけんな、あの白いひげのクソじじいめ! ドケチなだけじゃなくションベンちびりの臆病もんかよ!
なんだぁ、アリアハンの街を守るために城から兵を派遣することはできないだぁ! 村ひとつまるごと滅ぼすような凶悪な魔物が迫っているなら、なおさらアリアハンの守りを堅めなければならないだとぉ!
自分の国の村がひとつまるごと滅ぼされておいてその態度は何だよ! お前は何のためにその空っぽの頭に王冠載せているんだよ!
……は~、ちょっと落ち着いた。あんまり汚い言葉使いはよくないよね。僕一応勇者なんだし。
結論からいうと、アリアハンの兵士をレーベの村へ派遣してもらうことは無理だった。理由はアリアハンの守りを堅めるため、だそうだが、本音は自分の身の安全のためだろうと僕は思っている。理由は僕が謁見を願ってレーベの村の惨状の報告をしたときに、王様の目に恐怖があったこと。その証拠に、僕が兵士の派遣を願い出ると、僕の言葉をさえぎるように、
な、ならん! ならんぞ、勇者アレル! 村ひとつ滅ぼすほどの強大な魔物が現れたならば、なおさらアリアハンの守りを堅めねばならぬ! だ、だからレーベの村に兵を派遣などできぬ!
と立ち上がり体を震わせながら叫んだのだ。
その後、さらに進言しようとした僕のことを追い払うように、報告ご苦労! さ、さがれ! ってだけいって自分が奥へと引っ込んでいったのには怒りよりも先に驚きと呆れしかなかったね。
僕自身、自分に驚いている。なんていうか子どもの時から勇者であれ、とおじいちゃんやお母さんに育てられた僕はなんていうか基本イイ子だったと思うんだ。だからもし前の僕なら王様にこんなに厳しいというか、乱暴なことを考えたりできなかったと思う。
でもこの数日でビルドや村の人たちと触れ合って自分自身が変わった気がする。これは同じ場所で寝て起きてご飯を食べて、一緒に同じ目的をもって苦労と努力をしたおかげだ。
つまりそれはビルドのおかげだ。そこはちゃんと認めないと。
ビルドはどうしようもない破壊魔で、無口で、いつも締まりのない笑顔で、とにかく破天荒で、森でも山でもどんどん壊すし、マイペースだし、一緒にいるだけで僕の中にある常識をどんどん壊すしでとにかくとんでもない奴だけど、でもすっごくいいやつでたぶん僕よりもずっと優しい。
そんなビルドに負けない為にも、何とかあの村に誰か頼りになる人たちを村に連れて帰らなきゃならない。じゃないと僕たちは前に進めなくなっちゃう。
必要なのは戦える人だ。ある程度の人数と力と戦う意思がある人だ。装備なんかはビルドに頼んで何とかしてもらえるから、暇と力を持て余している人、誰かいないだろうか……。
そこまで考えたところで、ビカッと僕の中に閃きが走った。うまくいくかどうかわかんないけど、これならいけるかもしれない。そう思いながらアリアハンの城から城下町に至る無駄に長い長い道を僕は走り出した。
やがて見えてくる僕の街、アリアハン。よかった、街は僕の知っている平和な街のままだった。小さなころ上から落ちた広場の木も、活気のある大通りも何も変わっていない。でもいつまでもこのままとは限らない。いつあのレーベの村みたいにボロボロになってしまうかわからない。
だからこそ僕はこの街をあのレーベの村みたいにしないためにも、一刻も早くバラモスを倒すために前に進まなきゃならない。
でもだからといって助けられる人たちを置き去りにして前だけを向くのはダメだと、この数日のことだけど僕は学んだ気がするんだ。
そのせいだろうか、まだ旅立ってそれほど経っていないのに何故だろう、15年間暮らしたこのアリアハンの街のことを何だか懐かしいと感じる自分がいた。
道具屋さんのおじさんの前を通り過ぎ、まっすぐ行けば街の外に出る道の十字路を右にまがって目的の場所へと僕はたどり着いた。
ルイーダさ~~ん! ちょっと相談があるんだけどぉ!
白竜の月 24日のつづき
うまくいった! さすがはアリアハンの誇るルイーダのさかばだ!
昨日、僕は王様にレーベの村への兵士の派遣を断られたあと、ルイーダさんのところに行った。
『ルイーダの酒場』っていってアリアハンで一番人気のある酒場でいろんな人が集まっている。僕が戦士のフルカス、武道家のフォン、僧侶のカダルと出会ったのもこの酒場だ。
そんな酒場の女店主のルイーダさんはいつもこういって僕たちを迎えてくれる。
ここは ルイーダのみせ。
たびびとたちが
なかまをもとめて あつまる
であいと わかれの さかばよ。
なにを おのぞみかしら?
ってね。
ここなら戦う人が集まるここなら何とかなるかもしれない。だから僕はルイーダさんにありのままの事情を説明したんだ。レーベの村が大変なことになったこと。その復興を僕らが助けていること。でもこのままじゃ僕たちがいつまでも旅立つことができないことなんかを。
そうしたら、ルイーダさんはとってもきれいな顔にちょっぴりのとまどいをうかべながらこういった。
ん~、事情は分かったけれどこういうお願いは初めて聞いたわ。ねぇ、アレル坊(僕とルイーダさんは子どもの時からの長い付き合いだから、いつまでたっても子ども扱いされる)悪いけれどちょっとアタシに時間をちょうだいね。とりあえず夜になったらもうちょっと人も集まるだろうか、事情を説明して行ってもいいっていう人たちがいないか聞いてあげるよ。
それを聞いて僕はうれしくなった。少なくても僕の話をルイーダさんはちゃんと聞いてくれている。そう思ったからだ。
だから正直、あの腰抜けケチじじいが王様をやるより目の前のきれいで気風がよくて、そして何より優しさと思いやりのあるルイーダさんが王様をやったほうがいいんじゃないかと思ったくらいだった。
だから僕はいったんレーベにもどって現状の説明をなかまたちや村の人たちにしようと思って外に出ようとしたんだけれど、そこで呼び止められたんだ。
戦士のハンソロさんと魔法使いのマーリンさんと僧侶のエルシトさん。
ずいぶん長くこのアリアハンの街とルイーダの酒場を拠点にパーティを組んで魔物退治をしているベテランさんたちだ。
アレル、その話俺たちにも詳しく聞かせてくれないか
そういわれたので僕はルイーダさんにしたのと同じ話を三人にも話した。話を聞きおえた三人は、少しだけ三人だけで相談してから僕にこういってくれたんだ。
いいぜ、オレ達が行く。アレル、お前たちは村の復興にめどがついたら先に進むんだ。
って。
喜ぶ前に驚いた僕が事情を詳しく聞くと、三人はそろそろ積極的な意味での魔物退治を引退してパーティを解散しようか話し合っているところだったらしい。今のアリアハンはロマリアの通じるいざないのほこらが使えないせいで、他の国々への移動は難しいし、自分たちも年齢的に現役をやり続けるのに辛くなってきたからと。
だから村を守りながら今後の余生をのどかな村で暮らすのもいいと思い引き受けてくれる気になったそうだ。
でも、それだけじゃないことはまだ経験が少ない僕にも分かった。前に進もうとする僕たちが安心して旅立てるように
って思いでいってくれてるんだってことが。
ありがとうございますって僕がいうと、笑いながら僕の背中を叩いてくるハンソロさん。しわだらけの顔にやさしい笑みを浮かべて僕を見てうなづいているマーリンさん。口ひげが似合うエルシトさんが本当に困った顔をしてこの酒場で酒を飲めなくなるのだけは困るなぁなんていうから、みんなで大声で笑ってしまった。
……ビルドにレーベの村にも酒場が作れないか聞いてみようかな。そうすればもっと村に人が集まるかもしれないし。そんなことを考えながら、僕は一足先に【キメラのつばさ】でレーベの村へと戻った。
夜に村へと帰り着いた僕を待っていたのは出来上がった武器屋と防具屋、そしてきれいになったはずの村と村のまわりに広がる毒の沼地だったのである。
誤字脱字、感想よろしくお願いします。
アリアハン、ロマリア、ポルトガ、エジンベア……。まともぽいのがイシスとサマンオサだけとか、ホント、ドラクエ3世界はまともな王様いねぇといわざるを得ない。
せめて旅立つ勇者に十分な金と装備よこせよという全ドラクエユーザーの魂の叫びが今回の話になったと思いますwww