貞操観念逆転で男女比率1:9とかどんな罰ゲームですかね 作:annwfn666
いきなり飛ばされて、二度とプレイできないと分かれば仕方ないね
情報を読み始めてから数時間、途中でトイレ休憩や喉の渇きを覚え、飲み物を探す時間を挟みつつ、ある程度の情報を読み終えた彼は水の入っているペットボトルを手に持ったまま机に突っ伏していた。読んでいた情報にショックを受けたのが原因だ。
まず自分の体について。やはり普通の肉体というわけでなく、ナノマシンの一種により強化されていると判明した、PC操作に関する能力もそれのお陰らしい。まずは機械への強制介入、ハッキングなどという生易しいものではなくナノマシン自体を機械へ侵入させ、物理的に回路等を作り変えることにより此方の意のままに操る能力。思えばドアが簡単に開いたのもこの能力の御蔭だろうか?それに付随する形で並列思考、高速思考も可能になっている、人間の思考では機械相手に追っ付かないという事だろう。
更には目の改良なのだろうか?分からないが今、彼の視界には幾つかの半透明な窓が空中に浮かび、色々な情報を表示している。映画アイアンマンで社長が操作していたホログラフィックなアレだ、その情報も最初は何語か分からなかったが「訳せ」と念じるだけで日本語に、実に便利。それを同時に複数読み、情報を正しく咀嚼できているのだから大したもの。できれば前世で欲しかったなどと呑気に考える彼。
最後に肉体強化、とはいえ戦闘力に直結するものではなくただ単純に生存能力を上げるもので人体に有害な毒物、微生物を即座に分解無害化する能力や治癒力の強化だ。あくまで生き延びやすくなる程度、だから先程から賞味期限など打っ千切っている水を平気で飲み、カロリーメイトモドキをモソモソと口にしている訳なのだが。
ではなぜ、このような肉体を持った存在を作ることにしたのか。どうやらこの世界は第三次世界大戦不可避となったらしく、そうなると核の使用は避けられないため『核攻撃によるEMP影響下にて独立大隊レベルの指揮を可能とする人材の作成』的な目標の下、研究された結果らしい。核を含むABC兵器への耐性と考えればこの肉体強化は不自然ではない、あくまで指揮能力特化のため、戦闘能力は必要ないわけだ。思考強化も指揮するため、ただそうなると機械操作はなんなのか分からないが。
「まぁ?お陰で助かってるから文句はないけどさぁ、ハァ…」
ため息は深い、自分の肉体が散々弄られた産物と知ってショックを受けてるのかと言うとそうではない。問題はナノマシン製作に関する報告書に書いてあった内容だ、日付から考えると前世で生きていた時代に足すこと2,30年頃の話。余程の奇跡でも起こらない限りはナノマシンなど不可能と思われる、実際、開発は難航したらしい。薬物投与で強化する案にシフトする可能性もあったようだがそれでも難しい、遺伝子操作で…などと迷走している内に『ある物質』を使用することでようやく開発にこぎつけたとあった、その一文がこれだ。
『…やはり崩壊液の再構成能力は素晴らしい、これによりようやくナノマシンの完成に目処が付いた。既に宿主を守るための異物分解、治癒力を高めるナノマシンは完成、後は思考強化だが場所が場所だけに難しい。しかし、遂に戦争が始まってしまった今、時間をかけている暇はない。多少の犠牲には目をつぶり、実験を…』
犠牲、恐らくはこの肉体のもとになった子供と同じ立場の存在のことを指すのだろう、その事に?違う、もう気づいてはいるだろうが…文章中に見覚えある単語、『崩壊液』、すなわち
「この世界、
表情は恐らくアレだ、去年に完結したジャンプ連載ギャグのちシリアス漫画の天パ主人公のアレ、居る筈のないところで将軍見かけたときのアレである。これがショックを受けた理由だ、此処がどういう世界か知ったため。
「クソッ、死ぬ前?いや死んだのか?わからんが転生前にやってたからか?どういう理屈でそうなるんだよ!だったら艦これでいいだろ艦これで!!あっちのほうが未だドルフロよりマシだわ畜生めぇ!!!アレですか、猫ってたから送り込めなかったとかですか!神様かなんか分からんが鯖攻撃に屈するんですか!!そんなもんですか神いいぃぃぃ!!!」
絶叫が木霊する。ハァハァと荒い息、少し咳き込みそうになった喉に水を送り込んで落ち着かせる。別にドルフロをディスってるわけではない、ストーリーは重いわ世界観はポストアポカリプスだわだが、ゲームシステムは良いしキャラも一癖あること引っくるめて大好きだ。正月に諭吉を投入してでも64式自用正月スキンを手に入れ、動くさまに絶頂を覚えるくらいにはこのゲームを気に入っている。
だが、あくまでそれは『ゲームとして』だ、実際に其処で暮らすから選べと言われて選ぶ人間がそういるかどうか。第三次世界大戦、崩壊液及び放射線汚染、跋扈するE.L.I.D、人間絶対殺すウーマンと化した鉄血製人形たち。外を歩いて一歩踏み出しただけで死亡フラグを立てそうな世界、彼も選択制だったなら絶対に選ばなかったであろう。
「でもなぁ、来ちゃったからなぁ…オマケに恐らく、いや間違いなく自殺も出来やしねぇ」
転生者にありがちなアレだが彼も自身の命を重要視してない。自分が望んだのならまだしも、死んだかどうかも分からぬままに送られて、更にに自分がどんな人生を歩んだのかも分からない。もう終わってしまった人生の続きと言えば聞こえは良いが、こんな世界で謳歌しろと言われても素直にハイそうですかと言えるわけもない。正直、手元に銃の一丁でもあれば即座にこめかみに当て、引き金を引いて良いとも思っている。
だが此処で問題になるのはナノマシンだ、無理矢理にでも自分を生かそうとするだろう。弾が当たる場所を硬化するとか、むしろ引き金を引く指を動かなくするくらいしそうである。毒もダメときたらもう後は物理的ダメージだろうか?
「鉄血の前にUSA踊りながら出ていくとか?それはそれで嫌な最期だなオイ」
そんな事に使われるIS○Aのほうが嫌だと思われる。ともあれ、そう簡単に死ねないとすれば何とかこの世界である程度生きていく基盤、という奴を確立しなければならないのだが。
「この能力あるなら当然、プレイヤーと言うか指揮官に適してると思うんだが…どうやってなるんだ?試験とかあるのか?つか、能力知られたら16Labのケモミミの…なんだっけ…ペ、ペ…ペロロンチーノ?だったっけ?に解剖されそうだよな」
それは齧歯目リス科なHNをしたガイコツさんのフレの名前だ。人形については覚えているが、彼はあまり人間については覚えていないらしい、と言ってもゲーム情報のみならほんの数人しかいないのだが、人間。
「ま、兎に角もこの建物を出て人がいる所までたどり着いてからの話だよな、ウン、まずはそれが目標。途中でグリフィン所属の人形に会えれば万々歳だな。鉄血に会ったら逃げ…アレ?俺の能力使えば逃げる必要なくね?むしろ『傘』より凶悪じゃね?俺」
実際、彼の前にはソフト面でのプロテクトなど無意味だ、どれほど硬かろうが電脳自体を物理的に組み替えてしまい、無力化可能。クッころ、チキチキし放題である。
「やろうと思えば鉄血のRipperとかにUSA踊らせることできるんだよな、なんか一気に難易度下がったな~さて、行くか!」
USAから離れろ。取り敢えず役に立つかはわからないが残っていたデータを一つのHDにコピーさせ、引っこ抜いて研究員の私物であったろうリュックに詰め込む。リュックの中身は他には先程見つけた非常食、後は非常用であろう懐中電灯くらい、いや実は他に崩壊液らしき物の詰まったガラス瓶(?)も突っ込んである。何でそんな危ない物をと思うかもしれないが、残しておいて万が一にも鉄血に見つかったら悪用されそうという日本人らしい気遣いだ。
本当は衣服、特に靴は欲しかったのだが服関係は一切残っていなかったのが悔やまれる。仕方ないので先程から着ている手術着とスリッパのままでリュックを背負い歩き出す、多少の怪我や足にできるマメはナノマシンがなんとかするだろう故の強行軍だ。
エレベーターに乗り、中にあるパネルを見つめる。それだけでボタンがそこに表示される、どうやら此処は地下三階、地下一階は普通に使われており、二階は何もない空間だが緊急時にはそこを埋め、汚染を食い止めるためにあったらしい。崩壊液なんて危ないものを扱っているのだ、当然の処置だろう。通常ならこの三階に到達するためには十何桁のパスやら鍵が必要なのだが、彼には全く関係ない、ナノマシン万歳である。地上一階へのボタンを押そうとして一瞬止まり、屋上へのボタンを押す。
別に死のうと、飛び降りてやろうと思ったわけではない。ただこの世界を見たかった、少しでも高いところから。特に深い意味はない、どうせ碌でも無い風景が広がっているに違いないのは分かっている、大戦に晒され復興はおろか現状維持すら怪しいこの世界に期待などするべくもない。それでも、というやつだ。
軽い振動とともに上がっていく箱、増えていく階数を見ながら彼は独りごちる。
「ついでに能力の実験とかも少しやっときたいからな、ぶっつけ本番なんて絶対アカンやつや。ハァ、しかしこうなるなら先行鯖の情報をもう少し掴んどくべきだったかな~でもネタバレ好きじゃないし、こんな事になるとは思わなかったし…しゃぁないかな」
寧ろ、転生に備えて情報を集めてる奴とか本当にいたら引くレベルだ、現状彼が覚えているのは本編第七戦役までとキューブ作戦、ギルギアにブレブルとのコラボイベントで「ジェノワーズ!」とかいう叫びに痙攣起こしかけ。更には低体温症でランダムジュピター配置に表情を失い、アーキテクトのバカっぷりに拳を握りしめたことまでだ。
「あ~艦これもっとしたかった、大和建造したかった、妹はいるのによ~。今回の堀り、猫りまくるから途中で諦めたんだよな~、早波~岸波~はぁ…Johnston来てくれただけでもお御の字と思ってたな~。そーいや海外艦もほぼ揃ったんだよな、この前の秋イベで。でっかい暁が数隻ドバドバ来たのには固まったわ~乱数仕事しろ、本当。LittorioをItaliaにできんかったな、ごめんよ~。ああでも、ローちゃんには結局、最後まで会えずじまいで終わるのか~縁がなかったな~あ~鬱だ死にそう」
口から漏れるのは脈略のない愚痴ばかり、まぁもう二度と触れることがないコンテンツなのだから当然か、好きなのだから尚更だ。その後もイベや掘りへの愚痴が続くが割愛する、箱が止まり一瞬の静寂ののち扉が開く。廊下の先、錆の浮いた屋上にありがちな重い扉を開くと
「おぉ…これが、そうか、ドルフロの世界、か…」
山間にあるあまり規模の大きくない街、その中心部に病院は建っていた。扉の所にリュックを置き、そのままペタペタと屋上の縁、ギリギリまで歩いていく。柵は経年劣化か、それとも大戦中の攻撃のせいか殆ど存在しておらず、彼は残っている柵の横を通り、スリッパを脱いで縁に座る。かなり危なっかしい体勢だが気にしない、足をブラブラさせながら辺りをキョロキョロと見回すが目に映るのは今にも崩れそうか、既に崩れてしまった建物ばかり、動く物の気配は欠片もない、空を飛ぶ鳥すらも。
「つか、今更だけど今ドルフロのタイムライン的に言うとどの辺だろ?あんま詳しく見てなかったらなぁ…もう何もかも終わってます~なんてこともあったりする?逆にグリフィンもまだなかったりするかも?あぁもう、思考がネガティブにしか行かね~どうしろってんだよ本当」
愚痴りつつ、両手をお椀の形にし、口の前へ。息を吸い、その手にフゥッと強めに吹きかける。と、手からキラキラと光る粒子が巻き上がり、空へと飛び去っていく。そう、彼の体内で生成されたナノマシンの一種だ。そのまま空気中に広がり大気中の塵や汚染物質、建築材などを組み替え、視覚、聴覚情報等を発信する一種のドローンを組み上げて辺りの情報を収集することを目的とした。ドローンと言っても組み上がったとして一センチにも満たないサイズだが。因みに光っているのは何となくだ、本来は見えなくしたまま散布する。
待つこと数分、組み上がったドローンから情報が送られ始める、それを目の前の空間に投影、幾つかの地図がパズルのピースのように集まり、はまり、一枚の地図を形作る。今、彼のいる街の鳥瞰図が完成したわけだが全行程数分とは恐るべき早さだ、当人はその凄さを全く分かっていない様子だが。
「はーん、病院を中心に円状に広がる街、まるで病院ありきで作った感じだな…アンブレラかな?で、やはり当然というか動く影はなし、と。サーモグラフィーとかもできるかな…ってできるんかい」
彼の意思を受けてテレビでよく見る熱探知画像へ切り替わる、冷たいところは青、熱いところは赤く映るアレだ。街は病院を除き青く染まり、死に絶えているということを感じさせる。仕方なく病院を拡大、ポツンと建物の縁に赤い点が映っているが、おそらく自分だろう。
他には赤い所は自分の後ろ、屋上の扉の向こうから移動してくる点が四つだけ…
(動く点!!つまり!!クソッ、しくった!!)
やはり日本人の弊害か、こういう状況に陥っても平和ボケしている思考はどうにもならない、「一歩歩けば死亡フラグ」との認識はあったのに、自分の周りにもセンサーなりトラップなり、仕込む時間はあったのだから。毒づきながら最悪に備えてナノマシンを散布する、これで何とかなる筈だ、相手の出方次第だが足場を脆くして崩すなり、人形なら制御を奪うなり。その事に安堵しつつ、気づかないふりをしたまま思考を巡らす。
(アレが鉄血だった場合、複数で行動していることを考えればハイエンドモデルがいるとは考えにくい、いても複数はありえんだろアイツラあんま互いにフレンドリーとは思えないし、精々ハンターとエクスキューショナーくらいだっけ?キューブの時になんかつるんでいたような…違ったっけ?ただこれ、IOPと言うか、グリフィン?側の人形だと思うんだよな)
根拠としては何となくだが背後に忍び寄る四人、互いにフォローをきちんとしていると思われる配置なのだ。進むペースからしてもそれが見受けられる、簡易AIしか積んでいないとされている鉄血雑魚ならこうは行かないだろう。
(違うなら違うでなんとでもなる、正直、落ち着けば四人全てハイエンドモデルでもなんとでもなるし…後は相手のリアクション待ちかな)
誇張でも慢心でもないのが恐ろしい、彼はたまに足を振りつつ、下を見るふりをして恐らくはプレイヤーの味方側の人形であろう相手の出方を伺うのであった。
-同時刻、屋上への出入り口の建物内側-
彼が気づいているとも露知らず、AR小隊の面々は扉の脇で対策を協議していた、何の?無論、扉の向こうに見えた子供、それも建物の端に座っているという最悪の状況にある人間に対してどう対処すべきか、だ。遡ること1時間ほど前、地下施設について調べると決めたはいいが初っ端から躓いていた、単純に侵入経路が分からないのである。まずは地下一階を調べたが大半は駐車場、もしくはボイラー室と言ったものばかりであり、当然ながら下へ通じる隠し通路なども見つかることはなかった。となると、エレベーターが一番怪しいのだが他の部分はノーガードだったのにそこだけセキュリティがガチガチなのだ。M4とて別に電子戦に特化したわけでもなく、お手上げ。
ならばと正攻法、鍵となるものを探すために二手に別れて六階から上をM4とAR-15、下をM16とSOPMODで捜索することにした、乗り気でない二人を分断したのは当然であろう。お陰で情報がうまく集まらず、段々と返事が「いいえ」と「そうね」と返すだけのbotと化したAR-15と組んだM4の胃に大層なダイレクトアタックを受けたのはご愛嬌だ、胃に類するパーツがあるかどうかは知らないが。
分かったことは精々、此処の病院が戦前から病気の子供を優先的に受け入れていたということくらいか、それも孤児すら、だ。マトモに受け取れば美談、だが地下に秘密施設がある病院で子供を集めるなど、碌でも無い理由しか思いつかない。そういった事も二人にストレスとして伸し掛かる、最後の望みの院長室も空振りに終わった、流石にこれ以上は出来ることなど無い、悔しいことに。これ以上は時間の無駄、間もなく日も暮れる時間帯だ。
引くことも勇気、分かったことを次の定期連絡時に送り、後はIOPかグリフィンに任せようと結論づけ、M16に連絡しようとしたが反対にあちらの方から、少し慌てた感じで連絡が来る、エレベーターが稼動しているというのだ。即座に二人してエレベーターホールへ、確かに扉の上に付いているディスプレイに映る階数はカウントされ、確実に増えている。万が一に備え、銃を構えるがエレベーターはM4らがいる階を素通りし「R」の字を表示して止まる。どうやら屋上へ向かったようだ。
その後、別れていたM16らと合流、階段を使い屋上へ。慎重に進んだ末に扉向こうに驚くべきものを発見する、なんと人間の子供が此方に背中を向け、あろう事かビルの縁に座っているのだ、オマケにスリッパのつま先は此方ではなく子供が座っている方を向いて。これだけの条件が揃っていれば全員の脳裏に「自殺」の二文字が浮かんでも仕方あるまい。明らかに彼のミス、別に柵のところで止まっておけば良かったのだから。
さて、ならばどうするかとなった所で固まる四人、流石に自殺しようとする人間への対応マニュアル等インストールされていない。失敗すれば目の前でダイブされる最悪な展開だ、どうすべきかをひそひそ、というか通信で話し合う。
(ど、どうしましょう?声、かけて良いんでしょうか?)
(う、う~ん、良いとは思うがなんとかければ…「よう、いい天気だな!」とかか?)
(曇りよ、今日は。喋らずに近づいて掴みかかるのは?)
(掴みかかるって…途中で気づかれてバランスでも崩されたら…)
(じゃぁさ、「わ~い♪」って声かけながら走って抱きつくのは?)
(((絶対に駄目(です)(だろ)(よ))))
(むぅ~)
こんな感じでさっきから堂々巡りだ、結論が出る気配すらない。さて、そんなひそひそ話をしている時の彼だが
(何 を や っ と る ん だ 、 人 間 の 指 揮 官 い ら ず の 精 鋭 部 隊() )
ぶっちゃけ呆れていた、いや仕方ないと言えば仕方ないがあんまりだろうと。自分が招いた結果ということは棚上げしてだ、人間、心に棚を持てとはよく言ったものである。因みに既に背後の四人がAR小隊であることは確認している、行動に即座に移らないことから鉄血ではないだろうと当たりを付け、先程試しに作成して街を探索中のドローンを帰還させ、確認したのだ。その後は当然、ヒソヒソ相談している通信内容も傍受済み、防壁?なにそれ美味しいの?全くもって技術者、ペルシカ涙目である。
このままでは埒が明かない、曇り空の向こうに見えていた太陽も山の間に沈みつつある。仕方ないとばかりに彼は行動に出る、つまりスッと立ち上がったのだ。そのまま何事もなかったかのようにスリッパを履き、ドア脇に置いておいたリュックを背負いドアをバン!とばかりに開ける。となると当然。
「「「「あ」」」」
通信に注意をはらい過ぎ、いきなり彼が立ち上がって此方に近づいてきたことに対応できずアタフタしてるAR小隊とご対面となる。此処で彼は得た情報から考えられる子供の演技を始めることにする、つまりは「常識や記憶も朧気、感情の起伏も薄い天然入ってるっぽい少年」的な感じで。まぁ当然だろう、此処の施設にいたと思われるのに先程までペラペラ愚痴ってた口調で対応されたら怪しまれるに決まっているからだ。
まずはコテン、と首を肩の方に倒し「ん?」のポーズ、あざとい、あざといぞコイツ。それを受けても小隊全員が驚愕の表情のまま固まっているのを確認し、そのまま特に声をかけることもなくエレベーターの方へ向かう、流石に此処まですれば声をかけてくるであろうことまで計算づくだ。
(びっくりするとあんな顔するんだな16姐さん、レアなもん見たわ~。15も中々だったわ、M4?彼女意外と顔芸多いよね、第六戦役ラストとか、第七なんかカミーユ状態だったりで不幸体質でもあるのかな?SOP?表情変わる一枚絵が多いからなぁ、想定の範囲内でした)等と呑気に考えながら進む彼、創作中のキャラに会うってこんな感じなんだな~と密かに感動している。
「ちょ、ちょっとまって!!」
意外にも最初に硬直から開放されたのはM4だった、彼的にはM16が最初に声をかけてくると思っていたので少し驚く、当然、顔には一切出さないが。
「はい、何か」
「え、えと、その…」
振り返り、また首を傾げながら返事をする。それに対してM4はどもるばかり、流石に此処までくれば彼も訝しむ、あまりにテンパり過ぎだろうと。確かに子供がいきなりいれば驚くだろうが、いくらなんでも慌てすぎている。一番、肝っ玉が座っているだろうM16に視線をチラリと向けるが此方も酸欠の金魚のように口をパクパクさせるばかり。残りの二人も表情に差はあれ、似たり寄ったりの反応だ。
「あ、貴方は…」
何かおかしい、そう思う彼に少し落ち着いたか、覚悟を決めたような表情でM4が問いかける。さて、何が来るか…突っ込んだことを聞かれることも覚悟し、彼は待つ。その彼に彼女は、M4は意を決して…
「お、男の子なの!?」
「はぁ、一応その筈ですが(え、其処?そこなん?聞くこと、えぇ~?)」
え、そんな事?と彼が思うことを大声で問うM4。それに対し、「はいぃ?」と前世で結構好きだった「もう一つだけ」が口癖だった刑事の口癖を返したかったのを、ロールプレイ中のキャラを考え必死で押し込み、無難に返す彼。なんともグダグダだが…これが長い付き合いになる彼とAR小隊、そのファースト・コンタクトだった。
-彼が目覚める数日前、某所-
「エクセキューショナー、いますか」
「あ~?なんだよエージェント、仕事か?」
「ええ、ある地点で微弱な通信電波を感知、しかし調査に出した部隊が二つ未帰還です。これ以上は通常部隊の手に負えないと判断したので貴女の部隊にお願いします」
「はぁ、調査?それ、どう考えてもオレに合わねぇだろ…イントゥルーダーのほうが適任だろ、アイツに行かせろよ」
「彼女は別件で、手の空いているハイエンドモテルは貴女しかいないのですよ」
「つってもなぁ…まぁ命令なら従うがやる気が「近辺でAR小隊を確認した、と言っても?」オイオイ、それを先に言えよ、だったら話は別だ、喜んで向かわせてもらうぜ…殺っちまっても構わないんだろ?」
「当然です、我らに楯突くグリフィンの鉄屑など文字通り、塵芥に返してやればよいのです。正直な話、調査はついでなのですよ」
「オーケィ、早速向かうぜ。吉報を待ってな」
「ええ、それでは」
ナノマシンや彼の肉体作成云々はフレーバーです、チート臭いですがこのくらいしとかないとグリフィンあたりに連れてこられた後、男性保護施設に即座に監禁ENDコースまっしぐらですから。
ただでさえ詰んでる世界でこの男女比率、指揮系能力+αがないと人形とキャッキャウフフ出来ないから仕方ないね。
AR小隊の彼への態度は原作考えれば違和感あるかもですが、そのくらいこの世界では男、しかも子供で美少年とか人間はおろか、人形だと一生の内に生で見られたら人形製造100連全部★5レベルのラッキーですのでこんなものです。
後、作中の主人公の愚痴はほぼ作者の(ry
人形主観によるお話はあった方が良い?無くても良い?
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あった方が良い
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無くて良い
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