京太郎&赤木 クロスオーバー   作:五代健治

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今回の話以降、福本先生作品のキャラが出てくることが多くなります。
例えば今回の「すこやんVS赤木」はどっちが強いか論争など、それぞれの作品のファンの方々にはもの申したいような内容が見受けられるかもしれません。

ですがこれはあくまで、私の独断と偏見に基づくものであることは念頭に置いて頂けると幸いです。
ぶっちゃけ最近の優希とか見てると東場に限り全盛期の鷲巣様並の豪運なんですよね。
箱下の有無によってはアカギでもどうやっても勝てなそうだったりと思えます。

ただ筆者は「命のかかった状態でも自分の力を100%発揮しきる」才能は赤木が一番だと思ってます。
鷲巣麻雀6回戦南3局、面白いですよ。

他にもひろが主人公のスピンオフ「HERO」面白いよ。
読んでね。



11話 あの人たちは今

「あー……すっげー疲れた………」

 

 半荘1回目が終わった時点で、俺の脳みそはすでに限界を迎えていた。

 張りつめていた緊張が一気に解け、それまで気づかずにいた疲労がどっと押し寄せてきた。

 

「京ちゃんお疲れ~」

 

 後ろから咲が肩もみしてくれる。

 小さくても、麻雀ダコがある手なのが背中で感じてもわかる。 

 俺の手も皮はガチガチだが、これはハンドボールをやっていたからであって、麻雀ダコだけなら咲よりまだまだ柔らかいだろう。

 

「ありがと。なんというか気の抜けるラストではあったけど………」

 

 格好良く決めたと思ったら、いつの間にか試合が終わっていた。

 何だか釈然としない。

 

「仮に8000で収まってたら、トップ二人とはリー棒拾えたから1万点差くらいで、満貫ツモでトップだったのか………」

「何だったら、やっぱり頭ハネありにして続けるかの?」

「いえ、いいですよ。こういう痛い目も見ておいた方がいいと思って諦めます」

 

 レートやハウスルールを確認しなかったのは完全に俺のミスだ。

 いい経験だったと割り切ることにする。

 

「ちょっと次の半荘の前に休みたいな」

「構わんぞ。ちょっと待ちぃ、なんぞつまみになりそうなもの持ってきちゃる」

「ありがとうございます」

 

 染谷先輩が、灰になってる優希を引きずって厨房に戻る。

 タコスの一つでも食わせれば元に戻るだろう。

 

 ズズズ………

 

 局の始まる前に淹れられたコーヒーは、すっかり冷めきっていた。

 

「ん」

 

 後ろを向くと、赤木さんが座席に座って、雑誌に目を落としていた。

 赤木さんには珍しく、ずいぶんと優しい笑みを浮かべている。

 はやりんのグラビア記事でもあったのだろうかと思って、反対側から雑誌を覗き込んでみる。

 

『グランドマスター・小鍛冶健夜プロ(28)に熱愛発覚!?

 お相手は10歳年上の井川ひろゆき七段(38)!』

 

「おお………!」

 

 アラサーと弄られることで有名な国内最強選手の熱愛報道。

 インターハイでその弄られっぷりを聴いた俺としては、かなり驚くものがあった。

 赤木さんの後ろに回って、記事に目を落とす。

 

『国内無敗の麻雀プロ、小鍛冶健夜プロと、男子リーグ今季最優秀防御率を持つ『神眼』として名高い井川ひろゆきプロの交際が発覚した。

 お二人は今年夏に行われたインターハイで解説者を務め、大会後の催しで出会った時から交友が始まり、先日正式なお付き合いがスタートしたとのこと。

 来年には入籍も視野に入れているとのコメントもいただいた。

 

 ―――お付き合いに至った経緯は?

 井川プロ『初めてお会いした時は、健夜さんがどんな怪物なんだろうとわくわくしていたんですが、実際会うと「あれっ?」ってなりました。

 非常に声も線も細い可愛らしい方で――――』

 

(隣で顔を伏せて恥ずかしがる小鍛冶プロ)

 

 井川プロ『でもその場の勢いで、一半荘お願いしますと言ったらあっさりOK してもらえて………散々な目に遭いましたね(笑)。

 オーラス時点で、もう役満直撃しか逆転できないっていうところまで追い込まれて………。

 リーチ・タンヤオ・三暗刻の裏ドラ7のっけて三倍満直撃は出来たんですけど、結局やられてしまいました。

 ただ健夜さんは、男性から三倍満を直撃されるなんて初めてのことらしくって、その時点で一目惚れ状態になってくれたそうです』

 

(恥ずかしさのあまり逃げ出す小鍛冶プロと、それを捕まえる福与アナ)

 

 井川プロ『その後もちょくちょく会っては打っていたんですけど、健夜さん私生活がけっこうだらしなくて………(笑)。

 面倒を見ていたら、いつの間にかって感じですね』

 

 ―――井川プロはプロ4年目にして7段に到達し、今シーズンは防御率首位ですが、今後のご自分の目標などは?

井川プロ『”常に熱い三流でいること”ですね。僕は健夜さんみたいな天才ではないので。

 昔お世話になった人から、三流だからって腐るな、常に前に進んで”熱さ”だけは失うなと言われたので、その言葉通り遮二無二努力してきた結果が今の自分だと思っています。

 正直その人健夜さんより強いので、まずは健夜さん相手に勝ち越せるようになりたいと思います。

 ほぼ毎日麻雀打って勝率2割届かないんですけど(笑)』

 

(ん?)

 

 ここまで読んで、俺は少し引っかかった。

 井川プロの、”熱い三流”という言葉に対してだ。

 

「赤木さん、ひょっとして井川プロと知り合いだったりします?」

「ん? ああ、あいつがガキの頃、少しかわいがってやったな。 プロになっていたとは知らなかったが、元気そうで何よりだ」

「ええ………」

 

 じゃあ、このインタビューの『昔お世話になった、小鍛冶プロより強い人』というのは赤木さんのことか。

 毎日小鍛冶プロと打ってる人に、小鍛冶プロより強いって言わしめるとかこの人どんな化け物だ。

 

「須賀君、どうかしましたか?」

「いや、それがさ………」

 

 和と咲もこっちに来たので、掻い摘んで説明したら、二人とも目を見開いた。

「ええ! そんなオカルト在り得ません!」

「うん、でも多分本当のこと――――

「小鍛冶プロが結婚しそうなの!?」

「あれ、そっち?」

 

 女子二人にはそっちの方がショックだったのだろうか。

 

「冗談はさておき、井川プロですか………うーん」

「あ、冗談か」

 

 和が考え込むように唸る。

 

「俺が小学生の頃、ひいじーちゃんの葬式に井川プロも来てたらしいんだけど……実際どういう人なんだ?

 30歳越えてからプロ入りして、しかも3年ちょいで七段になったっていう逸話なら聞いたことあるけど」

 

 俺が本格的に麻雀を始めたのは今年の春からなので、全然特に男子プロのことは知らないのだ。

 どうせなら見事なおもちをお持ちのはやりんとかを見ていたい。

 

「私も詳しくは知らないんですが………、一言で言えば、対応力が異常、でしょうか?」

「例えば?」

「その………鶴賀の大将さん、加治木ゆみさんをさらに強くした感じと言えばいいんでしょうか?

 長野団体戦決勝で、加治木さんは咲さんの嶺上開花を偶然とは片づけずに、槍槓を狙いに行きましたよね?

 井川プロもあんな感じで、どんな些細なことでも偶然と片づけず、すべてを何らかの原因があると仮定し、それを見抜く『神眼』を持っていると………どこかの雑誌で読んだ覚えがあります」

「つまり、オカルト麻雀肯定派の人ってこと?」

「そんなオカルト在り得ません」

 

 咲の言った「オカルト麻雀」のワードに反応し、和がツンとした態度をとる。

 おお、ツンツンメイドさんだ………。

 

「まぁ、要は非常に考えの幅が広い人ってことなんだろ?

 それがオカルトかはさておき……」

「そうですね。ただ、そうでなくても本人のインタビューで、「相手の動作や視線を見ていれば、手牌ぐらいわかります」と言っていて、しかも本当にその通りの打牌をしているから防御率もトップなんだそうです。

 たしか、井川プロの振り込んだのは半分以上が単騎待ちだったという話も聞いたことがあるような………」

「おおぅ………!」

 

 確かにそれは紛れもない『神眼』だ。

 風越の大将が脳裏に浮かぶ。

 あの母性溢れるオッドアイの綺麗なお姉さんも立派なおもち――――じゃなくて、洞察力を持っていることで有名だが、それをさらに発展させたようなものだろうか。

 (加治木ゆみ + 福路美穂子)×2 = 井川プロ といったところか。

 ×2かどうかはわからないけど。

 プロっていうからには、×10ぐらいだったりするのかもしれない。

 

 

「赤木さんはそんなすごい人の師匠だったのか………」

 

 俺は今、実はとんでもない人に師事しているのではないかと、空恐ろしくなった。

 

「よせやい。俺はあいつに何か技術を教えたことはないぜ? ただあいつのやる気を引き起こしてやっただけだ」

「小鍛冶プロより強いって書いてあるんですけど………」

「さぁな。やってみたことないからわからねぇよ」

 

 赤木さん本人は、どうでもよさそうにしている。

 煙草に手を伸ばして、取り出そうとした瞬間に(´・ω・`) ←こんな顔になって手をひっこめただけだ。

 

「須賀君、流石にそれはないかと思います。

 イカサマを使って私たちをけむに巻くような人ですよ」

「ええ?」

「こないだの牌を伏せたままの役満づくり………あんなことが意図的に出来るわけがありません。何か仕掛けがあるはずです。

 局が終わるごとに、山を確認していたりしましたよね?

 あの時に何か種を仕込んだはずです」

「ん? ああ、あれか………。あれはまぁ別のことを確認していただけなんだが………。京太郎」

「は、はい」

「そこの自動卓、山積みな」

「はぁ………」

 

 俺は言われた通り、終局の時のままになっていた牌を片付け、自動卓で掻き混ぜた。

 洗牌が終わると、赤木さんはよっこらせと言いながら立ち上がり、適当に見える動作で牌を選び始めた。

 

「ほらよ、俺が初めて和了った手牌だ」

 

 赤木さんは14枚目の表も見ないまま、俺の方へ指で弾いて渡した。

 こないだと同じように、13枚伏せられた牌を急いで表にして確認する。

 

 {白白白中中中發發發⑧⑧⑧西}

 

「……………」

 

 四暗刻大三元西単騎待ち。

 これが初めて和了った役っておかしいだろという言葉を飲み込み、恐る恐る渡された手の中の14枚目を見ると………

 

 {西} <やぁ

 

「そんなオカルト在り得ません………」

 

 和がその場にズーンという効果音でも付きそうなくらい落ちこんでへたり込む。

 

「お待たせー! 追加のタコスだじぇ………のどちゃんどうかしたのか?」

「こないだと同じことやったんだけどさ………」

「ああ………」

 

 お盆にタコスを盛ってきた優希と、コーヒーのお代わりを持ってきた染谷先輩に、卓の上を指さしながら言うと、二人とも理解したようだった。

 

「のどちゃん全然動かないじぇ」

 

 ゆっさゆっさと優希が肩をゆすっても、和は反応しない。

 ただその豊満なおもちがゆっさゆっさと振り子のように揺れるだけだ素晴らしいありがとうございます。

 

「まぁいいじぇ、とりあえずいただきまーす!」

 

 反対に完全復活した優希の号令で、俺たちは休憩に入るのだった。

 




咲ファンとHEROファンの方々ごめんなさい。
勝手にひろとすこやんくっつけちゃいました。

それと今回からコメントをアカウント持ってない人(非ログインユーザー?)でも書けるようにしました。
感想くれると私の生きる糧になります。
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