京太郎&赤木 クロスオーバー   作:五代健治

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明日から社会人になります。

1カ月間名古屋で研修。

さぁさぁコロナにかからずに済むかな~?

とりあえず小説のデータや趣味のカードとかは死んだら友人たちに
送られるよう段取りを組みました。


15話 苦境

「はぁ、はぁ…………」

 

 肩を大きく上下させながら息を整える。

 緊張の大波が過ぎ去り、動悸も次第に収まるが、それでも中々普段通りには戻ってくれない。

 手足の先の毛細血管までが、じんじんするようなしびれが取れないし、視界も酸欠の後のようにくらくらする。

 

「悪いけど、トイレ行かせてもらうぞ」

 

 矢木たちの返事を待たずに俺は席を立ち、おぼつかない足取りで店の奥のトイレに向かった。

 用を足す気にはなれず、手洗い場の蛇口をひねり冷水を手に組むと、それを顔面にぶちまけた。

 

「ふー………」

 

 これで5回戦中4回戦は凌いだ。

 オーラスは生きた心地がしなかったが、それでも何とかなった。

 矢木たちは3回戦辺りから焦りだしたのか、各自が好きにやっていたそれまでと異なり1対3の形で押しつぶしに来ている。

 次も生き残れる保証はどこにもない。

 

「かと言って、逃げ出すことも出来ねぇしな………!」

 

 ここまで来たら、開き直るしかない。怖がるだけ、時間の無駄だ。

 大丈夫、今の俺は絶好調だ。

 

「よし…………」

 

 顔をハンカチで拭い、いざ卓に戻ろうとした時。

 

「うぐっ…………!」

 

 度重なる緊張がたたったのか、腹部に猛烈な痛みが押し寄せた。

 

「いててて………!」

 

 慌てて個室に入る。

 どうやら最終戦開始は少し遅れそうだ。

 

 

「おい、矢木。どうなってんだよ………!?」

「わからねぇ、俺にも何が何だか………!」

 

 京太郎がトイレに行っている間、矢木たちは額を突き合わせて緊急会議を行っていた。

 完全にカモだと思っていた雑魚が、4回戦連続で自分達からトップをかっさらって行ったのだ。

 半年前の京太郎を知っている分、矢木の混乱は大きかった。

 

「ともかく、こうなったらなりふり構っていられねぇ………!

 お前ら、『通し』使うぞ……! 容赦は一切要らねぇ!」

「わ、わかった」

 

 殺気立つ矢木に気圧されながら、竜崎と黒崎が頷く。

 

「それと………おい、オヤジ!」

「へ、へい!」

 

 カウンターで新聞を広げていた店主が、いきなり矛先を向けられて跳び上がる。

 

「例のカメラ、使えるよな?」

「へ、へい。もちろんです」

「よし、次の半荘、通し役頼むぜ」

「は、はい!」

 

 指示を受けた店主は、慌ててカウンターの下の機械類を弄りだす。

 

「よし、これで…………」

 

 がちゃり

 

 丁度その時、京太郎がトイレから戻ってきて、そのまま卓に座る。

 

「待たせたな、こっちはもういいぜ」

「ちっ………」

 

 矢木は舌打ちを一つ打つと、何も言わずに卓に着いた。

 

 

 

「確認すんぞ。

 この5回戦がラストだ。もしここで俺が1位を取ったら、お前らには全員土下座してうちの麻雀部の皆に謝ってもらう。

 今後一切俺たちに関わらないし、染谷先輩の店に他人を使って嫌がらせをするのもナシだ。

 代わりに俺が1位じゃなかったら………指を2本切り落としてくれて構わない」

 

「まぁ………いいだろう」

(…………?)

 

 矢木がやけに素直なのが気になったが、その前に自動卓から牌がせり出てきたので、そのまま配牌に移る。

 

5回戦 東1局  ドラ:{⑤}

東家 竜崎

南家 矢木

西家 黒崎

北家 京太郎

 

配牌

 

{一赤五六六3499②⑧⑨北北} 

{ツモ:四}

 

(悪くない。

 {⑧⑨}の辺張さえどうにかなれば、{北}を鳴いて手っ取り早く役牌ドラ1で上がれる)

 

 大物にはならないが、手早く上がれそうな配牌にまずはほっと一息つく。

 場風牌や三元牌ならともかく、{北}なら5,6順もすればだれか鳴かせてくれるはずだ。

 落ち着いた気持ちで、打{一}。

 

11巡目

 

 京太郎手牌

{四赤五六六399} {チー:横⑦⑧⑨ ポン:北横北北 

ツモ:六}

 

 (おっし聴牌!)

 

 打{3}として聴牌。

 思ったより時間がかかったが、これで{三-六}と{9}の変則3面張。

 

 そして俺の下家、竜崎のツモ。

 竜崎はその牌と俺の手牌を数回交互に見て顔をしかめると、ツモった牌の代わりに{8}を切り出した。

 恐らく萬子でも引いたのだろう。俺の捨て牌には{一と八}が1枚ずつあるだけで、{二~七}は出しにくい。

 だがそのうちツモれるはずだと自分に言い聞かせ、機会を待つ。

 

 14巡目

 ツモ:{⑧}

 (くそっ、中々ツモれない………!)

 

 待ちの{六}は4枚中3枚、{9}は4枚中2枚を自分で使ってしまっているので、残り枚数はそう多くないというのはわかるのだが、どうしても気持ちは焦ってしまう。

 

 

 そしてそうこうしているうちに、誰も上がれず流局となってしまう。

「聴牌」

「ノーテン」

「ノーテン」

「聴牌」

 

 聴牌していたのは俺と竜崎。

 互いに隣の席から1500点ずつもらうが、親は変わらず竜崎のままだ。

 

(また早い手が来てくれるといい…………え?)

 

 親の竜崎が上がれなくてほっとしながら竜崎の手牌を見た途端、目を疑った。

 

 竜崎 手牌

{三三六九九③③7799東東}

 

 七対子{六}単騎。

 3種ある俺の和了り牌をすべて手牌で使い切られていた。

 

 それだけではない。

 竜崎の捨て牌には、引いた時には生牌であった一九字牌がいくつかあった。

 七対子で待っているなら、生牌の客風牌などうってつけの待ちだ。

 それを見送って、あえての{六}待ち。

 

(偶然、か…………?)

 

 やけに拭い難い疑問を残したまま、次の局が始まった。

 

 

 

 70分後―――――

 

(なんなんだ…………?)

 

 東4局 0本場

東家 京太郎 22100

南家 竜崎  13600

西家 矢木  33200

北家 黒崎 25000

 

 あれから竜崎が2回、矢木が3回、黒崎が2回連荘を重ね、1時間以上かけてようやく俺の親が回ってきた。

 めったに起こり得ないスローペース。

 しかしそれでも9局を70分で済んだのは、局一つ一つはかなりのハイペースだったからだ。

 毎回思ったように鳴かせてくれる。むしろこれまでの4回戦より更に脇が甘くなった印象すらある。

 

 だが、たどり着けるのは聴牌まで。

 鳴いているから具体的にはどの時点で俺が張ったのかはわからないはずなのに、俺の聴牌と同時にどいつもこいつもロン牌を出さなくなる。

 そしてそうこうしているうちに親が和了り、たまに俺がツモることによってのみ親が変わるといったことの繰り返しになっていた。

 途中何度か振り込みそうになったが、幸い直撃は一度だけ2300を奪われただけで、大物には振り込んでいない。

 だが、何とも形容しがたい気持ち悪さに付きまとわれたまま、俺の親が来る。

 

(これで俺も連荘できるってんならまだいいんだけどなぁ…………)

 

 安手でも3回連荘出来れば親だし30000点より上には余裕で行けるだろう。

 南場に向けて、ここで余裕を持っておきたい。

 

 京太郎配牌

 

{一一三五七八八九④⑧9西西南}  ドラ:{8}

 

(うげぇっ………!)

 

 表情筋が歪むのを必死で押さえながら、心の中で呻き声を上げる。

 萬子の混一色が可能だろうが、いかんせん手が重い。これでは12巡以上は余裕でかかりそうだ。

 しかも字牌が役牌じゃない。苦労して上がっても、30符2翻で3900どまりもあり得る。

 

(また槓出来ればいいんだけどなぁ………)

 

 これはもう素直に混一色に向かうしかないと割り切り、打{④}から始める。

 直後下家、竜崎の第1打は{西}。

 

「ポン」

 

 1打目をポンされたことでやや面食らったようだったが、いずれバレるのだ。

 そして俺の2打目は{五}。

 

 混一色に向かうなら{五}切りは1つ手は遅れるが、{西}を鳴きつつ{④五}と立て続けに打つことで、周りから見たらチャンタの可能性も同時に残す。

 役に立たない字牌を切りにくくさせることで、他の3人にも手を遅らせてもらう。

 

 そんななけなしの抵抗を交えつつ、迎えた13巡目。

 

 京太郎手牌

{一一二三九九南}  ポン:{西西横西}・{八横八八} 

ツモ:{三}

 

(カン{二}で聴牌………もう混一色狙いなのはばれてるだろうけど、{五}切っておいて良かったよ)

 

 筋引っ掛けで、少しでもロン牌の出やすい状況を作り出せたことに少しの希望を覚えつつ、打{南}。

 

「ポン」

 

 対面の矢木が、俺の捨てた{南}をポンする。

 捨て牌や表情から察するに、これで聴牌したのだろう。

 客風牌をポンした事と捨て牌からして、役は恐らく索子の染め手だ。

 

 下家の黒崎はツモった牌を眺めた後、そのままツモ切り。牌は{三}だった。

 

(おいおい、ホントにどうしたんだこいつら?

 4連敗したらフツーはもう少し慎重にならないか?)

 

 萬子の染め手の俺に対し、無スジの危険牌をツモぎった黒崎に呆れつつ、俺は自分のツモ牌を見る。

 

京太郎手牌

{一一二三三九九} ポン:{西西横西}・{八横八八}

ツモ:{2}

 

(げ…………)

 

 矢木に対して切れない{2}。

 竜崎の捨て牌に1枚あるだけだし、これは捨てられない。

 

 何で俺だけこんな連荘できねーんだよと心の中で毒づきながら、打{九}として躱す。

 この先も振り込まないことは出来るだろうが、和了ることはもう絶望的だ。

 南場4局だけで逆転しなければならないことを考えると、嫌な汗がまた噴き出て来た。

 

 次の矢木のツモ。

 矢木はその牌を見ると、視線を俺の手牌に向けて来た。

 

(? 萬子でも引いて来たのか?

 でも今のこいつらの緩み具合だと、そのままツモ切るんだろうなぁ………)

 

 俺のように手牌に抱えて、和了りを放棄してくれないかなと思ったが、先程の黒崎のことを考えると、ここは俺に厳しそうでも迷わず切ってきそうだ。

 しかし矢木は一度視線を俺から逸らすと、その牌を手に入れた。

 そして代わりに切ったのは{4}。

 

(あれ? 危険牌切らないんだな?)

 

 予想に反して矢木は手を回したらしい。

 しかし安心するのもつかの間。続く黒崎のツモ。

 

「へへ…………」

(?)

 

 矢木と黒崎が顔を見合わせたかと思うと、黒崎はやけにもったいぶった動きで手牌にその牌を加え

 

「リーチ!」

 

 {六}を出しつつ、リーチ宣言をした。

 

(まずい、2鳴きしてるし、萬子が待ちだと躱しきれないぞ………!)

 

 短くなったこの手牌で躱すのは難しい。

 安パイを引けるように祈りながらの俺のツモ。

 

京太郎手牌

{一一二三三九2}  ポン:{西西横西}・{八横八八} ツモ:{2}

 

 何ともう一度{2}を持ってきた。

 これはひょっとして、運が良ければ対々和に向かえるのでは?

 

(少なくとも今黒崎は{六}切りリーチだし、{九}を打つのは間違ってない。

 その後ポンでもツモでも{一、三}を持ってきて、{二}が切れたら………)

 

 思いもよらぬところから出てきた上がりへの道に胸を躍らせ、打{九}。

 

 が、

 

「ロン!」

「え?」

 

 矢木が声高に言い、手牌を倒した。

 

矢木手牌

{111555888九} ポン:{南横南南} 

ロン:{九}

 

「三暗刻・対々。満貫だ」

「えっ………!?」

 

 ガタッ と、俺は思わず立ち上がってしまった。

 想像以上に揃っていた刻子の数もそうだが、何よりその不自然な待ちに。

 

({九}単騎!? ありえない!

 だって直前の俺の捨て牌は{九}だったんだ。俺に萬子を打ちたくなくて手牌に残したものじゃない。

 しかもさっきの矢木の捨て牌は{4}だったろ………!?)

 

 もし{4}を手にとどめておけば、矢木の手牌はこうなる。

 

矢木手牌(1巡前)

{1114555888} ポン:{南横南南} 

 

 {3-4-6}待ちの、高め跳満。

 例えば{二}や{七}などの俺に通らない萬子を引いてしまったのだとしたら{4}切りは正しいが、引いたと思われるのは、俺が直前に捨てた安パイの{九}。

 わざわざこんな待ちにする理由は、どこにもない。

 

(俺の{九}対子落としを見切っていた?

 いや、だったら待ちの広い、かつ点も高い索子待ちのままでもよかったはずだ。

 だって俺は手を回したせいで、最高でもまだ1シャンテンで振込みを恐れる必要なんてなかったんだから!)

 

 震える手で点棒を渡しながら、手牌を見透かされたような待ちに、頭の中が疑問で埋め尽くされる。

 これで南場突入時点の点棒状況はこうなる。

 

 南1局 0本場

北家 京太郎 14100

東家 竜崎  13600

南家 矢木  41200

西家 黒崎 25000

 

(残り4局で………26000点以上………)

 

 泣きたい。逃げ出したい。今すぐみっともなく謝ってでも助かりたい。

 べっとりと張り付いてくる敗北の二文字が、俺から気力を根こそぎ奪っていく。

 

(本当に………そうやって逃げられたら、どんなに楽かね………!)

 

 それでも、これ以上思考を弱気に持って行かれてはならない。

 俺は涙目のまま、ぐちゃぐちゃに歪んだ笑みを浮かべた。

 

(とにかく考えろ! 自棄になったらそれこそ負け確定だ!)

 

 この5回戦の不自然な局の運び、不自然な打牌、不自然な待ち。違和感を感じたすべての局面を思い出す。

 

(まずこの5回戦が、最もこれまでと違うのは、奴らの打牌…………。

 俺が鳴けて有利になる牌だろうと、リーチに対し無スジだろうと構いなく切ってくる。そのくせ、俺が聴牌した途端に危険牌は出さなくなる。

 筋引っ掛けだろうと、七対子単騎だろうと絶対に振らない。

 正直、こいつらにそんな芸当が自力でできるとは思わない。だったらここまでの4回戦でそうすればよかったんだから。

 

 つまり………俺の手牌が、完全に読まれている、いや………見られてる?)

 

 東1局で、竜崎が俺の変則3面張の待ちをすべて七対子で抱えていたことといい、今の矢木の和了りといい出来過ぎている。

 つまり、何らかの仕掛けで、俺の手牌がそっくりそのまま覗かれている。これが一番しっくりくる回答だった。

 

(なら、どこから?)

 

 赤木さんのアドバイス通り、俺は可能な限り相手の表情も見るようにしていた。

 矢木たちは俺の手牌を覗き見るような動きは見せていなかった。当たり前だが、直接は覗き込んでいない。

 

 次にありそうなのは、隠しカメラや鏡。

 このうち鏡は、俺が休憩のたびに席を立っていたことから、俺の背後から手牌を覗けるような角度には掛けられていないことは確認済みだ。

 

 となれば、隠しカメラの可能性がぐんと上がる。

 俺は雀卓の縁に目を向けた。

 

(俺からも死角になっていて、小型の広角レンズとか使えば手牌の大部分を覗くことも不可能じゃない。

 まぁそこまでするかの一言で終わりそうな気もするけど………)

 

 とりあえずカメラを使っているとして、ではどうやってその映像を見ているのか?

 矢木たちにカメラの映像を受信する機器を覗き見ているような動きはなかった。

 

(となれば…………)

 

 考えをまとめている途中で配牌が終わる。

 理牌を終え、自分の手を記憶した瞬間手牌を伏せ

 

グワッ!

 

「!」

 

 思い切り振り返り、カウンターにいる店主の目線がどこへ向けられていたか瞬時に見る。

 店主は最初うつむいていたが、何かいぶかしげな表情でこちらを見ると、振り返っていた俺と目が合った途端に慌てて目を逸らした。

 

(やっぱり…………!)

 

 対局中俺からは絶対に見えない場所にいて、矢木たちからは見える場所。

 俺の真後ろにいる店主が、俺の待ちを矢木たちに伝えていたのだろう。

 

(気付けて良かった………。でもこれで、この後は自分の牌を記憶したら基本伏せ牌で打って、記憶が怪しくなったり、待ちが複雑になったら素早く牌を起こして見れば――――)

 

「おいおい、伏せ牌はこの店じゃ禁止だぜ」

「え?」

 

 身体を真正面に直した俺を待っていたのは、矢木の笑みだった。

 顎で指された方の壁には、こう書かれた紙が貼られていた。

 

『当店でのルール

・携帯はマナーモードに

・牌の強打禁止

・伏せ牌は禁止

・先ヅモ禁止

・ダブロンあり

・責任払いあり』

 

「う…………」

 

 この店で対局する以上、店のルールには従わなければならない。

 仕方なく俺は手牌を起こすと同時に、自分の方へ思い切り牌を寄せた。

 もしカメラで覗き込んでいるのなら、どアップにした上で、横からも覗けないようにした。

 

 が、これも…………

 

「おいおい、伏せ牌しようとしたり、そんなに懐に牌を寄せたり何のつもりだ?

 負けそうだからってイカサマに手を出す気か?」

 

 嘲笑混じりの警告で、やむなく牌を通常の位置まで戻す。

 これは俺達がイカサマなど一切していないことを証明するための戦いだ。

 その席で、言いがかりであってもイカサマを使ったと言及されることがあっては意味がない。

 

 なけなしの抵抗として、手牌の両端から3牌ずつ、親指を思い切り水平に伸ばして隠した。

 これも手牌に直接触れると又何か言われそうだったから、少し離さざるを得ない。覗く角度によってはこれでも見えてしまうかもしれないし、右手は自模らなければならないので、隠せるのは実質左端3牌だけだ。

 

 必死の抵抗をしながら迎えた南1局。

 

 しかし

 

「リーチ!」

 

 矢木、6巡目リーチ。

 

(くっそ! 勢いが違い過ぎるぞ!?)

 

京太郎手牌

{一一三四五五五七九九44南 ツモ:南 ドラ:8}

 

 都合よくツモは場に1枚出て通りそうで、シャンテン数も上がるしいざとなれば安パイにもなりそうな{南}。

 3万点近い差がある以上、このまま混一色に進みたいが…………

 

(俺の手は覗かれてる………となれば、やがて溢れそうな{4}に狙いを定めることも可能………)

 

 6巡目リーチで狙いまで定める余裕があるかと言われれば微妙だが、今はもう点棒的にもリーチに振り込めば逆転がさらに危うくなる。

 

 矢木 捨て牌

{南 二 9 7 白 横2}

 

 求められるのは、攻めと守備を両立させるような、綱渡りの闘牌。

 逆転しなければならないのだから、ベタ下りは出来ない。

 

(混一色は諦めるしかない。となれば…………!)

 

 京太郎 打{五}

 

「…………どうだ?」

「ちっ、通しだ」

 

 {二}が出ているだけの、気休め程度の片スジ。

 {4}は危ないと思った直感に従い混一色は諦め、七対子に向かう。

 

 その時、矢木の手牌。

 

{六七八③③赤⑤⑤⑥⑥⑦⑦23}

 

 まさに{1-4}待ちの、高めメンタンピン一盃口赤1の5翻。

 今1発で振り込んでいれば跳満に手が届き、対子か一盃口部分に裏が乗った場合、倍満でトビ終了となっていた。

 

 

 しかし2順後。

 

「ツモ! 2000・4000だ!」

 

(くそっ………)

 

 1シャンテンまでは進んだものの、京太郎の手は間に合わず、矢木が満貫をツモ和了る。

 {1}ツモにより跳満にはならずに済んだものの、これで矢木との点差は約37000点となった。

 

南2局 0本場

西家 京太郎 12100

北家 竜崎  9600

東家 矢木  49200

南家 黒崎 23000

 

 (37000………こっから3連続満貫を自模っても僅かに届かない………)

 

 可能性は0ではない―――――、かと言って、1%もあるとも言えない。

 

 最終5回戦

 

 南場 苦境。




珍しく短めの間隔で投稿。
5回戦終了まではさっさと書きたいです。
その後は真っ白なので考えないとね。
 

私事なんですが、10歳の頃、とても仲のいい中国人の同級生の子がいたんです。
彼は5年生の時に国に帰ってしまったんですが、電話とかで交流は一応あったんです。
ついさっき、数年ぶりに電話をかけて、コロナウイルスとか大丈夫か尋ねたんです。
そしたらね、無事元気だったうえに、今度日本の大学に留学に来るからまた会えるって言うんですよ。

とっても嬉しいこと、ありました。
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