神様の手違いで死んでしまった主人公は、異世界で第二の人生をスタートさせる。彼にあるのは神様から底上げしてもらった身体と、異世界でも使用可能にしてもらったスマートフォン。様々な人たちと出会い、大切な仲間を得ていく中で、いつしか主人公はこの世界の秘密を知る。古代文明の遺産を受け継ぎ、お気楽な世界の王たちと力を合わせながら、彼はのほほんと世界を巡っていく。

ブリュンヒルド騎士団の2回目の採用試験に一人の青年と一羽の梟が現れます。
銀ランクの冒険者という実力を持ちますが、その青年は盲目でした。
青年はブリュンヒルド騎士団に入るため、試験を受けるのでした。

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はじめまして、初の作品です。
今回は異世界はスマートフォンとともにのブリュンヒルド騎士団、団員採用試験を舞台に一人の青年と梟が頑張るお話です。
勝手な解釈や設定がありますが、それでもよいと言う方はそのままお読みください。


異世界はスマートフォンとともに『盲目の騎士』

ユーロパ大陸、ベルファスト王国とレグルス帝国の間にある国が建国されました。

メリシア山脈の南にある平原地帯、豊な土地であったためか危険な魔獣が多く生息していましたが

一日で討伐され、たった三日で城が建てられたと言われています。

その国の名はブリュンヒルド公国。ベルファスト王国とレグルス帝国から分割譲渡された土地で建国された

2国の最小領地よりも小さい国

私、神凪風助はブリュンヒルド公国の騎士団

ブリュンヒルド騎士団員採用試験を受けます。

 

◇◇◇◇         ◇◇◇◇

 

ブリュンヒルドの城下町はとても賑わっています。

普段から賑わっていたのでしょうが

このところは騎士団員採用試験の影響か特に賑わっています。

出店の呼び込みや屋台での料理の音が響き、美味しそうな匂いが辺りに広がってきます。

大通りには馬車が走っています。荷物や人を運んでいるのでしょう

背後から子供たちの駆ける足音と笑い声が聞こえて

私は手でその子達を制します。

 

「この通りは馬車がよく通りますから

気を付けてくださいね」

 

「はーい!ありがとー!」

 

「はい、どういたしまして」

 

子供たちがお礼を言ってくれたので私は笑顔で答えました。

きちんとお礼を言える子はとても偉いです。

手を振って子供たちと別れると同時に携えている刀の柄に60㎝程の一羽の鳥が乗りました。

空から景色を見てきたそうです。

 

「お帰りなさい、どうでしたか?ホロウ」

 

「ホロー」

 

「そうですか、楽しそうで何よりです。」

 

嬉しそうに鳴くホロウの声に安心しました。

この子はホロウ、2年ほど前に知りあい、それから行動を共にしているフクロウさんです。

何故かホロウを見る方々は怖がったりしますが。

なにもしなければ大人しい優しいフクロウさんです。

 

青年と梟は歩み始める、柄に着いているシンプルな鈴を鳴らしながら

 

それから、私とホロウは城に行き受付を済ませました

名前を代筆してもらい、試験が始まる迄番号札を分かりやすい所に付けるようにとのことです。

恐らくその間、何か悪行をすれば失格になるのでしょう

それは前回の採用試験と同じのようです。

城下町に戻り、夕食を済ませることにしました。

屋台も良いですが、ギルドの酒場にすることに。

酒場に入ると、お酒の匂いの波が押し寄せます。

空いている席を見つけ、座って早速注文をします。

 

「スープと串焼き、サンドイッチを。

あとこの子に何かお肉をお願いします。」

 

暫くして料理が運ばれたので頬張ります。

お肉の肉汁が溢れ、香料が効いています。

ホロウも美味しそうにお肉に食らい付いています。

 

「おい兄ちゃん、採用試験を受けに来たのか?」

 

食べていると、横から男性に声をかけられます。

強いお酒の匂いがあることから酔っていることが分かります。

 

「はい、先ほど受付をしてきました。」

 

「ほう、イーシェンからか?

まあこの国はイーシェン出身者が多いしな」

 

そう、このブリュンヒルドという国はイーシェン出身の者が多い

建国とともにたくさんの人達が移住してきたとか

私の着物姿に腰に携えた刀からイーシェン出身者だと推測したのでしょう

 

ブリュンヒルド騎士団は他の国とは違って種族が混合されています。

亜人や魔族も騎士団にいます。

そこには差別や区別もなく、お互いにこの国をより良くしようと頑張っています。

 

「そういや、何をやってるんだ?

冒険者だよな?」

 

「はい、レグルスで活動しています。」

 

男性にギルドカードを見せると男性は目を丸くして驚きました。

 

「おいおい!銀ランクじゃねえか!

何で銀ランクが試験に!?」

 

男性の声に反応し、周囲の視線が向けられる

あの…恥ずかしいのでお静かに…

 

「…ていうか、イーシェン出身者でレグルスで活動してる銀ランクの冒険者って

疾風剣の風助だろ!?」

 

「えーと…そう呼ばれています…」

 

その後、周りから質問攻めに遭い

気付いたら夜明けになっていました。

眠かったので昼頃まで惰眠を貪ります…すぅ…

 

試験前日、ホロウとブリュンヒルドの城下町を見て回ろうと思い

大通りを歩いています。賑やかな音が広がり

私もホロウも楽しくなってきました。

 

しかし、人が多ければそれだけ問題も起こります。

今目の前で起きていることがまさにそれです。

 

「あの!わたし仕事がありますので…」

 

「いいじゃねぇか、俺らと遊ぼうぜ?」

 

「そーそー、俺らは純粋に仲良くなりてーのさ」

 

道の真ん中で女性に言い寄っている二人の男性

首辺りに鎖を着けているのかチャラチャラ音を立てて

低い声を

もう一人は鉄製の防具を着ているのか歩く度にカチャカチャと音がします。

言い寄られていた女性は明らかに嫌がっています。

ホロウも不機嫌そうに鳴いています

 

「御二人とも、嫌がっていますよ

そこまでにしたらどうですか?」

 

声を掛けられた二人はこちらに舌打ちしながら近寄ってきます。

 

「あ?んだよ、俺らがなんだよ」

 

「てめぇになんの関係があるんだよ、ああ?」

 

「ホー…」

 

威嚇するようにホロウが鳴きます。

そんなホロウの頭を撫でて離れさせます。

ホロウは近くの木の枝に停まりこちらを見続けます。

 

「へへへ…可愛いペットちゃんは避難させたみてぇだな?

ご主人の無様な姿が見せられる鳥も可哀想に」

 

「ま、ご主人をひん剥いて吊るしたあとあの鳥は焼き鳥にでもして食ってやるよ。ぎゃははは」

 

二人は笑いながらそんなことを口にしています。

 

「……言いたいことはそれだけですか?

それと訂正させて頂きますが、あの子は私の…

友人でもあり、家族です。誰であろうと…私の大切なものを汚すものは許しません…」

 

「ほう?家族ねぇ、それはそれは仲が良いこって

それよりもとっとと目ぇ開けろや」

 

「私は生れつき目は見えぬ身です。お気になさらず」

 

その言葉を聞いた二人は更に笑い、私の所持品を値踏みするように眺めます。

 

「そんなんでよく俺らに文句言う気になったな」

 

「俺らは青ランクの冒険者だ、ただで済むと思うなよ?」

 

二人は完全に気を抜いています。

本当に青ランク程の実力を持つなら目の見えない私にさえ油断はしないはずです。

 

男たちは武器を取り出します。

剣と斧ですね。私は刀を抜きます。

鞘から抜かれ、銀色に輝く刀身ミスリル製の刀です。

峰打ちを選びます。

 

 

「なんのつもりだ?、血が怖いってか?」

 

「いえ、この刀は弱き者を守るための刀ですから

乱暴狼藉を働く三流冒険者を斬り捨てるための刀ではありません」

 

「んだとゴルァ!!」

 

駆け寄った斧の男は勢いよく降り下ろしますが

それを横に避けそこから頸に一撃を加えます。

斧の男はそのまま倒れ、痙攣しています。

 

「…彼を連れて去るか、二人で騎士団の方々に連行されるか…お選びください」

 

「…青ランクの冒険者をなめやがったことを後悔させてやるよ!」

 

剣の男は横薙ぎに振った剣を避け距離を置きます。

執拗に斬りつけますがどれも避けられ空を切る

 

「…はあ、くそ!…何で避けられんだよ!

本当に目ぇ見えねぇのか!?」

 

確かに見えない、暗い暗闇の中で

音が響き、風が肌を撫でる感覚しか感じません

この目で、どれ程のものを諦めたか。

どれ程の努力を重ねたかこの人たちには決して知ることは出来ないでしょう

 

「はい、ですが…視えます。

その為の訓練を、血反吐を吐くほどしてきました。」

 

剣をしまい、居合いの構えをとる

男は挑発されたと思い剣を降り下ろします

 

「舐めんなぁ!!」

 

僅かな時間がすぎ、振り抜いた刀が男の胴に直撃し男は2、3m吹き飛びました

静かに鞘に戻しホロウを呼びます。

 

「大丈夫でしたか?」

 

「は、はい、ありがとうございます!」

 

女性は頭を下げてお礼を言ってくれましたがかなりの注目を浴びてしまい恥ずかしいので頭を上げてもらう

 

「いえ、当然のことをしたまでです。

それでは失礼します。」

 

そう言ってその場から去る

騎士団の方らしき声もありましたから大丈夫でしょう

 

「さあ、ブリュンヒルドの観光を楽しみましょう。」

 

「ホロー」

 

柄に乗せたホロウを連れて通りを歩いていく

英気を養い、明日の採用試験に備えるために……




第1話をお読みくださりありがとうございます。
拙いものですが
このように進めていきます。
短いので十話くらい続くかもしれません
フクロウ可愛いです。
小さい頃フクロウに出会って母親に飼わせてもらえないか頼んで断られ大泣きした記憶があります。
フクロウは飼う環境が今はないので仕方ありませんが
これからも読んでくださると嬉しいです。
それではまた会う日まで。


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