塵使いは思いつきで行動する~行き当たりばったりとも言う~   作:チリチリチリチリチリ

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始まり

「いっただきまーす」

 そんな軽い口調でその人物は展示されていたソレにかぶりついた。

 ここは世界博物館。

 世界中から珍しいものや考古学的に貴重なものが集まり、展示している場所だ。

 そしてこの日の世界博物館の目玉は、世にも奇妙な果物。

 通称「悪魔の実」の1つだ。

 売れば最低1億、喰らえばその実に宿る悪魔の力を自由に使うことが出来る。

 悪魔の力を得る代償はたった1つ。一生カナヅチになるだけ。

 ローリスクハイリターンの悪魔の実。

 世界博物館に展示されていたそれをその人物は喰らったのだ。

 邪魔をした警備を皆殺しにし、目撃者となってしまった哀れな観客も皆殺しにし、それを喰らったのだ。

「まっず!」

 そんな感想を言うのは、悪魔の実を喰らった者の共通項だ。

 言い忘れていたが、悪魔の実は凄まじく不味い。

 その人物は悪魔の実を全て胃に収めると、その能力を確かめる。

 その人物の周りにキラキラと埃が舞い始めたかと思ったら、今度は砂。

 そして砂はより細かく……そう、その人物は塵となっていた。

「あぁ、これだこれ。これこそ俺が探してた悪魔の実……チリチリの実だ」

 悪魔の実の3系統。

 動物への変身能力が身に付く動物(ゾオン)系。

 身体を自然物そのものに変化して自在に操れるようになる最強種自然(ロギア)系。

 先の2つに属さない人智を超えた能力が身に付く超人(パラミシア)系。

 チリチリの実は自然系。

 そして政府公認の海賊「王下七武海」の1人であるサー・クロコダイルのスナスナの実の上位種でもある。

「さて、お前ら」

 その人物は展示台の上に乗ったまま、自分に付いてきた連中に笑いかける。

「どうする、俺と一緒に来るか?」

「我々に今更戻る場所などありませんって」

「そうそう、俺らは一生アンタに付いていく為に国を捨てたんだ。嫌がっても付いてくぜ」

「キヒヒヒ。逃がさない」

「……」

 全員が頷き、その人物は肩を竦めると展示台から降りて歩き出す。

「んじゃ、行くか。ダーク海賊団。旗揚げじゃー」

「一生ついて行きますとも、我が主……黒炭ヤト様」

「ダークって言え、おバカ」

「すいません、船長」

 後に世界を揺るがす大事件を単独で行うことになる「ダーク海賊団」の結成時メンバーは全部で5人。

「お前らも偽名考えとけよ。ワノ国の侍ってバレたら面倒になるからよ」

「ダーク海賊団」船長  ダーク……本名 黒炭ヤト。

「適当に考えておきます」

「ダーク海賊団」戦闘員 クロス……本名 佐々本コムサシ。

「そういや、俺らが乗ってきた船もうボロボロだったぞ」

「ダーク海賊団」戦闘員 キメラ……本名 二条ヌエ彦。

「キヒヒヒ」

「ダーク海賊団」戦闘員 ロクフ……本名 魔織田テンプラ

「……」

「ダーク海賊団」戦闘員 ヌラ……本名 野良裏クロ子。

 世界博物館襲撃事件後、彼らの首には懸賞金100万ずつ。

 首謀者である船長には懸賞金200万がその首にかけられることとなった。


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