こんな続くとは当初思ってなかったなぁ~( ´艸`)
早く本編! って思ってる人には申し訳ないですm(__)m
写真騒動直ぐ後の事。
ヒナタは(アティスも)元々のリムルへの用事の件を伝えていた。
「へー 肝試し?」
「ええ……。この間、あの子達に何処かに連れて行ってと言われてね」
「ふーん。それでアティスは、あいつらとのゲームに負けて、肝試しのお助けキャラ役になった、と?」
「そうそう」
リムルやアティス、勿論ヒナタも面倒を見ている子どもたちの願いにこたえる為に、リムルに相談に来たのだ。
「ヒナ姉とも話したけどさ。一応、色々と場所の候補はあるんだけど、リムルさんにも相談しとこうかな、って。何より、あの子達リムルさんに会いたがってたし。……素直じゃないけど」
あはは、と笑うアティス。それを見たリムルは少し笑った後に、ため息。
「思いっきり遊ばれてるな。ゲームとは言え負けてやるなんて、面倒見が良い事で」
「それ、リムルさんに言われたくないって。後、あの子達凄く強くなってるからさ。わざと負けた~ とかじゃないよ? んでも、色々とヒナ姉の監視の目も厳しくって……」
「……当たり前じゃない。それに 子供相手に本気になるなんて、大人気ないでしょ」
「いやいや、あの子達その辺の大人より断然強いじゃん……」
「そんな子どもみたいな事言わないの」
「はい……」
色々と脅かされてるアティスだから、それなりに脅かしてやろう! と思ってた所が沢山あったのだけれど、ヒナタの絶対零度な視線を前に頓挫してしまっていた。
大体の光景が目に浮かぶリムルは口元を緩ませつつ、候補について考える。
「あいつらが楽しめそうな場所かぁ……、確かに、アティスの言う通り、もうその辺の冒険者より強そうだしなー」
「強そう、じゃなくて、強いって。オレも太鼓判。ヒナ姉のお墨付き」
「ん、んー……」
色々と考えている所で、話についていけてないフラメアがひょこっと顔を出した。
「あのー、肝試しってなんですか? それに、あの子達?」
3人だけで話が弾み、取り残してしまってる事に気付いていったん話を中断する。
「あ、そっか。肝を試す~なんて、そんなのある訳ないか」
「ええ。こちらにはそんな概念はないもの。あのね、肝試しは――」
ヒナタとアティスが説明をしようとしたとき、イイことを思いついた、と笑ったリムルが割って入る。
「ふふ、そうだな。フラメアも一緒に行って来たらどうだ? ヒナタとアティスが一緒なら、完璧。安全安心だろ」
体験してみるのが一番。百聞は一見に如かず、と言う訳だろう。アティスも賛成。
「言葉で説明するよりも、伝わりやすいしね。こっちでも流行ったらなんか、面白い!」
「………」
「ん? ヒナ姉は反対?」
「違うわ。リムルが連れていくもんだって、思ってたから。あなたがあの子達との約束があって、一緒なのは当然として。子供達、リムルには会いたがってたって、知ってるでしょ?」
「あ、うーん。確かにそうなんだけどさ、大体想像がつくような……」
アティスはちらっ、と横に控えているシュナに視線を向けた。シュナはとても良い笑顔なんだけど、何だか怖い。
「そのとーりなんだ……。アティスは元々仕事の一環で~って事だし、何より約束なら 守らなきゃだし。……オレも行きたいけど、オレの仕事があるから抜けられそうに……」
「はい。ダメです。リムル様」
「……デスヨネ」
この国の盟主でもあるリムルは多忙を極める。
勿論、その片腕でもあるアティスもそうなんだが、今回はこれも仕事の内。……仕事~なんて無粋な言葉は使わないけれど、枠組みにおいてはそのカテゴリーだ。
「はぁ、仕方ないわね」
「え、えっと。私も一緒なのですか……?」
「そっ、がんばってねー。(オレ、お助け係なんだけど、あの子達に助けなんて、いらない様な気がするし、久しぶりに楽できそう!)」
意味深に笑うアティスを決して見逃さないのはヒナタ。ギロっ、と睨み1つ入れる。
「……しっかり働きなさいよ」
「……はい」
逆らえません、と頭を下げるのは、この国の神様。シュールな絵である。
「ははは。んじゃあ頼むよ。多分、ヒナタとアティスの候補の1つに上がってたと思うが、場所は、ヴェルドラがいた洞窟なんてどうだ? 結構強いモンスターもいるし」
「第一候補でしたね。オレは問題ないと思います」
「此処からそう遠く無いし、妥当ね」
場所も決まり、いざ出発。フラメアは 何だかんだで ついていく事になるが、物凄いひと達と一緒と言う事もあり、身震いをしていた。
「はぅ……、な、なんだか緊張してきました……」
「はははっ、まぁまぁ気楽にね?」
「は、はい。アティス様……」
と言う訳で、子供達と合流。
今日の事を凄く楽しみにしていたのだろう、皆目が輝いている様に見えた。しっかりと装備も整っていて、子どもなの以外は風格、身に纏う雰囲気も一流のソレだ。
『宜しくお願いしまーーす!』
まずは挨拶。初めて会うフラメアにはしっかりと。その辺りはヒナタの教育の賜物かもしれない。……最初はいきなり攻撃を仕掛けられてきた~ とかあったが、それは古い話。
メンバーの名は 《クロエ・オベール》《
「あ、はいっ、こちらこそよろしくお願いしま――」
「すっげーーーっ!」
フラメアも挨拶を返そうとしたが、もう子供達は行動開始。好奇心旺盛なのは、如何せん子どもなので仕方ない。
「兎の獣人初めて見た!」
「わーーーっ すごーーい」
「あ、えっと……」
「その耳本物!?」
「ちょっとちょっと、ケンちゃん。失礼だって」
「あ、あはは……」
元気なのは良い事だなー、と面食らったフラメアだった……が、不意打ちをフラメアも喰らってしまう。
いつの間にか、背後に回られてて、自身の尻尾をモフモフと触られてゃった。
「モフモフね~。おお~」
「ひゃあ、あ、あ、あの尻尾は…… やめっ」
「こら、アリス! すみません。みんな久々の遠出で、舞い上がってしまいまして……」
メンバーの中でも特にしっかりしてる者の1人であるゲイルがアリスのセクハラ?(子どもなので違うが)を防ぐ。不満顔だったアリスだが、渋々放していた。
「ああ、いえいえ、大丈夫ですよー。……あれ? そういえばアティスさまは……?」
「あー、アティス先生なら、クロエの所です」
後ろで笑っていたクロエの方を見てみる。
その影がうねっ、と動いて、更に光が僅かにだが漏れた。どうやら、アティスは影の中にいる様だ。
「ぶー、ニセモノせんせー召喚! したかったのに……」
「じゃんけんで負けたからだろ? 今回はクロエだって」
「ふん、っだ」
ぷくっ、と頬を膨らませるアリス。
それを見て、子どもたちから心底慕われているのが一目でわかったフラメアはただただ笑い、そしてその後 ケンヤの先導でヴェルドラの封印されていた洞窟へと入っていった。
洞窟内はそれなりに薄暗く、滴り落ちる水滴の音が反響に反響を重ね、色々な効果音を演出している。
流石は暴風竜が封じられていた場所、と言う事もあり、物凄く雰囲気がある。うってつけの場所だ。でも、当然 怖がる様子は見せない子供達。ただただ強い魔物と戦いたい! と言う気持ちだけだった。
「ほんとにこんなところに強い魔物なんて出るのか?」
「う、うーん。どうだろうね。でも、ケンちゃんがいればどんなのがいたってへっちゃらだよね?」
「おう、まかせとけ! 残念だったな、クロエ! オレがいるから、お助け召喚! 使う場面なんて来ないぜ!」
「ふふ。どうでしょう? 色々と楽しみ。ね、先生」
ずんずん、と奥へと入っていく。
引率役のヒナタだが、もう完全に手は離れてる。ただただ見守るだけだ。確かに一介の冒険者程度なら、危険な場所には違いないが、これ以上安全な状況は他にない。皆楽しんでて何より。
「ふぅ。……ん?」
ただ、1人を除いて……。
フラメアはガタガタ、と震えていた。ここに入ってきたその時から。
「……大丈夫?」
「そ、その…… 暗い所とか、狭いところが苦手でして……。それに、ここってヴェルドラ様のいらっしゃった洞窟……。更には、周辺諸国を見渡してみても、光の神G.O.D様が降臨したのは、唯一ここだけ、って言われてましたし……。森では近づかない様にと言われてまして、こうもあっさり入るなんて……」
恐れ多すぎるうえに、怖すぎる。色々と気苦労が絶えなく、物音ひとつでビックリしてしまうから、ちょっと 大き目な音が鳴ったり、首筋に水滴が落ちきようものなら……。
「ヒィっっ!!」
びっくりしてしまって、ヒナタに抱きつく。
「あ………ッ、す、すみませんすみませんっっ!」
「貴女が一番“肝”を試されてるわね……」
「もうちょっと肩の力を抜いて抜いて。ヴェルドラさんもそーだけど、光爺ちゃんもそんな事で怒っちゃうひとじゃないって」
ひゅんひゅんひゅん、と小さく淡い光の粒子が、フラメアの傍に瞬き、そして小さなアティスが形成された。分身体である。
「皆いるし、安心でしょ?」
「そ、それはそーですけど……」
「まぁ、本当の意味で肝試しが体験出来て良かったわね」
「う、うぅ…… 肝試し、怖いです……。そ、それよりも 子供たちは放っておいて大丈夫なんですか?」
「ああ、あの子達なら大丈夫よ、ほら」
無数の魔物相手に完璧な連携、完璧な攻撃を加え、瞬く間に屠っていく子供達が眼に入る。結構騒いでるのに、気付かなかった様だ。
「今日、オレきっと呼ばれないと思うなー(ほんと楽だねー)」
「……しっかり監督もしなさいよ」
「わ、わかってるよ! んでも、ヒナ姉もだよね!?」
「……私が処理したら怒るでしょ? あの子達。でも、りゅ……、アティスは神経使っときなさい、って言ってるの。何が起きても良い様に」
「……了解です」
すっかりモンスターたちを全滅させて、勝利の歓声を上げてる子どもたちを見ながら、アティスはげんなりとしつつも、クロエの影の方へと戻っていった。
「強い……、凄く」
「あの子達は、“精霊使い”。リムルやアティスも言ってたけど、もうそのあたりの冒険者よりよっぽど強いわよ」
「へー(まだ子どもなのに精霊を……)。ふふ。でも、アティス様もヒナタ様も面倒見が本当に良いですね」
「……………私は」
言い淀むヒナタだったが、クロエの方に戻った筈のアティスがまた、いつの間にか戻ってきて。
「昔っからそうだったよ、ヒナ姉は! ね?」
「っ……」
言い淀むヒナタを察知するアティスの行動が早い。
でも、いつもいつも言い過ぎる、何処か抜けてるのがアティスでもある。
「あはは、まぁ、人使い荒いケド、途中で投げ出したりせず、一途! 単純一途!」
「一言余計よ」
「いたっっ!」
だから、いつもこうなる。……痛いとか絶対に気のせいだと思うが、ヒナタの攻撃はいつまでも慣れないのである。
そんなこんなで、洞窟の奥まで来た所で、もうモンスターたちは出なくなっていた。
「おおーい、先生たち、遅いーー! もう殆どやっつけちゃったよ、オレ達が」
Uターンしようとしたその時だ。
『フ、フハハハハハ! なかなかやりま…… おほんっ やるではないか!!』
不気味な声が洞窟内に響いたのは。
「だ、誰……!?」
「音が反響して――どこから??」
『だが、ここに踏み込んだ以上、逃がすわけにはいかんな……。魂を浄……ではなく、喰ろうてくれるわ!』
声の発生源がなかなかつかめなかったが、漸く判明。まだ少し奥行きがあり、広まったエリアがあったから。
「この先から聞こえる!」
「よし! やっつける! 行くぞ、みんな!」
一斉に走って向かう子供達。
「……この洞窟に言葉を使う魔物なんていたかしら?」
「……報告はない、かな」
「兎に角追いかけるわ」
「はいっ!」
ひゅんひゅん、と今度こそ、アティスはクロエの元へ。
ヒナタとフラメアも走った。
アティスは、影の中へと戻る前にクロエの肩に着地して一声。
花開く様に笑顔を見せるクロエ。
『いつでも呼んでね? 今日はお助けマン。約束だったしさ』
「うんっ、せんせいっ!」