メタリックなスライムになっちゃった   作:フリードg

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ちょっと短いです……m(__)m


15話

 

 

「心配しましたよ――! リムルさまっ、アティスさまっっ!」

「むぎゅっ」

「むぐっっ」

 

 

 

 

 

 リムルとアティス、まとめて抱きしめる包容力を持つシオン。

 色々と豊満なお体は容易に2人の身体を包み込んでしまった。………シオンのアレ(・・)はある意味最強の凶器である。魔王ゲルドさえ討伐した2人が悶絶気味だから。

 

 

 

 

 

「………。オークのみんな、正気に戻っていってるみたいだね」

 

 ぽよんっ、と人型からスライム状に戻ったアティスは、するりとシオンの身体から、降りると 今の今まで魔王ゲルドの敗北など信じられない! と驚愕した表情ばかりだったのだが、魔王の呪縛から解放されたのか、或いは ゲルド自身が最後に解放したからなのか、それは判らない。

 でも、明らかに変わっていた。王を失った悲痛な想い、そして 自分たちが仕出かしてしまった事の重さ。様々な負の感情がその顔に見て取れた。

 

 彼らを護る。アティスは ゲルドと約束を交わした。必ず。

 

 でも―― 自分にそのような大それた事が出来るのか? と不安も出てきた。

 

 安請け合いをしてしまったのではないか、そんな事できるのか、と考えていた。

 

 そんなマイナスな面、考えを簡単に見抜いていたのはリムル。ぷるんっ、とシオンの胸の中でスライム状に戻り、身体を変形させて手を作って ぱかっ! と叩いた。

 

「1人で気張るなよ。あー言ったが、オレだっているんだぞ?」

「……です、よね。あー、情けない情けないっ! ほんと。せめて 顔に出さない様にしないと!」

「んっんー、それ 出来るのかなー?」

「が、がんばりますよ!」

 

 ぐしっ、とメタルスライム状では涙は出ないと思うのだが、変形させた手で目元を拭い、ばちんっ、と両手で挟み込む。

 

 シオンやベニマル達が一体何の話を? と聞こうとしたその時だった。

 

 温かい風が花弁と共に舞い上がると殆ど同時に、トレイニーが姿を現した。

 

「……お見事でした。流石はリムル様。約束を見事果たしてくれましたね」

「ほんと良いタイミングだな、トレイニーさん」

「ふふ。それと……」

 

 ちらり、とアティスの方を見たトレイニー。アティスもトレイニーと目が合い、挨拶をしないと~ と考えていた所で、再び一陣の風が舞い、気付けば アティスはトレイニーの腕の中。

 

「わぷっ!?」

「アティス様もお見事でした。――それに、その慈愛の心には私も心を打たれました。G.O.D様もアティス様のご活躍を見て、きっと喜んでる事でしょう」

「うぅ……、何だか恥ずかしいですよ。でも、そーかなー。光爺ちゃんに関しては、なーんか悪口言われそうな気がするんだけど……」

 

 ヘタレとかヘタレとか鼻垂れとか、とアティスがややげんなりしていた。光の神とのやり取りを考えたら、以前の事を考えたらそう思っちゃっても仕方ない。

 

「リムル様。これからも アティス様を宜しくお願いしますね」

「ああ。勿論だとも。オレはアティス(こいつ)を逃がすつもりは無いよ。何せ――」

 

 リムルは、にやっ と笑って告げる。

 

「色んなもん背負ってるから、纏めて護ってもらうつもりだからな」

「――出来る範囲で、なるべく頑張りますよ」

「そこは 弱気発言せずに、ビシっと言えよな」

「あ、あははは……」

 

 トレイニーの腕の中な状態のアティス。こんな状態でビシッ、と決めれる訳ないでしょ? とも思ったのだが、兎に角口にチャック。墓穴をどんどん掘りそうだと思ったから。

 

「むむ…… アティス様……」

 

 シオンはシオンで、アティスを盗られた! と思ったのか、或いはアティスがまんざらでもない表情(判りにくいから何となく)してたから 嫉妬したのか判らないが、軽くにらみをきかせている。そして トレイニーと目が合った。

 何だか余裕のある含み笑いに加えて、アティスを抱く力が仄かに増し……、更に胸に抱くと言う行動をとり……、つまり 優雅さは健在で、何処か挑発している様にも見えた。

 

「……………ッ、ッッ!」

「し、シオンさん止めて! 身体がちぎれちゃうっ! スリムボディどころじゃなくなっちゃうっっ!」

「はっ、も、申し訳ありません、リムルさまっ!」

 

 独占欲が強い様子だ。それにしても リムルを抱いているのに、今度はアティスも と言うのは聊か強欲過ぎるのではないか、と 二股を目の前でするつもり? と色々な感情が、捻られた身体を戻しながらリムルは考えていたが、シオンは いわゆる魔物。魔物社会の仕来りや常識など、まだ全然知らないも同然なので今はツッコまない様にするのだった。

 

「こほんっ」

 

 トレイニーは、咳払いをひとつ。

 色々と遊んでしまったのだが、ここに来た目的を果たす為、この場をとりあえず収める為に皆に告げる。

 

 そもそも樹妖精(ドライアド)が現れる事 自体が希少(レア)中の希少(レア)だから、場がざわつき始めていたから丁度良い。

 

 

「森の管理者の権限において、事態の収束に向けた話し合いを行います。日時は明日早朝 場所はここより少し南西、森寄りの広場。参加を希望する種族は一族の意見をまとめ、代表を選んでおくように―――以上です」

 

 

 流石は森の管理者(トレイニー)

 

 オークたちを含めて、混乱はまだまだありそうだが 場は収束に向かっていった。

 

「(うーん、流石は女社長(仮)だな。こういう時は頼りになる。……ていうか、アティスはトレイニーさんと一緒にきたんだったよな? 鍛えられなかったのか? ………あの感じじゃ 可愛がられただけか)」

 

 トレイニーを見てみると、その腕の中ではアティスはまだすっぽりと収まっていた。

 色んな感情が渦巻き、シリアス面がより大きく出ていたアティスだったが、シオンへの挑発行為(多分)をされた時から、仄かに銀の身体が淡い朱色を帯びだしている。上品な女社長(仮)の胸に抱きしめられたらそうなってもおかしくないだろう。

 

「(ま、いきなりオレのトコに放り込むトコを考えてみたら、放任主義っぽい面もありそうだけど、今回は任せても良いだろうな。事後処理)」  

 

 戦闘後、数多の種族、今後の課題。

 ゲルドとの約束は必ず果たすつもりであるが 多種族への説明やら後処理やらは 色々としんどすぎるから好都合だ、と考えていた時。

 

「ふ、ふぅ……、流石はトレイニーさんですね。皆を纏める~ なんて凄いです」

「いえいえ。纏めるのは私ではありませんよ?」

「「へ?」」

 

 話の流れから、トレイニーが務めるものだと当然思っていたアティスとリムル。

 

「議長はリムル=テンペストとします。異論はないと思いますが」

「ええ!?」

 

 まさか自分が当てられると思ってなかった+任せる気満々だったリムルはビックリ。

 そして、アティスは驚きはしたが、間違いなく一番の功労者であり、勝者でもあるのはリムル。当然の流れだと思うし、何より自分でなくて良かった…と一安心。

 

「リムルさんなら ばっちりですね~」

「おいコラそこ!! 安心しましたー、的な顔するんじゃない! ってか お前もやれ!」

「い、いえいえいえ。リムルさんが皆の長ですし、それに議長が2人っておかしいでしょ!? ね、ねー トレイニーさん! 相応しいのはリムルさんですよね!?」

「はい。アティス様は リムル様の補佐をお願いしますね?」

 

 良い笑顔で、アティスを解放するトレイニー。

 

 アティスはぴょんっ と飛び降りるとリムルの傍へ。

 

「頑張ってください! えっと、出来るか判んないですけど、補佐頑張りますので!」

「……後で覚えてろよ。色々こき使ってやる」

 

 こんな大きな戦いの後のまとめ役を考えたら、軽いもの……とこの時アティスは思ってたが……。

 

 後に、大変な事になってしまったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明日、集まると言う事で解散した後。

 リムルは、少々不機嫌気味になっちゃったが、それは置いといて ベニマル達の話を始めた。

 

「この戦いまで、と言う話だったからな、今までご苦労だった」

「……えっ!? そ、そうだったんですか……」

 

 アティスにとっては突然の話だ。

 アティスが此処に来た時は既にベニマル達は仲間……リムルの配下であると言うのは見てわかるし、もうずっと一緒にいるものだと思っていた。

 

 でも、考えてみれば 種族の為に、これからの繁栄の為に、それを考えたら これが一番なのかもしれない。

 アティスも寂しい……とは思うが、今生の別れと言う訳でもないだろう、と気丈にしようと振舞っていた。

 

「ご心配なく、アティス様。私は、私達は何処にも行くつもりはありませんっ!」

「え? わぷっっ」

 

 そんなアティスに充てられたシオンはぎゅっ、と抱きつく。

 一体どういう事か? とアティスは勿論、リムルも思っていた矢先に、ベニマルが口を開いた。

 

「お願いがございます。リムル様」

「え、えっと、なんだ?」

「どうか、なにとぞ我らの忠誠をお受け取り下さい。我らは、これからもリムル様にお遣い致します」

「……良いのか?」

「はい」

 

 

 ベニマルの答え。それは自由よりも リムルの傍に仕えると言うものだった。

 ハクロウもソウエイもベニマルに従う……と言うより、心からリムルに仕えたい、お慕い申し上げる、と言った。

 

 それが、先ほどシオンが言った事の意味だ。

 

「そ、そっか……、そう、なんだ」

「ふふ、安心しました?」

「勿論、だけど…… ベニマルさんより先に話しちゃってよかったの?」

「寂しそうにしてるアティス様を見てると我慢できませんでしたので。これからも、私はお2人をお守りします!」

「いやいや、オレはどっちかっていうと リムルさんの下なので、対等……と思ってくれていいんですよ」

 

 しゅるんっ、とシオンから抜け出したアティスは ベニマル側に立った。

 それを見たリムルは。

 

「アティス。そっち行く前に あの戦いの時みたいに オレに纏え」

「え? なんで今?」

「良いから、ほら」

「?? 構いませんが」

 

 やる理由、意味がいまいち判らなかったアティスだが、とりあえず言われた通りに 羽衣状になってリムルにスムーズに装着。

 

「条件があるぞ。コイツがオレの相棒で、右腕。2人で1人。……アレだ簡単に言うとこうだ。No.2」

「へ? はい??」

 

 アティスは、自分 まだまだ新参者ですよ? と言おうとしたが、先に言われる。

 

「まぁ、コイツはお前たちより後に入ってきて、お前たちが先輩って事にはなるんだが、その辺は オレの権限ってヤツで納得して欲しい」

 

 勿論、納得しないものなど要る訳もない。

 

「元より。アティス様と我らが同格であるなどと思ってもいません。……アティス様は リムル様の御兄弟ではありませんか」

「異論はありませぬ」

「同じです。お2人に仕える事ができ、我らは幸運極まれりです」

「私は、リムル様の秘書兼護衛ですが、アティス様にも尽くしますので! ぜーったい離れませんからね」

 

 変な冷や汗でリムルを汚しそうになった。でも、お構いなくシオンは抱きつく。アティスを纏ってるから、丁度良く2人を抱きしめる事が出来て、心地良い。

 

 

 能力的に、つまり強さ的に言えば アティスがNo2を名乗ったとしても、決して不思議ではないだろう。

 

 負けない戦いをする事が出来るから。

 

 

「な、納得するの何だか難しいんですが……。ベニマルさんたちよりも上……?」

「追々な。色々とこき使ってやるからな。幾ら右腕って言っても楽させないからそのつもりで」

「は、はい」

 

 

 

 

 

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