メタリックなスライムになっちゃった   作:フリードg

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遅れた上に全然進んでません……ごめんなさい_(._.)_


16話

 

 

 会議――それは、リムルにとって頭の痛くなる苦手な仕事の1つ。

 

 

 

 人数が多ければ多い程、纏めるのが大変。上に気を使い、下にも気を使う。休みたいのに鞭打って頑張る所存。中間管理職は大変だ。……今回のは議長だからトップの様なモノだけど。

 

 勿論、アティスも得意か不得意か? どちら? と聞かれれば、完全に後者である。同期や後輩のみの会議ならいざ知らず、である。

 

 

 と言う訳で、会議スタート。

 

 

 出席者は、リムルとアティス、鬼人たちは シュナも来て合わせて5人。

 リザードマンから首領と親衛隊長、そして副長。因みに一番賑やか? なガビルは反逆罪で連行されたので、出席はしていない。

 ガビルに連れてこられたゴブリンたちからは数人が集まり、オークからは代表10名が集まった。

 樹妖精(ドライアド)からは、トレイニーのみ。

 

 オーク達側の空気が同じ場所とは思えない程重く、暗い。アティスが感じていた通りのもので、最初に比べて5割増し以上に死にそうな表情だった。

 

「(まったく! 何が 『議長はリムル=テンペストとします』 だよ! 戦後処理なんてどうやって進めていいかわかんねーよ! 何とかトレイニーさん説得しろよ、アティス!)」

「(オレに説得させようとしたって変わらないですよ? だって、オレは断然リムルさん推しですし、説得する理由が……ですね)」

「(俺らは兄弟だろ! 押し付けるのか?? 全部!?)」

「(頼みます、おねぇ……兄さん! 背中を見て、育ちますっ! 日々此れ精進!)」

「(おいコラ! オネェっつったか!? オレはそっち系の趣味はねぇぞ!)」

「(いやいや、違います! オレだってないですッ! そんなの最初っから判ってますよ! でも、リムルさんの容姿みたら仕様がないじゃないですか! ……まぁ、自分の姿もアレなんですが)」

 

 やいのやいの、と小さく言い争いをするのは、シオンとシュナの膝の上にいる2人のスライム族。そんなやり取りをニッコリと良い笑顔で見つめるのはトレイニー。

 因みに、シュナがアティスを、リムルをシオンが支えて? 来た為 今回はトレイニーの膝はフリーである。

 何処となく寂しさはあるものの、トレイニーはリムルとアティスが仲良さそうに? している姿を見るだけで 満足と言った様子だ。

 この中では一番大人(精神的にも年〇的にも)だからか、時折 ドヤ顔のシオンを軽い微笑みで答えていた。

 

 勿論、無言の抗議をするリムルに対しても笑顔で応えていた。

 

「(くそぅ……いい笑顔)」

「(リムルさん、皆待ってますので、そろそろ……)」

「(あー、もう判ったよ! じろじろ注目集めるのには慣れてるけど、そろそろこっちも限界ってヤツだ。仕様がないから、オレなりの考えは言うから、アティスも相槌しろよ)」

「(了解です)」

 

 腹をくくったリムル。そしてアティスも議長ではないものの 魔王ゲルド、……ゲルドの想いをリムルと共に聞いた責任はあるので、表情を引き締めていた。

 

 

「まず、オレはこういう会議は初めてで正直苦手だ。……だから、思った事だけを言うつもりだ。そのあとで皆検討をして欲しい。―――まず最初に明言するが……」

 

 

 リムルの口に出た言葉に一番動揺を隠せれなかったのは、オーク達だった。

 それも仕方のない事だ。何せ、事の発端であるオーク達を『罪には問う考えはない』とはっきり告げたのだから。

 

 そして、次に反応があったのはリザードマンの面々。オーク達程ではなく、やや表情が動いた程度、微かなものではあったが、はっきりと判った。

 

「被害の大きいリザードマンからしたら、不服だろうが聞いてくれ。彼らが武力蜂起に至った原因、そして現在の状況を話す。……これは全てゲルドから聞いた事だ。アティス(こいつ)が証人だ。と言うより、ある意味一番の責任者でもある」

「……何だか悪意の籠った紹介の様な気がしますが、……概ね間違えてないです、とだけ言います。オレの証言に価値があるのか、それは正直わかりませんが、誓って嘘ではない、と」

 

 リムルは勿論の事、今更アティスの事を疑ったりする者などここにいる訳が無いが、謙遜するのはアティスの性分の様なので、リムルはツッコんだりはしなかった。

 

 それよりも現状の説明を優先させた。

 

 ――未曾有の大飢饉。そして ゲルミュッドと言う黒幕ともいえる魔人の存在。

 

 大飢饉は兎も角、ゲルミュッドに関しては、あっと言う間にゲルドに首を撥ねられたが、存在自体は把握出来たので、疑う余地もない。

 そして、嘘を言う理由もない。大飢饉はオーク達の領土へと赴けば簡単に裏はとれる筈だから。

 

「まぁ、だからと言って侵略行為が許されないのは当然だ。……でも逼迫した状況からわかる通り、彼らには賠償できるだけの蓄えは無い」

「……この場にいる事、その意味も皆には判って欲しいです。トレイニーさんが宣言したとはいえ、逃げる事が出来ない訳じゃないと思うんです。でも、彼らは逃げず、此処に集った。集ってくれたんですから」

「まぁな。針の筵だって言っていいのに。……こほんっ、まぁ アレだ。ここまでのは建前でもある」

 

 アティスの言葉も解る。蹂躙した相手が、蹂躙された相手と共にいる。まともな話し合いになるのかどうかさえ、判らない筈だ。即座に殺される可能性だって大いにあった筈。でも、彼らは此処へとやってきた。悲痛な表情を浮かべながらも、その覚悟は誰の目にも見えて取れる。

 

 リザードマンの首領が次に声を上げた。

 

「我らも彼らについて思う所が全く無い、とまでは言うつもりはありませぬ」

 

 ペコリ、と一度アティスの方を見て頭を下げた。それが何を意味するのか いまいち判らないアティスはとりあえず、その言葉を聞いてホッと一息。アティスを抱いているシュナもそんなアティスを見て、ニコリとほほ笑むと より慈愛の心を込めて、その身体を抱きなおした。

 

「……リムル殿とアティス殿は総意とお見受け出来ております。御二方の本音を、建前ではなく、本音を伺ってもよろしいかな?」

 

 リムルの言っていた建前ではなく、本音。……全ては約束があるから。

 少しだけ間を開けた後に、リムルは答えた。

 

 

「オーク達の罪は全てオレが引き受けた。文句あるならオレに言え。あー、後 問答無用! っていうなら、アティス(コイツ)も超えていけよ? ちっとやそっとじゃ、傷つかないと思うが」

「もうちょっと言い方を……、ま、まぁ 良いですよ。えっと、オークの皆さんの事はオレが護るって事になってますので、判ってもらいたいです」

 

 最強のスライム2人の庇護下にあるオーク。

 いったいこの場の誰がそれに逆らう事が出来るものか。何せ鬼人たちの総攻撃でも仕留めれず、敗戦色濃かった魔王をたった2人で仕留めたのだから。

 それは勿論客観的な感想だ。2人に触れて、接して、反乱を起こそう者などそれこそこの場には1人もいない。

 

 でも、納得できない者はいた。他の誰でもないオーク達だ。

 

「お、お待ち頂きたい! いくらなんでも、それでは道理が……」

 

 罪を肩代わりしてもらった挙句、護ってもらうなどと、いきなり受け入れるのは難しかったからだ。

 

「勿論、理由はありますよ」

「ああ。それが魔王ゲルドとの約束だ」

「ッ………」

 

 それを聞いてもう言葉も無かった。それを覆せるだけの言葉もなく、ただただ表情を落とすしか出来なかった。

 

「成る程……。しかし、それは少々ずるいお答えですな」

 

 リザードマンも控えめな受け答えだった。簡単には受け入れるのは難しい、と言葉には言わなくても伝わる程度には。

 

「ぅぅ……」

 

 アティスは不安に苛まれる。こればかりはどうしようもないから。言葉ひとつで許される様な事ではないと判ってるから。でも、約束はどうしても護りたかった。……すべてを投げうってでも、民を護ろうとした王に応える為に。

 

「(ま、簡単には……か。でもここで引き下がる訳には、な)」

 

 リムルも同様。

 誰が殺した、一族を滅ぼした。そんな物騒極まりない案件、昔の自分が扱う訳もない。そんな戦争時代も昔の話だ。話し合いだけで解決するなんて烏滸がましいのかもしれない。

 

「「大丈夫です」」

「「え?」」

 

 シオンとシュナ、2人が殆ど同時に そっとリムルとアティスに告げた。

 一体何が? と聞く前に、次に言葉を発したのは、鬼人側のベニマルだ。

 

「魔物に共通する唯一不変の法律(ルール)がある。……それは弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。……立ち向かった時点で覚悟は出来ていた筈だ」

「そなたは、ソウエイ殿と同じく鬼人か! (オーガは、我らより先に襲撃され、ほぼ壊滅させられたと聞く……)……確かにその通りですな。弱肉強食の理の中で、駄々をこねてはリザードマンの沽券が下がりましょう」

 

 

 父は自分と妹を護る為に殺されたと聞いた。最後の最後まで逃げる事なく戦い、そして散った。それがオーガの前頭首。現在の頭首であるベニマルの言葉だからこそ、芯に響いたのかもしれない。

 

「いいんですか?」「いいのか?」

 

 ほぼ同時にリムルとアティスの言葉がリザードマンに刺さる。

 それに軽く頷きを入れながら続けた。

 

「もとより、この戦の勝者はリムル様とアティス様方の一族……、お2人にございます。お2人の意見が違えた状況であるならばいざ知らず、お2人の総意を、その決定に異論などあるはずもございません」

 

 こんなにあっさりと受け入れる事が出来たのはどうやらそういう事だったらしい。色々と意見を言い、聞くところは聞いて、最後には従うつもりだった様だ。

 なんだか嬉しくてほっと安心出来た。シュナ達が大丈夫と言った意味が分かった瞬間でもあった。

 

 だが、問題点も当然ながらある。

 

 

「――しかし、それはそれとして、どうしても確認せねばならぬことがございます」

 

 

 誰でもわかる事だ。生き残りのオーク達全てをこの森で受け入れるのか? と言う事。

 

 当然ながら、この場にいるのが全てではない。忘れてはならないのはその数。15万を超えるであろう人数。その数字は戦士の数だけではなく全部族総出。大飢饉から逃れる為、出てきたのだ。受け入れれないと言う事は即ち、オーク達の死にも直結する。……戦士だけではない。戦えない女、子供。飢餓者(ウエルモノ)の影響が消えた今、弱いものから次々に命を落としてしまう状況だ。

 

 

「………夢物語のように聞こえるかもしれないが、オレの話を聞いてくれ」

 

 

 その事を聞かれるであろうのはリムルもアティスも判っていた。故に、打開策はないか、夜な夜な2人で話し合ってみていたのだ。そして、強ち夢ではない、と言う事も今確信できている。

 

――人間相手では、きっとこうはいかないだろうから。

 

 

「森にすむ各種族間で大同盟を結べたらどうだろうか」

『大同盟……』

 

 

 

 其々の種族は独立していて、殆ど鎖国状態か領土を広げるかだ。自然の摂理に従って、淘汰されたりもした一族もきっといるだろう。でも、大同盟は違う。

 

 つまり、オーク達の数は、その力は 労働力として活用できる。その対価を、見返りとして住む場所、そして飢える事の無いように食糧を提供する。軌道に乗れば、互いに助け合い、無論ボランティアじゃないのでそれに見合った対価を支払い……良い循環を生む。

 

 行きつく先の理想。

 

「他種族共生国家、ですね」

「ああ。それが一番面白いし、何にしても平和が一番ってな」

 

 

 全ての話を聞いた所で、おずおずと口を開いたのはオーク達だった。信じられない、と言わんばかりの表情で。

 

「わ、我々がその同盟に参加してもよろしいのでしょうか………」

 

 その問に関しての答えは1つだ。

 

「ちゃんと働けよ? サボる事は許さんからな?」

「甘えはダメですから。……流石にそこを護る!! とまでは言いませんからね?」

 

『もちろん……、もちろんです!! この命尽きるまで働かせてもらいます!』

「い、いや、死んじゃうのはダメですよ!! そこ! そこです! そこ護らないとなんです!」

「言葉の綾だろ。心意気として受け止めてやれって……」

 

 リムルは、オーク達の言葉を聞いて慌てるアティスにツッコミを入れた。

 僅かな間だが、穏やかで、和やかな空気に包まれた。……ほんの僅かな時ではあるが。

 

 まず、リザードマン達が跪いた。

 

「我ら、リザードマンに異論はありませぬ。ぜひ、協力させていただきたい」

「??」

「??」

 

 参加してくれるのは有難い。でも、リムルもアティスも跪く意味が判らなかった。

 

「(あれかな。仕来り?)」

「(かもしれませんね……。と言うか、リムルさんが知らない事で、オレが知ってる事って殆ど無いって思ってくださいね? 向こう(・・・)の話なら兎も角)」

「(それもそうか。……でもなぁ、未だにオレだって全然だ。まぁ、スライム歴は短いから仕方ないと言えばそうなんだけど、魔物の常識って難しい)」

「(追々ですね……、こっちでも勉強は必要って事でしょうか。そういう勉強は苦手って訳じゃないですが)」

「(一先ず、オレ達も2人から降りる?)」

「(OKです。上からなんて、正直気が重くなりそうですから)」

 

 2人の脳内会議(スキルを利用した会議)を終えて、其々の柔らかい膝上から、ひょこひょこ、と降りようとした所で、2人に抱き留められた。

 

「何をなされようとしておられるのですか?」

「え? だって、礼を……とかじゃないんですか? ほら、オークの皆もしてますし」

「ふふ。アティス様はこちらに」

 

 促されるままに、丁度 シュナとシオンが座っていた長椅子にバランスよく二匹のスライムは設置された。鬼人たちも全員 オークやリザードマン達側に跪いた。

 

「(これって……)」

 

 ここまで来たら、アティスもぴんっ! ときて そそくさと降りる準備を。一応No.2ではあるんだけれど、リムルと同じ高見に入れる訳ないよね? と自分なりに理由をつけに着けて。

 

「まてコラ!」

「ぎゅむっ!」

 

 そうは問屋が~ とリムルに阻まれる。勿論アティスも黙ってない。

 

「これ絶対アレじゃないですか。これは流石にリムルさんですっ! 王は1人で良い! ってヤツです!」

「こき使うって言ったろうが! オレらは 一蓮托生。同郷で同族の好! 運命共同体! あー、もう 言葉で言うのめんどくせえ! 兎も角、お前の場所、こーこ!」

「うー、でも やっぱり不自然な気がして……、わぁわぁ! 融合する! 融合しちゃいますって! そんな趣味ないです!」

「何が融合だ! 好きでやってる訳ねーだろ! 成りは兎も角、心は野郎相手に!」

 

 きゃあきゃあ、と騒いでる所に咳払い1つして、収めるのはトレイニー。

 

「よろしいでしょうか。わたくし、トレイニーの宣誓をお聞きください」

「「は、はい……」」

 

 一瞬でまとめられてしまった2人。やっぱり、トップはトレイニーが良いのでは? と思ったのだが、その張本人からまさかの、いや、やっぱりなセリフが飛び出した。

 

 

「森の管理者として、ここに宣誓致します。リムル様をジュラの大森林の新たなる盟主として認め……、その名の下に“ジュラの森大同盟”は成立致しました」

「ほ、ほら! リムルさんですよね? えと……めいしゅ、は。オレそっち側で……」

「従える範囲ではあると思いますが、盟主の命には応えないと……ではありませんか? アティス様」

「ぅ……」

 

 トレイニーの言葉も最もだ。リムルは一瞬だけドヤ顔して見せたが、それも直ぐに消え失せて、冷や汗が出る出る。もう半ばやけくそである。とりあえず、観念した様子のアティスの事はがっちりホールド。

 

 

 

 

「えーーー、コイツもオレと 殆ど どーとー! ま、意見が割れる時はみんなに頼ったり、たすーけつしたりするかもだけど、だいたい、きほん、 どーとー! な! それまず最初に決定!! はいはい! ここでいったん休憩!」

 

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