メタリックなスライムになっちゃった   作:フリードg

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2話 森の最上位

 

 この洞窟内をまずは散策。

 

 冒険の基本は散策だ。自分の足で(ないけど)周囲をしっかりと観察して、何か無いかの確認。

 

「宝箱とかないかな……? んん、それにしても この辺、なーんでこんな黒焦げなの?」

 

 草とか燃えるような可燃物は殆ど燃やし尽くされるんだろう。

 何にもなくて 煤だらけになっている。こんな場所で何かが自然に燃える~なんて考えにくいから、きっと誰かが燃やしたんだろう。恐ろしく広範囲に。

 

「………何を燃やしたかは考えたくないなぁ」

 

 モンスターとか? 迷い込んだ人とか?? 残骸も死体も残さず灰にする炎なんて考えるだけで恐ろしい。メタルスライムなぼでぃ 持ってても怖いものは怖い。

 

「確か、ゲームでも とくぎっぽい技は メタルボディ貫通してたような気もするし……。一先ず、こいつらの攻撃は大丈夫みたいだけど」

 

 こいつら、と言うのはこの洞窟を住処にしているモンスターたちである。

 

 なんか大きなヘビやらクモやら、蝙蝠やら。

 気持ち悪い系の虫や爬虫類嫌いだったら それだけで即倒しそうな光景だ。

 

 ヘビの黒い霧っぽい何かは 触れたものを溶かしちゃうエグイ攻撃らしく、自分の周辺が溶けていっていた。それも飛び火して蝙蝠にあたったみたいで接近してた蝙蝠も溶けた。……なんかグロい事になっていた。

 

 クモの糸攻撃? みたいなのは粘々してて気持ち悪い。堅い糸も出せるみたいだ。

 

 沢山エンカウントしたが、運よく(スキル超絶運)躱せたり、逃げたりできてる。

 別に受けてもノーダメージだから逃げる必要ないかもしれないが、受けたくないのだ。攻撃受けて良い気はしない。害意ぶつけられたら気持ち悪い。殺気を浴びるの怖い、の三重苦だから。

 

「……やっぱり経験値くれるからって、人間だけじゃなくモンスターにも狙われるのか……。ふんっ、別に良いし! 逃げ切ってやるし!」

 

 倒してやる! な選択はせずに逃げ一択の手段を取る。

 

 ヘタレと言われるかもだが、いきなり剣と魔法な世界のモンスターと対峙して、ウラウラ~ オラオラオラ~ と無双できる程、対応力も順応力もない。

 

 せめて、色々と練習してから 襲い掛かって来てほしかった(……いや、欲しくないけど)

 

 スキルを駆使して 形態を液体状に変化。はぐれメタル化(自分で命名)

 

 かたーい身体がふにゃっと柔らかくなって 動く速度も相応にアップ。身体は柔らかくなったんだけど、実は堅いという矛盾した身体だ。でも、なんか良い。天井にへばりつく事も出来るし、防御力が更にアップしたのか、全然気にしない。見た目気持ち悪くて精神ダメージは来るけど。

 

 

「よし、撒いたな。……んん、こっちかなー、出口」

 

 うねうね~ とはぐれメタルの身体をそれなりに楽しみながら、僅かに漏れる洞窟内の光目指して突きすすむ。

 

 因みに神様から頂いたスキルの1つ《観察眼》がある。集中力が凄く上がってるみたいで、一度通った場所は忘れないし、構造図も大体が眼を通して頭の中に入ってくる。迷路みたいな洞窟だけど何のその。マップ情報? みたいなのが頭の中に浮かんでスイスイ進める。まるでゲーム、RPGのダンジョンみたい。 

 RPGなら迷いながら散策に時間をかけつつ、頑張って気付いたらレベルアップっ! なんて事が多々あるが、生憎これはリアルなRPG。さっさとイベントに進める方が良いに決まってるので、最短距離を導き出して、エンカウントは限りなく0で突き進む。

 

 そして、漸く辿り着いたのが出口。

 

「ここから外に出て、大丈夫かな……? ねぇ、いきなり 争いに巻き込まれる事ない?」

 

――解。周囲2㎞。魔素の乱れ、争いの鬨等は感じません。

 

「そっか。ありがとー」

 

 そして、もう1つ。神様に感謝したいのがこのスキル。

 

 エクストラスキル《賢者》。あまり事細かい説明はしてくれないらしいが、それでも話す事ができるだけでも十分心強い。なんでも、この上に《大賢者》と言うユニークスキルと言うのがあるらしく、そっちは教えてくれるだけでなく、スキルの解析やら、解除やら、オート運転やら、更に殆どの事を答えてくれたり、最善策に導いてくれたり~ と 正直チート。

 全ての面で当然ながら賢者よりも上位なスキルなんだけど。

 

『お主には これで充分じゃろ』

 

 強請った訳じゃないんだけど、そう言われて賢者のスキルになった。

 何だかんだと気にかけてくれたり、話し相手として授けてくれたりと、神様も孫の様に思ってくれてるかもしれない。

 

『……んな訳なかろう』

 

 と否定する声が聞こえてくる気がするが、そう思う位は許してくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふんふん~♪ ぷるぷるぷる~。『ボクわるいスライムじゃないよー』はぐれメタルだけどー♪」

 

 何だかんだでメタルなスライム生活を楽しむのが一番である。

 楽しい事が1つでもあれば、それを糧に頑張れる気がするから。

 

 でも、調子に乗ってると危ないのはどの世界でも共通みたいで。

 

 

 

“キッシャーー! キィキィ!! ガサガサガサ………!”

 

 

 

 モンスターの三重奏。トリオアタック、とでも名付けてみよう。

 空には蝙蝠、陸にはヘビとクモ。独立してて、モンスターもお互いに敵同士だと思ってたのに、まさかの共闘。当然ビックリする。こんな洞窟で囲まれた! 状態なんだから。それも気配をバリバリ絶っての突撃だ。

 

 

「うひゃああああっっ!!」

 

 

 でも、絡まれても、囲まれても、全力で逃げたい! と思いながら地を這い、宙を舞い? 世界を駆け巡ると、あら不思議。沢山に囲まれてても針の穴に糸を通すように、正確無比に逃げれる。

 

 モンスターたちにとってはストレスがたまる事だろう。攻撃しても避けられるし、追いつめたー、と思っても逃げられるし。

 

 ほんと、メタル系モンスターって感じ。

 

 

 相手はイラついていてもそんなの知らない。まさに逃げるが勝ち。

 

 

 そんなこんなで色々とスキルの試し、試行錯誤しつつ、逃げつつ、倒せそうな相手にはちょっと試してみたりしつつ、洞窟を抜け出す事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 日光がメタルな身体に降り注ぎ、何だかよりあったかく感じる気がする。

 と言うか身体の性質が金属だから、ただの太陽の熱を集熱しただけなんだけど、それはそれ、気にしなく日光浴。

 

 

「んーと、太陽(だよな?)の位置的に正午くらいかな?」

 

――解。現在時刻12:33

 

「ありがとー(時間の概念は元の世界と一緒、と)。さて、どこに進んだら良いかアドバイスとかあるかな? やっぱり他種族が暮らす集落を目指した方が良い?」

 

――解。接触し襲われる可能性、オーク=100% リザードマン=39% スライム軍=11.5% と推察されます。

 

「……選択の余地なしって事ね。スライム軍って 一見一番弱そうに想うんだけど、……逃げるオレだったら似合いかな?」

 

――解。スライム軍の推察。内部戦力。主戦力 鬼人。オーガの種族で極稀に誕生する上位種族。嵐牙狼(テンペストウルフ)。オーガ同様、牙狼族で稀に誕生する上位種族。牙狼族より名付けで進化する事例もあり。後は……。

 

「あーー、もーいいよ。いい。すっごいの判ったから! よくよく考えたら、えっと、暴風竜? とかを取り込んじゃったスライムがボスなんだよね? 嵐の狼って、まさにそんな感じだし」

 

 話を聞くだけでゲッソリしてしまう感じ。吐きたいんだけど吐けない感じに似てるかもだ。口無いからどうしても吐けないんだけど。

 上位種族、と聞いただけで メチャ強敵な感じがするし、それも複数の種族でだ。途中で話を切り上げてしまったが、何体いるか判らない。

 

「……えーと、怖い人? モンスター? を感知したら直ぐ教えて。頑張って逃げるから」

 

――了。ただ、何れにしても接触は推奨致します。身を落ち着ける場所は必要と判断しますので。

 

「お気遣いありがと。そーだよね。孤独ってきついし。………何百年~とか考えただけで寂死(さびし)しそうだし」

 

 現実世界ででもこんな感じだったかもなぁ、と思い返す。会社を、上司を訴える! とか完全な行動に起こせなかったのも、なんだかんだで繋がりが途絶えてしまうのが怖かったのかも。

 

「……な訳ない。オレは ただのヘタレ」

 

 と言う考えは即刻削除した。最後まで行動に移せなかったのはヘタレ属性のせいだと。相手が破滅したら可哀想~とか 考えててが出せないヘタレ。自分で言ってて恥ずかしいけど。

 

 

 そんなこんなで森の中をずんずん進む。幸いな事にモンスターらしいモンスターには出くわしていない。洞窟内の事を考えれば ここはエンカウントしない場所? って思える程だ。でも、普通の所謂森林フィールド。モンスターがいない、と言うのはどうも考えにくい。

 なので……。

 

「ひょっとして、オークっていうのが影響してるのかな? 喰い荒らしてるらしいじゃん……」

 

――解。森の異常はオークが起因しており、その影響が表れている、と推察されているのは正しいかと。

 

「やっぱし。……と言うかさ。オークってそんな強い種族だったっけ……? まぁ悪いイメージはあるけど」

 

――解。豚頭帝(オークロード)の出現により、勢力図が変わりました。豚頭帝(オークロード)とは 世に混乱を齎す厄災の魔物。生まれた時から持つのは 支配下にあるすべての者に影響を及ぼすユニークスキル《飢餓者(ウエルモノ)》。満たされる事のない飢餓を代償に、喰らう相手の力、能力を取り込み糧とします。

 

「うへぇ……、喰えば喰う程強くなるって事? なんか、そんなチートキャラ漫画でいたような気がする……。 んじゃあ、鬼食べちゃったんだったら、少なくとも鬼より強くて……」

 

――解。オーガの種族を取り込んだとなれば、この森一帯の通常種では歯が立ちません。

 

「………えーと、聞きたくないんだけど、しょーじき聞きたくないんだけど…… 一応。オレのぼでぃに、歯、たつ? ぼりぼりばりばり食べられちゃわないよね……?? オレ……」

 

 目をうるうるさせてる。

 目はない筈なんだけど、何処となくボディに目っぽい部分がある様な感じがしていた。

 

――解。歯は立ちません。

 

「ほっ……」

 

 冗談っぽい会話になってるけど割と本気でほっとした。神様信じてない訳じゃないけど、やっぱり何度も確認したいから。

 

――尚、硬度は、牙の硬度と咬筋力が合わさったとしても、傷1つ追わせず、如何なる酸、腐蝕性のある攻撃を受けたとしても、溶けもしないので、例え飲み込まれたとしても、力は奪われる事なく、後日排泄されるだけかと。

 

「そっかそっかー。よかったよかったー…………ん? って!! はいせつって、排泄っ!? それはそれで嫌ーーー! ぜーーーったい、いーやーー!」

 

 森の中に悲鳴が響いた。

 

 その悲鳴を聞きつけられたのか、或いは最初から目をつけられていたのか判らないが、突然木の葉が舞い散ってきた。まるで、意思を持ってる様な感じだった。

 

 勿論、その気配にも気付く。だって今までモンスターとか全くおらず、ピクニック気分と言われても全然否定しない。そんな中の突然の現象だったから。

 

 

「……えっと、ぜんぜん きづけ、なかった。逃げ……推奨相手?」

 

 

――解。森の最上位存在。樹妖(ドライア…)…。

 

 

 最後まで聞く事は無かった。

 自分が聞いておいて無視する形になるのは失礼! な気もするが、仕方ない。

 

 

「いきなりそんなのこわいーーっっ! 序盤で最上位ってなに―――っ!?」

 

 

 ぴゅぴゅ―――と逃げる逃げる。

 森の大樹の枝を、木々の間をすいすいと縫うように。流石はメタルスライム。防御力に目が行きがちだったけど、やっぱり特筆すべきはスピードだ。沢山の冒険者が、どんな勇者でも一度くらいはぜーったい逃げられた事はあるだろう。

 おまけに草木生い茂った森の中での逃避行動を捕らえられるものなどいるだろうか。

 

「神様ーー逃げれるよねーー!? だってだって 言ってたもんねーー!?」

 

 情けない、と思われても良いから逃げる逃げる。逃げるが勝ち。

 

 

 

 ただ――、この時失念していた。

 

 

 

 強運、超絶運は確かに作用している。どんな強敵でも逃げ切る事が出来るだろう。

 

 だが、今回の相手は危害を加える様な害意はない。

 

 つまり敵ではないという事。そして何よりも相手は森を知り尽くしていると言う事。

 

 それらの条件が合わさった事で天性の逃げ属性スキルを持ってるアティスに追いつく事が出来たのだ。

 

 

「……どうかお逃げにならないでください」

 

 

 追いつかれてしまった。否、回り込まれてしまっていた。

 

 つまり

 

 

 

 

――アティスはにげだした。……しかし、まわりこまれてしまった。

 

 

 

 

 と言う状態。

 ただ、もう1つ失念がある。アティスは この相手の事をしっかりと聞いてなかった、と言う事。かつての記憶を揺り起こせば、簡単に連想できそうな相手だというのに。

 ちゃんと考えてたら、ここまで怯える必要もなかったかもしれないのに。

 

 頑張って逃げたのに追いつかれてしまった、回り込まれてしまったという現実に恐れおののいている様子だった。

 

 

 

「突然の接触、相すみません。わたしは樹妖精(ドライアド)のトレイニー」

「(わ― あれだ―、逃げれない相手なんだ―。きっとイベント戦なんだーーー)」

 

 

 

 

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