メタリックなスライムになっちゃった   作:フリードg

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18話

 

「リムルさん。お客さんみたいですよ」

「みたいだな。なんか騒がしい」

 

 

 

 

 呼ばれて向かって ガチャリ、と開いた先は街の食堂だ。

 

 ちゃっかりとそこで美味しそうにご飯を頬張ってるのはよく知った人物だった。

 ただ、街の住人ではない。

 

 

「えーっと……、君たち、なんでここにいんの?」

「あれ? 確かリザードマンの……… ガビルさん?」

「これはこれは! リムル様にアティス様! アティス様、吾輩の名を覚えていただき感謝感激でございますぞ!」

 

 

 ガビルである。

 戦いの時は意気消沈していた気がするが、反省期間はもう終わっていた様だ。

 テンションMaxのお調子者なガビルに。

 でも魅せる所は魅せ、決して仲間を裏切らず 最後まで漢を魅せる者でもある。

 

「――……招待をした覚えはありませんね」

 

 アティスを抱いてるシュナが頭に記憶した帳簿を思い出しつつ……、ガビルの名がないのも確認できた。

 それを聞いて眉を顰めるのは リムルを抱えたシオン。

 

「では、斬りますか?」

 

 中々に過激な発言だ。

 会うなり斬られるとはたまったものではないだろう。

 

「シオンさんシオンさん。穏便に穏便に……ね?」

「はぅっ……、 はいっ!」

 

 すかさずアティスが諫める。メタルスライムスマイルは 女性陣には効果覿面で、シオンを止めるのには特に最善だったりする。

 そもそも流石にいきなり斬って、この場を血だらけにするのは アレだから、と言うのもあるだろうきっと。

 シオンは 大剣を握りしめてたが アティスに言われて(主にスマイルで)落ち着けた。

 

 

「あっ、突然の訪問相済みませぬ!! 吾輩の話を聞いていただきたい!!」

 

 

 10分程で ガビルは、ここまで来た経緯を説明してくれた。

 

 蜥蜴人族(リザードマン)を滅亡させかけた罪は死罪をもって償うつもりだったが、勘当で済まされたらしい。

 

 ガビルの父……現在はリムルが名前を付け《アビル》と名乗っている。きっと、彼には彼なりの思惑があるのだろう。そして、ガビルが後々にここへとくる事も。

 ただ――来るのが少々早い様な気もするが。

 

 

「……アビル(親父)さんに勘当されたってのは判ったけど、で? だからってなんで俺んとこに来るんだよ」

「今、まだまだ街も建設途中だからね……、直ぐに此処に住むのは難しいと思うよ?」

 

 

「必ず御二方のお役に立ってみせます! 住まいに関しましては、認めていただけるまでは無償で働かせていただきたい! どうか、吾輩たちを配下に加えてくださいませ!」

「何卒!」

「お願いいたします!!」

 

 ガビルを始めに、一斉に頭を下げる100名程のリザードマン達だった。

 

「他に行く当てもなさそうだし……まぁ、別に良いかな。ってあれ? 親衛隊長さんじゃないか」

 

 一番最後尾に控えていたリザードマンに ふと目をいった。皆皆同じ様に見えるけれど、親衛隊長……彼女だけは違ったから。

 

「あ、ほんとだ。え? 君も勘当を?? あんなに頑張ってたのに なんで??」

「混乱させてしまい申し訳ございません。私は勘当されたわけではありません。リムル様から名を賜った父の統率は100年は揺るがないでしょう。故に見聞を広めよ、と私を見送りだしてくれたのです」

「あー成る程……(アビルさん凄くなったし、親心ってヤツかな。子には旅をって)」

「ガビルの事といい、アビルなら確かに言いそうだ」

 

 アティスもリムルも納得してたんだけれど、ガビルは違ったらしい。混乱していたから。

 

「ちょっとまて! 吾輩を慕ってついてきたのでは……っ?」

「いいえ、違います」

 

 これでもか、ときっぱり否定してた。本当にはっきりきっぱりと。

 

「私、一応は兄上を尊敬しておりますよ。ですが、それよりもソウエイ様にあこがれておりまして………」

「がーーーんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、成る程。確かに あの時ソウエイさんが助けてたから きっとその時からだよね(イケメンだからかなぁ……)」

「おまけに すげー自信で、サラッと。更にはアビル達も助けたんだし、だよなぁ(イケメンだからだな)」

 

 アティスやリムルが色々と納得してる間に、ガビル達は口喧嘩を始めてた。

 『お前は昔から生意気!』だの『少しは自重を覚えろ』だの。

 ケンカする程仲が良い、と言うのを体現してる様だ。

 

 

「名付けが始まりますね……、あ でも今回はざっと100人くらいですし、リムルさん1人でも?」

「まぁ、100くらいじゃな…… あー、なんか麻痺してきた。アティスには他に仕事任せてたし、そっちの方を頼む」

「判りました。えっと、なのでシュナさん。ええっと、オレ行きますね?」

 

 アティスは抱かれてる為、シュナに行っていいかの確認をしてた。シュナは笑顔。微笑みを絶やさず笑いかけると、『私もご一緒致します』との事。しっかりとリムルに許可を貰って。

 

「お2人の護衛、お世話は私達が責任をもって執り行いますので! ご安心くださいませ!」

「では、シオン。リムル様をお願いします」

「はい、姫様」

 

 

 因みに、シオンとシュナは日替わり交代でリムルとアティスのお世話係。

 リムルとアティスは四六時中一緒にいる、って訳じゃないので こういう感じに収まった。

 

 ……色々と良いのかな? と思う所はあったものの、本人たちが強く希望してるし、逃げれないので従う事にしたのはアティス談である。

 最初こそは2人ともが其々美女、美少女、と言った感じで役得! と思ったりしたのだが、何処まで行っても種族がスライムだと言う事と、何だか時折怖いオーラが2人に見えるので やっぱり生前と同じく何処まで行っても肉食にはきっとなれないんだな~ と苦笑いするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 アティスの今日の仕事は、進捗状況の現地での確認だ。

 

 因みに、アティスが何かを指示する訳ではない。皆黙々と自身の腕を振るえば振るう程に良くなっていくから、指示する事が何にもないし、そもそも 前世? 生前? つまり 人間だったころの仕事はデスクワークが基本だったから、畑違い。

(出来ない訳ではなく、アティスには賢者と言う心強い味方がいるから、それなりには知識をそろえて熟す事は出来る)

 

 

 でも、やっぱりアティスが見に来てくれるだけで気が引き締まるし、皆喜ぶ……と言う事もあって 見回りの様な事をしているのがアティスの大切な仕事、と言うより日課だ。

 

 

「菜園と街の厨房……、危惧してた食糧問題も 思いのほか順調! ほんと日に日に活気が増してきますよね。短期間でほんっとに凄い!」

「ふふふ。そうです。アティス様の為に、私が存分に腕を振るいますね?」

「嬉しいです! シュナさん」

 

 スライムになって食事等は摂らなくても良いんだけれど、やっぱり美味しいものは食べたい。人間化する事が出来るので、味覚も楽しむ事が出来るから、美味しいものを食べる時は何度もリムルに感謝の念をアティスは送っていた。

 

「そういえば、リムルさんが今度、食事会を開いてくれる~って言ってたかな」

「……え? 私は聞いてませんよ」

「あれ? そうなんですか??」

 

 シュナはそれを聞いて少し頬を膨らませていた。リムルに限って仲間外れにしたり~などは考えられないが、料理や裁縫、そっち方面の分野でシュナに声をかけていないのは珍しい。ただ、まだかけてないだけかもしれないが。

 

 

 

 勿論、それはワケ(・・)がある。――――この時のアティスは想像をもしてない凶悪極まりないはワケ(・・)が。

 

 

 

シオン(・・・)さんが腕を振るって楽しませて~ って言ってたんですけどね。てっきりシュナさんにも伝わってるとばかり思ってたんですけど。……んーリムルさんも忙しいし、まだ伝わってなかっただけかな?」

「……えっ?」

 

 アティスの言葉を聞いて、思わず身震いをするのはシュナ。しっかりとアティスを抱きしめてる為、伝わっているんだけれどあまり気にしてない様子だった。

 

 

 ちゃんとシュナの様子を気にしてたら……まだ暫く後にはなるが、惨劇(笑)は回避できたかもしれないのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして1時間後の事。

 リムルの部屋に戻ってきたアティスは(今度は1人で)、リムルがスリープモードに入ってしまってるのをみて少しびっくりしていた。

 

「あれれ? えーっと、なんでリムルさんすりーぷもーどに?」

 

――解。リザードマン達への名付けの影響と推察。

 

「え? 確か100人くらいだった筈で、それ位じゃ問題ない、って思ってたんだけど……」

 

――告。蜥蜴人(リザードマン)龍人族(ドラゴンニュート)へと進化。進化に見合う魔素が必要となります。

 

「成る程……、それでなんだ。名付けって難しいし、危ないんだね………。変に覚えてなくてほんと良かった」

 

 べちょりと溶けた状態のスライムになってしまってるリムルを見ながらアティスは納得していた。最後のトドメがガビルの名付けだったらしい。元々名前を持っていたガビルだったが、リムルに上書きされる形で新たな力を得る事が出来たとの事だ。

 

「うーん。ねぇ、賢者さん。スリープモードのリムルさんを助ける事って出来るかな? ほら、後々を考えて」

 

――告。完全に低位活動状態(スリープモード)に移行した場合における魔素の供給は不可。

 

「そっか。直前じゃないとダメなんだね。……よっし、リムルさん動けないんじゃ、オレが頑張らないとだよね! しっかりやるので安心して眠っててください!」

 

 人型へと変身し、リムルに一礼したアティスはささっと仕事に戻っていった。

 せっせ、せっせと 他の皆に負けずと劣らない働きを見せ、空いた時間はちゃんと休むし、真面目なアティスは、より増し増しで皆の信頼を得るのだが、誰も(リムルに言われてるから?)シオン料理について教えてあげる人はいなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 更に数日後。

 

 

「ぃよーし、今日もスキルの練習頑張ろうかな。マザーっ! 今日も宜しくね」

――了。 

 

 アティスのスキル賢者は、人知れず進化を果たしていた。

 当初より 甘えるかの様に何度も何度も賢者に話かけ続けた事で 得た 相談者(ソウダンシャ)との統合、更に一番は 意図せず内に、リムルの大賢者に対して物真似(スキル)が発動して、能力が急向上。

 

 

 賢者は ユニークスキル:聖母(マリア)へと進化した。

 

 

 普通、賢者とくれば次は大賢者じゃ? と疑問が浮かんでいたアティスやリムル。実際に大賢者のスキルを持ってるリムルがいたから尚更だ。話を聞けば転生する時に賢者⇒大賢者に進化を果たした、とあったらしいから。

 

 でも、アティスとのやり取りを見たり聞いたりしてたら、時々 スキルに時折よく感じる淡泊な反応の中に まるで母親の様な温かさもあったから、別に名に違和感はなかった。因みに大賢者にリムルが確認した所、賢者からこのスキルに派生したのは判る範囲では初らしい。

 

 最初は照れくさそうにしてたアティスだったが、満更でも無い様で、聖母を《マザー》と呼ぶ様にしたのだった。

 

 

 

 

 

 そして今。

 

 アティスは仕事だけではなく、自分自身のスキルについてもしっかりと練習する事にしていた。 皆を護る! と大口を叩いた負い目も少なからずあるのだろう、大言壮語にならない様にする為にだ。

 

「街を覆う位の粒子を飛ばすのって、制御が難しいかな? マザーに制御を手伝ってもらうのもアリだけど、有事の際によりスムーズに、安全を最優先で、って考えたら自動(オート)手動(マニュアル)も両方やってた方が良いって思うんだよね……」

 

――はい。間違いではありません。尚、魔素の操作能力の向上により、あらゆるスキルへの能力向上が可能となります。

 

「だよね。んんーでもさぁ……粒子状になるだけでもこれだけ大変だし、神経使うし……。やっぱマザーに頼った方が良いかなぁ……」

 

――リピート再生実施。『皆はオレが護ります』

 

「わーわ―っ! リムルさんみたいな事しないでっっ!」

 

――『ぃよーし、今日もスキルの練習頑張ろうかな』

 

「わか、わかったから! わかったからヤメテ! がんばるからっ!!」

 

 

 

 母とは、甘やかすだけではないのである。

 時には厳しさも必要と言う事だ。

 

 

 

 ひーひーと マザーに尻を叩かれながら、スキルの練習に励んでいたその時だった。

 街の北の空に異変を感じたのは。

 

 

 そして、異変を感じたと同時に 粒子状に飛ばした魔素から視覚的情報もキャッチ。

 無数の影が、こちら側に迫ってきているのが見えた。

 

 

 

「……何アレ? 鳥?」

――否。天馬(ペガサス)です。

 

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