メタリックなスライムになっちゃった   作:フリードg

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短めです すみません……m(__)m
漸くあの魔王が出てきそう……


20話

 

「………来ましたか」

 

 

 男は、薄く目を開くと来訪者に視線を向け、小さく呟く。

 これで揃ったのは広く大きな部屋にたった4名。しかし、たった4人としても決して侮る勿れ。

 

この者達は――魔王なのだから。十大魔王と呼ばれる者達の内の4名なのだから。

 

 魔王の会議――それを進めるのは魔王クレイマン

 

「集まった所で進めましょうか。……残念な事に、今回の計画は白紙と言う事になりそうです」

「――なんだと?」 

 

 クレイマンの一言にぴくっ、と眉を上げるのは まだ幼さが残る少女の様ないで立ちの魔王。

 

 ……だが、決して、―――けーーーっして、外見で判断する事勿れ、この少女がこの4名の魔王の中でも最古にして最強の名を欲しいままにしている魔王ミリムなのだから。

 

「ちょっと待つのだ! では、豚頭帝(オークロード)を魔王化させるという話が無くなる、と言う事なのか!?」

 

 ミリムは乱暴に椅子から立ち上がると、鋭い眼光をクレイマンに向けた。

 白紙と言う事はそういう事だろう……? と内心呆れつつもクレイマンは、慌てる事なく……宛ら紳士の様なふるまいで落ち着き怒れる魔王ミリムに告げた。

 

「ですからミリム、言ったでしょう? その豚頭帝(オークロード)が死んだ、と。なら、この計画は白紙に戻すしかないでしょう。魔王化しようにも もういないのですから」

「ぐぬぬ……」

 

 まさに、ぐうの音も出ないとはこのことだろう。でも、怒りが収まらないミリム。楽しみにしていたのに、といった様子だ。

 

「久々に新しい魔王(オモチャ)が生まれると思ったのに! つまらぬのだ!! どこのどいつなのだ!? 豚頭帝(オークロード)を倒したのはっ!」

「それも含めて、全てをお話しましょう。……まずは 今回の計画を持ち込んだゲルミュッドの事の顛末についてを」

 

 魔人ゲルミュッドについては、この場の4人の内3人が知っている。今回の計画を持ち込んだとされる魔人なのだから。

 

 顛末を話そうとするクレイマンを遮る様に、獣の様な鋭い眼光とそれに見合う闘志、体躯を持つ獣人族(ライカンスロープ)の 獅子王 魔王カリオンが口を開いた。

 

「ゲルミュッドの野郎は死んだんだろ? 急ぎ過ぎたんだ。計画の言い出しっぺが出張って返り討ちに合うなんざ、世話ねぇこった」

「そうなのだ! 全く、カリオンの言う通りなのだ! フレイもそう思うだろ?」

 

 カリオンに同調するミリム。ぷんぷんと、頬を膨らませながら怒る姿は、……本当に姿だけは幼女なのだが 中身が別物なのであまり刺激してはいけない。さりとて、ナァナァで済ます訳もいかないだろう。

 そして、ミリムに同意を求められた最後の1人。有翼族(ハーピィ)の女王 魔王フレイは 呆れていた。

 心なしか、その背に生える有翼族(ハーピィ)を象徴する大きな白い翅ががっくりと下にさがった様に見えた。

 

「あのねぇ、ミリム。私があなたたちの計画とやらを知る訳が無いでしょう?」

「むむ、それもそうか」

「ってかよ、なんでここにいるんだ? フレイ」

「それは私が聞きたいくらいだわ。面白いから来いって、ミリムに無理矢理連れてこられたのよ。私は忙しいって断ったのだけどね」

 

 ミリムには こういう所もある。色々と巻き込んでしまうと言う性質が。その尻拭いを毎度しているフレイは もう慣れっこだと言っていいかもしれないが…… 慣れたくはない様だ。

 

「いいのかよクレイマン」

「…………」

 

 口には出してなかったし、表情にもなるべく出さない様にしていたクレイマンもフレイの登場には 驚きを隠せられなかった。ミリムが巻き込んだのだろうコトは理解出来たが、改めてカリオンに言われると頭が痛くなる気分だ。……だが、彼は計画(・・)に多少影響があった所で、結末は変わらないと言う自信がある為、そのまま進めていたのだ。

 

「今更でしょう」

「違いないな」

「……では、本題は此処からです。計画は頓挫してしまったわけですが……、少々軌道を修正してやればまだチャンスはあります。まずはこれをご覧ください」

 

 4つの水晶玉を取り出すと、そこに映像が映し出された。

 

「なんだこりゃ?」

「これはゲルミュッドの置き土産です。……計画が頓挫した原因が此処にあります」

「むむ、見えてきたぞ。……? なんなのだ、こいつら。鬼人か?」

 

 全員が注目する中で、映像は流れ続ける。無双する鬼人たち。牙狼族の変異種、……そして仮面をつけた空飛ぶ魔人?

 

 クレイマンは 考察を加えながら説明する。あのジュラの森で何があったのかを。豚頭帝(オークロード)がどうなったのかを。

 

 そんな説明を聞いていたのは、フレイとカリオンの2人だけで、ミリムは目を輝かせながら見入っていた。

 

「おお……っ、面白そうなのだっ! これは、面白い! ……む?」

 

 見入っていて、良い所で途中で映像が途切れてしまった。

 

「ゲルミュッドが死んだせいでこれ以降の展開は不明ですが、判る通り鬼人を中心とした魔人が多数存在しています。故に豚頭帝(オークロード)は倒されたのだとみるのが現実的でしょう」

「もしも、生き残っていた場合、彼らを餌に進化。―――魔王へと進化している、そうでなかったとしても彼らの中には魔王に相当する力をつけている者がいるかもしれない。なるほどね、つまり貴方たちの計画と言うのは新たな魔王の擁立――といったところかしら? 違うミリム」

「…………む、むむ?」

「ミリム? ………はぁ、随分気に入った様ね」

 

 何度も何度も映像を見ては戻し、見ては戻しを繰り返しているミリムを見てため息。豚頭帝(オークロード)にしろ、鬼人たちにしろ、ほぼ間違いなくミリムに目をつけられたのは間違いないだろう、と内心フレイは どちらが生き残っているかははっきりわかっていないが、同情をしていた。

 

「でも、呆れる程大胆なことを考えたものね。あの森が不可侵条約に守られているコトをお忘れ「ちょっと待つのだ!!」っ、ってどうしたのよ」

 何度も何度も映像を見てるミリムが突如、大声を上げながら立ち上がった。

 

「この感覚、まさか……、ひょっとして? もしかして?? でも実際見てみないと……。でも、そうなのだ??? どうなのだ、フレイ!」

「……判らないわ。ちゃんと話してくれないと」

「ええい、ここを見るのだ! ここなのだ! ここが重要なのだ!」

 

 ミリムは、差し出す様に水晶をフレイの眼前に出す。

 

「この飛んでる仮面をかぶった……魔人? それがどうかしたのかしら? 見たところ……、いいえ、これだけの情報じゃ何とも言えないけど 角がない所を見ると鬼人じゃなさそうね」

「違う! そうじゃないのだー。話の肝はそこじゃないのだ! 感じないのか!」

「……うん。綺麗に取れてるわね。最後まで頑張ってくれてたら良かったのに。先が見たかったわ」

「そうなのだ!! ゲルミュッドのヤツ、もうちょっと粘ってくれたら、より確信持てたと言うのに! でも、この感じは………」

 

 ミリムが1人だけ盛り上がっている。支離滅裂な会話だが さらっと流す辺りフレイもミリムの扱いは多少慣れがやっぱり見えるのかもしれない。……が、今回のコレはいつものミリムとはやや違う気もする面々。

 

「こほん。フレイの言う通り、不可侵条約に守られてる森ではあります……が、これはゲルミュッドが持ち込んだ計画なので、我々魔王が直接動いた訳でもなく、抵触はしませんよ」

「………(どうだかね。操ってたのでしょう? クレイマン(あなた)が)」

「まぁいいじゃねぇか。大群率いて攻め込もうって訳じゃねぇし、そもそも強者を引き入れるチャンスって訳だからオレも乗ったんだ。ミリムがどこに釘付けになってんのかは、オレもよく判んねぇが、オレは断然この鬼人の野郎たちだな。面構えが気に入った。間違いなく豚よりこっちの方が美味そうだ」

 

 陰謀渦巻く魔王たちの会談。

 クレイマンがゲルミュッドを操り、豚頭帝(オークロード)を そして新たな魔王を誕生させようと目論んでいたのは、フレイの考え通りだ。そして、それを失った痛手はあるものの、彼の笑みは消える事は無かった。

 

 ただ――ミリムだけが気がかりだ。映像を何度も見直しているのは気に入ったから、と言う理由だろうコトは判る。だが、見る戻すを繰り返し続け、10を超えた辺りからは流石に気になった。

 

 クレイマンも何度か見ているが、ミリムがそこまで注目する程の者達か? 何を注目しているのか? と改めて聞こうとしたその時だ。

 

 

 

「うむ、善は急げと言うヤツだな、この目で確かめてくるのだ!! 次いでに生き残った者達へ挨拶に行ってくるのだ!」

「「!」」

「……は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場面は 魔物の街。

 

 

 

 

□□ リムルの家 □□

 

 

 

 

 

「オレにくれ」

「ダメ」

「ダメか?」

「絶対ダメ」

「どうしてもダメか?」

「どうしてもダメ」

「交渉の余地なしか?」

「余地なしだって。っというか何度するんだよこの会話。さっきから言ってるだろ? ずっと続けてたら、アイツらから暴動が起きるぞ、そろそろ」

 

 

 ドワーフ王 ガゼルは盃を片手に食い入るように、熱心にリムルに交渉を続けていた。宴会中で、酒を飲み交わしていたのだが、今、傍にいるのはリムルとアティスだけである。他の者達がいた時が、かなり大変だったからだ。主にシオンやシュナ、そしてトレイニーも例外ではなく。

 

 

 

 ガゼルが熱心に求めるモノ――それは、リムルの傍でふるふると首を振ってるもう一匹のスライム。

 

 

 

 

「……ちょっとでいいです! オレの意見、尊重して聞いてくださいよっ!」

「うむ。無論、待遇、報酬、様々なモノを弾むぞ」

「何度言われてもNOです! NOと言えるメタルスライムなんです!」

「まぁ先は長い。ゆくゆくはと考えてくれ」

「ダメです! イヤです! そもそも、トラウマなんですーーー!」

 

 

 大きくバッテンを腕で作って首を振るアティス。

 

 

「トラウマ克服出来てそうだけどな……、本人の前で言えるトコを見ると」

 

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