メタリックなスライムになっちゃった   作:フリードg

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更新速度上がって嬉しいですm(__)m

でもあまり進んでないのが残念です……m(__)mm(__)m 気長に付き合っていただけたらな、と( ´艸`)


21話

 

「アティス様は渡しませんっっ!」

「少しくらいよいではないか」

「少しもダメです!」

「なんか、オレ モノみたいに扱われてないっ!? 少しってなに! と言うか さっきも言ったけど オレの事そんちょーしてよっ!」

「我儘言うでない」

「オレがわがままっ!? 王様って こんなジコチューなのっ!?」

 

 

 

 暴動こそ起こらないにせよ、やっぱり シュナやシオンが参戦してきて大混雑した。

 トレイニーは涼しい顔でお茶をすすっているが、アティスがドワーフ側へ行こうものなら、全力で阻止するだろう。光の神G.O.Dとの約束の様なものがある……と暴露してでも。

 

 

 ガゼル王も、最初は威風堂々、威厳も有り これぞ王者……と思わせる風格だったんだが、何だか飲み屋で絡んでくるオッサン先輩って感じになってしまっている。

 

心底アティスを気に入った事と、酒がそれなりに入ってるからのテンションなのだろうか……、或いは 本気でアティスを口説こうとしているのか、或いはその両方か。

 

 

「(それにしてもなーんで こんな風になったんだったっけ?)」

 

 

 リムルは、ガゼルの相手を最初してたんだけれど、乱戦が始まったと同時に一時避難し、酒を片手に チビチビと飲みながら思い返していた。

 

 そんな席の隣にやってきたのは ハクロウ。

 

「ほっほ。儂が原因の一端であるでしょうな」

「ハクロウ……、考え読まないでくれよ。まぁ、確かに それはあるか。一端じゃなく発端だ」

「ほっほっほ。そうとも言うかもしれませんな。……しかし、今日は 良いモノを多数見せていただきましたぞ。かつての小僧……弟子の成長も然り。そして 何より―――」

 

 ハクロウは アティスを見た。シオン達に揉みくちゃにされながらも、必死に否定している姿は見ていてつい笑ってしまう。

 

「アティス、か?」

「勿論ですとも、リムル様。……鍛えがいのある御方ですな。まだまだ我流で あれ程まで剣を使うとは。型に嵌れば更に倍増し……比例して強くなるでしょうな」

「ん、んー アイツも大概反則だよなぁ……」

「何でも喰らい、如何なる傷をも一瞬で再生されるリムル様もアティス様のコトは言えませんぞ。……それにしても 魔素融合(ユニゾンレイド)を見せられた時から、アティス様のお力は気付いておりましたが、剣については此処までとは思ってませんでした。リムル様との特訓の成果でしょうな」

「そんな大層な事してないって。んでも、アイツのあのスキルがこれまた応用力半端なくて……。なのに、なーんで アイツって自分をあそこまで過小評価すんのかなー」

 

 リムルは ぐでー、っと樫木で拵えたテーブルに突っ伏した。どうやら、流石のリムルも色々と疲れた様だ。精神的に。

 ハクロウは 少し笑みを見せた後、目を閉じる。そして アティスの姿を目に浮かべながら自身の考えを言葉にした。

 

 

「――力を持てば誇示したがるもの。それが強大であればある程にその欲は増し、軈ては支配欲とも繋がりましょう。数多の魔物を引き連れ、国を作り、領土を拡大させ……弱肉強食とはそういうもの。……ですが、アティス様には()と言うものが無いといっていい。ただ、お優しいだけでは片づけられませんな」

 

 

 魔物の世界であれば、確かにハクロウの言う通りアティスは異端だろう。だが、リムルは大体は判る。そもそもかつての世界は、確かに世界を見渡せば まだ修羅な国はあるけれど、平和と言っていい自分達の国では そんな血生臭い争いなどは無いから。幾ら力を持っても、いきなりこんな世界へやってきて、最強じゃー! と立ち回れるような事はそうそう出来ないだろう。

 

「んー、ハクロウも大体判ってると思うけど、オレもアイツもちょっと特殊な魔物(スライム)でな。まぁ 色々察してくれよ。間違ったり裏切ったりは絶対しないって、そこは保証するからさ」

「ほっほ。あなた方の何を心配する事がありましょうか。心配など毛ほどもありませぬ」

 

 

 リムルは ハクロウと酒を飲み交わしつつ あの時の事を思い返す。

 

 

 

 確かに、あの時のアティスは 正直圧巻の一言だ。嫌だ嫌だ怖い怖いと言いつつも……最後にはちゃっかりやったのだから、トラウマって何? と言いたくなる。

 

 あの時――リムルとガゼルは剣を交えた。

 

 トレイニーがガゼルの無礼を力づくでも収めようとしたが、そこをリムルが制し ガゼルの挑発に乗ったのだ。無害で愛らしいスライムだと証明する為に、剣を交えた。

 

 結果は――リムルの勝利。ただ、内容を見れば勝てたのか? とリムルが聞かれれば首を横に振るだろう。

 

 剣の腕の差は歴然だった。どんな角度からの攻撃も、どんなにスピードを上げても、全て受け流される。それだけでなく最小限度の動きだけで全て受け流されてしまう。立ち合いの最中一歩も動かなかったのはリムルにとっても苦い経験だろう。

 

 

 

『リムルさんっ! いけーーー! やっちゃえー!』

 

 

 

 後ろから何処の近所の子供(ガキ)だ? と思いたくなる様な声援を受け取りつつ、どうにかガゼルのスキルを防ぎ、剣による攻撃を防ぎ…… そして、ガゼルは降参した。

 

 

『こやつめ、オレの剣を受け止めるか。ふははははははっ!』

 

 

 大笑いしながら。

 どうやら、剣を通して本質を、本性を探ると言うのは本当だったらしい。100の会話を重ねるより、1度ぶつかり合い。剣をこれだけ交えば十分だと。

 

 

 

 

 

 

 

 

『(アレ……? そんなにひどい人じゃないのかな……?)』

 

 殺伐とした決闘の雰囲気が霧散していくにつれて、アティスもどうにか戻ってくる事が出来た様だ。 ガゼルの表情も、怖いけれど柔らかいものになっていっているのが判るし、何より『邪悪な存在ではないと判断した、良ければ話し合いの場を設けてもらいたい』と言っていて、それが嘘だとは思えなかったから。

 

 そして、驚いた事にハクロウの弟子だったらしい。

 太刀筋が似てた……? と考えてみたアティスは、リムルの応援に全力で、全然思い出せなかった。少し呆れ気味な聖母(マザー)に聞いてみると、シンクロ率90%オーバーとの返答をもらえた。

 

『(ハクロウさんの弟子なら、そんなひどい人な訳ないよね……。と言うかオーサマだし? う、うーーん…… そういえば、あのせんせーも、凶悪で豪快だけど、こんな一面もあったよーな、なかったよーな……、ぅぅ 頭が痛くなる思い出の方が強すぎて、直視できない……)』

 

 色々な考えがぐるぐると頭の中を回っていたが、何にせよ 決闘は終わったし、これにて一件落着な雰囲気だったので、アティスは 何食わぬ顔でリムルの影に戻ろう――としていた時だった。

 

『剣鬼殿の弟子であれば俺の弟弟子でもあり。今後とも負けられませんな』

『ほっほ。ですが、リムル様だけではありませんぞ。アティス様のお力も強大。……儂も斬る事はかないませんからな』

『……なんとっ!?』

 

 

 この辺りの会話から雲行きが怪しくなり始めた。

 

 

 色々と考えている間に、アティスは摘まみだされ、ガゼルの前にやられ、何故か剣を交える! と言う事になってしまった。

 

 

 

 

『なんでこーなるのっ!?』

 

 

 

 目も合わせられない、姿なんか見れない、って思ってたばかりだったのに間近で接する事になってしまったのだ。

 

 

『アティスと言ったな。気が変わったのだ。話し合いをする前に、一度手合わせ願いたい。……剣鬼殿が斬れぬ、と言うその剣。オレも見てみたい』

『い、いやいや、それオレの身体が堅くて斬れないってだけですよっ!?』

『ほほう……それ程までに堅牢だと。剣鬼殿が斬れぬと言う程の……』

『変な目で見ないで! だからって、試し切りなんてさせませんからね! そんな怖いことっ! と言うか話を聞いてーー!』

 

 

 

 

 やいやいと言い合ってて(アティスが一方的にわめいてるだけ?)進まないので、ここはリムルが前に出た。

 

『えー、オレ達魔物の街の事をよりよく知ってもらうため、ドワーフ王との円滑な話し合いをする為、アティス君には頑張ってもらいたいと思ってまーす』

『ちょっと、リムルさーんっ!』

『うっさい! さっきお前全力で逃げようとしただろーが! 前々からコキ使うって言ってるし、敵前逃亡なんてもっての外だ! と言う訳で、オレの時はトレイニーさんが立会してくれたから、今回はオレが立ち会うって事で、はじめ!』

 

 

 

 有無言わせぬとはまさにこのことだ。

 

 はじめ、の一言の後 本当に始まってアティスは 『へぶっ!』とぶっ飛ばされてしまった。ガゼルの放った剣は まさに一撃必殺。技よりも力、剛力を生かした太刀筋。

 元々、アティスの事も調査対象に上がっており、話し合いの場にて聞き出そうと考えていたのだが、今は変わった。

 

 剣鬼(ハクロウ)――自身の師が斬れぬと言う身体を心底体感してみたかったと言うのが正直な気持ちである。

 

『ぬ……!?』

 

 剣でぶっ飛ばしたのは良い……が、アティスはいつの間にか戻ってきていた。吹き飛んだ先々の木々やら岩やらで反射に次ぐ反射、アティス自身の体術? 身体さばき? で、あっさりと戻ってきていた。

 

『び、びっくりした……』

『ふはっ、真実であったか。我が剣を受け、傷1つないとはな。姿形はリムルと変わらんが、中身は別物らしい。彼方へ飛ばす勢いだったのだが、容易く戻ってくるのも驚きだ』

 

 リムルをちらりと見るガゼル。 

 けしかけたリムルだったが、どんなもんだ!? と誇らしい顔も見せていた。アティスが吹き飛ばされてしまったのにも関わらず、全く心配をしていなかったのだから。

 

 これだけでも十分な収穫。世界はまだ広い。英雄王とも呼ばれているガゼル自身も知らぬ事が多く、その1つを体験出来ただけでも僥倖だと判断し、切り上げようかと思った矢先に、プルプルと震えるアティスの姿があった。それは、先ほど 幼子の様に罵倒していた時のソレとは違った。吹っ切れた戦士の素顔だ。

 

『うぅーー! もー怒った! もっと驚かせてやる!』

『ほう?』

『リムルさんは、剣術だけで勝負してた(らしい……)けど、オレは違うから! 存分にスキル使ってやる!』

『ふは、面白い。使ってみろ。……お前を見せてみろ』

 

 

 アティスは、自身の頭の少し上に、光を生み出すと、その後 銀に輝く物質を生成した。

 

金属王(キンゾクオウ) 金属生成(メタルメイク)・剣!』

『ぬッ!?』

 

 きんっ、ききんっ、と鍔迫り合いの様な金属音が響き渡ると同時に、アティスの上にある物質が、無数の剣に代わる。

 

『多勢に無勢っぽいけど、確か300年前だっけ? 指南の年期が全然違うんだから、これくらいは許してよね! いっけーーー!』

 

 剣が生き物の様に、ガゼルへと迫る。

 

 

 

 

『成る程、確かに驚いた。ほほう、全ての剣、その太刀筋も悪くない』

 

 しかし、そこはハクロウを師に持ち、英雄王とも呼ばれる剣の達人であるガゼル。

 如何に無数の剣を持ってしても、まだまだ素人同然、付け焼刃な太刀筋で、一撃入れれる筈もない。 余裕を持って捌き、受け流し、叩きつけ、一本一本流れる動作で処理し続ける。

 

『なかなかやるではないか、アティスよ。面白いぞ!』

『まだまだ、驚くのは早いよ! もっとだ、生まれろ金属王(キンゾクオウ)!』

 

 アティスは、ペタっ、と地面に手を付けると、アティスの魔素が大地を這い、ガゼル周囲10m程に広がる。綺麗な緑の芝生が ガラリと変わり、これが本当の銀世界。

 

『……っ、成る程、大地をも剣に変え、出させるか!? これは良い! 空と大地からの剣撃とは恐れ入るな! ふはははははは!』

『うぐぐ、笑わないでもっと驚いてよ! オレ、アレだけビビらされたのに!』

『それは知らんが、これは面白い。久しくない感覚だ。四方八方攻められるなどな! 修行時代を思い出す! 否、新しい! もっとだ、もっと来い!』

 

 

 アティスが頑張ってるのか、ガゼルが遊んでる? のか…… 途中から判らなくなってしまったのだった。

 

 何にせよ、これが アティスを気に入った原因の1つ。更に言えば 剣を生み出し続けるスキルにも着目し、ドワーフ王としても是非欲しくなったと言うのもあったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほっほっほ。あの後、最後に アティス様自身も剣技を披露し、ガゼル王も更に満足しながら受け止め……、それで収まりつかなくなったので、リムル殿が仲裁したのでしたな」

「まぁ、オレがはじめの合図出したし、仕様が無いかな~、って」

 

 リムルが止めて、ガゼルも満足したようで 再び敗北宣言をした。

 リムルの時同様の歓声が上がり、アティスは揉みくちゃにされたのは言うまでもない。護りを主としていたアティスが、ここまで戦ったのは 初めての事だったから。

 

「ほほ。アレもまた、懐かしい光景でした。そう、困難に直面した時、ガゼル王…… あの小僧はああやって笑っていたのです。笑って笑って乗り越え、強くなっていったのです」

「って事は あの強さを持ったガゼルを笑わせたアティスって何気にヤバいって事だよな?」

「うむ。最後の剣技もまだまだ粗削りな所があるもののお見事でした。勿論、リムル殿同様、まだまだですが」

 

 懐かしむハクロウ。なんだか 鼻が高いと感じるリムル。

 アティスの『絶対嫌ですーーー!』をBGMに暫く酒を飲み続けるのだった。

 

 

 

 

 

 暫くたった後。

 

 

「リムルよ。オレと盟約を結ぶつもりはあるか?」

「………?」

 

 突然真面目な話に切り出された。リムルが言葉に詰まるのも無理はない。

 

「『何言ってんだ、このオッサン』みたいな顔をするんじゃない。それに『絶対にアティスはやらんぞ』とも考えているだろう? 貴様はあやつの母親か?」

「……前半は兎も角、アティスを好きになり過ぎてるから、そう思っちゃっても仕方ないんじゃない?」

「うむ。否定はせんが、今回は引き下がるとしよう」

 

 次回もない、と言いたいが、全く聞く気がないので止めた。アティスも行くつもりは毛頭ない、って断固反対してるので大丈夫だろう。

 

 ……ドワーフの国のお姉さん達に頼まれたら怖いなぁ、と頭に過ぎってしまったのは別の話。

 

「これは王として言っておる。この街は素晴らしい造りをしており、いずれは交易路の中心都市ともなるだろう。……つまり、後ろ盾となる国があれば便利だぞ?」

「………確かに。でもいいのか? それはオレたち魔物の集団を国として認めると言う事だぞ?」

「無論だ」

「ぅぅ………」

「ふっ。それを条件にお前を……と言うつもりもない。双方に利のある話だ。善意だけではない」

 

 アティスは、ガゼルの言う通りオレを条件に――と思ってた様だ。しっかりとバレてたが。

 

「ホントにぃー? オレ騙されてない? 後々、そいつくれ、とか言わない?」

「ふはははははっ、恩師、そして樹妖精(ドライアド)を前にその主を謀ろうなどとはせん。それに、ここの者達全員に大層好かれておるこやつを そのような手で貰おうとも思わん」

「だから、モノみたいな扱いしないでくださいって……」

 

 何だか納得のいきかねる様子なアティスだが、話自体は悪いものではない。寧ろ良い所が多すぎる。魔物の国を作ろうと考えていたその時から、他の国との交流については考えていた。後ろ盾としては申し分ないどころの話ではないのだ。

 自分が行けば そうなるなら―――と少し心が揺らぐが、リムルがそれを是としないのも解るから、アティスは口に出しては言わなかった。

 

「条件はとりあえず2つだ。1つは国家の危機に際しての相互協力。1つ 相互技術の提供の確約。これだけだ。答えは急がずともよいぞ。よく考えるがいい」

「いや――」

 

 本当にアティスの事が入ってないのを確認した後、リムルは即決した。

 如何に良い話とはいえ、仲間を――家族を売ってまでしたいとは思ってなかったから。

 

 

 

「この話、喜んで受けたいと思う」

 

 

 

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