お待たせしました……( ;∀;)
正式に魔物の国の王は リムル であると決定し、ドワルゴンとの盟約も結び。
そして、宴会は朝方近くまで続いた。
――翌日。
国に戻る前に、何だか衝撃的な事を教えてくれた。
「ええ!? オレ達が
「
「何でだよ。ってか、お前も似たり寄ったり、と言うか一緒だろ!」
何やら、自分達の危険度が3段階の中で最上位の位置にあるらしいと言う事だ。
討伐の対象に上がったとしても不思議じゃない。
「
「うぇ……、それは怖いね、良かったよ お婆ちゃん……。……あっ、オレが断った事を口実に!? なんて事ならないよね?」
「ほほほ。王が気に入ってるからそれも無いだろうさ。あそこまで王が気に入る事など 滅多にない事。魔物が街を造るのも前代未聞だけど、王の方もそれこそ似たり寄ったりだよ」
「ほっ……」
討伐対象になってしまうなど正直嫌過ぎる。懸賞金でも付けられたら、各国の腕自慢、賞金稼ぎなどが襲ってきそうだって簡単に想像が出来るから。
「まーた無駄に怖がってるし。……それより、よくよく考えたら、その危険度の区分ってざっくりし過ぎじゃないか? 三段階しかないんじゃ、同じ階級でもピンキリだろ?」
「ええ。それは勿論。……ですが、正確にはもう一段階上があるんです。『
「うへぇ……」
災禍の上は天災。ありきたりな名前だが、実際に付けられると言う事は 魔王よりも上って事になる。
「魔王より上って………、ナニそれ。大魔王?? 真魔王??」
「ありきたりなゲーム設定みたいだな。あ、
しっかりと確認しておくべきだろう、と言う事でリムルが聞いた。聞いたからってきっと心配はない。接触がある訳もないと思うから。―――普通は。
「ええ、いますとも。例えば暴風竜ヴェルドラ」
「………(あいつかよ! 一気に怖くなくなったな)」
「(リムルさんの友達の……。うん、ちょっと安心かな)」
暴風竜ヴェルドラについて、リムルは勿論の事 アティスも話は聞いている。彼は 勇者によって洞窟に封じられていている所にリムルと出会って、友達になり、一緒にその封印を解こうと頑張っている、と。
アティスも、光の神から その存在を大体聞いていた。スライムがドラゴンを取り込んだ! と壮絶な事実として……。だから、今こそ打ち解けているが、最初心底ビクビク気味だったのは言うまでない。
「それに一部の魔王が該当します」
「あぁ 魔王の中の魔王って感じ……。魔王の中にも序列ってあるんですね、やっぱり」
「勿論。中でも最古の魔王ともなれば、その強さはまさに天災。と言っても、あまり現実的ではない階級だから、省略されることも多いのです。普通に生きていれば会う事もないでしょう」
「ですよねっ! でも、よくよく考えたらオレ魔物だから 会う可能性って考えたら 高いのかも……」
「大丈夫だろ。スライムなんて無視されるって。(しかし、シズさんの仇の魔王レオンが
「成る程、そう考えたらちょっと安心するかもです」
魔王と相対するスライム――。確かに絵面的にマッチしてない。
暫く話をしていて、アティスは気になった事があった。
「あ、神様は 危険度の階級に加わったりしてるんですか?」
「は? 神様?」
「はい。えっと、光お爺ちゃ……、こほんっ、光の神G.O.Dの事です」
名前を出したら、ちょっと驚かれた。驚かれるどころか、少し怪訝気味な顔をされてしまった。でも、魔物だから仕様が無いか、とも思ったのか、直ぐに表情が元に戻る。
「分類するとすれば、名が4つではなく5つになるでしょうな。そしてその名の通り《神》だと思いますが、危険度と言う括りではありえません。神を危険視する事自体がありえませんから。天使とはまた別な存在ですし」
「成る程。それもそうですね(天使もいるんだ。……まぁ、神さまがいるんだし)」
「
リムルやアティスは ヴェルドラは勿論、光の神G.O.Dとの接点がある、とまでは公言していないし、これからもするつもりは無い。存在が大きすぎるが故に無用ないざこざが生まれ、巻き込まれてしまう可能性が極めて高いからだ。普通に考えて 信じられないと思うのだが、魔物が国を造るのが前代未聞な事だし、その盟主の発言ともなれば……一概に信じられないと言えないだろう。
例外があるとすれば、ヴェルドラ。
ヴェルドラについては、封印が解かれた時に きっと大公開! なるだろうから。
その後、ドワルゴンとジュラ・テンペスト連邦国における協定、調印式が執り行われた。
何やらこの盟約は口約束~で終わる訳ではなく、魔法によって保障されて、世の中に公開されるらしい。連邦国になったのは、
因みに、町の名前は 中央都市リムル。
『じゃあ、『リムル』を第一候補。第二に『アティス』ではどうでしょう?』
『甲乙捨てがたい!!』
『うぅ……、贅沢過ぎます!!』
『どちらも素敵な名です!』
『初の街の名ですし! リムルさん、《リムル》に一票です!!』
『恥ずかしいからヤメテ! なら、オレは《アティス》に一票だ!!』
多数決を行えば
リムル 1票。
アティス1票。
無効票 多数。
決まらない。主張は平行線をたどり―――最後は恨みっこなしのジャンケンで決めた。
ジャンケン文化の無い皆は不思議がっていたが、直ぐに勝敗が決まる
それは兎も角――、結果は 先ほど告げた通り都市の名は《リムル》。
アティスのビクトリーサインは、実際に輝き、光っていた。皆は《アティス》の名になるのと勘違いしてしまったのはまた別な話。
この時、この調印式も無事に終わって ほっと一息ついていた誰もが気付く事は無かった。
「気になるのだ気になるのだ気のなるのだーーーー!!!」
先刻話をしていた天災そのものが、理不尽極まりない力を持つ者が――急接近しているということに。
□□ テンペスト首都 中央都市リムル □□
街の発展は怒涛の勢いで進んだ。ドワルゴンとの盟約について、一瞬で世に広まった効果が此処に来たのか? と思う位だ。実際に言えば中央都市リムルの名に、テンペストの名に恥じない街を! と皆がメチャクチャ頑張ってくれたと言うのが真相だ。
少し休め、と何度かアティスやリムルも言っていたのだが、これも押し切られて アレよアレよと言う間に見た目完全に大都市になってしまった。
テンペストの首都リムルは毎日千客万来。その多くは友好的な魔物やドワーフ達。中には其々の種族の顔馴染みたちが来ていて、進化した皆を見て仰天してたりする。
勿論、盟主のリムルへの挨拶もばっちりだ。挨拶がくる度に、リムルが『此奴が余の右腕じゃ!!』と口調を強引に変えて、アティスを宣伝して回るから、リムルだけでなく アティスの名も都市名に負けないくらい広まってしまった。―――更に言えば、トレイニーもそれとなく広めてる。
後、魔物の街だから、当然 血の気の多いのもやってくる。
『ひゃっは―――! 良さそうな街じゃねぇか! 今日から贔屓にしてやるぜぇぇ!』
『酒だ酒ー 酒持ってこーーい!』
一体いつの時代のスタイルだ? と思う様な輩。
勿論、手厚い歓迎をするのは主にシオン。そして 陰ながらのソウエイ。そして率いてる隠密部隊。
シオンがニッコリと百万ドルの笑顔で、大きな大きな剣を持って 叩き潰す。
ソウエイが かつて言っていた様に、命までは決して奪わないが、その代わり甚振り甚振り、恐怖を刻み付けて放逐する。
大体がそれらで終わる。それ以上抵抗する様な強者などここにはまだ来てなかった。
――来るもの拒まず、これからゆっくりとこの街の存在を認知してもらおう。
とリムルはシオンと共に街中を見回りながら思ってる時だ。そうも言ってられない事態が起こったのは。
――告。
「言わなくても解る!」
ドワルゴンのペガサス軍団が来た時から考えてた。
アティスが感知してなかったら ひょっとしたらヤバかったかもしれない、と。
だから、今後街の存在が公になった今 それなりに危機察知能力を磨いていたのだ。
そして、その能力を使うまでもない。
解る程の巨大な何かが、とてつもなくデカい何かが接近しているのだ。
「大賢者! アティスは何処だ!?」
――告。個体名:シュナ と街中央広場に感知。
「判った!
――告。ほぼ同時に察知。連携をする必要もない程です。
「と言う事はアイツも解ってるって事か。逃げずに来てくれる事を祈ってるよ!」
急ぎに急ぎ、街の外に出て、まだ森整備の行き届いてない場所へ。
街にあの大きな気配が突っ込んできたら、一気に崩壊するかもしれないからだ。
そして、嬉しい事に(あまり嬉しくないが)街に降りる事なく、リムルの場所に降りてきた。衝撃波を周囲にまき散らせ、着地地点に巨大なクレーターと轟音を響かせながら。
「初めまして、ワタシはただ一人の
「(いきなり魔王にエンカウント! 最初って四天王の最弱! とかじゃないのかよ!! ってオレの事を知ってる?)」
見た目を見ればただの幼子……だが、とんでもなく巨大で強大な覇気は、只者ではないと容易に想像がつく。懇切丁寧な自己紹介も済ませてくれた。ですとろい、だの どらごのいど、だの聞いてて背中がかゆくなりそうな思いだったが、あまりにも巨大すぎて何も笑えなかった。
「(これ、ヴェルドラの時に匹敵する……? いや、それより)えーと、初めまして……なのに、オレを知ってるんですか?」
「知っているぞ!」
「初めまして、なのに?」
「細かい事は気にするな、なのだ。……む? あれ?」
魔王ミリムは、リムルの身体をひょい、と持ち上げた。
至近距離でじっくり、舐られるように見られるのは悪くない……、事もない。これだけの強者であれば猶更だ。
「え、えーと 何か?」
「むむ……おかしいな。やはり 水晶からだったから間違えたのか? うーん」
「間違い?」
「まぁ、良い! 次の予定なのだ! お前がこの街で一番強そうだったからな、つまりは挨拶だ! 挨拶にわざわざ来てやったのだ!」
一瞬残念そうな顔をしたのだが、直ぐにミリムは元気? を取り戻していた。
「(次の予定って言わなかったか? って事は、オレよりも他に? っとそれより名乗らないと)えっと、リムルと申します。なぜ私が一番強いと思ったのですか?」
「ふふん。それで妖気を隠したつもりか? この「
「(みりむあい? 最初間違えたか? とか言ったし、万能って訳じゃないか…… って、これは口には出さないでおこう)」
子供っぽいので、ちょっとした事で癇癪起こして~ とか考えられそうだったのでリムルは口にチャックした。口は禍の元とは今回が一番当てはまりそうだから。
「おい。青髪の人型が本性じゃないのか?」
「あ、えっと、この姿のことですかね?」
「おおっ、これだこれ! うーむ……、あの時 この姿だったのだ。それで、朧げに見えた筈なのだが……」
ミリムに言われた通りリムルは人型に変化した。するとミリムは持ち上げてたリムルを下ろし、色々とみている。単純な人違い……と言う訳でもなさそうだった。
「むぅ……、それにしても見た時は、もう少しちまかった気がするのだ。さてはお前が
「(見た時? おーくろーど? ……つまりはあの時見られてたって訳か。アティスが感じた気配って、こいつだったか)……えぇ まぁ」
合点がいく所があった。
あの時、リムルはアティスをその身に纏っていた事があり、最終的には魔素融合まで果たしている。何処から見られていたのかは判らないが、恐らくアティスが言っていた『何かに見られてる』と言うのはこの目の前の魔王ミリムの事だろう、と。
「(あの時、確かゲルミュッドだ。アイツが魔人で このミリムって魔王が背後にいたのなら、復讐? 御免被りたいな。勝てそうな気がしない。それに、……早合点はよそう) それで今日はどんな御用でお越しでしょうか?」
「む? 挨拶、と言ったぞ」
「(それだけかよ!! っと、もうひとつ……)私以外にも誰かに挨拶をしたかった、とか?」
「むむむむむ! ひょっとして、貴様知っているのか!?」
「ぐええっっ」
ミリムはリムルに抱きつく。力をセーブしているとは思うが、強さは半端ない。痛覚無効のスキルがあるはずなのに、苦しかったと錯覚する程に。
「そうなのだ! 水晶で見た時、お前に
「ひかじい?」
「おおお! 知っているか!? なら、早くワタシに教えるが良い! ワタシはソレが一番の楽しみでここに来たのだ! まぁお前に挨拶にきたのも楽しみの内の1つだぞ」
「(なんか、フォローされたな……。魔王にフォローされるのってシュール。ええっと、そもそも誰の事? ひかじいって。戦わずに済むのなら、それで良いケド。何せ大賢者曰く『測定可能中現段階で、魔素量が10倍以上』だし)」
色々苦しいが、争いにならない様な選択は間違いなく出来そうなので、ほっとしていたのも束の間だ。
リムルの背後より、何かが飛び出してきたのは。
「おー」
「へ?」
巨剣を手に、思い切り魔王ミリムに振り下ろす。
「ランガ! リムル様を連れて逃げなさい! 早く!!」
「心得た!!」
現れたのはシオンとランガだった。
ランガは、リムルの制止も聞かず、そのまま連れて離脱。
シオンは、渾身の一撃を魔王ミリムに喰らわせるが、全く手ごたえが無い。
いつも強気なシオンも今回ばかりは別だった。
そして、振り下ろした剣を軽々片手で受け止めたミリムは笑顔だった。とてつもない覇気の籠った笑顔。
「なんだ? ワタシと遊びたいのか……?」
たったそう言われただけで、己が圧倒的な弱者であると言うのが痛い程判った。渾身の一撃を遊びと称される程なのだから。
だが、ここで、ひるむわけにはいかなかった。主を護る為なら命など要らない。
それはシオンだけではない。
一瞬の隙をついて、ミリムの身体を糸にて捕縛。
「如何に魔王と言えど、簡単に逃れることは出来まい。……少なくとも数秒は」
「ああ。数秒で充分だ。―――
糸にて捕縛し、動けない所に渾身の炎。
ソウエイとベニマルも参戦。ランガ、そして鬼人の3人がかりで ミリムを止めにやってきた。
「火傷くらいしてくれると嬉しいが……」
ベニマルは 炎を撃ちはなったが、仕留めた自信は全くなかった。無傷以外なら良い、と考えていた程だ。……が、その希望はあっという間に砕ける。
黒き炎が消えた先に、笑う魔王が姿を現したから。全くの無傷で。
「わはははは! 凄いのだ。面白いのだ! これほどの連携、それに攻撃。他の魔王ならあるいは倒す事も出来たかもしれぬ。だが、ワタシには通用しないの――――だ!!」
ただ、内なるエネルギーを表に出しただけ。
ただそれだけの行為だった。それだけで まるで巨大な竜巻でも巻き起こったかの様な衝撃が周囲を襲った。性質が悪い事に触れれば簡単にバラバラになりそうな凶悪なオーラで、全魔素を防御に集中しても、ここまで接近してしまえば良くて致命傷である。
ただ遊んでるだけの相手に 『死』 をイメージしてしまう。
これが、
今のこの魔王の笑顔は、恐らくは満足するまで簡単には崩れないだろう。
そう――。
「わはははは! もっとだ、もっと遊ぼうではないか! ……む? むむ?? むむむむっ!?」
本人にとって、想定外の事が起きなければ、だ。
「ったく、来るのが遅いぞ。何でベニマル達の方が早いんだよ」
「『イケません! 行ってはダメです!』って、シュナさんに言われてて。あまり無下にするのも……って思いましたが、頑張って説得してたら遅れてしまって」