メタリックなスライムになっちゃった   作:フリードg

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遅れてごめんなさい……m(__)m
体調がまだまだ優れず……、でも、ちょこちょことガンバります( ´艸`)



25話

 

 テンペストに魔王がやってきた! と大騒ぎな前回。

 

 ……よくよく考えてみれば、魔物の国(テンペスト)なのだから、魔王がいても不思議じゃないだろう。

 盟主、国の王、魔物たちの主は リムル。もうリムルが魔王みたいなものなのだから。別の国の王がやってきたと言うべきか。ドワーフの王とはまたくらべものにならない程の相手だが。

 

 

 

 

 

「わははは! これは何なのだ!?」

「わーー! まってまって そんなに動かしちゃ壊れちゃいます! それはポンプ……、水を汲み上げる道具ですー」

 

 

 

「わはははは! ここは何なのだ!? 武器を作っているのかーー!?」

「わーーー! 扉壊しちゃダメですーー! って、近づきすぎでもダメです! 危ないですよ! 火傷しちゃいますよ!」

――解。魔王ミリムに火傷(ダメージ)を与えられる可能性0。

 

 

 

「わははははは! いい匂いなのだーー!!」

「うぅ……、屋台壊しちゃってごめんなさい。串焼き1つくれませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 かの暴風竜ヴェルドラにも匹敵するとも言われている魔王ミリム。暴風が街に吹き荒れる!? かの様に遊びまわっていた(そう体感しているのはアティスのみ)

 

 ヒカジイこと、光の神関係で 特にアティスに懐いてる? 様子なミリムだから、そのお世話係を任命された。

 当然、全力で拒否をしていたアティスだった。盟主リムルに言われたからとはいえ、拒否しても別に良い程の案件だろう。でも、拒否とかしている間にミリムが早速行動を開始してしまったのだ。暴風の様な勢いで。暴れないでくれ、と約束はしてくれたが、この調子では妖しすぎる。と言うより、じゃれるレベルで街が壊れそうだから。

 そんな訳で アティスは持ち前の責任感……と言うより、街の皆の事が心配! と言う事でなし崩し的に受ける羽目になった。なんだかんだでリムルも心配だから、アティスとミリムの傍にはいるが。

 

「うぅ~む。こりゃまるで兄貴の子をレジャーランドに連れてった時みたいだな」

「……実に的確な表現をどーもです。だから、そろそろ代わってください」

 

 げんなり、としてるアティス。リムルもこれ以上の負担は流石に可哀想か、と思うレベルだったので(注:先ほどのやり取りは極一部に過ぎません) 代わってやる事も吝かでは無かったのだが……、此処でさらなる問題が起きた。

 

「おやおや! リムル様! それにアティス様も! 丁度良かったです。回復薬についての進捗状況を―――」 

 

 問題の原因。やってきたのはガビルだ。何かと色々と起こしてしまうトラブルメーカーッポイ立ち位置な彼。そんな所に 厄災がいたとなれば、どうなるか……。

 

「何か、嫌な予感がします……」

「同感……」

 

 

 ぶるッ、と身震いをするアティスと同じ感覚に見舞われたリムル。

 

 そのアティスが感じた嫌な予感……早速やってきた。

 

「おお! 龍人族(ドラゴニュート)ではないか、珍しいな!」

「おや?」

 

 龍の名を持つ種族ガビル。格が遥かに違うとはいえ 竜魔人(ドラゴノイド)のミリムはガビルに少なからず興味を持った様だ。それが騒動のはじまりはじまり~なのである。

 

 

 

 

「吾輩はガビルと申す。この街は初めてかチビッ娘(・・・・)よ」

 

 

 

 

 圧倒的な禁句(タブー)

 

 失礼極まりない禁句(タブー)

 

 命知らずな一言(タブー)

 

 

 

 

 ミリムの表情が消え、一瞬にして、場が静かになった。嵐の前の静けさ……と言った所だろうか。

 そして、嵐はやってくる。

 

 

「……チビッ娘(・・・・)?」

 

 

 ピシッ と大気にヒビ。

 暗黒、漆黒、闇を纏ってかの様なミリムの表情。

 

 その見るだけで昏倒してしまう様な眼光がガビルを捕らえた。

 

 

 

 

「そ れ は ま さ か ワ タ シ の 事 か ?」

 

 

 

 

 凄まじい殺気が溢れた。

 とてつもない殺気に見舞われたガビルは何が起きたのか当然判らず、ただ『えっ?』と惚けた声を出すだけに留まり。

 

 

 

「こ、これは不味い? 絶対不味いよね??」

――解。凡そ1秒後。攻撃されると推察。ガビルの生存率は――――――……。

 

 

 ぎゅーーー、っと凝縮された時の中で、アティスと聖母はやり取りをする。

 ガビルの運命や如何に!? 不運、そしてちょっとだけ自業自得ッポイから 傍観してた方が良い気もするが、『オレが皆を護ります!』と宣言しているアティスはそうもいかず。

 

 

 

 ミリムは魔素を込めた拳をガビルに放った。

 バコッ? ズガッ? どう表現していいのか判らない轟音と共に後方へはじけ飛ぶ。

 

 腹部に魔王の一撃を受けたガビルは、折角綺麗に仕立てたレンガ造りの通りを抉り返しながら吹き飛んでいった。

 

 

「ガ、ガビルーーっ!!」

「「「ガビルさまーーー!!」」」

 

 

 絶対死んだ……と思ったが、どうにか生きてる様だ。

 

「いいか、リムルやアティスとの約束があるから今回はこれで許してやるのだ。……が、次は無いから気を付けるのだぞ?」

 

 にっ、と綺麗でキュートな笑顔を見せるミリム。どうやら手加減をしてくれた様だ。一応いっておいた『街では暴れない』を護ってくれてる様だ。

 

「う、う~~ん……… お、おやじどの~~。わ、わがはいは、まだまだ精進、いたしますぞぉ……、ゆえに、そちら(・・・)がわへ 逝くわけには~……」

「おいコラ! どこで誰と話をしてんだ? 第一アビルは健在だろうが。さっさと起きろ」

「うむうむ。そうなのだ。手加減したうえに、アティスに護られたのだろ? さっさと起きるが良い」

 

 げしっ、とガビルを蹴り起こした。

 

「は、はっ!? こ、ここは何処であるか!? 吾輩はガビルであるか!?」

「馬鹿な事いうなって。何ボケてんだよ。それと、おーーい、アティスも起きろーー」

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

 ガビルの周囲をキラキラキラと細かな光が漂っている。

 

 天から光が降り注ぎ、ひゅりゅりゅりゅ~~ と、天へと召されていく様子が眼前に広がっていく……。

 

 

 

 

 

 ハーレルヤっ♪ はーーれるやっ♬    あーめんっ

   

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわーーー! コラコラ馬鹿馬鹿!! おまえもいったいどこ行くつもりだ! 帰ってこーーーーい!!」

「わっはっはっは! しかし、アティスは硬いな! もっと激しく遊んでも大丈夫そうだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 その後 何とか街の住人達の幾重の祈り? でアティスを蘇生する事に成功した。アティスの御霊を呼び起こし給え~ と言った所だ。

 

 

「リムルさん……。みんなにミリムさんの姿、早く覚えてもらいましょう、直ぐに早く!」

「お、おう。そのつもりだ。なるべく多くの住民に中央広場にって、ガビルに伝えてある。アイツもビビりまくってたし。……それに、もう1人地雷踏みそうなヤツいるし」

「……《ゴ》~で始まる子ですよね、ええ、判ります」

「ああ、有りそうだろ? ってか、お前ほんと堅いよな。ミリムのパンチ受けて大丈夫なんて」

「大丈夫じゃなかったから、天に召されかけたんでしょ? 走馬灯の代わりに、光爺ちゃんに またあえた気がしましたよ……」

「その辺は精神力鍛えたら良い、って大賢者が言ってたゾ? 身体面は問題ないっぽいんだから。ミリムと色々と修行するのも有りか?」

「……ムチャ言わんでください。オレを廃人……廃スライムにするつもりですか?」

 

 

 

 

 そんなこんなで、街の広場へ。

 まだ、皆は集まりきってないが 徐々に集まってきた。

 

「うう~む、アティスに護られたとはいえ、あのガビルとやらも結構頑丈そうだな。もいっかい試してみるか?」

 

 プレゼントされたポテチ(もどき)をパクパクと頬張るミリム。

 ため息を吐くのは リムル。

 

「あのな、怒っても直ぐに殴ったりしたらダメだぞ?」

「止めてください……。ホント、仲良くが一番なんですから……」

「む? でも最初が肝心だろう? ガツン! といかないと舐められるのだ」

「ダメだって。そもそもミリムを舐める様なヤツこの街に絶対いないから。言い聞かすから」

「むむ~……」

 

 何だか納得がいってない様だが、それでも友達なのだから、と直ぐに拒否はしなかった。

 

「なら、アティスが相手してくれるか?」

「いきなり関係なく突拍子もない事言わんでくださいっっ、嫌ですっ! ノーですっ!」

 

 

 ぶんぶんぶん、と首を振って両手を交差させ、×を造る。

 一頻りミリムは笑った後。

 

「仕様が無いのだ。リムルが言い聞かすと言って居るし、全て任せるのだ。ワタシもなるべーーーく、殴るのは止めておこう」

「そうしてくれ」

「……蹴るのもダメですよ?」

「わ……わかっておるぞ?」

 

 視線を逸らせるミリム。どうやら、蹴る気は多少あった様なので、先に言っておいてよかったとアティスは安堵。リムルも 『次は蹴るつもりだったのかよ……』と、またため息を吐くのだった。

 

 

 そして、街の皆が集まった所で、マイクを取り出した。因みに 正式名称は 魔イク。ドワーフのドルドが作ってくれた物で、魔鋼で作られてて、スピーカーとか無くても十分声を広く響かせる事が出来る魔法道具である。

 

 

「えーと、今日から新しい仲間が滞在することになった。客人と言う扱いなので、くれぐれも失礼のないようにしてくれ」

「粗相はしないでくださいね? ………お願いですから、ほんと」

 

 

 リムルやアティスの言葉に異を唱える者なぞいる訳もなく、あっと言う間に周知される。

 それに、魔王ミリムの事を何人かは知っている様で驚いてる者も多かった。

 

 

 ここで、本人から一言の時間。

 

「あーー えーーミリム・ナーヴァだ! 今日からここに住むことになった。よろしくな!」

 

 一言の時間が、あっという間に ( ゚Д゚)ビックリする時間へと変わる。

 

「おいおい、待て待てそりゃどういう意味だ!?」

「マジですか!?」

「マジもマジ、おおマジなのだ。ワタシもここに住む事にしたのだ」

「ちょっと待て‼お前は今住んでる所があるんだろ?」

「そーですよ! 主様がいなくなっちゃったら、大変じゃないですか??」

「大丈夫なのだ! たまに帰れば問題ない」

 

 

 

 本当に大変で目まぐるしい一日だった。

 でも、もう終わる――とはならない。

 

 どうやら、嵐が過ぎ去るのではなく、嵐がこの場に留まってしまう様なのだ。

 

 身体中の力が抜けてしまって、ぐにゃりとアティスは はぐれメタルになってしまった。

 

 そんなアティスをむぎゅっ、と掴み上げて 強引に身に纏わせるミリム。

 

 

 その小さな胸を大きく張りながら腰に手を当てて笑いながら宣言した。

 

 

 

 

「この国の主たちとワタシは友達なのだ!」

「ちょっ、主はリムルさんですよっ!?」

「似たようなもんだ。ぜ~んぶ受け入れろ」

「って、全部!? 大変なの全部押し付ける気満々に見えるんですがっっ!?」

 


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