メタリックなスライムになっちゃった   作:フリードg

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37話 三獣士

数日後———。

 

 

「………来たか」

 

 

無数の影。

そして獣人独特の覇気に似た威圧感(オーラ)

影の数こそは少ないが、少数でここまでの威圧感(オーラ)を出せる者など限られてくるだろう。それに時間もピッタリだ。

 

 

「……虎が、馬車牽いてる……つまり、虎車?」

「って感じだな。野盗除けみたいなのにもなってそうだ。虎に襲い掛かるヤツなんて早々居ないだろうし」

「………カリオンさんのトコを攻める~自体無いデショ」

「それもそうか」

 

 

口に出している様に感じるが、実は脳内会議。

リムルはシオンが、アティスはシュナが抱きかかえているので、やり取りに関しては大賢者と聖母を接続(コネクト)すれば造作もない事だ。

ついでに、互いを召喚し合う事も可能なのでユニークスキル

 

《リムル召喚》

《アティス召喚》

 

をそれぞれが取得した、と言う事になりそうだ。

そう言った世界の声の類は来ていないが。

 

 

そうこうしている内に、虎車が止まりその扉が開いた。

 

 

「お初にお目に掛かります。ジュラの大森林の盟主様」

 

 

それは優雅な所作。

一挙一動、一言一句が気品に満ち溢れている、と言うのがこの僅かな間でもしっかり解った。

そして、その容姿も端麗である事が。

 

 

「私はカリオン様の三獣士が1人、黄蛇角(オウダカク)のアルビスといいます」

 

 

先に名乗ったという事で、こちらも名乗り返さなければならないだろう。

シオンが一歩前に出て、やや遅れてシュナも前に出る。

一見、ただの色違いなスライムに見えるが、この2人こそがこのジュラ大森林に頂点に位置するモノ達で――――。

 

 

「はッ!!」

 

 

と、リムル&アティスを紹介しようとしたのに、鼻で笑われてしまった。

 

 

「弱小なるスライムが盟主だと? バカにしてんのか!?」

 

 

そして、優雅さなどは微塵も無い、ただただ粗暴で怒気が野性味があふれんばかりの者が扉を蹴破り出てきた。

まるで虎の様な眼光を周囲に向け、威圧する。

 

 

「その上、矮小で小賢しく、卑怯な人間どもとつるむなど、魔物の風上にも置けねぇな」

「控えなさいスフィア。カリオン様の顔に泥を塗るつもりですか?」

「うるさいぞアルビス。オレに命令するな」

 

 

直情的で好戦的、そしてそれらを前面に出せるだけの力も兼ね備えているのだろう事が、その風貌からも解る―――が、だからと言って怖気ずく訳もない。

 

 

「……ずいぶんな物言いだな。この人間(ヨウム)はオレ達の友人で、同じ師についた弟弟子でもあるんだが」

「お、おいリムルの旦那。何言って――――」

 

 

ヨウムがリムルを止めようとしたが、そこをアティスがヨウムにだけに見える様に器用に身体を変体化させて《×》の字を作って見せた。

 

 

「あ? だからどうしたってんだ?」

 

 

スフィアは何ら関係ない、と言わんばかりに腕を組んで、更にヨウムを睨みつける。

一触即発!? な空気に見えるが実はそうではない。

 

「よしよし。ビビッてないし、解ってる様だな?」

「幾らなんでも大丈夫ですよ。……オレだって、あのサメとか、何よりミリムさんのヤツ、受けたり見たりしてんですよ? もう早々動じたりしません。………ドワーフ王みたいなのを除けば」

「盛大なフリかましたな~、って思ってたのに、ちゃっかり予防線張ってんじゃないよ、この子は」

 

 

と、再び頭の中で雑談。

 

アティスはアティスで、争いごとを好まないのは当然。とっても臆病なのもある意味治っていないのだが、日に日に成長して行ってるのも事実。その成長速度はこの町の誰よりも早い、と聖母や大賢者、リムルからのお墨付きである。――――元が低過ぎた~、と言うのはご愛敬。

 

兎に角、相手の出方が分かった今、次にやる事は決まっている。

 

 

「なぁ、ヨウム。ちょっと実力を見せてやったらどうだ? ヤバくなりそうだったらいつもの(・・・・)付けてやるから」

「はぁっ!??」

 

 

ちらり、とヨウムの方を見て提案するリムルに思わず目を見開くヨウム。

 

 

「い、いやいや、平和的にいくんじゃなかったのかよ!? 平和大好き! って言ってたじゃんかよ!」

「平和っつっても、無抵抗主義者な訳ないし。そもそも平和は勝ち取らなきゃ駄目なもんって事でもあるだろ?」

「だいじょうぶ! 守りは万全ですっ!!」

「とまぁ、そういうことだ。基本は平和主義。でも、向こうから仕掛けてくるなら話は別。そう心配すんな。―――――あぁ、でも情けないトコ(・・・・・・)師匠の前で見せたら大変かもなぁ?」

「ひでぇ!!」

 

 

リムルのいう情けないトコ(・・・・・・)が一体なんなのか……言われるまでも無い。

アティスが一緒に居てくれてる時点で、守りは万全どころの話ではなく、死なないと断言できる程堅牢強固な守りの加護だ。

でも、だからと言ってソレに頼ってばかりいると、背後で気配を消しつつ、凍てつく様な殺気を向けている師匠、ハクロウが黙ってはいないだろう。

トンデモナイ脅迫もあったもんだ、とヨウムは頭を一掻きすると――――腹を括った。

 

 

「ほう? やるか人間」

 

 

そんな心情もまるで読み切った、と言わんばかりに、スフィアが舌なめずりをしてヨウムを品定めている。

その煽り? に反応するのは英雄ヨウムの一団(笑) な面々たち。

 

 

「頭ぁ! やっちゃってくださいよ!!」

「お願いしますよヨウムさん!!」

「やっちまえぇぇ!」

 

 

自分でやる訳じゃないのに、ただ煽られた憂さ晴らしを頭に丸投げかよ、と折角覚悟決まったのに

、拗れてしまいそうになるヨウムだったが、一度牙を抜きかけた心情を引っ込めるわけにはいかない。

 

 

「しょうがねぇなぁ。……ちゃんと骨は拾ってくれよ」

「勿論!」

「任せとけ……え?」

 

 

ここで想定外な出来事が起こる。

リムルを抱きかかえていたシオンが、何故か傍らに居たソウエイ(分身体?)に手渡したのだ。

どういう事? と言う疑問を問いただすまでも無く、シオンが更に前へ一歩前進し。

 

 

「黙って聞いていれば、リムル様とアティス様に対する暴言の数々。我慢に我慢を重ねて居ましたが、どうやらその必要は無かったようですね!」

 

 

ふんっ! と鼻息荒くし、手に入る力も漲り、あっと言う間に秘書から武士の顔にチェンジし―――臨戦態勢バッチリになってしまった。

 

 

「え? ええ?? あれ??」

「ちょ、ちょっとシオンさん?」

 

 

やや遅れてアティスが、そして一番前に出ていたヨウムがシオンに手を伸ばそうとするが、気にも留める事なく、そのままスフィアの前へと躍り出た。

己の武器である剛力丸をザクッ! と地面に突き刺し、無手のまま勝負をする! と言った姿勢を取った。

何処となく、剛力丸が哀愁を漂わせている様に見えたのは気のせいだろうか……。

 

 

「ああ、面白い。面白いね。スライム共の配下がどの程度のものか、このオレ直々に確かめてくれる!!」

 

 

目をカッ! と見開き、その瞳が縦に鋭くとがった瞬間、スフィアの姿は掻き消えた。

目にも止まらぬ速度で跳躍し、まるで宙を蹴ったかの様に虚空を跳ね、一足飛び足でシオンを捕らえる。

シオンもそれに反応し、受けて立つ構え。獣人と鬼人の戦闘が火蓋を切った。

 

 

あっという間に、周囲を荒れ果てさせる2人の戦闘。

折角整備の行き届いた街道だというのに、また直さなければならないなぁ、と頭を抱える思いだ。

 

 

「――――はぁ。まったく。しょうがありませんね。スフィアは」

 

 

アルビスは、しょうがない、の一言だけで済ませてる様だ。気品で優雅で雅な彼女でも……やっぱり好戦的な種族の血は持ち合わせているのだろう。本当の意味で止める様子は見えない。……無論、止める必要も無いのもあるが。

 

 

「では、替わりにアナタがあの人間の相手をなさい。グルーシス」

「え?」

 

 

相手を取られて、振り上げた剣は何処へ? となっていたヨウム。

でも、大丈夫。その相手はちゃんといますよ、といらぬ気遣いをみせてくれたアルビスは、1人の従者に指示を出した。

 

 

「オレですか……。人間の相手ね。まぁ、別に良いか」

 

 

流石は獣人。弱者は誰一人としていないと言わんばかりに、面倒くさそうな顔をしているが、その戦意は高い。

懐からナイフを取り出すと、ヨウムを手招きした。

 

 

「おら。遊んでやるよ人間」

「―――おう。よろしく」

 

 

魔物と人間は元々生まれ持ったその力量に大きな差がある。

故に人間は知恵を振り絞り、武具を作り、鍛錬し、そして団結し、その種族の差を埋めようとしている。

ヨウムのそれも同じ。

素の実力であれば、恐らくグルーシスの方が上だろうが、今日まで鍛え上げてきた全てを以て戦えば―――。

 

 

「なっ!」

「おっとっ!!?」

 

 

獣人の顔色も変えられる程の攻撃を出す事が出来る。

たかが人間、遊んでやると格下に見ていた獣人の鼻を明かす事が出来る。

 

 

ヨウムの大剣、グルーシスの二振りの短刀。

小回りを活かした獣人の速度を活かし、ヒット&アウェイでヨウムに斬りこむが、その悉くを防ぐ。時には渾身の一撃を見舞う。

直撃すればヤバい、と顔を歪ませ、口端を吊り上がらせるだけのヨウムの力量に、グルーシスは思わず笑ってしまいそうになったが、その笑みは一瞬で消え去った。

それは、100%の集中力を発揮し挑んだヨウムにも言える。

 

 

「「(なんだ、この急激な魔素の高まりは………!!?)」」

 

 

嵐の前の静けさ。

目の前の戦う相手さえ忘れさせてしまう様な巨大な力が突如発生したのを察知したのだ。

 

勿論、その根源はお隣で暴れていた2人。

正しくは、その内の1人———シオン。

 

 

「鬼人の真の力————見せてあげましょう」

 

 

三獣士を名乗るだけあり、スフィアの力量も非常に高い。

ベニマルと同格か、それ以上の魔素を内に秘めていたフォビオと同格と考えれば、シオンとて本気の本気にならなければならないだろう。

 

 

「だ、駄目ですよ! シオンさん! この辺りが吹き飛んじゃいますよ!!?」

「あ~~、駄目だ。アレ全然聞こえてない。戦いを楽しむ者の顔になっちゃってる」

「何悠長にそんな事言ってるんですか!?」

「大丈夫だろ? ウチには頼りになる守護神が居るんだ。……だろ?」

「ぅ………」

 

 

期待してるからな? とばちんっ、とウインクされるアティス。

全部おっかぶせる、全部丸投げ~と言った感じではない。ただただ純粋にアティスの力を力量を信じてこの魔国連邦(テンペスト)を守護する光の小さな神である、とリムルは思っているのだ。……まぁ、2~3割くらいは丸投げ楽~~って思ってる様な気もしなくないが。

 

 

『解。個体名リムル=テンペストの心情より算出。5割程度と推察』

「もうっ、別に要らないよ! そういうの!! ……了解です。オレが何とかするから」

 

 

アティスは両手を翳して見せた目に見えないまだ光を発してない、日光に遮られてる無数の粒子がシオンとスフィアの周囲に向かう。

 

 

「ふふふふ。受け止められますか?」

「……ああ、勿論だ。勿論だとも」

 

 

そして戦いを楽しむ2人は本当に楽しそうに嬉しそうに続けていた。

 

 

「さぁ、本能を解き放て鬼人よ! このオレをもっと楽しま――「それまで」――――!!」

 

 

そんなスフィアの暴走? を止めたのはアティスでもなければリムルでもなく、勿論シオンでもない。

大蛇の半獣の姿を見せたアルビスその人だった。

いつの間にか、シオンとスフィアの間に入り、己の武器を双方に向けて制した。

 

 

「もう、十分です。この辺りに致しましょう」

「……ちぇっ。いいトコだったのに」

 

 

その言動の意図が解らない、と言わんばかりに驚きの表情を見せるのはヨウム。

スフィアも、最初はアレほど命令するな、と牙向きだしだったのにも関わらず、大人しく身をひいていた。

 

そしてヨウムの相手のグルーシスも気づいたら武器を収めて距離を取っていた。

 

 

「え? え? こりゃ一体。って、おい? お前も終わんのか??」

 

 

混乱してるヨウムに対し、リムルが声をかけた。

 

 

「剣をおろせヨウム」

「だ、旦那?」

 

 

続いて、アルビスの方を見た。

 

 

「それで、オレ達は合格(・・)なのか?」

「ええ。堪能させていただきましたわ」

 

 

笑顔でそう答えるとアルビスは一歩後ろに下がる。

先ほどまで戦っていたスフィアが前に出た。

 

状況についていけてないのはヨウム。

 

 

「ごうかく、って合格って事か?? えっと、それってつまり―――」

 

 

一言一句、この場で発せられた言葉を1つ1つ頭に入れ直し、漸く意図を感づいた所で。

 

 

「ああ、どうやらオレ達は試されていたらしいな。誇り高く、勇猛果敢な獣王が治める国の使節団だ。これくらい荒っぽくても何ら問題ないだろう」

 

 

スフィアはゆっくりと頷くと拳を上に振り上げた。

そして控えてる使節団の面子、配下たちに命じる。

 

 

 

「見たかオマエラ! 彼らは強く、度胸もある。我らが友諠を結ぶにふさわしい相手だ! 彼らとその友人を軽んじる事は、カリオン様に対する不敬と思え! わかったな!!」

【ははッッ!!】

 

 

 

力こそが全て―――とまではいかないが、己の高め続けてきた力に誇りを持っているからこそ、多少荒っぽくなろうとも、友諠を結ぶ相手の力量を肌で感じてみたくなった、としても何ら不思議じゃないだろう。

流石にカリオン直々にソレをやってくるとは思わないが………、兎にも角にも合格したのは喜ばしい。

 

 

「スフィア様の言われる通りだ。獣人とこれだけやり合える人間は滅多にいない」

「! ……嬉しいね」

 

 

グルーシスから手を差し出され、固く握手を交わす。

ヨウムと彼らも間接的にではあるが良い信頼関係を気付けていければ更に平和への一助となる筈だ……と、穏やかな表情で見ていたアティスだったが。

 

 

「ほれ、大丈夫だったろ? 実はな、そろそろ向こうが止めてくれるだろうなぁ~~って思ってたからこそ、大丈夫だって言った訳でもあってだな~?」

 

 

うんちく垂れる様にリムルがアティスに言うが……、アティスの胸中は穏やかとは言えない。

 

 

「お言葉ですがリムルさん? やっぱり駄目そうですよ?」

「へ?」

 

 

何を言っている、綺麗にまとまったではないか。と言いたかったのだが、そのアティスが言ってる意味は直ぐに理解できたので、何も言わなかった。

 

 

「ど、どうしましょう。コレ。こ、この魔力弾……」

 

 

急激に高まった魔素は周囲の魔素をも取り込み、更にデカく、強く成り果てていた。

それはいつ爆発してもおかしくない特大球の爆弾の様な代物。

 

 

「と、取り合えず落ち着け。そっとだ。そっとそれを上に向けて、威力を空に逃がしてだな……」

 

 

スフィア自身も、受けてみたい! と意気揚々だったが、元々の目的が達成した訳であり、そもそもあれだけ高まった爆弾(モノ)が暴発したともなれば、折角結んだ友諠に亀裂が入りかねなくなり、更に言えば自分の責任問題にもなりかねない……と、冷や汗をかいてしまう。

 

そそくさ、とその場から離れようとしているアルビスを見ても、やっぱりカリオンから罰せられる可能性があるのは嫌な様だ。

 

 

「シオンさん、落ち着いて落ち着いて。ほら、それを消したり~~は?」

「で、出来ません! といいますか、もう留める気力が限界で……」

「なにーーー!!」

 

 

消せないし、限界とすれば上に盛大に打ち上げ花火の様に放つわけにもいかない、と言う事か。

 

 

「まったく、しょうがねぇなシオンは。……と言う訳で、見せ場残してくれたって事でサクッと頼むわ」

「了解しました」

 

 

シュナの腕の中にいたアティスは、ヒト型になった。

それはリムルと瓜二つで、髪の色が違うだけの風貌。

初めて見る者も多少居たので少々騒めいたが、シオンの特大魔力弾を前に、そんなのは些細な問題。

 

 

「シオンさん、大丈夫ですよ落ち着いて」

「でで、ですが―――!!!」

「大丈夫です。……皆を護る。そう言ったのは決して嘘じゃない、って所。見せさせてください」

「!」

 

 

それは嘗て皆の前で誓った言葉。

あの時は、生き残ったオークたちに込められたモノだと思っていたが、その守護の範囲はこのジュラ大森林全て。

盟主であるリムルも認める誰よりも優しく力強い守護の力。

 

 

「ん――――――」

 

 

アティスは両手を広げた。

すると、周囲で既に控えていた粒子が瞬く間に輝きを放ち、周囲を光で染める。

真っ白のそれは、あの魔力弾の色を優しく包み込み……軈て消失した。

 

 

 

「これで、どうでしょう?」

「うむ、上出来。流石は我が弟!」

 

 

 

リムルもヒト型に戻って盛大に親指をおっ立てた。

 

ジュラの森に、かの光の神が降臨したという話は噂の範疇だが聞いている。

そして、その噂は尾ひれをついて回っていた。

その光の神の加護が、とある魔物に宿ったのだと。

神々しい力を前に、笑顔を向ける。

驚く事は不思議と無かった。驚く必要が無い、となぜか本能的に感じたからだ。

 

 

この優しい光は味方であり、皆を護ってくれるという安心感がある、とこの場に居る誰もに感じさせたのだから。

 

 

 

 

「流石、ですね。カリオン様のお認めし方々。古より伝わりし光の御業———ご堪能でき光栄極まります。貴方がたの国と縁が出来たことに、心より感謝を―――――」

「こちらこそ」

「末永くよろしくお願いしますね。アルビスさん、スフィアさん」

 

 

「「ようこそ、魔国連邦(テンペスト)へ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその後の夜———。

今日と言う日にも備えて新築した迎賓館で歓迎の宴を催した。

それで解った事がある。

 

 

 

「んく、んく―――――ああぁ……幸せ……♡」

 

 

 

獣人の皆さんは酒豪揃い、酒好きだらけだ、と言う事。

アルビスなんか最初は優雅に嗜む様にタンブラーを傾けていたのだが……、ある程度酒が入ってくると、量を求める様になっちゃって。

 

 

「わぁ……、リアルで樽飲み、ってあるんですね。初めてみました……」

「悠長に言ってる場合かよ。そもそも誰だ? 樽ごと渡したのは………スフィアさんも、そろそろ止めた方が……って、ええ―――!?」

 

 

ちらり、と反対側を見てみると、こちら側も本性を隠さなくなった様で、完全な獣化。まんま虎の姿となったスフィアがいた。

 

 

「変身解く~~って結構秘密だった~って設定があると思うんですが」

「設定言うな。っと、それよかこの姿他人に見せて良いもんなのか?」

「ええ。特段見せてはいけないものではないのですが……、聊かお恥ずかしい限りですな。油断し過ぎで」

 

 

従者の1人、モロ西遊記に出てきそうな孫●空っぽい猿人が頭を下げていた。

1人だけ酒が飲めない幹事役~の様な立ち位置を見て何だか親近感を覚えたり、可哀想だと思っちゃうのは昔ながらの性か。

 

 

「えへへ。気にしてませんよ。だってそれだけ心を許してくれてるって事でしょう? 何だか嬉しいです」

「まぁ、アティスのいう事も解るな。―――――でもだ。気づけばリンゴのブランデーの空樽が積み重なっていってるのはどーすんだ?」

「…………オレも頑張って働きますよ!」

「お前は、暫く外交面だ。現場作業はちゃんと割り振ってる。逃げるな」

「ぅ………」

 

 

ドワルゴンへ赴く予定もある。

兄弟子であるガゼル王がアティスも来る様に! と超絶指定してるので、友好関係を維持する為にも今後とも外交面をアティスには頑張って貰いたい。

何なら分身体でもOKだ。

 

 

「分身体って言ったって感覚で繋がってるので、嫌ですよぉ……倍疲れる所じゃありません……」

「おや? 口に出てた?」

「でーてーまーしーた! なんなら笑ってましたよ! こーんな感じで!」

「こりゃこりゃ、くちひっぱるにゃ」

 

 

リムルの頬を思いっきり引っ張って見せた。

アティスも引っ張って伸ばしてみたいが……メタルスライム状ではメチャクチャ固いので無理。

そんな時だ。ほろ酔い気分なアルビスがその長い尾を伸ばす。

 

 

「それにしても、アティス殿は素晴らしいですわ~」

「ひゃあっっ!?」

 

 

リムルを引っ張って遊んでたら……大蛇に捕食されてしまうアティスだった。

 

 

 

 

 

 

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