メタリックなスライムになっちゃった   作:フリードg

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6話 恥ずかしいオーラ

 

「お待ちしておりましたリムル様。アティス様。出撃用の武具の準備、整っております」

 

 

 

 鬼人クロベエと伝説の鍛冶師と名高いカイジン、ガルムの合作。そして最高傑作。

 

 格好良い……といつの間にか ウットリと見つめていたアティス。

 リムルもにやっ、と笑っていた。

 

「……へぇ。いいじゃないか」

「ああ。これが旦那の分、そして、あいつがアティス殿の分だ」

 

 カイジンがそっと差し出した。中でも格好良い! と思ってた、

 柄に部分に銀の装飾が施されている刀。日本刀のような形状の武器。

 

「わぁ……。格好良いです。ありがとうございますっ!」

 

 ひょこっ、とメタルスライム状態で器用に受け取った。

 剣など使える訳ないでしょ? とハクロウとの修行を拒んでた筈だったのに、剣をすっかり気に入っていた様だ。

 

 勿論、理由がある。剣が格好いい、と言う理由以外にも。――使えるように(・・・)なったからだ。

 

 

 

 

「さてさて、出発前にお披露目式だ。ほーれ、アティス」

 

 リムルは ぷるんっ、っと身体を震わせた後、人型へと変化。そして、指示を送ったのだが、反応は一切なし。

 なので リムルは ちらっ、とアティスを見る。どうやら 話しを聞いてなかったのだろう。いつまでもいつまでも、ただただウットリと刀を掲げていた。

 

 まるで伝説の聖剣? でも掲げているかの様に。

 

「ふふっ、わー格好良いなー……。大剣豪に、オレはなるっ! って感じかな? かな? 3本使ってみようかな?」

 

 ひょい、ひょい、と本当に器用に剣を持ちなおしたり、鞘から抜いてみたり。スライムボディの扱い方は限りなく満点だ、と評価したいが今は違う。ので、リムルはアティスの元へ。

 

「コラコラ。無視すんな」

「あたっ!」

 

 リムルは、ぱかんっ! とアティスの頭を引っぱたく。……掌がじーんっ、と痺れた。

 

「痛いとか気のせいだろ? オレの手が痺れたぞ」

「でも、いきなりは酷いです……。ビックリするんですから。それでどうしました? リムルさん」

「お披露目式。さっさとする。師匠命令」

「おひろ……、あっ、そうでしたね。判りました」

 

 場にいる全員がきょとんっ、としていた。いったい何が行われるのか? と。

 でも、その疑問は直ぐに解消される。リムルの隣にいたアティスの身体が変化した。堅い身体がグネグネと動き、体積が明らかに増えて……そして、見覚えのある姿へと変化。

 

 

 

「え……っ?」

「あれ? リムル、さま?」

 

 

 

 そう、アティスの身体はリムルの姿へと変化したのだ。

 でも、やや違いがある。まず、髪の色がリムルが水色に対して、アティスはそのスライムのボディを象徴する様に鮮やかな銀色。そして、身長がリムルよりやや小さい。ぱっと見は判りづらいけど、横で並んでみたら一目瞭然だった。

 

「アティスのは、オレのと違って喰って解析、擬態をする必要は無いみたいでな。便利なもんだ」

 

 リムルが簡単に皆に説明した。

 一緒にと見てあげた、つまり修行した過程で、アティスのスキルが色々と判明した。

 

 アティスのユニークスキルの1つ《物真似(モノマネ)》は、相対する対象者のスキル、外見を真似る事が出来る。正し、スキルに関しては約8割程度までしか出来ない。故に、強大な相手を真似てそのまま倒す! みたいな事は出来ず、オリジナルに勝つには心もとないスキル。

 だが、使い方次第で応用が利きまくる極めて便利な能力だと、リムルは勿論、リムルのスキル大賢者まで太鼓判だった。

 勿論、アティスの中の賢者も同じく。

 

「リムルさんは、オレの事を同族で、……兄弟だと呼んでくれました。それと姿を継承する事も許してくださいました。なので、オレが真似るのはリムルさんの姿で固定しましたので。暫くは混乱しちゃうかもですが、髪の色で判断してくれれば。……あっ、勿論 いたずらなんかしませんよ? リムルさんに提案されましたが」

「よけーな事言わない」

「いたっ!」

 

 ニコっと笑うアティスとリムル。

 そして、中々理解が追いついていないのか、ちょっと固まってる面々。

 

「ほら、やっぱりビックリさせちゃったみたいですよ。リムルさん。出来た当初に言った方がやっぱり良かったんじゃないですかね?」

「いやいや。あの時にお披露目なんかしてたら……」

 

 リムルが お披露目式を早めたらどうなっていたか、の予測説明をしようとしてたその時。

 

 

 

「きゃーー! かわいらしいですっ!」

「ほんとですっ、アティス様。すっごく可愛いですっ!!」

「わぷっ!??」

 

 シュナとシオンに抱きつかれた。

 揉みくちゃにされて、アティスは、2人のスライムにも負けない柔らかなボディに埋もれていった。

 

「こうなるだろ? そんでもって、折角の修行期間がぜーんぶおじゃんになる可能性大だ」

「成る程……。だから、この出発ギリギリに、と?」

「ああ。もう出発しないと 時間が延びる一方だし、それに、アレは出発道中でも出来るだろ?」

「ほほほ。確かに。……ですが、少なからず妬くのではありませんか? アティス様を見ていると。お2人を取られてしまった、と」

 

 身体いっぱいでアティスを愛でる2人を見て、ハクロウがリムルに告げる。

 

 でも、リムルは涼しい顔を、そして笑顔だった。図星、とかはなさそうだった。そもそも、リムルはシュナやシオンに名を与え、鬼人にしたその日から、殆ど毎日行われているから、ちょっぴり代わってくれる? アティスがありがたいのかもしれない。そして、それ以上に兄弟が出来た事に嬉しいのかもしれない。

 

 

 

 

 

「いいや、全然。だって オレ達は兄弟だからな。兄弟には平等、ってヤツかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後――ぐったりしていてもなかなか解放してくれないので(2人に埋もれてしまって声も出せなかった)、アティスは はぐれ化してつるんっ、と脱出。

 

 シュナもシオンもある程度、満足出来た様で 逃げられた後 残念そうにはしていたものの、ちゃんと出発出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「洞窟でリムル様とアティス様が戦闘訓練をしていたとは。オレも参加したかったですね」

「あはは……。ベニマルさんとも一緒にーとなると 封印の洞窟内が壊れちゃってましたよ、きっと。……何でも、あの洞窟の入り口付近が、黒焦げになってたのがリムルさんの仕業だーって知りましたし」

 

 道中。話題はリムル師匠による、アティス改造計画(笑)とアティス自身の話題で持ち切りだった。そして、トレイニーとの出会いについても。

 

 

 何でもトレイニー曰く、本当に光の神がこの世界に降臨する事は 極々稀。

 

『トレイニーさん、樹妖精(ドライアド)も似たようなものだと皆から聞いたが?』

 

 とリムルが聞いてみたら、そんなの比べ物にならない、との事。存在は把握出来ていても、気配は感じる事があっても、姿を現すなど前代未聞。そして 身に余る程の光栄だとの事。信仰の類が具現化した結果みたいなものだと解釈。

 以前いた世界のキリ〇ト教信者の前に、本当にキ〇スト様がいらした~ の様な感じだろう、と。リムルもアティスも解釈。

 

 そして、熱弁しているトレイニーの姿を見て、リムルはアティスにトレイニーが入れ込む理由もよーく理解出来た。そんなレア。……超がいくつも付きそうなレアな存在が気にかけ、世話をやいたともなれば、全身全霊でー、と言う事なのだろう。

 

 でも、怖がってるアティスを見るのも何だか楽しかった、と小さくぼそっ、と言って笑ってたのをリムルは聞き逃さなかった。

 まだ知り合って間もないのだが、十二分に判る気がした。

 

 

「そこまで手荒にはするつもりはありませんよアティス様。次は是非、呼んでいただければ」

「はーい。って……う~ん。あのぉー ベニマルさん。やっぱり、〇〇様って止めません? 普通に接してくれて良いんですが……」

「いえ。我々はリムル様に名を頂き、あの方の元に集っておりますので。その同族、親族であるアティス様にも首を垂れる所存です」

「えーっと。うん。確かにリムルさんは 色んな意味で凄い人だから、判るんだよ? 勿論、オレもさ。んでもさ、どーしてオレまでって思うんだ……。何だか恐れ多いって感じが……。ほら、知り合ってまだ10日くらいだし。それに ちょっと恥ずかしいけど 正直自分は皆さんの足を引っ張りそうな気もします……」

 

 

 リムルとは訓練の最中、お互いの身の内話もした。どのような経緯でこちら世界に来たのか、と。

 逃げ回ろうと思ってた自分と違って、リムルは竜と友達、親友になり、ゴブリンたちを、嵐狼牙族(ランガ)たちを、ドワーフたちを、そして このオーガ達を従えている。

 

 単純にスケールが違い過ぎるよ、とリムルに言うと笑っていた。ただの成り行きで偶然と幸運が重なって出来た事だと。

 でも、幸運だろうと偶然だろうと、従えてきた事実は変わらない。アティス自身そんな事が出来るとは思えないし、自分の事が強いとも思えなかった。

 

 同じ様な種族だからと言って、自分まで畏まられると……嫌と言う訳じゃないが、何だか悪い気もするのだ。

 

「足を引っ張る……? ……ふふ。はははは。ご謙遜をアティス様。リムル様。そろそろ宜しいのではないでしょうか?」

「んー、ほっておいても面白いと思ったんだけどな」

「ん? ……んん? どゆこと?」

「アティス。お前にも大賢者……、賢者のスキルがあっただろ? 魔力感知の視点を自分自身に切り替えて見てみればわかる」

「そう? えーっと 賢者さん賢者さん。リムルさんの言う通りにしてみて」

 

――了。

 

「………………」

 

 自分視点では判らなかった。でも、なんで判らなかったのかも判らなかった。

 第三者視点で自分自身の身体を見てみると……。

 

 あらヤダ。なんか纏ってる。

 

 光って表現した方が良いかも。なんで気付かなったの? って自分に言いたい程、纏ってるじゃありませんか。神々しいというか、お体が輝いています! と言うか、何にせよ スライムと言う魔物が放って良いオーラ? じゃない気がする。

 幾ら光を反射しやすいメタルチックなボディとは言え。

 

「それ、妖気(オーラ)って 皆いっててな。その総量で力量も解ってくるんだと。あー、後 見え方が少々違うが、オレん時も随分と怖がられてた」

「って、判ってたのなら、どーして教えてくれないんですかー! なんか、すっごい恥ずかしい! こんなの自分を大主張してるみたいで!」

「おー、気持ちは判るよ。オレも最初は、社会の窓を全開にしたまま、大通りを闊歩してたかの様な気分だったし」

「ぅぅ……、なんか実に的確な表現と言うか……。って、だからどーして教えてくれないんですかー!」

「そりゃ、舐められないよーにってヤツだ」

 

 リムル曰く、ただのスライムは正直舐められる事が多いらしい。

 オーラを抑えている状態だったら特に。現にリザードマンのガビルには散々言われたらしい。

 最初が肝心、と言う事であえて伝えなかった、と。

 

 因みにトレイニーの羽衣になってた時は、トレイニーが纏う事で何かオーラの漏れを抑えてたらしい。

 

「う~……。つまり結論するとアレですよね? 社会の窓全開にしてて歩いてる所に気付いてたけどあえて教えず、遠目で、ニヤニヤと見てた、と?」

「いやいや~。オレの話ちゃんと聞いてましたか? アティス君!」

「その何だか いやらしい笑顔がぜーーんぶ物語ってんですっ!」

 

 人型になって、リムルをぽかぽか~! っと叩くアティス。

 リムルも頭を押さえながら ぴゅ~! っと逃げる。

 

 何だか愛らしい2人を見てて、シュナやシオンは混ざり、ベニマル達はただただ笑っているのだった。

 

 

 

 

 色々と疲れちゃったので、ランガの背にのせてもらうアティス。リムルは ベニマルと何やら話をしていた。

 

「うー……。ランガも気付いてたの? オレだだ洩れだって」

「はい。主の命により明かせませんでしたが」

「……ふーん。ランガも楽しんでた?」

「??」

 

 流石に狼であるランガは、この人間としての感性みたいなのは判らない様だった。

 それにしても、ランガの乗り心地は素敵だ。モフモフとした毛はぎゅっ、と抱きついてみると本当に気持ちが良い。

 

「……あ、言うの忘れてたけど、乗せてくれてありがとう」

「いいえ。アティス様であればこのくらい喜んでお引き受けます」

 

 ランガはリムルの事を主と呼び、本当によく慕っている。

 魔素切れを起こしたら、リムルの影の中に入り、常々、とまではいかないが、よくリムルにくっついている。

 なので リムルに似てるから(殆ど一緒)しているのかな? と一瞬思ってしまったが、ランガはそれに気づいたのか、或いはただの偶然なのか、アティスであれば問題ない、とまで言ってくれた事が嬉しかった。

 

 そんな感じで、極上のベッド内で転がってる感覚を楽しんでいると、リムルがやってきた。ん~ と目を細めてるアティスを見て笑う。

 

 

 

「どうだ? ランガの背は気持ち良いだろ?」

「はい~…… とってもぉ……」

「後走るのも凄いぞ。ジェットコースターみたいで」

「そ、それはまた今度、と言う事で……。今は 心労回復中ですから」

「ほほぅ……わかったわかった。また今度な(・・・・・)(絶叫マシンは苦手とみた)」

「変な事、考えてません?」

「いーえ、なんにも」

 

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