ゴルフをする島は、好きですか?   作:suryu-

2 / 3
 続いてしまいました。まさかこうして二話目も書くとは……やっぱり好きなものって偉大だネ。

 例によって、あとがきもあります。見たい人は見てね……?


潮風の吹くコースの下見

■【リュウ】■

 

 

 

「さて……車もバイクも調子良し。設備の確認良し、となると……」

 

 あれから、俺は色々このコテージと持ってきた移動手段の確認を漸く終えたところだった。持ってきた荷物は少ないし、案外楽に整理を終えたからには、やることは一つ。見に行くしかないだろう。

 

「……どんなコースでゴルフやるのか、把握しとかないとな」

 

 確か先程、アリンからガイドブックを貰ったな。なんて思い出しながら、本を取り出す。文字に関しては、何故か日本語で書いてあったために把握出来た。他にも韓国語とか、様々な言語があるらしいから驚きだ。そんなに俺達の世界から、人間が来てるなんて想像もできない。

 

「とりあえずこっから近いのは……Blue Lagoon及びBlue water 。Blue Moonか。Blue Moonは夜限定コースらしいから、それは後でかな」

 

 そんなことを考えながら、ゴルフクラブを持ってコテージから出ると、アリンが待機していた。いや、なんで? なんて答えを聞く前に、彼女から話してくれそうだ。

 

「リュウさん、パンヤ島は初めてでしょうから、案内しますよ。驚きのコースとかも、多いはずですから!」

 

「良いのか? こちらとしては有難いけどさ」

 

「大丈夫ですよ。お仕事にもなるし、勉強になる。そんな気がしましたから」

 

「ん、そっか。頼むよ」

 

 とりあえず好意は受けとる事にして、コテージのガレージの扉をあける。とりあえず、車で移動した方が早いだろう。そんな訳だから、車のドアをあけて、キーを回す。エンジンがすぐかかったし、これでいい。

 

「それじゃ、隣乗ってよ」

 

「はい、わかりましたっ」

 

 アリンを隣に乗せて、車は動き出す。こっちの世界もちゃんと道は舗装されていて、わりと走りやすいものだ。そんなわけで、コースの下見をするために車を走らせた。スポーツカーだから見た目も走りもいいし、新しめのだから燃費もそこまで酷くない。

 そうして車を走らせていると、ようやく目的の場所は見えてきた。Blue Lagoonや、その派生コースの元となる場所だ。窓を開ける。潮風が、とても気持ちいい。

 

「このコースやこの付近海辺は、人気があるんですよね。海では泳ぐ人もいます」

 

「だろうなぁ、こんだけ海が綺麗だと気持ちよさそうだよ」

 

 確かに、泳いでみたい気持ちになる。こういう海で泳げたのなら、とても楽しいだろう。後で泳いでみるのも、良いのかもしれない。

 そんな事を考えていると、駐車場を見つけたために車をそのまま駐車する。そして、車から降りるとアリンが指をさした。

 

「あそこにあるのが、Blue Lagoon等のコースですよっ」

 

「おー、あれが……本当に海沿いだな」

 

 ここでゴルフをするのは、気持ちいいだろうな。なんて思い、ゆっくりとコースの方に歩く。今は誰かがホールを回ってる訳でもないし、とりあえず見学しても良さそうだ。とりあえず、フェアウェイなどの起伏を調べる。なるほど、初心者用のコースだ。これならわりと、上手くやれそうだ。グリーンの難度は……少し難しいと言ったところか。

 

「分かるんですか? 見るだけで」

 

 不意に、アリンが声をかけてきた。どういう意図か、なんて返事はしない。分かってる。見るだけで、そんなにコースを把握できるのか。という意味だろう。まあ、普通はそんなことできないのかもしれないが。

 

「まあな。昔は色々なコースを回って、様々な難易度を攻略したさ。その時の経験が生きてるんじゃないかな」

 

 まあ、このパンヤ島のコースはどれも規格外らしいし、自分の経験があてになるのかは分からない。ただ、やってみるしかないのは確かだし、それならそのまま行くしかないだろう。

 

「そんなに、パン……ゴルフを楽しんでいたんですね。私も好きですよ」

 

「……まあ、な。それと言い直さなくていい」

 

「あ、す、すいません」

 

 痛い部分ではある。ゴルフに関しては、色々とあった。……別に、今思い出すべき事でもないから、深く考えなくても良い気はするけど。

 

「……あ、そういえば。今回のパンヤで、私、憧れの選手がいるんですよ」

 

「ん、そうなのか?」

 

 それが男か女か、そのどちらかによって話は変わってくる。まあ、多分男なのだろう。こんな美人な子が憧れるなら、一目惚れするようなとてもかっこいいやつだ。俺としては、アリンに一目惚れしてそう、なんだけどな。ま、それは置いておくことにしよう。

 

「はい、マックスさんって人で、テニスプレーヤーをしてたとか!」

 

「……そりゃまたテニス界の大物だ。知ってるよ、こっちでも有名だった」

 

「そうなんですか? 凄いなぁ」

 

 確かにあいつはイケメンだ。俺の知る限り、トップアスリートというのは間違いない。とあるテレビ番組の企画で、会ったこともある。空軍のパイロットを目指してることは、その時聞いて覚えていた。実際、あいつならなれるだろう。まあ、ただ彼奴には欠点もある。ファッションセンスに欠陥がある。まあ、知らぬが花という事だから、そこは言わずにいてあげよう。

 

「……マックスのやつがこっちに居るのか。おまけに、パンヤをねぇ 」

 

 実は、その企画の時からマックスとは友人になったのだが、あいつそもそもゴルフ経験あったか? という所を考えると、そこら辺を確認したくもなる。こっちで携帯は通じる……訳はないし、連絡できる方法があれば、連絡したいものだ。

 

「もしかして……リュウさんはマックスさんと知り合いなんですか?」

 

「まあ、昔な。俺も一応少しは名が売れてたんだ。きっかけがあってな」

 

 遠い昔の話だけどな? とは付け足しながらも「凄い……」と呟きながら、俺を見るこの子に、なんとなく申し訳ない気持ちになった。

 

__だって俺は。

 

 

「……大丈夫ですか? リュウさん」

 

「……! ああ、平気さ」

 

 アリンの声を受けて、俺は思考の波から抜け出すことができた。そうだ、俺はこの島にはもう一度ゴルフをするために来たんだろう? なら、あの時の夢は、叶えられる可能性はまだあるんじゃないか? ……そう思うと、俺はまだまだやれる。なんて考えられるはずだ。家に代々伝わる、このゴルフクラブと共に、俺はもう一度。

 

「……それにしても、だいぶ使い込まれたゴルフクラブですね」

 

「まあな、代々家の家系が使ってる。時代が変わろうと、こいつだけで戦ってきた」

 

「そうなんですか? それって凄いですねっ」

 

 アリンは俺の気持ちを察したのか、話題を変えてくれた。まあ、俺のこのゴルフクラブは、かけがえのないものだし紹介くらいしてもいいだろう。

 

「俺の家がずっと愛用してる、このセットの名前は……”エアーナイト”。俺の相棒さ」

 

「……え?」

 

「はは、かっこいい名前だろ? ……こいつだけだよ、俺のプレーについて来れたのは」

 

 ぽかんと呆然とするアリンを見ながら、こいつと回ったコースを思い出す。これ以外のゴルフクラブを使っても、うまくはいかなかった。だから、こいつしか俺は使わない。さて、この後はどうするか。アズテックの入手でもするかな?

 

「それじゃあアリン。アズテック、買いに行くから案内してくれ」

 

「は、はいっ!」

 

 なんとなく力の篭もった返事に、俺は首をかしげながらも、コース近くのショップを歩く。アリンは、アズテックの売ってるであろう店の方向を指さして、「あそこで入手できますよ」と丁寧に教えてくれた。さて、どんなアズテックにしようか。柄付きはいくつもあるが、そうだな。

 

「……使うとしたら、このボールのセットかね?」

 

 その中で、ブルースターアズテックというものが気になった。見た目的にも、転がすと星の模様が出るのも、なんとなく好ましい。

 

「そんじゃ、こいつ頂いていいかい?」

 

「ああ、安くしとくよ。おにーさん」

 

 その店を切り盛りしているかのような少女は、安めに売ってくれた。なんだか少し、得した気分だ。いや実際得してるのだが。そんな買い物をしてると、知っている顔を見た気がする。というか。

 

「マックス?」

 

「ん? その声……リュウか?」

 

「はわわ、マックスさん。お知り合いですか?」

 

「わ、マックス様……!」

 

 アリンのテンションが上がるのが、目に見えて分かる。俺としても、こんなに早く再開できるとは思わなかった。というわけで、だ。拳をお互い合わせて、いつもの挨拶をする。

 

「よう、ダチ公。元気してたか?」

 

「ああ、してたさ。お前こそ、元気だったのか?」

 

「おう、もちろんだ」

 

 こいつはいつものライダージャケット姿で、このショップを歩いている。相変わらず服には無頓着なんだろうと思えば、ツッコミはやめておいた。

 

「アリンから聞いてたとはいえ、まさかこんなに早く再開できるとは思ってなかったぜ」

 

「俺としては、お前がここにいる事が不思議なんだが。……あの時言ってなかったか? 夢は諦めたって」

 

 マックスは、俺が抱えている事情をずっと前から知っている。だから、自分を奮い立たせるためにも、もう一度。今度は言葉にする。

 

「まあな。けど、来ちまったんだ。ここならできる気がするんだ」

 

「……なるほどな。有り得るよ、それは。俺たちの居た世界とは違う」

 

「お前がそう言うのなら、希望は見えるな。なら良かった」

 

 そんな話をしていると、アリンはハテナを浮かべて、マックスの隣の少女はちらちらと俺を見る。なんだろうか、俺の何か気になる……ああ、そうか。

 

「そっちの子は、はじめましてだな。俺はリュウ。マックスとは、こっちに来る前からダチをやってる」

 

「あ、ご丁寧にどうも。ティッキーですぅ……えっと、よろしくお願いします。マックスさんのキャディをしてますぅ!」

 

 なんとなく、ドジっ子系統の女の子だな。そんな雰囲気がしつつも、ゴルフ経験の薄いであろうマックスを支えてるんだな。と理解した。

 

「しかしどうした、マックスも買い物か?」

 

「ああ、そうさ。アズテックを仕入れにきたんだ」

 

「なるほど、俺と同じ目的だな。それなら一緒にショッピングでもするか?」

 

「!」

 

 アリンをちらりと見たあとの提案で、マックスはふむと考え込んでから、ゆっくりと頷いた。どうやら、okを出してくれるようだ。

 

「リュウさん。その、有難うございます!」

 

「おう、いいってこった」

 

 全く、自分が可愛いと思う子をほかの男に紹介するのは、案外疲れるもんだねぇ。なんて思いつつも、笑みは出したままにする。それが一番の正解ってのは、俺が一番よく分かってるからな。ま、それはいい。どうってことないし、それより今マックスに聞かなきゃいけないことがある。

 

「……なぁマックス」

 

「ん、どうした?」

 

 ものすごく今更で、コテージに居る時に確認すればよかったのだが、すっかり忘れていた。というものだ。

 

「キャディってどこで雇えばいいんだ?」

 

「……お前、それ、知らないのか?」

 

「……あっ」

 

 アリンの忘れていた。という声を聞いたまま、場は少し固まる。そして、やれやれとマックスは苦笑いした。どうやら、教えてくれるようだ。だが、その先の答えを俺は予想していなかった。

 

「いいか? この島でキャディを雇うには……」

 

 

 

__キャディにしたいやつに、実力を示せ。

 




 続きを書くきっかけ、というのも。最近になって、感想をくださった方が、追記をくれていたことに気づきまして。つい書いてしまいました。やっぱり、パンヤ好きな仲間が残っていると思うと、なんとなく嬉しかったんです。

 これを機に、ほかのパンヤ好きな仲間も戻ってきてくれたら。この小説を見てくれたら。と思ったりしてます。こんな私でよければ、物語を紡ぎますので、どうか皆様、再びパンヤ島でパンヤを楽しみませんか? 私はお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。