指揮官には友達がいない   作:狂乱のポテト

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ペルシカさんが開発した新型増幅カプセルの作用でHK416やUMP45たちがネコ化!おまけにケモ耳が生えたM4A1が脱走しちゃった!
グリフィンの基地はこれからいったいどうなるの?どうでもいいけどさ☆


注意: とある放火魔さんが少しだけキャラ崩壊しちゃっています。うちではこういう子なんです。そういうことにしてください。 変異体戦術人形




#11 彼女たちはプライスレス

 

「くそっ、どこに行ったんだM4は……」

 

 かなりの広さがあるこの施設。1人で探すにはどうにも骨が折れる。

 

(仕方ない、誰かに協力を仰ぐか…)

 

 どこかに口が固くて信頼できるヤツは……と辺りを見渡してみると…。

 

 ……いた、Vectorだ。

 

 誰にも秘密を漏らさないというよりは他人に対して無関心というべきか。とはいえ最近はそんな性格も変わりつつある。

 

 この基地には各階の渡り廊下に”くつろぎ広場”というスペースが用意されており、職員や人形たちの憩いの場として利用されている。そんな「普段みんなが集まる」場所で彼女が読書に耽ているのは少し意外だった。

 

「Vector、珍しいな。お前がここを使ってるなんて」

 

「指揮官か…。別に、私だって時々ここにいるよ」

 

「それとも…」

 

 彼女は本を閉じ、まっすぐと俺の目を見つめた。

 

「ここは私に似つかわしくない?」

 

 そう、そんな性格も変わりつつ…あれ?

 

「いや…そういうわけじゃ……!」

 

「ふふっ、ごめんごめん冗談だよ。…それで?私になにか用があるんじゃないの?」

 

 まったく心臓に悪い…。まあ少しタチは悪いが冗談を言えるほどまでにVectorは変わった。うん、そういうことにしておこう。

 

「ああ、ちょっと面倒なことが起きてな。話せば長くなるんだが…」

 

 

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「……」

 

「…ほんとだからね?信じて?指揮官を信じて?」

 

「いくらなんでもそんな…、いや…ペルシカさんならやりかねないかも…」

 

 どんなに信憑性が低いことでもペルシカさんの名前を出せば大抵のことは信じてもらえる。あの人が原因でよかった。いや、よくはないな……。

 

「とにかく他の人にバレるまでにM4を見つければいいんだよね?」

 

「そのとおりだ。話が早くて助かる」

 

 うん、やっぱりVectorに頼んで正解だったな。真面目に取り組んでくれるし優秀だ。

 

「ちょっと待って…すぐ済むから」

 

 そう言うとVectorは隣の椅子に置いていたバッグを開きゴソゴソとなにかを取り出した。

 

「よし、これでオーケー」←にゃんこヴェクター

 

「君なにしてんの???」

 

 えっ、いや、なにしてんの?それハロウィンパーティーの時の服だよね?

 

「人間に対して警戒心が強いネコもいるし、この姿ならその心配はないでしょ?ほら、指揮官も」つネコミミカチューシャ

 

「あ…ああ…。なるほど、そういうことか…そういうもんなのか?」

 

 一瞬納得しかけたがその理論はおかしい。野良猫じゃあるまいし警戒心が芽生えたりはしないだろう…。それに警戒心を解くにしてもこんな仮装で通用するはずもない。もしかしてVectorって天然なのか?

 

 彼女の顔をみる限りふざけているようには見えない。恐らく本人は真面目にそう考えているのだろう、となると反論するのはなんか気が引けるな…。

 

 よし、これ以上は何も言わないことにしよう。あと、俺はネコミミは付けないからな。恥ずかしい。

 

「そう…指揮官に似合うと思ったのに…」

 

「似合わない、どう考えても似合わない」

 

 そうキッパリ断るとVectorは残念そうにネコミミをバッグにしまった。

 本当に付けないの?(´・ω・` )といった視線をチラチラと向けてくるがダメなものはダメです。諦めなさい。

 

「でも外見がネコになったなら中身も少しはネコっぽくなってるんじゃないの?」

 

「うーん、どうなんだろうな」

 

 たしかに45は人懐っこくなったというかすごい甘えてくるようになった。元々の性格か416も親猫のように45の面倒を見ている。

 

 なるほど、外見だけでなく内面もネコに近づいているというのは理にかなっている。さすがに俺たちを警戒するほど野性化してはいないと思うが。

 

「指揮官の匂いがするものをその辺に置いてたら、そのうちM4から寄って来ると思う」

 

「適当なことを言うな。こっちは真面目に考えてるんだぞ」

 

「ソースはG41」

 

「……」

 

 なんだろう、G41なら本当にそんなことを言ってそうだから困る。

 

「本当に上手くいくか…これ…」

 

「物は試しだよ、ほらその制服脱いで」

 

 Vectorに促されるまま、着ていた上着を脱いでその辺の手すりに掛けた。あとは少し離れたところから目標が寄ってくるのを待つだけだ。

 

 

 ¦ 10分後 ¦

 

 

「全然M4来ないんだが……」

 

 かれこれ待ち続けているが彼女が現れる気配は全くない。素直に探しに行った方がいいんじゃないか、これ。

 

「待ち伏せには忍耐力が大事だよ、ライフルの子たちが言ってた」

 

「なにお前は読書を再開してるんだよ、飽きたの?ねえ飽きたの?」

 

 罠の監視を続けている俺には目もくれず、Vectorはコーヒーを啜りながら本を読んでいる。ちくしょう。

 

 と、ここでついに動きが見られる。1人の戦術人形が罠に近づいてきたのだ。

 

「!おいVector、きたぞ!」

 

(えっ、うそ。適当に言ったのに)

 

 だがその正体はM4ではなく、別の人形だった。

 

「あれは……G36…?」

 

 手に持った書類を見てなにかつぶやきながら近づいているのはG36。配給や弾薬などの在庫管理、俺の身の回りの手伝いなど戦闘以外のことを進んでやってくれる優秀な人形だ。

 

「……これは…ご主人様の…」

 

「なんで見ただけで俺のだって分かったんだ」

 

「…指揮官の部下ならまあ分かるんじゃない?私はどうでもいいけど」

 

 それはそれで傷つく。

 

「まったく、制服をこんなところに脱ぎ捨てて…。あとで注意しないと…」

 

「……」

 

 ん?俺の服をじっと見つめてどうしたんだ?

 

「…」キョロキョロ

 

「……」クンクン

 

「…ふふっ♪」

 

 G36は俺の服を片手に、周囲に誰もいないことを確認すると服の匂いを嗅いで去っていった。普段は堅物な表情を見せる彼女だが変に笑顔だった。おかしいな、結構一緒にいるのにあんな笑ってるとこみたことないぞ。

 

「ていうか…俺の服……」

 

「G36のことだから洗濯して渡してくれるよ、はい次」

 

「次?」

 

「作戦続行だよ、シャツ脱いで」

 

 ええ……。

 

 

 ¦ 10分後 ¦

 

 

「Vectorさん、僕思うんですよ。他にもっといい方法があるんじゃないんでしょうか」

 

「たった一度の失敗で諦めるのはよくないよ。何度も繰り返し続けて実ることだってあるんだから」

 

 罠の監視を続けるインナーシャツ姿の俺には目もくれず、Vectorはクッキーを食べながら本を読んでいる。ちくしょう。

 

 と、ここでついに動きが見られる。1人の戦術人形が罠に近づいてきたのだ。

 

「!おいVector、きたぞ!」

 

(えっ、うそ。その場しのぎで言ったのに)

 

 だがその正体はM4ではなく、別の人形だった。

 

「あれは……Five-seven…?」

 

 タピオカミルクティーを飲みながらスマホを片手に歩いてるのはFive-seven。こうしてみると部隊の中でも今時な女の子の部類に入る気がする。

 

「これは…指揮官のシャツ?なんでこんなとこに…」

 

「どこをどう分析して俺のだと判断したんだ。なに?あいつ科学捜査班出身なの?」

 

「現代の科学技術の進歩はすごいからね、戦術人形が普及してるくらいだし」

 

 それとこれとは違うだろ。

 

「もぉー、指揮官ったら。いくら暑いからってこんなとこに脱ぎ捨てないでよね……」

 

「……」

 

 嫌な予感がする。

 

「…」キョロキョロ

 

「……」スーハー…スーハー…クンカクンカ

 

「…はあぁ///」

 

 Five-sevenは周囲に誰もいないことを確認すると、俺のシャツをえげつない速度で嗅いで去っていった。普段は明るくお気楽な雰囲気の彼女だが、あれは完全に犯罪者のそれだった。次会う時にどんな顔をすればいいんだ。

 

「いや、そんなことより俺のシャツは…」

 

「Five-sevenはいい子だから悪いようにはしないよ、シャツが戻ってくるかは知らないけど。さ、次行こう」

 

「まだやるのか…」

 

「今度こそ上手くいく気がする」

 

「本気で言ってんのか?」

 

「いえすイエス」

 

 こいつ……。

 

「っていっても上は脱いだし、あとはズボンしか…」

 

「……」

 

「……」

 

「…まさか……」

 

「分かってるなら早く脱ぐ」

 

 あなたは鬼ですか?

 

 こればかりは素直に従う訳にはいないのでさすがの俺もVectorに食い下がる。

 

「いや…さすがにパンツ姿で基地を出歩くのはまずいだろ…。誰かに見られたらどうするんだよ」

 

「指揮官、部下のエリート人形達にいやらしい行為をしでかしたのが上の人間にバレるのと、パンツ姿で歩く変態のレッテルを貼られるのどっちがマシ?」

 

「どっちも嫌だわ」

 

 だがまあ考え方によっては後者であれば俺の社会的地位と信頼は地に堕ちるものの、処分は厳重注意程度で済むかもしれない。なんだこのジレンマ。

 

「やるしかないのか……」

 

 

 ¦ 10分後 ¦

 

 

「なんだろう、なにか大切なものを喪った気がする。」

 

「何も捨てることができない人には何かを変えることなんてできないってアルミンが言ってたよ。指揮官も人間性を捧げないと」

 

 罠の監視を続けるパンツ一丁姿の俺には目もくれず、Vectorは紅茶を飲みながら本を読んでいる。ちくしょう。

 

 と、ここでついに動きが見られる。1人の人物が罠に近づいてきたのだ。

 

「!おいVector、きたぞ!」

 

「ふーん」

 

「おいコラ」

 

 こいつやっぱり飽きてんじゃねえか。

 

「冗談だよ、でもあれM4じゃなくて…」

 

「あれは…。…!?」

 

「やあ、指揮官。こんなところでなにをしている?」

 

 遭遇に最も恐れていた人、ヘリアンさんだった。なぜだ…!なぜこんな時にヘリアンさんが…!?バレたら一番まずい人に見つかっちゃったよオイ…!

 

「もう一度問おう。そんな姿でなにをしている?答えたまえ」

 

「…こちらスネーク、発見する前に発見された。これより逃亡を開始する」

 

「逃がさん」

 

 こちらスネーク、死んだ。

 

「…本部所属のヘリアンさんがなぜうちに?今日は特に大きな作戦会議もないはずですが」

 

 ここでVectorが機転を利かせてヘリアンさんに質問した。でも君、ネコのコスプレしてること忘れてないよね?

 

「ここの技術スタッフに諸用があってな、別棟の工廠に向かう途中だったのだ」

 

「だがここの職員から、『4階の渡り廊下付近で全身下着姿の男がなにやらコソコソ怪しいことをしている』…と通報が入ってな」

 

「駆けつけてみるとその正体は貴官だったというわけだ。まったく…なにをしているんだ……」

 

 ヘリアンさんは頭を抱えてため息をつき、呆れた顔をしていた。

 

 

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「なるほど、この件はペルシカが一枚噛んでいるわけか…」

 

 そうです、僕は悪くありません。全部ペルシカさんが悪いんです。

 

「というか、M4A1を探すにしても他に方法はなかったのか?どう考えても非効率的だろう」

 

 ごもっともですとも。普通にVectorと二手に分かれて探した方がよかったよね、これ。

 

「お言葉ですが本作戦を提案したのはすべて彼女でして…まあたしかに実行したのは僕なんですが……」

 

 俺とヘリアンさんの視線がVectorに向けられる。

 

(はあ、なんでここで私に振るかな。バカ指揮官」

 

「途中から心の声でてるぞ」

 

 バツが悪そうに不貞腐れてるが、お前も共犯なんだから当然だろ。こうなりゃ道連れだ。

 

「ふむ…なるほどな」

 

 そういうとヘリアンさんは少し笑みを浮かべ、Vectorに問いかけた。

 

「Vector、この場に君も関わっているのもなかなか興味深い。指揮官をからかってみてどうだった?」

 

「…悪くありません。UMP45やFive-sevenが指揮官でよく遊んでいるのも頷けます」

 

 こいつやっぱり俺で遊んでいやがったのか…。しかし誰かをからかうなんて昔のこいつでは考えられないことだ。やはりVectorは変わった。それがいい意味なのか悪い意味なのかは置いといて。

 

 ヘリアンさんはどうやらうちのVectorを少し気に入っている節がある。映画の一件でVectorのメンタルに変化があったことが原因だろう。ヘリアンさんもこいつには重い罰を与えたりしないはずだ。

 

 問題はその…俺の処分なんだが……。

 

 ブーーッ…ブーーッ…

 

「…ん?」

 

 ここで416から着信がかかってきた。なにかあったのだろうか。

 

「俺だ、どうした」

 

『指揮官、M4が戻って来ました。今どちらに?』

 

 え、戻ってきたの……。なんだよ…俺がしてきたことは一体…。

 

「分かった…すぐに戻る」

 

「どうした?なにかあったのか?」

 

「ああ…えーっと…、M4A1が無事に見つかったとの報告が入りしました。今は私の部下が保護しています」

 

「そうか…それはよかった」

 

「指揮官、M4A1は16Labのエリート人形だ。Vectorのような一般の人形とは違ってバックアップや替えの身体はない。それは分かっているな?」

 

「……心得ています」

 

「普通の人形ならまだいい。だがもしもM4A1の身になにか起きたら大問題だ。その責任は誰が取る?貴官だけで背負えるのか?」

 

「申し訳ありません…」

 

「貴官は人形に肩入れしすぎる節がある。戦術指揮官としてあってはならないことだが、だからこそ貴官なら理解しているはずだ」

 

「AR小隊を持つということがどういうことなのか、今一度考え直せ」

 

 冷静に考えれば分かるはずだった。彼女たちは俺の部下だが私物ではない。ましてや替えのきかないAR小隊であればなおさらだ。もしも取り返しのつかないことになれば……。

 

「……それで、彼女たちは今どこに?」

 

「…私の自室です。部屋から出入りしないよう告げていますし、入口に不在の札を貼っているので隠匿性は問題ありません」

 

「よろしい、問題が問題だ。私も連れて行ってもらうが異論はないな?」

 

「…はい、もちろんです」

 

 

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 ガチャッ

 

「しきかん!おかえ…なにその格好…」

 

「あー…まあいろいろあってな…、着替えてくる…」

 

 さっきまで上司と普通に会話してたけど、今に至るまで俺パンツ姿だからね?パンツ姿で怒られていたからね?今考えるとシュールすぎる。

 

「これはこれはUMP45とHK416、ずいぶん可愛くなったじゃないか?」

 

「なっ…!?」

 

 ヘリアンさんの登場に思わず45と416が固まる。

 

「ミラレタ…ヘリアンニミラレタ……」

 

「指揮官…もうあいつを殺すしかないわ」

 

「落ち着け416、早まるな」

 

「焼夷手榴弾ならあるけど?」

 

「やめんかこの放火魔」

 

やめて!仲良くして!

 

「ペルシカの悪ふざけにも困ったものだ、まさか本当だったとは…。どうやらメンタルも少し書き換えられているそうだが、異変はないのか?」

 

 ヘリアンさんが416に問いかける。

 

「…少し違和感はありますが特に支障はありません。半日程度で効果は切れますし、問題はないかと」

 

「そういや416、M4は?」

 

「指揮官のベッドで寝ていますよ。部屋から脱走した理由はまだ聞いていません。それよりさっさと服を着てください…」

 

「すまん、ありがとう」

 

 まずは適当な服に着替えてM4と話してみるか。ヘリアンさんと45たちだけにするのは少し不安だが…。そういや416のネコミミ姿は見たけど、M4のはまだ見てないな。どんななんだろう。

 

「さてと…」

 

 部屋着に着替えて寝室に入ると416の言った通り、M4がベッドで気持ち良さそうに寝ていた。自分のベッドで女の子が寝ているって冷静に考えたらレアだよな。

 

「おおー、ちゃんと生えてる生えてる」

 

 M4の頭には茶色がかったネコミミが生えており、頭を撫でるとピクっと耳が動く。かわいい。

 

「んぅ…」

 

 おっと起こしちゃったか?少し撫ですぎたか。

 

「…ん……!?し、指揮官!?な…なぜここに!?ここは…ベッド!?まさか私…指揮官に……!」

 

「お…落ち着けM4!なにもしてない!なにもしてないから!!」

 

 まさかこんなお約束の展開になるとは…。

 

「ふぇっ!?…あっ…そうですか……」

 

 そう弁明するとM4は少し残念そうにシュンとした。なんで残念そうなんだ。

 

「落ち着いたか?聞きたいことがあるんだが……」

 

「どうして部屋から飛び出したりしたんだ?」

 

「っ!…それは……」

 

「正直に言ってくれ、M4のメンタルになにか異常があったのなら16Labに連絡して精密検査をしてもらう。ペルシカさんにも説明しないといけない」

 

「…すまない、今回はすべて俺の責任だ。このことはヘリアンさんに報告してきちんと処分を受ける」

 

「だがそんなことはどうでもいい。…もしM4の身に何かあったら…俺は……」

 

『AR小隊を持つということがどういうことなのか、今一度考え直せ』

 

 俺はもう、家族を失いたくない。

 

「ち…違うんです!今のところメンタルにはなにも異常ありません!実は…」

 

「ん?」

 

「その…薬を飲んだ途端、急に指揮官を抱きしめたくなって…。指揮官の近くにいると自分を抑えられなくなりそうだったんです。でもそれが恥ずかしくて…」

 

「……つまり、俺の近くにいるとどうにかなりそうだから逃げていったと」

 

「うう…///」

 

 なんだそれ

 

 なんだそれ(困惑)

 

 まあメンタルに異常がないなら問題はないんだが……。いや、これ異常がないと言えるのか?それが異常なんじゃ…。

 

「大丈夫、それは恐らくM4が普段から抑えている欲求。それが爆発しただけよ」

 

「!?ペルシカさん!?なぜ……」

 

「薬の効果はどうかなーって思って様子を見にきたのよ。どうやら思ったより事態が大きくなってるようね」

 

「いや本当に…。それより、爆発っていうのは……?」

 

「指揮官くん、404のUMP45にも薬を飲ませたようだけど、なにか変化はなかった?」

 

 変化…。そういや45は最初なにかを我慢していたが、だんだん抑えられなくなり俺に抱きついたり甘えてきて……まさか…。

 

「そういうこと。UMP45も初めは頑張ってたけど、結局欲望に飲まれて理性のタガが外れちゃったようね」

 

「もっとも、UMP45と違ってM4はシャイだから大胆な行動に移せなかったようだけど」

 

「指揮官くんったら憎い男だね〜、たまにはこの子たちを甘えさせてあげたら?」

 

「はあ…」

 

「あの…指揮官!その…頭を撫でてくれませんか?」

 

「お…おう……」

 

「おっと私はお邪魔みたいだね。そろそろ薬の時間も切れる頃だし、私は帰らせてもらうよ」

 

 ごゆっくりー、と言ってペルシカさんは部屋を去り、残るは俺とM4だけになった。

 

「えっと…指揮官」

 

「……ああ、分かったよ」

 

 寝ている隙はともかく、面と向かって撫でるのは照れくさいな…。そういえばSOP Ⅱの頭はよく撫でたりするが、M4たちにはしたことがなかった。そう考えると普段は言いたくても言えなかったのだろう。

 

「…えへへっ♪」

 

「いつもありがとな、M4」

 

「…指揮官、ハグしても…いいですか?」

 

「……ああ、ほら」

 

 ギュッと彼女を抱きしめる。やばい、すげえ恥ずかしい。

 

「はう…///」

 

 すると、M4も俺の背中に腕をまわした。

 

「指揮官…温かいです……」

 

「ははっ、そうか。それはよかった」

 

 M4の身体は俺に安らぎを与えてくれた。俺としたことが気づけば、『この瞬間がずっと続けばいいのに』とすら考えてしまっていた。今は戦争中だし、いつ死ぬかも分からない。だがこんな幸せが、平和な時がずっと続いてほしいと俺は願う。

 

 

 

 翌日、俺がパンツ姿でいたところを誰かが撮ってSNSで拡散していた。俺は無事に死亡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 #11 彼女たちはプライスレス

 

 

 

 

 

 

 

 





Vectorどころか他の人形たちもキャラ崩壊してたわすまん()
ケモ耳編もこれにて終了です。散々引き伸ばした割りにはケモ耳の良さを上手く出せなかったな……、ごめんなさい…。
次は何書こうかなー(なんも考えてない)

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