ついに始まりましたね、VA-11 Hall-Aコラボ。ゲームはプレイしたことありませんが、カクテルを作ったりとかなりクオリティが高いらしいのでとても楽しみです。
晴れた日の午後……
「終わらん…終わらんぞ…。まったく進んでいる気がしない」
今日ほど休みたいと思った日はないと思う(毎日言ってる)
本当は仕事したくないし部屋でゴロゴロしたい。今日中に終わらせなければならない仕事さえなければ今ごろベッドでスヤァ…ってするんだがなあ。
「あ…モニター見すぎて頭が痛くなってきた…」
引き出しから頭痛薬を取り出して飲もうとするが、手元に水がないことに気づき、溜息混じりに重い腰を上げて冷蔵庫へ向かう。
ふと夏休みの宿題で最も嫌いだった読書感想文を思い出した。全然筆が進まず、数時間かけてやっと完成したと思ったら母による添削で何度もやり直しさせられたものだ。ちなみに読書感想文を楽に終わらせたいなら去年のを丸写し、もしくは使い回しするといい。俺は中学時代の夏をこれで乗り切った。
なんて昔の思い出に耽っていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえる。俺は薬を飲みながらどうぞと返事をした。
「指揮官さまー、総務課から指揮官さま宛に大量の荷物が届いたとの連絡ですわ。ここまで運んでいただきますか?」
「ん?…ああ、あれか。1階の裏口にまとめて置いといてくれ。後で誰かに取りに行かせる」
「誰かって…今人形の皆さんはほとんど出払っているのでは?」
カリーナに指摘されて、だいたいの人形が後方支援や模擬作戦に参加していたり、休暇で街へ出かけて不在であるのを思い出した。
「あー…そうだったな……。カリーナ、悪いがここまで運んできてくれないか?俺も今手が離せないんだ」
しかし帰ってきたのは了承の意ではなかった。
「ええ…私はこれから同僚とご飯を食べに行くんですけど…」
まあ断られるのは分かっていた。だってカリーナは午後から休みだし。だが、あえて俺はここで引き下がらない。
「荷物をここまで運ぶのと作戦報告書を80枚書くの、どっちがいい?」
と、俺は柄にもなくカリーナを脅してみた。とはいえ本当に無理やり手伝わせるつもりはない。俺もそんな鬼じゃないし、パワハラなんてしない。ちょっとした出来心というか、カリーナの反応が気になったのだが…
「指揮官さまったらあんまりですわぁ!わたくしの事が嫌いになったのですか!?」
「え」
そう嘆きながら彼女は目を潤ませ、俺の両肩を掴んでグラグラと揺らしてきた。
「ちょっ…!冗談だって!冗談!」
すると今度は俺の腕にしがみつき、引き剥がそうとするが一向に離れようとしない。
「おい…くっつくな…!」
「戦術人形のことは嫌いになってもカリンのことは嫌いにならないでくださーい!」
どこのフライングゲットだお前は。
ふえぇ…、それよりも柔らかくて温かいのが当たってるよぉ…。本物の柔らかさだぁ…。
「初めて基地に来た時はとても優しかったのに…指揮官さまのばか…」
「うっ…」
至近距離上目遣いからのそのセリフは卑怯だろ…。
「分かった!分かったから!さっさと飯食いに行ってこい!」
「わぁーい!指揮官さま大好き!それでは失礼致しますわ!!(超早口)」
俺の降伏宣言を聞いた途端、ものすごい勢いで部屋を去っていったカリーナ。1人残された俺はポリポリと頭を掻きながらタッチパネルを操作し、人形達の管理記録を開く。
「えーと…今基地にいるのは……ウェルロッドとFALだけか」
確かこの2人には休暇を与えていたのだが、基地に残っているなんて珍しいな。いつもならウェルロッドは近くのカフェへ紅茶を飲みに行ったり、FALならセンスのいい(本人談)服を買いに街へ出かけたりするのだが。
「休みの日に部下を呼び出すのって気が引けるな…まあ仕方ないか…」
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「で、この大荷物をたったの私たち2人で運べと?」
「かなりの量ですね…」
「オッス、オネガイシマース」
場所は変わって基地1階の裏口。俺はFALとウェルロッドを引き連れ、立ちはだかる大量の木箱を眺めていた。
「もちろんあなたも手伝うのよね?」
「おっとこれから大事な会議が」
「逃がさないわよ」
ちっ…。
「なんで私たちが雑用を…。こんなの総務課の職員に任せとけばいいのよ。アイツらろくに仕事しないんだから」
愚痴を吐くFALを他所に、ウェルロッドは近くにあった手頃な大きさの箱を持ち上げてみた。
「思ったより重いですね。指揮官、中身はなんなのですか?」
「今の時代では珍しい純正の酒だよ。DEAからのお詫びの品だ」
「DEA?…ああ、麻薬カルテルの時のですよね?」
先日のグリフィンとDEAによる合同作戦。目的はカルテルの幹部を確保することだったが、道中で汚職に手を染めたDEA隊員たちに裏切られ、うちの人形が危険な目に晒されたのだ。
「そうだ、お陰で上質な酒が大量に手に入った。さすが欧米の連中は規模がちがうな。本物を見るのは初めてだ」
「ふぅん、ワインもあるのね。……まあ悪くないわ」
トンプソンやM16ほどではないが、FALもお酒を嗜む方だ。特に好きなのはワインで、箱からボトルを取り出して熱心にラベルを読んでいる。
「お酒ですか…紅茶は……無さそうですね…」
そんなFALとは対照的に紅茶派のウェルロッドは残念そうに肩を竦めた。まあ確かに事前の情報では送られてくるのは酒のみで紅茶の記載は無かったのだが。
「まあそう気を落とすな。酒が飲めないヤツの配慮も兼ねて、他の飲み物も用意するつもりだ。もちろん紅茶もな」
「!…指揮官!」
「なにかパーティでもするつもりなの?」
さすがFAL、察しがいい。
「大量に酒が手に入ったし、今夜は皆にサプライズをしようと思ってな。後方支援や模擬作戦から帰ってきたところに酒を用意して喜ばせようと考えてたんだよ」
酒以外にもちょっと洒落た料理なども用意し、本格的な宴を開くつもりだ。実はカリーナにもこのことは説明済みであり、酒を除く買い出しはほとんど済ませてくれた。
「指揮官にしては粋なことをするわね。…いいわ、手伝ってあげる」
「急にやる気になりましたね…FAL」
「最近はこういうのなかったもの。ほらウェルロッド、そっち持って」
ひとまず酒類の運搬は2人に任せておいていいだろう。もう少しすれば一〇〇式の部隊が帰ってくるし、彼女達に手伝わせよう。
「さて、俺はもうひと頑張りするかな……」
悲鳴をあげる身体にムチを打ち、んーっと背伸びをしながら執務室へと向かった。
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「ふう…やっと終わったあ…」
あれから数時間、ついに今週のタスクを終わらせることができた。本当はもっと早く終わっていたのだが、途中で休憩から戻ったカリーナに
『申し訳ありません!渡すの忘れてましたわ…あはは…』
と大量の請求書と納品書を渡され、その処理に追われていたのだ。許さんからなあの守銭奴め。
「もうこんな時間か、そろそろ皆帰ってくる頃かな」
訓練を終えた部隊や街へ出かけていた者はすでに帰ってパーティーの準備を進めている。今のところまだ帰還していないのはトンプソンの部隊とAR小隊だけだ。
「大っぴらに酒が飲めるって聞いたらトンプソンとM16は喜ぶだろうな、フフッ…」
なんて独り言をつぶやいてるとFALがやってきた。
「指揮官、入るわ。何ひとりで喋って笑ってるのよ…気持ち悪い」
「……」
これが独り身の悪い癖だ。周囲に誰もいない状況が普通だからつい独り言をつぶやいてしまう。
「…なんでもない。それより上官の部屋に入る時はノックをだな」
「ちゃんとしたわよ。あなたが気づかなっただけでしょう?」
そして他者の接近に気づかないから余計にタチが悪い。
「部屋の設営は完了、料理はスプリングフィールドとG36達が用意してくれたからいつでも始められるわよ」
「分かった。俺もすぐに行く」
「待ちなさい、まさかそんなひどい顔で参加する気?」
「なんだ…たしかに俺は整った顔立ちじゃないが…、なにもそんな…」
俺だってイケメンに産まれたかったよちくしょう。FALは俺のことが嫌いなのか?彼女の気に触るようなことはしてないはずだが……。
「はあ…違うわよ。その疲れ果ててやつれた顔であの子たちに逢いに行くのかって言ってるの。ほら、こっち来なさい」
「え?あ…」
するとFALは俺の腕を引っ張り、だらしなく乱れた俺の服を整えてくれた。
「ネクタイも歪んでるわよ…。あなたスタイルは良いし顔もそこまで悪くないんだから、もっとシャキッとしなさい」
「あ…ああ」
近い…FALをこんな近くで見るのは初めてだ。彼女の服装のせいもあるが、慣れない距離感から目のやり場に困ってしまう。
「……」
「…FAL?」
突然FALの手が止まり、不思議に思った俺は声を掛けてみると…
「なっ…!?」
FALが俺の背中に腕を回し抱きついてきた。思いがけない大胆な行動に頭が真っ白になった。なにか声をかけようにも言葉を失ってしまう。
「ふぁ…FAL!?なにを…」
「…指揮官、感謝してるわ。私たちのためにここまでしてくれて……」
「!」
耳元で囁かれたのは感謝の言葉。普段のFALからは聞くことはできない暖かい言葉だった。
「いつも…ありがとう……」
そう言うと、ギュッと俺を抱きしめる力が少し強くなった。
「FAL…」
「……」
「…少し酒くさいぞ、さてはワインを飲んだな」
「軽く味見をしただけよ、別に酔っ払ってなんかいないわ」
「俺には酔った勢いに任せているようにしか見えないんだが…。だいたいお前はこういうことをするようなタイプじゃないだろ」
「…指揮官、野暮なことをいう男は嫌われるわよ。本当に」
「分かったよ…」
戦術人形が酒を飲むとこうも変わるもんなのか。もちろん個体差はあるだろうが。しかしFALは他の人形と違って俺に媚びた態度を取ることもせず、Five-seveNと皮肉を言い合ったり建前を使うことなく本音で接してくるような性格だ。
そんな彼女が少し酒を飲んだだけでかなり柔らかい性格になっている。今だって俺の頭を撫でているんだぞ。やだなにこれすごい落ち着く。
「ふふっ、どう?少しは仕事の疲れが癒されたかしら?」
こいつ本当にFALなのか…?間違ってスプリングフィールドのメンタルがインストールされてるのでは……なんて言ったらフェレットに鼻噛まれそうだな…言わないでおこう。実際だいぶ楽になったし。
「そのためにこんなことを?」
「さあね。さて、指揮官の顔色も良くなったことだし私は先に行くわ。あまり皆を待たせないでよ?」
そう言うとFALは部屋から出て行った。
「まったく…あいつは……」
普段からああいう取っ付きやすい性格してたら可愛げがあるんだがな。まあ普段の方がアイツらしさもあるが。
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「このパスタ美味しい…、さすがはスプリングフィールドね」
「お口に合ったようでなにより♪よかったらわーちゃんも今度一緒に作りましょう?」
「そうね…あいつに作ってあげたら喜ぶかな…」
「料理もだけどお酒の種類もすごいわねー…」
「45姉!なに飲んでるの?」
「カルーア・ミルクよ、ナインも飲む?」
「いいの?ありがとう!」
「……まじゅい…」ダバ-ッ
「ふふっ…ナインにお酒は少し早かったかもね?」
全ての俺の人形たちが帰還し、ついにパーティーが始まった。鉄血との戦いで忙しない日々が続き、久々にパアッと弾ける機会が出来て皆喜んでくれている。特に作戦を終えて戻った者にとっては素晴らしいサプライズになったようだ。スコーピオン、火炎瓶はしまってこい。
と言っても俺がしたのは会場と酒の用意だけで、あとはほとんどG36達がやってくれたんだがな。感謝。
「ご主人様、焼きたてのソーセージをお持ちしました。」
噂をすればなんとやら、G36が料理と飲み物を持ってやってきた。ちょうど欲しいと思ったタイミングで持ってきてくれるあたり、彼女の気配りは完璧といえるだろう。
「お、ありがとう。……美味い、やっぱりG36の料理は最高だな」
「ご主人様の好みを把握するのはメイドの務めです」
だがこの場は彼女たち戦術人形を労うために俺が用意したパーティーだ。仕事や戦闘のことは忘れて羽を伸ばしてほしい。それはG36も例外ではない。
「ですが…その…じっとしてるのは……」
そういえばなにもしてないのが落ち着かないってウエディング撮影の時に言ってたな…。彼女に休めと言っても難しいか。
「あー…俺のことは気にしないでいいからさ。ほかの人形と談笑したり、酒の味を楽しんだり、楽にしてくれよ。お前ばかり働かせるのは俺が嫌なんだ」
「ご主人様がそう言うなら…かしこまりました」
そう言ってG36は一礼して去っていった。その背中はどこか寂しそうな哀愁が漂っていたが、もうちょっと上手い言い方をすればよかったのだろう。しかし俺にとっては無理難題なのだ。
「もっと気を使ってあげなさいよ、G36が不憫じゃない」
「45、見てたのか」
「まさかあれがG36の本音だと本気で思ってる?」
「え?違うの?」
「…はぁー……」
そんなため息ついて呆れられても……。
「あんなこと言われたら指揮官に近づけないでしょ。彼女だって本当は指揮官と一緒に過ごしたかったはずよ」
「あー…なるほど……」
「指揮官のことだからもしG36がまたやってきても、『気を使うなっていっただろ、俺のことは放ってていい』って悪意のない追い払い方しそうね」
「……」
45に指摘されてはじめて気がついた。俺はなんて酷いことをしてしまったんだろうか。G36が普段から身近にいてくれたお陰で余計な気遣いをしてしまった。
「後で謝って一緒に飲んであげること、分かった?」
「ああ…分かったよ」
「でも今は」
「ん…?」
そう45が言いかけた途端、45が俺の腕に抱きついて寄り添ってきた。
「私に付き合ってよね、しきかん♪」
「…なんだ?もう酔ってるのか?」
いつも通り…といえばそうではあるが今日の45は普段よりも大胆というか積極的というか……近い。あと顔が赤い。こいつは簡単に酔うような奴ではないはずだが。
「私はお酒に強いの知ってるでしょ?どこかのお子様と違ってね〜」
「お子様で悪かったな」
「それで、その大きなお子様はなに飲んでるの?」
「…カシオレ」
「んん?カシオレ?それってただのジュースじゃない?」
こいつ…自分が酒に強いからって……。
「いいだろ、ただ単に好きなんだよ」
「も〜、しきかんったらほんと可愛い♪」
くすくす笑いながら俺の頭を撫でだした。くそう、めちゃめちゃ悔しい。
「ええい恥ずかしいからやめろ。ていうかやっぱりお前酔ってるだろ…」
2人きりの時ならともかく、こういう周囲にたくさん人がいる時に俺をからかうことはまずない。やはり今の45はいつもと様子が違う。こいつ本当になに飲んだんだ…。あ、おい抱きつくな。離れろ。
「あ、45姉!探したよー。指揮官のとこにいたんだ。……なんで抱き合ってるの…」
「ナイン、いいところに。ひとまずこいつを引き剥がすの手伝ってくれないか」
「んん〜…ないん…?」
「あちゃー、だいぶ酔っちゃってるね…やっぱ飲ませるのはマズかったかな…」
「45になに飲ませたんだ…」
「の…飲ませたのは私じゃないよ!?最初は45姉はカルーア・ミルク飲んでたんだけど、途中で416とM16の勝負に巻き込まれていろんなお酒を…」
416?まさかあいつに酒を…!?
「ごめん!ちゃんと416が飲まないように注意してたんだけど気づいたら飲んじゃってた…ひゃあっ!?」
「ナイン…見つけたわよ…一緒にM16への雪辱を果たすのよ…ほらあなたも飲みなさい!」
背後からナインの肩を強く掴んだのは416。案の定かなり出来上がってしまっている。手に持ってるのは…なんかかなり強そうなお酒だな…。
「ちょっ…!無理だよ!私お酒飲めないもん!指揮官助けてぇ…」
「おい416、飲みすぎだぞ…」
「指揮官…このお酒は私と45によって手に入ったようなものですよね…?」
「あ?ああ、その通りだが…」
「なのに…なのに
おお…これはもしかするともう手遅れなのでは…。
「指揮官もほら!一緒に飲んであいつに復讐しましょう!!」
「いや俺も酒飲めないし…てかそれグラスに入ってるのなに?」
「イソジンよ」
「
駄目だこいつ…早くなんとかしないと…。
「これを飲み干すことが出来れば私もあいつに勝てる…ふふ…ふふふ……」
「あ、おい…!」
416が不気味な笑いをしたところで意識を失い倒れてしまう。が、間一髪で受け止めることに成功し、地面に頭を打ち付けずに済んだ。ひとまずソファーまで運ぶか…。
「ナイン、416と45を運ぶの手伝ってくれ」
「あ…うん。これ以上暴れなくてよかったね…」
「あ!指揮官とナイン、ちょうどいいところに!スプリングフィールドに教えてもらってチキン作ったんだけど、試しに食べてくれない?」
酔い潰れた人形を運ぶ俺たちの前に現れたのはK2。こいつは…まあ酒に強いイメージがあるな。
「ちょっと待ってくれ…ひとまずこいつらを……よし。で?チキンだって?」
「おおー、美味しそう!K2って料理できたんだね」
たしかにかなり美味そうだ。そういえばずっと仕事に夢中だったからガッツリ食えてなかったな。
「「いただきまーす」」
「「辛っ!!!!」」
なにこれかっら!!!食えたもんじゃねえっ!!そういやこいつは重度で末期の辛いもの好きだってことを忘れてた!!
「隠し味はなんと言っても唐辛子!こないだ後方支援の時に見つけたの!」
「全然隠れてねえよ辛い!!」
「ちょっと無理無理お水お水!」
あまりの辛さに耐えかねたナインが近くにあった透明な液体の入ったグラスを手に取った。
「あ、それお水じゃなくて焼酎…」
K2が指摘するよりも早く、ナインは一気に飲み干した。そしてお酒が飲めない彼女は口に含んだ焼酎をK2に目がけて吹き出してしまった。
「ああああ目があああああっ!!!」
「口があああああああっ!!!」
地面をゴロゴロとのたうち回り、悶え苦しんでいる2人。
「地獄絵図だ……」
「なんだぁ?楽しそうなことしてんな」
酒瓶を片手にやってきたのはM16とトンプソン。グリフィン二大酒豪の2人である。
「あ、M16。お前416に酒をやるなってあれほど言っただろ」
「私が飲ませたんじゃない、あいつが勝手に飲んだんだよ。私は一緒に酒が飲めれば誰でもいいんだ」
「あれはかなり面白かったな。ボスがあの場にいなかったのは残念だ」
「酒くさっ…飲みすぎだろ…」
「こんなに酒が飲めるのは久々だからな。たまにはいいじゃないか」
「お前らに関してはしょっちゅう飲んでるイメージしかないんですがそれは」
保護者のM4はどこだ?はやくこいつらを引き取ってほしいんだが。
「M4ならあそこだ」
M16が指し示す方を見てみるとそこにはソファーに座ったM4とAR-15の姿が。
「M4、あの二人をなんとかしてくれ…」
「今日も飲んだくれの相手…?クソッ…」
「M4さん?」
どうやらM4もかなり酔っているようだ。普段あまり飲まなそうな彼女がこんなに酔うなんて珍しい。てか口悪いな…。
仕方ないのでもう1人の保護者に声をかける。
「AR-15、動けるか?M16たちを…」
「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい……」
「……」
まともなのは僕だけか。
辺りを見渡すと人形達は酒に潰れて寝ているか、酔って馬鹿みたいに騒いでいるかでまともなのはほとんど残っていない。
「そうだ、スプリングフィールドなら…」
彼女は酒の嗜み方を知っている。飲みすぎて潰れたりはしないはずだ。カオスなこの場を落ち着かせるのを手伝ってもらおう。
と思っていたのだが…。
「スプリングフィールド、大丈夫?」
「ええ…ちょっと部屋で休んできます……」
「ほら…肩貸して上げるわ」
モシン・ナガンに支えられ、スプリングフィールドがちょうど会場から出ていってしまった。心做しかモシン・ナガンの顔が犯罪者のそれだった気がするが、うん。気のせいだろう。
「スコーピオンとUzi、なに作ってるの?」
「モロトフのカクテルだよ。Vectorも作る?」
「面白そうじゃない。私もやろうかしら」
「おい待てなにしてんだ」
出やがったな、放火魔3人組。しかもきっちり酒を飲んで酔っ払ってやがる。
「指揮官が火炎瓶は持ってくるなっていうから作ろうと…」
なんでこういう時だけ頭が働くんだ…。いいかスコーピオン、危険物は持たず・作らず・持ち込ませずだ。覚えとけ。
「作っちゃダメなの?」
「ダメに決まってんだろ」
ダメなんだ…(´・ω・`)とVectorがしょげているがそんな顔をしてもダメなものはダメです。片付けてきなさい。
しかしまずいな、本当にまともなやつがいない。これはそろそろ自分自身の身も危険なのでは…。ナインやM4みたいにひどい目にあいそうだ…。
「あの…ご主人様…」
「ん、G36。ちょうどいいところ…にっ!?」
タイミングよく現れたG36。飲んだくれ達の処理を手伝ってもらおうとしたが、それは彼女によって阻まれた。まあ俺に抱きついてきたのだが、俺は今日だけで何回抱きつかれるんだ…多すぎだろ。
「G36さん!?なにをして…」
「ご主人様…無礼をお許しください。でも…どうしても我慢できなくて…」
こいつ…酒に酔うとこうなるのか…。いや、普段から抑えていたのが酒の力で爆発したのかもしれない。だとしたら厄介…ってうわっ!
「G36!落ち着け!一緒に飲むのは全然構わないが、俺を地面に押し倒す必要はないだろ!?」
説明すると俺はG36に倒されて馬乗りされている。彼女は本当にあの厳格なG36なのか…?
「もう…悪いのはご主人様ですからね…?」
あっ…ちょっ!どこ触って…あっ…待っ…つよ!力つよ!?戦術人形だから当然か!誰か助けてくれ!
「G36姉さん!?なにをしているのですか…?」
「あ…G36C」
「……」
突然の実妹の登場で冷静になったのか、G36の動きが止まった。
「……」
「……」
「…えっと…」
気まずすぎるだろ。
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翌日…
「ご…ご主人様、朝食の用意ができております…」
「ああ…ありがとう、すぐ行くよ」
「ではしちゅ…失礼致します」
気まずい、気まずすぎる。
昨日の件は記憶にあるようで、G36もかなり動揺している様子。それでも彼女は普段通りを装うとしているが全然できていない。さっきだって俺の制服と間違えてバスタオルを渡してきたのだ。なんかこっちが居た堪れない気持ちになる。
まあ別にこっちとしてはなにか罰を与えようとかそういう気はさらさらないのだが……。あとで落ち着いて話し合ってみよう…。
#12 Do not give liquor to T-Doll's
VA-11 Hall-Aコラボの次は『DEEP DIVE』という大型イベントがあるって聞いたんですが、僕の唯一の誓約者である45の過去が明かされるらしいのでもう最高ですね、ええ。