指揮官には友達がいない   作:狂乱のポテト

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思いついたはいいけれど、ひとつの話として作るにはちょっと短すぎる。そんなお話をいくつかまとめました。

仕事やめたい(隙自語)





番外編 人生とは短篇話の連続である

 

 

 

【派閥争い】

 

「ナイン、何回言えば分かるんだ。結果はすでに出てると言っただろ」

 

「指揮官こそ現実を見てよ!結果だけがすべてじゃないでしょ?」

 

「これは決定事項だ。いいか、俺たちはチームで動いてる。個人の勝手な主義主張を持ち込むんじゃない」

 

「っ……」

 

「分かったら持ち場に戻れ。この後キャリコたちと哨戒任務のはずだろ」

 

「……」

 

 ナインはうつむいたまま、拳を固く握りしめている。

 

 そこへナインと同じ班に所属するキャリコとRFBが執務室へやってきた。

 

「指揮官、失礼します。ナインを見かけ…あ、ここにいたんだ。探したわよ」

 

「ナインどうしたの?」

 

「ちょうどいい所に来た。ナインをここから連れ出してくれ」

 

「あ、はい」

 

「……」

 

「ナイン、ほら行こう。……ナイン?」

 

「2人は…2人は私の味方だよね!?ねっ!?」

 

「ふぇっ!?な…なにが?」

 

「ナイン、見苦しいぞ…」

 

「なに?ゲームの話…じゃあないよね……」

 

「指揮官、チームだったらみんなの意見も聞くべきだよね?」

 

「…まあいい、なら2人にも聞こうか」

 

「はあ…」

 

「(なにこの固い雰囲気…)」

 

「……2人は」

 

「「……」」

 

 

 

「きのこの山とたけのこの里、どっち派?」

 

 

 

「「……」」

 

「「(そんなことかよ……)」」

 

「まあ知っているとは思うがたけのこの方が売上は上だし、人気投票でもたけのこが圧勝しているんだがな…」

 

「数字がすべてじゃないもん!だいたい、今の『たけのこ』が売れているのは最初の『きのこの山』が人気だったお陰なんだよ!?」

 

 程度の低い言い争いをする同僚と上司を前に、キャリコとRFBは半ば呆れつつも答えを出した。

 

「うーん、私はきのこ派かな。ゲームしながら食べても指が汚れないから楽なんだよねー」

 

「なんだと…」

 

「わーい!さすがRFB!」

 

「あとスナックのサクサク感がいいんだよね!」

 

「ぐぬぬ…」

 

 喜びのあまりナインはRFBに抱きつき、きのこの魅力を分かちあっていた。指揮官はその姿を忌まわしい目で見ていることしかできない。

 

 だがたけのこ派の彼が敗北したとは決まったわけではない。最後の1人、キャリコが出した答えは……

 

「はあ、まったく呆れるわ…」

 

「きのこなんてただの欠陥品よ、必ずと言っていいほどチョコとスナックが分裂しちゃってるのがあるじゃない。チョコはともかく、スナックだけ食べても美味しくないわ」

 

「でもたけのこは違う、チョコとクッキーが一体化してからそんなことはないし。それにチョコの量はたけのこの方が多いしね」

 

 同志の登場、愛するたけのこの魅力を上手く代弁してくれたキャリコに、指揮官は惜しみない拍手を送った。

 

「パーフェクトだ、ウォルター」

 

「感謝の極み」

 

「むむむ……」

 

「2対2だね…」

 

 戦いは依然膠着状態。睨み合う4人の元へ新たな人物が現れる。

 

「話は聞かせてもらった!」

 

「!?」

 

「その声は…」

 

「どうも、FBI捜査官のジョディ・スターリングです」←社員証を掲げるスコーピオン

 

「湾岸警察署の青島です」←光学迷彩マントを羽織ったM14

 

「何しに来たバカ共」

 

「なんか楽しそうだったからつい」

 

「みんなは『きのこの山派』か『たけのこの里派』で分かれちゃってるんだよね?」

 

 M14は腕を組み、真面目な表情でナインに語りかけた。

 

「うん、スコーピオンとM14は?絶対きのこ派だよね!?」

 

 食い気味にM14に詰めよるナインとRFB。指揮官とキャリコは平静を装いつつ、内心では2人の返答に耳を傾けていた。

 

「『きのこ』も『たけのこ』もどっちも美味しいし、どっちも好きよ。でも、どちらかを選ばなければならないっていうなら…」

 

「「「「………」」」」

 

 M14が出した答えは……

 

「その点トッポってすごいよね、最後までチョコたっぷりだもん」

 

「…は?」

 

 まさかの第3勢力の登場である。

 

「M14!それはないよぉ!どっちかで答えてよぉ!!」

 

「……じゃあスコーピオンは?『きのこ』と『たけのこ』どっち派だ?」

 

「私はアルフォートかなー」

 

「ほんとに何しに来たんだお前ら」

 

 

 

 

 

【派閥争い2】

 

「M14も言ってたけど、結局は自分の好きなのを食べればいいんだよね…」

 

「『きのこ派』と『たけのこ派』の戦いは話のネタというかパフォーマンスみたいなもんだからな」

 

「だよね〜。45姉は何食べてるの?」

 

「パイの実よ、ナインも食べる?」

 

「ありがとう!」

 

「……」

 

「……ぺチャパイの実(ボソッ)

 

「……」

 

「……指揮官…」

 

「…ん?」

 

 フンッ!

 

 ゴキィッ!!

 

 グアアァアァァァァァッッ…

 

 

 

 

 

 

【どこまでリアル?】

 

 執務室にて……

 

 書類作業中の指揮官と、それを手伝う副官のHK416

 

「……」カリカリ

 

「……」カタカタ

 

「……疲れたな」

 

「こら、サボらないで手を動かしなさい」

 

「そうはいっても3時間ぶっ続けだぞ…右手が壊死しそう……」

 

「『明日やろう』って後回しにして溜め込んでた指揮官が悪いんでしょ。自業自得よ」

 

「……すいません…」

 

「はあ…しょうがないわね、少しだけよ。私もちょっと疲れたし」

 

「…戦術人形も疲れるんだな」

 

「そりゃあ…人間ほどじゃないけど疲れたりするわよ。コーヒーはミルクだけでいい?」

 

「うん、ありがとう……。そういやこの前バルソクと通信してたんだけど、寝不足だったらしくて頻繁にあくびしててさ」

 

「作戦中にあくびとはいい度胸ね、どこかの寝ぼすけよりはマシだけど。…それで?」

 

「いや、戦術人形にも寝不足っていう概念があるんだ…って思って。しかもあくびまでするんだ」

 

「人形にとっても睡眠は大事よ、毎日寝る必要はないけど睡眠中にシステムチェックしたりしてるの」

 

「パソコンみたいだな…。ってことはあくびにも何か意味あるのか」

 

「別に?特に意味はないわ」

 

「え、じゃあなんで…」

 

「戦術人形は人間の生活スタイルに合わせて作られたから…まあ人間の真似ごとね。お陰で無駄な機能が多いわ…」

 

「ふーん…例えば?」

 

「そうね…例えばお酒を飲んだら酔ってしまうし」

 

「ああ…(説得力あるな)」

 

「その…トイレにも行かなきゃいけないし……」

 

「あー、たしかに自律人形はそうだな。工業用とか軍用の人形はそんなことないけど」

 

「エネルギーの供給源に食事が含まれてるからしょうがないわ」

 

「……その…気を悪くしたらすまないんだが…人間と同じようにするのか…?」

 

「……指揮官」

 

「すまん!気になっただけなんだ!聞かなかったことにしてくれ…」

 

「……まったく」

 

「でも人形はいくら食っても太らないんだよな。それは羨ましいかもしれん」

 

「たしかに人間からしたらそうね」

 

「歳も取らないし」

 

「そうね」

 

「……」

 

「……?」

 

「子供の頃に戻りたい…仕事したくない……昼まで寝て夜まで遊びたい……」

 

「し…指揮官?」

 

「ちくしょう!輝いていたあの頃に!夢を抱いていたあの頃に戻りたい!!こんな残業休日出勤当たり前の仕事なんてクソ喰らえじゃあああっ!!!」ガッシャーン

 

「ちょっと…!なにをして……こら!!」ギュッ

 

「……」

 

「……落ち着いた?」

 

「……うん」

 

「…はあ…指揮官がいつも頑張ってくれてるのは分かってるわ…。それこそ寝る間を惜しんで私たちのために……」

 

「…うん」

 

「でもね、無理はしちゃダメ。指揮官は人間なんだから。しんどい時はしんどいって言いなさい」

 

「……うん」

 

「私でよければいつでも助けてあげるから…お願いだから自暴自棄にならないで」

 

「…ん…ありがとな……」

 

「ほら、休憩はおしまい。さっさと終わらせるわよ」

 

「ああ…」

 

「……えーっと…これはもう済ませたやつで……」

 

「……」

 

「…指揮官?」

 

「…いや、たしかに昔に戻りたいとは思うけど、みんながいる今も悪くないなって…」

 

「指揮官…」

 

「たしかに仕事は嫌だけど、416たちに出会わせてくれたことには感謝だな……。…本当に…ありがとう……」

 

「そうね…私も指揮官に会えてよかったわ」

 

「さてと、さっさと終わらせて飯でも食いに行こうか」

 

「ええ、ところでこの書類の提出期限っていつまでなの?」

 

「……4時間後」

 

「……」

 

「は?」

 

「それかなりヤバいじゃないの!なにしてんのよ!!」

 

「……イケるイケる…」スッ…

 

「何言ってんの!スマホは置いて!早く終わらせなさい!!」

 

 

 

 

 

【仕事中にグリフィンのパソコンでエロサイトを閲覧したことがバレた指揮官】

 

 情報部「閲覧履歴は全部記録されています。業務に関係ないことは調べないように」

 

 指揮官「……ウス…」

 

 

 

 

 

 

【どうでもよくなってしまったヘリアンさん】

 

「(はあ…昨日の合コンもダメだった……)」

 

「(連絡先を交換できたと思ったら返信は来ないし…だったら最初から交換するなよこのピーーー【自主規制】が…)」

 

「ん…?あれは……」

 

「近いって…もう少し離れろ」

 

「いいじゃない、やっと後方支援から帰ってこれたんだし♪」

 

「(指揮官とFive-seveNか…仕事中にイチャつきやがって……)」

 

「あっ、ヘリアンさん。お疲れ様です」

 

「お疲れ様でーす」

 

「君たちは随分仲がいいようだな。だが時と場所を弁えるように」

 

「すみません…」

 

「はあ…まったく……」

 

「?ヘリアンさん、どうかなさいましたか?」

 

「きっとまた合コンで負けたのよ…いつものことね…(ボソッ)」

 

聞 こ え て い る ぞ Five-seveN

 

「ヒエッ…」

 

「あー…大丈夫ですって、また次頑張ればいいんですよ」

 

「その優しさが逆にキツいんだが…。指揮官はいいな…周りにいるのが異性ばかりで…」

 

「ほとんど人形ですけどね」

 

「私も指揮官になろうかな…」

 

「(ええ…)」

 

「男性型の人形を導入するようクルーガーさんに上申して…あと男性の職員も増やすように人事課に……」

 

「(本当に行動に移しそうだな…)」

 

「んー、ヘリアンさんが指揮官だとなんかコミュニケーション取りづらそうね…なんかお堅いし」

 

「」グサッ

 

「(Five-seveN!?)」

 

「ていうか、合コンで勝てないのってそれが原因なんじゃ…」

 

「」グサグサッ

 

「(やめて!ヘリアンさんのライフはもう0よ!!)」

 

「やっぱりヘリアンさんは指揮官よりも代行官の方が向いてると思いますよ♪指揮官もそう思うでしょ?」

 

「うぇっ!?まあ…そうだな…」

 

「ふふ…ふふふ…」

 

「ヘ…ヘリアンさん…?」

 

「完璧な計画を思いついた」

 

「「???」」

 

「つまり私が戦術人形になって指揮官の誰かの配下になれば完璧じゃないか!?」

 

「(駄目だ…考えることを放棄している……)」

 

「あちゃー…」

 

「そうと決まればI.O.P.社に行ってペルシカと相談だ!」

 

「ちょっ…ヘリアンさん!!落ち着いて下さい!!(誰かこの人もらってあげてっ!)」

 

「(私からみてもヘリアンさんはないわね…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 番外編 人生とは短篇話の連続である

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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