指揮官には友達がいない   作:狂乱のポテト

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指揮官「トー〇スのチューイングキャンディうっま(3個入り¥110)」クッチャクッチャ

MP7「わかる」クチャクチャ

RO635「……」







#13 言わなければ分からない たとえ言ったとしても

 グリフィンには年に3回、各支部・基地の戦術指揮官と上級代行官などが出席する定例報告会がある。

 

 内容としては鉄血との戦闘記録や被害報告をしたり、監視対象の過激派人類人権団体及び反戦団体調査報告など……他にもたくさんあるがここでは割愛させていただこう。とどのつまりは超時間拘束されて真面目な長話を延々と聞かされる場なのだ。

 

 まあ聞かされるだけならいいのだが…。

 

(あぁー…ねっむい……)

 

 こう話を聞くだけの環境にいると訪れるのが睡魔である。身体を軽く動かすことができればいいのだが、厳かな雰囲気のせいで背伸びすることもできない。部屋は空調によって心地よい温度に保たれ、どうにも眠気に抗えない。

 

 よく国会議員が議会討論中に居眠りしていて国民から「税金泥棒だ!」なんて非難されているが、その国民たちの大多数は学生時代に授業中居眠りをしていただろう。学費を負担する親から見ればたまったものではない。

 

 そもそも睡眠というのは人間の本能であり、なにを基準にしたのか分からないマナーや風潮、くだらないルールで縛ることがおかしいのだ。寝たい時に寝て、食べたい時に食べる。そんなニートに俺はなりたい。ダメかな。ダメか。ダメだな。

 

「──以上です、今後も監視の強化を図っていきます」

 

「ご苦労。続いてS12地区、報告を」

 

「はい、定期偵察によって観測できた鉄血の数は───」

 

 まあ座ってるだけで給料が貰えると考えればいいか…。この仕事、待遇は褒められたものではないが、環境は悪くないからな。

 

 …おっと、そろそろ終わりそうだな。やっと帰れる…。

 

「以上で報告会を終了する。最後に統合本部直属の代行官より戦術指揮官各位へ連絡事項がある」

 

 ……?なんだ。

 

 ファシリテーターがそう言うと小太りでいけ好かない顔をした代行官が立ち上がり口を開いた。

 

「戦術指揮官に求められる素質は高い指揮能力や優れた頭脳だけではなく、コミュニケーション能力も重要だということは君たちも知っているだろう。戦術人形と信頼関係を築くことは作戦能力の向上にも繋がる」

 

「よって、指揮官各位には定期的に隷下の人形と面談を行い、彼女達と真摯に話し合える場を設けることを命じる」

 

 また面倒くさそうなことを…。

 

「面談の内容は映像として記録し、期日までに統合本部へ提出するように。解散」

 

 最後にヘリアンさんがそう告げると会議室内の照明が灯され、束縛から解放された参加者たちが続々とその場を後にする。会議中の静寂からうって変わり、各々の他愛もない会話や落ち着きのない物音で喧騒に包まれた。

 

 俺は混雑している出入り口を眺め、少し時間が経ってから部屋を出ることにした。

 

 軽い背伸びをして疲れた目を擦り、スマホで次のスケジュールを確認する。今のところ入っている今日の予定は戦術人形の装備品メーカーであるEoT社とAC社との打ち合わせのみだ。

 

 まだ時間もあるし社員食堂に寄って昼飯済ませるかなぁ…とボーッとしながら耽っていると

 

(面談ねぇ……)

 

 ふと、小太りの代行官が言っていたことを思い出した。やだなんで私あんなヤツのことを思い出したの?これって恋?

 

 冗談はさておき、グリフィンは民間軍事会社だが元軍人や特殊部隊出身の人間はそう多くない。入社した時に軍事戦術訓練を受け武器の扱いや戦闘を学ぶが、元々は一般人である。指揮官の場合、求められているのは戦闘能力ではなく、戦術人形との高いコミュニケーション能力だ。

 

 しかし俺は他人と関わることが苦手だ。知らない人と話すのは緊張するし、顔見知りが相手でもうまく喋れない時もある。できれば誰とも会話したくないまである。

 

 こんな俺でも厳しいことで有名(カリーナ談)なグリフィンの選抜適正試験をパスできたのだから謎だ。ホントどうやって合格したんだろう…。

 

(信頼関係か…)

 

 ときどき考えてしまうことがある。

 

 もし俺が指揮官の立場を失い、彼女たちの指揮権限を別の指揮官へ譲渡されたとして、彼女たちは俺にどう接するようになるのだろうか。

 

 何事もなく今まで通り接してくれる?よそよそしく他人行儀になる?

 

 考え方を変えよう。機密情報保持などの観点から彼女たちの記憶(データ)に何らかの書き換えが行われるのは当然だろう。コンピュータと同じで記録容量確保のため、不要と判断されたり優先順位の低い記憶は人形自身の意思に関係なく削除される。その時俺に関する記憶も消されるのだろうか。新しい指揮官との思い出によって”上書き”される?

 

 今までの思い出や楽しかった出来事も無かったことになるのか。

 

 こんな小難しい理屈を人形に求めていること自体間違っているのは分かっている。戦術人形はあくまで会社の備品だし、俺はそんな彼女たちに勝手な理想を押し付けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな自分が、俺は嫌いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらず貴官は覇気がないな、目が死んでいるぞ」

 

「…ヘリアンさん」

 

「やる気がない・生気がない・頼りない、この三拍子が揃えている貴官がなぜこの仕事をこなせているか理解に苦しむ…」

 

「相応の結果は出しているじゃないですか。むしろ感謝してほしいくらいです」

 

「ああ…先日の合同模擬演習で貴官は上位11%という記録をたたき出したんだったな。だからこそ余計にタチが悪い」

 

 ひどい物言いだな…。だがエリートのAR小隊だけでなく、非正規の404小隊の指揮権まで俺に委ねているあたり、どうやら俺は上層部に気に入られているようだ。

 

 入社したての頃、よそと比べて暇そうだなと今の支部に赴任したわけだが、まさか最前線の激戦区になるなんて…。まあそのぶん活躍できたわけなんだが。

 

「おお、そういえば新人のくせに比較的治安が安定していて仕事の量が少ない管轄区域を初の着任先に選ぶなどと舐め腐っていた時もあったな」

 

 えっ、俺の心読まれてるの…?怖えよ…。

 

「いやあ…ほら、やはり最初は低いハードルから挑戦していくべきなんですよ。そこから段々ハードルを高くして少しずつ成長し…」

 

「よく言う…。君はハードルを飛び越えるのではなく、くぐるタイプだろう」

 

 呆れたと言わんばかりにヘリアンさんはため息をついた。だがすぐにその表情を変わり、優しい眼差しを向けた。

 

「だが、そんな君だからこそ人形たちは惹かれるんだろうな」

 

「…どういう意味ですか」

 

「君は見かけによらず優しい心の持ち主だ、そして誰よりも彼女達のことを見ている」

 

「買いかぶりすぎです。第一僕の戦術はあまり褒められたものではありませんよ。よくFALなどに怒られ…」

 

「君の戦い方を見れば分かる」

 

 ヘリアンさんはまっすぐな表情でそう告げた。

 

「ふふっ、まあ確かに少々無茶をすることもあるがな。それは君が彼女達を信頼しているが故だ」

 

「そして人形たちも君の気持ちに真摯に応えようと戦っている」

 

「だからこそどんな困難な状況に陥っても決して諦めず、窮地を脱することができる。お互い信頼しあえている証だよ」

 

 代行官としては珍しく部下のことをよく見てくれている人だ。ほんと、なんで男ができないんだろうな…。誰かもらってやれよ、俺がもらっちゃうよ?

 

「…単純に人形が高性能で多少無理ができるだけだと思いますけどね」

 

「そうか?私はそうは思わないがな」

 

「……ヘリアンさん、聞きたいことがあるのですが」

 

「なんだね?」

 

「もしも僕が人形の指揮権限を失って別の人間が指揮官になった場合、彼女達の記憶にある僕はどうなるんですか?」

 

「……ほう、君がそんなことを聞くとはな」

 

「ちょっと気になっただけですよ、別にどうってことはないです」

 

「戦術人形の記憶管理については君も知っているだろう」

 

「……」

 

「…丁度いい機会だ、彼女達と改めて”話し合い”をしてみたまえ」

 

「もしかしたら君自身が探していた答えも見つかるかもしれんな」

 

 そう告げるとヘリアンさんは俺の肩をポンと叩き、会議室から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 探している答え、自分でもそれが何なのか分からない。俺はいったいなにを求めているんだろう。どんな答えなら安心するのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 俺は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「指揮官、部隊長の招集と撮影機材の準備が完了しましたよ」

 

「ありがとう。じゃあ第一部隊から順に始めよう」

 

「分かりました」

 

 ROに指示を出し、俺は軽く身だしなみを整えた。

 

 今日は統合本部からの無茶ぶり課題である人形たちとの面談の日。試験導入ということもあってまずは部隊長のみ、順次全人形にも行う予定だ。まあ後方支援などで出払っている部隊がいるから、今日のところは基地に待機中の隊長5名だけだな。

 

「ではFAL、入ってください」

 

「指揮官、失礼するわよ」

 

 まずは第一部隊隊長のFAL。初期メンバーの1人なんだがこいつとこんな堅苦しいことをするのってなんか不思議な気分だな。

 

「貴方と面談だなんて変な感じね…しかもカメラで撮られているなんて」

 

「同感だ」

 

 お互いに苦笑しながらFALは椅子に腰掛けた。

 

「さて、お前とは長い付き合いになるよな。出会った頃が懐かしい」

 

「たしか指揮官がここに着任してからまだ1ヶ月も経ってなかったわよね?あの時は何度痛い目にあったことかしら……」

 

「はは…それは忘れてくれよ……」

 

 新人の時はうまく人形を指揮したり戦術的に動くことができず、事ある毎に人形達に重傷を負わせてしまっていた。特にFALは所謂エリート気質で(実際エリートではあるんだが)、よく手痛い言葉を受けていた。まあARの人形を重傷にしてしまうって大概だよな…。

 

「あの頃のセンスは本当に最悪だったわね、今の子たちが見たら面白い反応をしそうだわ」

 

「にもかかわらずよく俺に着いてきてくれたな…無能と判断されて見捨てられてもおかしくなかったと思うんだが」

 

「……まあ他の人ならそうかもしれないけど…知ってるでしょ?わたしは見間違いしないの。最初はあんな体たらくだったけど、指揮官をひと目見た時から私たちを導いてくれるって信じてたわよ」

 

 そんなこと思ってくれていたのか…。年甲斐もなくウルっときてしまった…。(´;ω;`)

 

 FALは口調こそ厳しいが周りのことをよく見ていて面倒みがいい。当時戦果を挙げられない俺に助言してくれたり、よく戦闘の勉強に付き合ってくれた。お陰で今では合同模擬演習で上位11%の記録を残すほどまで成長した。

 

 彼女がいなければ、俺は指揮官としてここまで名声を博していなかっただろう。それどころかヘマをして最悪命を落としていたかもしれない。

 

「FALと会ってなかったらって考えると怖いな…ほんと感謝してるよ」

 

「ふふっ…そうね、今の貴方は1人じゃないんだもの」

 

 ここに入った当初の思い出話で盛り上がる。こいつとこんな風に話したのは久しぶりかもしれない。

 

「なあ、ひとつ聞きたいんだが」

 

「なに?」

 

 ついに俺は本当に聞きたかったこと、彼女たちの本意を問い掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もしも俺がお前らの指揮官を外されたらどうする?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ?なによ急に……」

 

「まあ…そうね、不本意だけど上からの命令なら従うしかないんじゃないかしら」

 

 おおかた予想通りだな…FALは仕事に忠実だからすんなりと受け入れるだろう。”プロフェッショナル”である彼女らしいといえる。

 

「命令だもの、指揮官が変わっても上手くやるわよ。……貴方以上に私の能力を引き出してくれる指揮官なんていないと思うけど」

 

「…あなたのことは忘れないわ」

 

「……そうか、FALらしいな」

 

「どういう意味なのか気になるわね。褒めているの?それとも貶しているのかしら」

 

「もちろん褒めてるさ。…さて、そろそろ終わりにしよう」

 

「あら、もういいの?」

 

「十分だ、上が求めているのはこういうもんらしい。真意は分からんがな」

 

「…貴方も大変ね……」

 

「お互い様だ、今日はありがとな」

 

 俺は笑顔で彼女に手を振り、統合本部に提出する書類に印をつけた。

 

 ……ちゃんと笑えてたかな…。

 

 

 

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「RO、終わったわよ」

 

「分かりました。次はM4よ、入って」

 

「ええ」

 

 ROから指示を受けたM4は少し緊張した表情で部屋へ入っていった。

 

「……答えを間違えたかしら…」

 

「?FAL、どうかしましたか?」

 

「…なんでもないわ。RO、私の番はこれで終わり?」

 

「ええ、今日のところは自由に過ごしていただいて構いません」

 

「そう。じゃあ失礼するわ」

 

「お疲れさまでした」

 

 FALは待合席で待機中のトンプソンたちに手を振り、その場を後にした。静かな廊下に彼女のヒールの音が高らかに響く。

 

 やがて音が小さくなり、FALの姿が見えなくなったことを確認すると

 

「…FAL…なにかあったんでしょうか…?」

 

 M1014は面談を終えたFALの様子に違和感を覚え、両隣に座っているトンプソンとUMP45に話しかけた。

 

「さあな、順番が来れば私たちにも分かるだろう」

 

「……」

 

 

 

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「でもよかったです、指揮官には私たちAR小隊を拾ってくれた恩がありますから」

 

「恩なんて大袈裟な…大層なことをしたつもりはないよ」

 

 FALの時と同様M4とも昔話で盛り上がっていた。うん、やっぱりこの子はいい子だ……。

 

「M4、もしある日突然俺が君たちの指揮官じゃなくなったらどうする?」

 

「えっ……?」

 

「もしもの話だよ。だが君の本心を知りたい、真面目に答えてくれ」

 

 思いがけない問いかけにM4は一瞬キョトンとしたが、すぐにハッとして考え込んだ。

 

「…それは指揮官が異動になった際の話ですか?それとも…亡くなった場合でしょうか?」

 

「そうだな…前者だったらどうする?」

 

「でしたら、私も異動を上申します。私の指揮官は指揮官だけです」

 

 なるほど。

 

 たしかに俺が異動になっても特別な人形のM4ならばペルシカさん等のコネを使って無理やり俺の隷下に居続けることもできなくはないだろう。

 

「嬉しいことを言ってくれるな、じゃあ俺がこの仕事をクビになっていなくなったら?」

 

「それは……」

 

 しばらくの間沈黙が続く。ちょっと可哀想な気もするが俺は彼女たちの意志を知りたいのだ。

 

「分かりません…。もしそうなったとしても、私はできる限りそうならないように尽くします」

 

「たぶん他の人形もみんなそうすると思います。自分たちでできる限りの努力をして…それで……」

 

 

 それでも駄目だったら?─────

 

 

 と聞きたいところだがM4をいじめるのはここら辺にしておこう。だってちょっと泣きそうだもん。

 

「ありがとう、M4の気持ちがよく分かったよ。こんなことを聞いて悪かった」

 

「い…いえ…すみません……」

 

「今日はこれで終わりだ。あとはゆっくりしてくれ」

 

「はい…失礼します」

 

 M4はペコりとお辞儀をし、部屋を去っていった。

 

「そういえばAR小隊の記憶って消えるのかな……」

 

 バックアップの利かないAR小隊たち。恐らく他の人形たちとは記憶の扱い方が違うだろう。

 

 もし人形たちに記憶処理が施されてもAR小隊なら俺のことはずっと覚えててくれそうだな……。

 

 

 

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「はははっ!なるほどなぁ!そういうことか!」

 

「なっ…なんだよ……」

 

「ボスも可愛いとこあるじゃないか。なんだ?私たちに忘れられるのが怖いのか?」

 

「ぐっ…」

 

 続いて第十部隊長のトンプソン、全隊のなかで最も付き合いが長く、出会ったのはFALよりも少し前である。SMGのため新人指揮官の時はよく重傷にさせてしまい、全壊してバックアップから記憶を戻すことも少なくなかった。

 

 そのためトンプソンをはじめSMGの人形たちからは嫌われ気味だったのだが、FALのお陰で指揮官として実力がつき、こいつも俺のことを認めてくれるようになった。

 

「お前は怖くないのか?俺のことや他の人形たちとの思い出が無かったことになっても……」

 

「人形だからな、そうなってしまう覚悟は決めてる」

 

「もしかしたらすでにいくつか大切な記憶が消えているのかもな」

 

 盲点だった。

 

 俺が知らなかっただけで、もしかしたら俺の元に来る前にも指揮官や仲間がいて、同じように大事な思い出があったのだろうか。

 

 それは分からない。誰にも……。

 

「これいいか?」

 

「…1本だけだぞ」

 

 廊下は禁煙のため待機中ずっと我慢していたのだろう。トンプソンはやっと吸えると言わんばかりに箱から1本タバコを取り出し、紅く綺麗な唇に挟んで火を灯した。

 

 青白い煙がゆっくりと上っていく。

 

 こいつってほんと美味そうに吸うよな…。

 

「そうだな…グリフィンの仕事は好きだが、こんなに好きにさせてくれるのはボスぐらいだろうからな。今の記憶があるうちに私もここを辞めるよ」

 

「本気で言ってんのか?」

 

「本気さ、ボスさえよければついていくぜ?他の奴らにも声をかければ何人かついてきそうだな」

 

 こいつも嬉しいことを言ってくれるな、重苦しいことを考えていたが少し気が紛れた。

 

「ははっ!下手すりゃ全員来るんじゃないか?(笑)」

 

 と、冗談交じりに言ったら真顔で「それはない」と一蹴された。悲しい。

 

 

 

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「では指揮官さん!失礼します」

 

「おう。M590とSpitfireにも楽しみにしてるって言っといてくれ」

 

 第四部隊長のM1014と面談を終え、残るところは1人のみとなった。

 

「えーっと最後は…こいつか…」

 

 表向きは第三部隊の隊長、裏の顔は404小隊所属。UMP45だ。

 

 厄介なのを最後にしちゃったな…、と考えつつペットボトルのドリンクを口に含んだ。

 

「しきか〜ん、会いに来ましたよ〜♪」

 

「!?…ゴホッ!ゲホッ!」

 

「きゃっ!ちょっと…大丈夫?」

 

「ゴホッ…。ああ…」

 

 急に現れた45に驚いてしまい、不覚にもドリンクでむせてしまった。カッコわる……。

 

「…あら?カメラは?」

 

「お前は404の人形だからな。情報漏洩防止のために記録撮影は一切禁止。書類提出のみで構わないと上からのお達しだ」

 

「ふーん……」

 

 納得したのか、それともなにか不満があるのか。どっちつかずの返事をしながら45はゆっくりと俺に近づき…

 

「で?指揮官は私とどんなお話をしたいのかな?」

 

「…その前にまず席に座れ」

 

 45は後ろから俺の首に両手を回して抱きついてきた。何度か離れるよう言ったが一向に聞く耳を持たず、最終的にこちらが折れてこのまま話を続けることにした。

 

「そういえば基地に戻ってきたのも久しぶりじゃないか?」

 

「あっちの任務が長かったからね、しばらくはこっちでゆっくりさせてもらうつもり〜」

 

 ふふっ♪と嬉しそうな45の笑い声が俺の耳をくすぐり、抱きしめる力がほんの少し強くなった。

 

 詳しくは知らないが404の作戦内容は過酷な上に長期間に渡る。そのため基地を離れることが多い。久しぶりに基地でゆっくりできる嬉しさもあるのだろう。他の404メンバーやグリフィン関係者がいる前では決して現さない一面を、45は俺と2人きりの時だけ見せてくれるのだ。

 

 ……正直45と2人きりで会うことを内心楽しみにしている自分がいる…。それどころかこうして過ごすことを喜んでいたり…。

 

 ええい冷静になるんだ俺!こうして(小悪魔な女の子に)騙されてはいけない!…あっ、いい匂いする……。

 

「最近さ…」

 

「ん?」

 

「他の3人とよく話すんだけどさ…」

 

「うん」

 

「ずっとここに…指揮官のもとに居たいなって思うんだ」

 

「アンジェリアさんが聞いたらどう思うだろうな」

 

「……指揮官、女の子と話してる時に他の女の名前を出すなんてありえないから」

 

「わ…悪い」

 

「…もちろん無理だって分かってる。私たちは…」

 

 

 

 みんなの汚点だから

 

 

 

「私たち変わっちゃったなあ…誰かさんのせいで」

 

「頬をつつくな…、別にそんなの悪いことじゃないだろ」

 

「でも404以外にも守らないといけないものが…失うのが怖いものが増えて…。昔よりも弱くなっちゃったなって…」

 

「弱いもんか、戦う者は護るべきものがあるからこそ強いんだよ」

 

「お前らを正式に受け入れることは俺にもできない。だがお前らが帰ってくる家を用意することはできる」

 

「だから安心して任務を遂行してうちに帰ってこい」

 

「……うん」

 

 自分でもだいぶクサいことを言ってしまい恥ずかしさに苛まれる。だが45の様子をみるかぎり、気にする必要はなさそうだ。嬉しそうに俺の頬を撫でたりつついたりし続けている。なに?気に入ったの?俺の頬。

 

「…なあ45」

 

「なあに?指揮官」

 

「もし俺が404の指揮権を失って、二度とお前らと会えないってなったらどうする?」

 

「ふふっ、なにそれ?もしかして皆にもそんなこと聞いてたの?」

 

「まあな」

 

「う〜ん…」

 

 45はしばらく考え込んだ。

 

「そうなったら自分から記憶を消すかもね…本当は嫌だけど。心に残し続けるのは40だけで十分」

 

「辛い思いをし続けるくらいなら無かったことにする……か。人形は便利だな」

 

「でも…指揮官のことなんて忘れたくない」

 

「無かったことになんてしたくない」

 

 すると45はギュッと俺を抱きしめ

 

「だから……お願いだから…嘘でもそんなこと言わないで……」

 

「45……」

 

 震える45の手を握り、彼女の頭をそっと撫でた。

 

「大丈夫だ、俺はここにいる」

 

「急に消えたりしないから」

 

 

 部屋はしんと静まり返り静寂に包まれる。聞こえるのは空調と自分の鼓動の音。

 

 そして、45のコアが脈打つ音だけだった。

 

 

 

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 ある朝、俺は急に本部から呼び出しを受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なにか重大な問題が起きのか。身に覚えのない呼び出しに不安を募らせ、ヘリに乗って上級代行官たちの待つ本部へ向かった。

 

 よほどのことがない限り、本部から直接命令が下されることはない。それも俺宛ての指示ときた。大規模な殲滅作戦の打ち合わせだろうか、だとしてもわざわざ直接本部に足を運ぶ必要はない。

 

 そう考えている間にヘリは本部屋上に着陸した。

 

「指揮官!来たか」

 

 ヘリポートにはすでにヘリアンさんが待っていた。この人ならなにか知っているはず、ヘリを降りた俺は開口一番に呼び出しの理由を問いただす。

 

「ヘリアンさん、なぜ僕は呼ばれたんですか?」

 

「……」

 

 だが彼女はなにも答えなかった。

 

「ヘリアンさん?」

 

「私から説明することはできない…」

 

 どういう意味だ…?

 

「この部屋だ。入りたまえ」

 

 ヘリアンさんに言われるがまま、部屋をノックして入室した。

 

「失礼します。S04地区所属…」

 

「ああ、挨拶は結構。わざわざ来てもらってすまないね」

 

 こいつは…あの時の小太りの代行官か。それと何人か見覚えのある代行官と…式典などでしか見たことのない幹部まで…。

 

 なんだこのメンツは…ここはいったい何を話す場なんだ…!?

 

「結論から言おう、指揮官。本日限りで貴官は部隊の指揮権限を消失する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君はクビだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 #13 言わなければ分からない たとえ言ったとしても

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なっが(反省)

本当は45はここまで甘えさせるつもりはなかったんですけどもね、コミュ4のボイス聴いちゃったらまあこうなりますよね。

M4とROが会話する時の2人の口調ってどうすればいいんだろう…。

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