【祝】ドールズフロントライン 2nd Anniversary!!
指揮官「待ってたぜぇぇぇ!この時をよぉぉぉぉ!!絶対に45のドレスを手に入れてやる!!!」
G11「この時のために1周年の時から一度もガチャ回さずに我慢してたんだって」
UMP9「去年は416のドレスのために3万円溶かしたもんね〜」
HK416「コインの枚数は…ざっと4,500枚ってとこかしら。これだけあれば当たるでしょう」
UMP45「さすが。3万円溶かした女の言うことはちがうわね」
『捜査に問題はみられず、我々は適切な取り締まりだったと認識しています』
『クルーガー氏はこのようにコメントしており、捜査に支障をきたすとして当局は現時点でこれ以上の───』
ピッ
『死亡した男性は参議院支援団体の役員であることが分かりました。これに対し参議院議員のイヴァン・トロストイ議員は先ほど公式SNSで追悼の───』
ピッ
『彼は今どきの若者では珍しく政治に熱心だったと聞いています。そんな未来ある命が犠牲になったんですよ?民間軍事会社なんてさっさと世間から廃絶して───』
ピッ
『見てください!この美味しそうな焼きたてのパン───』
「ふう……」
「おかえりグリズリー、どうだった?」
「どの出入り口と通路もダメ。この基地、デモ隊と団体の人間に完全に取り囲まれてるよ…」
基地を走り回ったグリズリーは疲れ果て、俺とスコーピオンが座っているソファーに勢いよく倒れ込んだ。
「どのテレビ局もひっきりなしに報道してるもんねー。つまんないの」
スコーピオンの言う通り、部屋に設置されたテレビにはクルーガーさんの顔写真と他所のグリフィン基地の映像が映されていた。世間は例の被疑者射殺事件で連日賑わっており、グリフィンの名を聞かない日はないほど大々的に報じられている。
「やっぱここからこっそり抜け出すのは無理かなあ」
「指揮官が思っている以上に外の様子はヤバいよ。上層部の記者会見もあんまり効果なさそうだし」
「あーあ、やっぱ俺も昨日のうちに退避しとけば」
よかったなぁと言いきる直前、こちらを睨むFALと目が合ってしまい慌てて口を閉じた。
「まったく…誰のせいでこうなったと思ってるのよ…。張本人が真っ先に逃げ出したなんてことになったら、貴方グリフィンから居場所なくすわよ?」
上層部は抗議デモが各地のグリフィン基地付近で起きることを予想しており、帰宅する職員や人形たちに危害が及ばないよう事前に安全な場所へ避難させていた。だが基地を完全にもぬけの殻にするわけにはいかず、自衛として指揮官を含む少数の職員と戦術人形は留まることとなったのだ。
まあ、『少数の戦闘員しか残っていない状態で大規模な襲撃を受けたらどうするんだ?』って疑問が湧くんだが
・今のところデモは平和的に行われている。
・問題の人形と指揮官の身元がまだ特定されていない。
・万が一攻撃された場合でも本部から救援を送る準備は整っている。
これらを踏まえ現時点では過激派組織がグリフィンへ報復を仕掛ける可能性は低い。少なくとも射殺したのが俺たちだということ、所属がこの基地だとバレない限りは安全だろうというのが上層部の判断だ。業を煮やした過激派が無差別攻撃をする可能性もあるがたいした脅威にはならないだろう。
「分かってるよ…お前らにも悪いと思ってる」
「……別に責めるつもりはないわ。AR-15とROは大切な仲間だし貴方は私の指揮官だもの」
FALは部屋の窓から地上の様子を眺めた。
俺たちが今いる部屋は12階にあり、夜になるととても絢爛な夜景を楽しむことができる。もっとも、今目に入るのは地上で俺たちを取り囲んでいる多数のデモ隊だが。
「こんだけ騒いでるくせにメディアは過激派団体の名前をまったく出さないのよね、ほんとひどい偏向報道だわ」
「さっきより人が増えてるな…」
「そのうち収まるわよ。まだあなたの顔は割れてないんでしょう?」
「それも時間の問題な気がするんだが…ん?なんだあれ…」
基地へ通じるいくつかの道からデモ隊のもとへ複数の車両が接近している。ざっと数えただけでも10数台はあるだろう。どうやら通りすがりというわけではなさそうだ。
「…様子がおかしいわね」
同時に屋上で監視に当たっているチームから通信が入った。
【指揮官、こちらSuper SASS。西側と南側からたくさんの車両が近づいてくるよ!】
「ああ、こちらも確認した。そのまま警戒維持を。グリズリー、デスクに置いてある双眼鏡をとってくれ」
「なになに?なに見てんのー?」
グリズリーから双眼鏡を受け取り車列を観察する。
「ねえーなに見てんのってばー」
1台の車につき4、5人ほどの人間が降りてきた。手には自動小銃と思われるものを持っている。
「まずい…過激派の連中だ…!」
「えぇ!?」
俺は横で驚くスコーピオンを押しのけ、基地に残っている警備チームと指揮官たちに状況を知らせた。
「カリーナ!指揮コンソールを…ってアイツは昨日退避したんだった…」
「ヤツらもう嗅ぎ付けたの?それとも無差別攻撃をする気なのかしら…。どちらにしても想定よりも早く動きだしたわね」
「分からん、ひとまず本部へ報告が先だ」
「いや…バレたみたいだよ……」
「は?」
「ほらコレ、指揮官とここの基地が載ってる」
グリズリーが持っている端末を見るとそこには『【速報】射殺事件に居合わせたグリフィン指揮官の名前が判明!』のタイトルとともに俺の写真が載っていた。
「マジかよ…」
すかさず耳の通信機に手を当て、1階にいる人形にコンタクトを取る。
「グローザ、過激派の奴らが武装してやってきた。それもかなりの数だ。地上の状況は?」
【今のところ押しかけようとする様子はないけど、勢いはかなりエスカレートしてるわ。この数で突破されると歯が立たないわよ】
するとSuper SASSから通信がはいった。
【あいつらトラックから大量の武器を卸してデモ参加者に配ってるよ。多分最初からいた人のなかにも過激派のメンバーがいたんだと思う】
「……全部隊、配置につけ。本部にも救援を要請する」
「厄介なことになるぞ」
━━━━━
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━
1時間後……
グリフィン基地 正面ゲート付近
『指揮官と人形の身柄を受け渡せ!』
『さもないと力づくで奪い取る!!』
『人殺しが!!』
同刻
グリフィン基地 1階メインエントランス
SOPMOD Ⅱは榴弾を装填したM320を構え、群がるデモ隊を眺めながら隣の同僚に問いかける。
「鬱陶しいなあ…あんな奴らドカーンとヤッちゃえばよくない?」
だが同僚は彼女の問いかけになにも答えず、聞こえたのはため息だった。
「ねぇ〜AR-15〜、1発くらい撃ってもバレないよね?」
「…あのねぇ…プラカードを掲げて叫んでいるだけのうちはあくまで”平和的なデモ”。こちらが攻撃されるまでは手出しはできないの。交戦規定を覚えてないの?」
「それにあの中には過激派とは無関係の民間人もいるわ。誰彼構わず撃たないでよ」
「むぅ…分かってるよ…」
真っ当な指摘を受けたSOPMOD Ⅱはなにも言い返せず、M320の構えを解いた。
「でもAR-15、よかったの?指揮官と同じで狙われてる身なのに…」
「……」
「…言ったでしょ。これはケジメなの」
無意識に銃を握る力が強まる。
「私のせいでこうなったんだから……」
「私が…指揮官を護らないと…」
「2人とも交代よ。休んできて」
「SOP Ⅱ、ちゃんとおとなしくしてた?」
見張りの引き継ぎにやってきたのはM4A1とRO635。彼女たちもまた、基地の防衛のために留まることを選んだ。緊迫した状況から一時的に解放されたAR-15とSOPMOD Ⅱは背中を伸ばし、自身の装備を片付け始める。
「あーあ、結局ず〜っと見張ってるだけだったなあ。つまんないの」
「あなたね…」
「SOP Ⅱは動き回るのが好きだもんな、元気でいいじゃねえか」
声をかけてきたのは一緒に見張りをしていたグリフィンの職員。彼は人形ではなく、基地防衛の警備チームとして選抜された人間の隊員だ。
SOP Ⅱと共に笑いあう隊員にAR-15は謝罪の言葉を口にする。
「本当にごめんなさい…人間のあなた達まで巻き込んでしまって」
「気にするな、これもグリフィンの仕事だ。それにしてもAR小隊とおたくの指揮官は苦労してんな……」
「あれれ〜?そんなカッコいいこと言っちゃって、もしかしてAR-15のこと狙ってるの〜?ダメだようちのおねーちゃんだもん」
「ねねねねね狙ってないわ!?」
「動揺しすぎです…デイブさん…」
先程までの殺伐とした雰囲気とはうって変わり、いつもどおりの和やかな空気に包まれた。
「い…いいから休んでこい!ほら行った行っt──」
ドシュッ
「……えっ」
「ぁ…」
ドタンッ
「…で……」
「デイブさん!!デイブさん!?」
ほんの数秒前まで笑っていた仲間が一瞬で地に倒れ込んだ。
M4A1はすかさず隊員のもとへ駆け寄る。力を込めて創部を強く押さえこむが出血の勢いは止まらない。
彼の身体から段々と力が抜けていくのを感じる。
「ぅ……」
パラララッ… パンパンッ! トトトトッ…!
「SOP Ⅱ!正面よ!乱射しながらこっちに向かってる!!」
「あははっ!これで好き放題にやれるね!……絶対許さないんだから…!!」
「指揮官!1名ダウン!繰り返します!1名撃たれました!!」
【なんだと?誰が撃たれた?人形か!?】
「いいえ!警備チームの隊員です!」
RO635とSOPMOD Ⅱは自身の銃を正面ゲートへ撃ち続け、M4A1は通信機へ叫んだ。
だが1人だけ、AR-15はその場から動かずにただ佇むばかりでいた。
「AR-15!デイブさんを安全なところへ!!」
「あ…あぁ……」
「…AR-15?」
「!…っごめん!」
「私がカバーするから!急いで!」
バンバン!バン!
AR小隊による制圧射撃のもと、AR-15は瀕死の隊員を奥の部屋へと引きずった。
凶弾に身を貫かれた彼の身体はとても重く感じた。
【AR小隊!医療チームと応援を送った。それまでそこで耐えてくれ】
「了解です!」
【M4A1、こちらワルサー。正面ゲートに大勢押しかけてるわ、防衛線を突破されるのも時間の問題よ】
「WAさん、援護をお願いします!少なくとも今はまだ撤退できません!!」
今のところは上層階からの狙撃支援もあり、襲撃者たちが敷地内へ侵入するのをなんとか阻んでいる。しかし民間人を撃たないよう慎重に狙いを定める必要があり、迅速に敵を仕留めることが難しい。
普段の鉄血人形との戦闘とは違う慣れない戦いを彼女たちは強いられていた。
「あああまどろっこしい!榴弾使えないじゃん!!」
「弾を当てなくてもいいわ!あいつらが足を踏み入れないよう抑え込むことに力を入れて!」
━━━━━
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━
「はあ…はあ……」
「ぅ…」
AR-15は隊員を部屋へ運び、改めて容態を確認した。意識と呼吸はあるものの銃弾は隊員の首もとに命中しており、一刻も早く治療をする必要がある。責任感で押しつぶされそうになるメンタルをなんとか保ち、メディックキットを開封して応急処置に全力を尽くす。
(私のせいで…!私のせいで!!)
止血帯が入っているパッケージを開けようとするも焦りと緊張で手元がおぼつかない。
「開かないっ…!なんで…!?なんでよ!!」
「しっかりして!私の声が聞こえる!?」
「…はっ…。……ぅ…」
帰ってきたのは声とは言い難い掠れた呻きだった。
(まずい…このままじゃ…)
隊員の身体をわずかに浮かせ、呼吸のための気道を確保する。
(落ち着くのよ…人間の救命処置はM16から教わった。訓練どおりにやればきっと…)
微かだがまだ息はあり、急所を撃たれているものの助かる可能性は残っているだろう。彼の命は今この場でAR-15が行う処置にかかっている。
すべてのモジュールを駆使し蘇生させることのみにメンタルを集中させる。
”これ以上私のせいで誰かが傷つけられる姿なんてみたくない。”
「これで止血は完了、けど失血の量が多いわね…。ひとまずアドレナリンを打たないと」
薬品の入った注射器を隊員の身体へ挿入し、ゆっくりと流し込んだ。
(絶対…死なせるわけにはいかない…!)
━━━━━
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━
「ご主人様、本部からお返事が届きました」
後方幕僚のカリーナが不在の今、代わりに指揮の補佐を務めてくれているのはG36だ。
「お、ありがとう。ヘリアンさんはなんて?」
「現在本部も過激派の襲撃を受けており、救援部隊を派遣するのに時間がかかるとのことです」
「やっぱりか…。応援はアテにできなさそうだな」
モニターに映し出されているのはドローンや監視カメラの映像。敵は圧倒的な数で押し込んできており、少人数の我々の状態は芳しくない。思わずため息がこぼれる。
「防衛線は突破されていませんが過激派のなかにまだ民間人が混ざっており、こちらは思うように手が出せません。いかがなさいますか?」
「……G36、後方支援に出てる部隊の位置情報を出してくれ。それと観測された鉄血の拠点の場所も」
「かしこまりました」
G36がタッチパネルを操作するとメインモニターに衛星写真が映し出された。
「こいつは…トンプソンの部隊か。回線を繋げ」
「オーバーロードよりスペード1、応答しろ」
【スペード1だ、どうしたんだボス?】
「拠点監視任務は中断だ。今基地が過激派団体とデモ隊によって攻撃を受けている。お前たちに新たな任務を頼みたい」
【救援に行けばいいのか?いいぞ。すぐに向かう】
「いや、その前にちょっと”おつかい”を頼まれてくれ」
【ほぉ…ちゃんとお駄賃くれるんだろうな?】
「お前たちが好きそうなことさ……」
━━━━━
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━
「はい…はい…ええ、上手くいっています。今私の部下が始末に向かっています」
「必ず手に入れますよ。……もちろんです。まだあなたと我々が関与していることはバレていません」
「……はい…。あの指揮官さえ消せばあの人形…失礼、彼女はあなたのものです。必ず手に入れてみせます」
「はい…ではこれで。失礼します」
男はスマートフォンを操作し、通話を終了した。
「ったく、どうかしてるぜ、変態議員め…」
「……私だ、配置はできたか?……さっさと急げ、逃げられるぞ!」
「いいか、退路を断つんだ。そうすりゃ”確保”と”処理”がまとめて済ませられる。完了したら連絡しろ」
#16 そしてまた、彼女は強くなる
ごめんAR-15、こんなトラウマレベルの目に遭わせて。別に君のことが嫌いとかじゃないんだ。むしろ大好きさ。愛情の裏返しって言葉あるだろ?つまりそういうことだよ、うん。好きな人ほどちょっかい出したい的なね?
とはいえハッピーエンドしか書けないので胸糞展開が苦手な指揮官各位はご安心ください。
平和な日常とひねくれぼっち要素はいずこへ……