低体温症イベントやってて思ったんですが、あの世界って人間のヘリパイロットとかいらっしゃらないんですかね?(ノーマッドにガムを貼りつけつつ)
「あ…ありのまま!今起こったことを話すぜ!……
M4達に下着泥棒の疑いをかけられた」
さかのぼること30分前……
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場所は基地内、作戦を無事終了させたAR小隊の面々が戦いの疲れと汚れを癒しに大浴場へと足を運んでいた。
「やっとお風呂に入れるよー!久々だぁー!!」
「だいぶ厳しい戦闘だったからな、こうゆっくりできるのも身体を張った甲斐があるってもんだ」
「……。」
「…?どうしたの、AR-15」
「…いえ、なんでもないわ。」
「そう?早く入りましょう?」
(胸だな)
(胸だね)
心なしか約一名、やや落ち込んでいるようにも見えるが、湯船に浸かればそこは極楽浄土。細かいことなどどうでもよくなるほど全身の力が抜けて気持ちよくなれる。それは人間のみならず、戦術人形といえど同じであった。
脱衣所で自らの衣類を綺麗に畳んでロッカーへ収納する彼女たちは、人形であることを除けば育ちのよいお嬢さまのようであり、そして……
「あら、私たち以外誰もいないのかしら?」
「この時間だとおかしくはないんじゃない?まだお昼を過ぎたころだし」
「わーい!お風呂だぁ!!」
「あ、こら!待ちなさいSOPⅡ!ちゃんと体の汚れを落としてから入りなさい」
「ぶー、M4のケチ……」
「これがお風呂のルールなの。指揮官に教えてもらったでしょ?……ほら、シャンプーしてあげるからこっちにおいで」
「はははっ!たしかに広い湯船を見るとテンションが上がるな。…っと、しまった。石鹸を忘れてしまった。SOPⅡ、貸してくれるか?」
「いいよー!せいっ!」
「投げるなバカ」
……そして、仲睦まじい姉妹であった。
「……あ"ぁ"ぁ"あ"、いい湯だぁ……」
「ちょっとM16姉さん、おじさんみたいだからやめてください」
「でも、本当に気持ちいいわね。指揮官に感謝しなきゃ」
そう、本来“お風呂”といえば浴場ではなく、簡素なシャワールームがベターな業界である軍事企業。にもかかわらずこのような裸の付き合いをする場を設けたのは、他でもない指揮官だった。冷酷かつ残酷な最前線で文字通り命懸けなのは当然、戦術人形である。生気を無くしていくうえに娯楽や癒しが乏しいこのご時世、身も心も温かくなってほしいと指揮官が労いの意を込めて特注で建てたのである。
「あ、そうだ!ねえAR-15!お背中流しましょうか?」
「なによ急に……、さっき自分で洗ったからいいわよ」
「まあまあそう言わずに〜」ザバァッ
「ちょっと…!……もう…」ザバッ
「えーと、ボディーソープをかけてっと……」ドバドバブチャァ
「かけすぎよバカ」
「…どうだM4、私も流してやろう」
「ひゃっ!ちょっと姉さん!どこ触って…」
「M4の肌はキレイだな…ここなんてすべすべで…」サワサワ
「ちょっ…んっ……はあ…やめっ…」
「ねえAR-15、あの二人はなにしてるの?」
「羨ましい…私もM4と……」(さあ?またくだらないことやってるんでしょ)
「多分だけど言ってることと思ってること逆じゃない?」
「も…もう!先にお風呂から上がりますからね!!」
「あ、私もあがろー。なんかのぼせちゃったかも…」
「ああ!まだ満足してないのに!」
「そこまでよM16、まったくあなたは……」
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大浴場で心身ともに清らかになった4人は、脱衣所で再び己の衣服に身を包む。だがしかし、ここで問題は起こる……
「……あれ?」
「どーしたのー?M4」
「下着が…ない……」
「「「!?」」」
「おかしいわ…お風呂に入る前にちゃんとここに……」
「つまり…M4の小さなリボン付き白パンツが盗まれたってこと?」
「いったい誰がM4の白いレースのブラジャーを…」
「あっ…!足音が聞こえる…近くに誰かいるみたい……」
「よし…AR-15、取り押さえるぞ」
重い空気が漂うこの脱衣所へ繋がる廊下に、一人の足音が鳴り響く。その足音の主は久々の休日を楽しもうと街へ向かうために、なにも知らずその道を闊歩していた。恐らく今日の基地内で最も運のない者といえるだろう。
このM4下着紛失事件に何らかの関与があると判断したM16とAR-15は、戦術人形らしい面構えと洗練された立ち回りでゆっくりと近づき……
「誰だ!」
「っ!?」
「あら?指揮官じゃない、こんなところでなにしてるの?」
「なにって…、久々の休みだから出かけようと思って…」
「ほほう…?わざわざこの道を通ったのか?エントランスは逆方向だぞ」
「ああ、出かける前に総務課へ書類を提出しようと思ってな。…それより二人とも……」
「なんで下着を頭に被ってるんだ?」
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そして時は現在に至り……
「…つまり小隊のメンバーで入浴し、風呂から出たらあるはずのM4の下着がなくなっていた。そして廊下に怪しげな俺がいたと……」
「まったく…失望したわ。変態指揮官さん?」←頭にパンツ被ってるAR-15
「私の可愛い妹に手を出すとは…いくら指揮官といえど許しはしない。覚悟はできてるんだろうな?」←ブラジャーを眼帯代わりにしてるM16
「いや待て!俺はたまたま通りがかっただけだ!!てかお前ら二人が頭と顔につけてるのが問題の下着だろ!!」
と、この流れをかれこれ10分はやってる。痴漢の冤罪ってこんな感じなんだろうなあ(遠い目)
しかしやってないものはやってない。しかも俺よりも怪しいヤツらが目の前にいる。どう考えても現行犯やろがい!!いくらシスコンだとしても度が過ぎるだろ!
「しきか〜ん……」
「SOPⅡ!お前もあの二人に言ってくれ!」
「ごめ〜ん…のぼせちゃったみたいぃ…。部屋に戻ってるね…」
ガッデム!長湯は禁物だって前に言っただろ!?
「あ…、私はSOPⅡを部屋まで送ります…。その…えと…し、失礼します……」
M4……俺と目を合わせてくれなかったな…。高校の時に自分一人だけ舞い上がって女の子に告白したら、思いのほかドン引きされたあの時を思い出す。あれ、目から水が止まらないぞ。
そう言ってSOPⅡとM4は自室へと去っていった。脱衣所にいるのは重度のシスコン変態人形二人と俺だけ……と思いきや、SOPⅡたちと入れ替わりで戦術人形のスコーピオンがやってきた。
「え、指揮官なんでここにいるの?ここ女性専用の脱衣所だよ……?」←ブラジャーを眼帯代わりにしてるスコーピオン
「なんでお前もブラジャーを顔につけてんだよ」
「指揮官にはM4の下着を盗んだ容疑がかかっていてな、今取調べをしてるんだ」←ブラジャーを眼帯代わりにしてるM16
「信じていたのに……悲しいわね」←頭にパンツ被ってるAR-15
「ここには変態しかいないのか」
スコーピオンに関してはそれ誰のブラジャーなんだ。持ち主に返してこい。
「えっ…指揮官ってそんな趣味が……」
「俺に幻滅したような目を向けてるけど、俺もお前らにそんな趣味があったなんて幻滅したわ」
ふっ……、まあいい。お前らはどうしても俺を犯人に仕立て上げたいようだな。だが甘い、俺にはM4の下着を盗む動機がない。いやもっというと証拠もないんだけど。
「なんだと…?」
「それはどういうことかしら?」
「なぜなら俺は裸や下着では興奮しない!むしろ普段着や私服などの“着衣”の方がそそる!!」
「つまり!M4の服装に興奮することはあっても下着を盗もうなどという不埒な考えには至らないんだよ!!!」
「服装を見て興奮するのも十分不埒だと思うんだけど」
スコーピオンになにか言われた気がするが聞かなかったことにする
「なん…ですって…!?」
「そういえば指揮官はさっきから目の前に女性物の下着があるのに見向きもしていない!!クソッ!見誤った!!」
勝負あったな…。さあ、お前らその下着を持ち主に返してこい。素直に謝罪すれば、今回の件は不問にする。
「……時に指揮官、私たちと取り引きしないか?」
「ここにM4が履いていた靴下があります。今回の件を見逃して頂けるのなら、こちらを差し上げます」
お前らクズすぎるだろ、取引成立だ。
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「すみません、指揮官!姉さんたちがご迷惑をおかけしました……!」
「ああ…いや、いいんだ。慣れてるからな……」
クラスの女子のリコーダーを舐めたという根も葉もない噂を流されたあの時に比べればなんともない。てか舐めねえよ、汚いだろ。
「その…あの指揮官!」
M4は突然大きな声をあげ、俺に近寄る。いや、身長差があるとはいえだいぶ近いよ?
「私は戦術人形で…あなたは指揮官です。あなたからの命令は絶対で、私もあなたを信頼しています」
「ですので…、その…スコーピオンに言われたのですが…あなたがお望みとあらば……私は…」
「M4…な…なにを……」
いや待て待て待てなにこの展開。え?どういうこと?なにがあったの?
「私は……」
「ブ…ブラジャーを眼帯代わりにしますっ!!」
あの毒サソリ 分解してコア抜き取ってやろうか
#3 こうして、彼の休日は終わりを告げる
台本形式じゃないので、どのセリフを誰が喋っているかを表現するのが難しい……。あと、思った以上に話のネタが思い浮かばねえ(絶望)