指揮官には友達がいない   作:狂乱のポテト

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周回する覚悟で臨んだらたったの2回目でFive-sevenがドロップしたので初投稿です。
あと欲しいのはKSGだけなんや……(←年始のイベントでも出なかったヤツ)




#4 男はみな、そういう生き物である

 

 

 最近、うちの支部近くに“映画館”が建てられた。

 

 といってもこの荒廃した世界じゃまともな映画なんて作られていない。そこで、数十年前に世界中で大ヒットした映画を最新の記録媒体へ書き写して上映しているらしい。コメディーやアクション、ミステリーなどさまざまなジャンルがあるが、なかでも人気なのがホラーと恋愛モノだ。一般市民のみならず、戦術人形達も足を運んでいる。

 

 俺は興味ないけどな。せいぜい偶然金曜ロー〇ショーでやってたら観るか、たまにTS〇TAYAで借りてくるくらいだ。

 

 

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 グリフィン所属の汎用ヘリ、UH-60が広大な大空で豪快な飛行音を響かせて羽ばたいていた。機内では、哨戒任務を終えて基地へ帰還する戦術人形が、件の映画についての話題で盛り上がっていた。

 

「あら、ノーマッドもあの恋愛映画を観たの?」

 

「ああ、この前彼女と観に行ったんだよ。俺はまったく興味なかったんだが、まあなかなか面白かったぜ」

 

「たしかに他の作品と比べるとセンスはある方ね、悪くはなかったわ」

 

 パイロットと映画の感想について話しているのは戦術人形のFAL。数々の映画を観てきた彼女は、エンターテインメントを嗜んでいるオトナな女性そのものだ。

 

「へえ、珍しいね。FALがなにかを褒めるなんて」

 

 あの辛口なFALが称賛の意を示していることに少しばかり驚いているのは、普段表情を崩すことが少ない戦術人形のVectorである。

 

「そういやVectorはあの映画観たのかい?」

 

 パイロットからの問いかけに、彼女は目を合わせることなくぶっきらぼうに答えた。

 

「はあ…、興味ないよ。私はただの商品だもの。人間ごっこをするために生まれたわけじゃない」

 

「あなたは相変わらずね…。人形だって、趣味や好きなことをもつと案外生きるのが楽しくなるものよ」

 

「そうだな。そう不貞腐れてないでたまにはああいう芸術作品に目を通してみたらどうだ?」

 

 自分の人生観を語っただけで二人に諭された彼女(Vector)はやり場のない憤りを覚えた。

 戦術人形は人間の代わりに戦うために生まれたのである。それ以上、それ以下の存在価値はない。彼女(Vector)からしてみれば、まるで自分は人間だと言わんばかりの行動をしているFALたち他の人形や、戦術人形の存在意義を履き違えているノーマッドの方が馬鹿げているのである。

 私は間違っていない、そんな考えを吐き出したい衝動を抑えてポーカーフェイスを貫き通したVectorは、生粋の戦術人形といえるだろう。

 

「余計なお世話。そんなことよりノーマッドは操縦に集中したら?また前みたいに墜落するよ」

 

「いや堕ちたことないから」

 

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「指揮官、戻ったわよ」

 

「ただいま」

 

「おお、おかえり。ご苦労さん」

 

 基地へ帰還したFALとVectorは、哨戒任務を終了した旨を伝えに指揮官のもとへ訪れていた。すると、FALは指揮官のデスクに2枚のチケットが置いてあることに気づく。

 

「指揮官、それは?」

 

「ああこれか、映画のペアチケットだよ。同期のヤツから譲り受けてな。ひと組2名なんだが、なんでこういうのってペアにするんだろうな。ぼっちにケンカ売ってるよな、マジで」

 

「あなたも相変わらずね……。」

 

 チケットを見てみると、先ほどヘリで話していた例の恋愛映画のもので、有効期限は明日まであった。

 

「明日までか…、残念だけど私は後方支援に参加して一日中いないから一緒に行けないわよ」

 

「分かってるさ、だからコイツをどう処分するか考えてるんだよ」

 

 分かってはいたけどこう、面と向かって振られるとちょっと傷つくな。好きな人を食事に誘ったら2日後の夜に返信がきて断られたことに比べれば屁でもないが。女の子って48時間も睡眠とるんだね、健康的だあ(涙目)

 

「たしかVectorは明日休みじゃなかったかしら、二人で行ってきたら?」

 

 名前が挙がったVectorの方を見ると、明らかに嫌そうな顔をしていた。そうだよね、俺みたいなヤツと一緒に街を歩きたくないよね。ごめんね。

 

「ああ…いや…、そういうわけじゃないよ。ただ、私はそんなものに興味はないから行きたくないだけ」

 

 なんだよかった…、と安心したいが単に俺を気遣っているだけかもしれない。安堵するのはほどほどにしとこう。

 

「そう言われればたしかにVectorはこういうの興味なさそうだな。まったく同感だ、俺もない」

 

 映画のジャンルは数あれど、恋愛モノだけはどうも観ようとは思わない。他人の恋愛を見てなにが楽しいんだ?

 やれ恋だの愛だの、「一人じゃない」だの、「会いたい」って言ってやっぱり「会いたくない」だの、んでもって結局「会いたい」だの、終いには「会いたくて震える」だの、上映時間が長い割りにやってることが何ひとつ変わらないんだよな。

 

 なんてことを言っていると、FALが『それ以上喋るな』とでも言いたげな視線を向けていることに気づいた俺は目を逸らして口を閉じた。

 

「あなたねえ……観てもないのに知ったような口を叩かないでくれる?少なくともあなたが年甲斐もなく観ている女児向けアニメよりはマシよ」

 

「ふざけるな!プリ〇ュアはみんなに夢と希望を与えてくれるんだよ!みんなはプリ〇ュア。俺もプリ〇ュア。お前もプリ〇ュアだ!」

 

「あなたいろいろと終わってるわよ」

 

 なんてやり取りをFALとしていたら、Vectorからも冷たい視線を向けられていることに気づいた。お…おう……なんかごめん…。

 

「まあでも、指揮官が言ってることにはだいたい同意かな。戦術人形の私が恋愛映画なんて馬鹿馬鹿しいからね」

 

「はあ…、ほんとあなた達ときたら……」

 

 と、FALは頭を抱えていた。なんだ、文句あるのか。

 

「ちょうどいいわ、この映画、あなた達二人で観てきなさい」

 

 先程のパッと思いついたようなノリとは違い、強い命令口調で提案された俺は少し萎縮してしまった。

 

「あの映画を観れば、少しはその腐った心と考えがマシになるんじゃないかしら。私が見たところ、なかなか悪くない作品だったわよ」

 

 ほう、あのFALのお墨付きとはちょっと興味が湧いてきた。まあ無料で観れるから俺は別に構わないけど、Vectorはどうする?無理にとは言わないが

 

「……それが命令っていうなら付き合うけど」

 

「決まりね。明日感想を聞くから、上映中に寝たりしないでよ」

 

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 翌日……

 

 

 時間は午前11時47分、お昼休憩の時間だからか街にはより一層人が溢れる。そんななか俺は、駅前のコンビニでVectorを待っていた。 待ち合わせの時間は12時なのだが、女性を待たせるわけにはいかないので早めにきていた。あれ、これもしかしてデート?

 

 すると、綺麗に手入れされたショートの銀髪をなびかせた一人の女性が、駅の入口で人混みから抜け出してくるのが見えた。あの人可愛いけど、誰かに似ているな……。…ん?あれ?近づいてきてね?……あ、よく見たらVectorだ。見慣れない私服だから気づかなかった…。

 

「ごめん、待たせた?」

 

「…いや、ちょうど今来たところさ」

 

 なんてテンプレのセリフをお互い無意識に言い合った。やっぱりデートじゃないか!(困惑)

 

「それ、Vectorの私服か?」

 

「そう…だけど……、変かな…?」

 

 上目遣いで見るんじゃない、ドキドキする。思わず目を逸らしてしまった。

 

「全然。とても似合ってて可愛いよ。それはそうと時間も時間だし、お昼ご飯でも食べに行かないか?」

 

 しかし、Vectorからの返事はない。異変に気づいた俺は彼女の方を振り返ると、珍しく驚いた顔で固まっていた。

 

「どうした?鳩がアンチマテリアルライフルを食らったような顔をして」

 

「いや…指揮官もそういうこと言うんだね……意外…」

 

「あー…、…引いた?」

 

「…別に、ほら早く行こう。この時間だと混んでるよ」

 

ちょっ……!待てって!お前早歩き速いな!

 

 

 

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#4 男はみな、そういう生き物である

 

 

 

 






思いのほか長くなったので前後編に分割します。まさかのVectorと事実上のデートすることになった指揮官

それはそうと運営は人形たちの私服イラストを出すべき(確固たる主張)

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