低体温症で消費する資源の量がえげつない(瀕死)
「ふう……疲れた…」
死闘とも呼べる長丁場の会議を終えた俺は愚痴をこぼしながら廊下を歩いていた。
「ヘリアンさんはまた合コンで失敗したんだろうな、めちゃめちゃイラついてたし」
グリフィンの今後の方針を決めるという比較的大規模な会議で、ファシリテーターを務めていたヘリアンさんはとにかく怖かった。周りに畏怖の感情を与えたせいで俺たち出席者が萎縮して話がまったく進まず、1時間程度で終わる予定が3時間もかかってしまった。ただいまの時刻は22時。当然まだお風呂も食事も済んでいない。
「先に風呂入るか……サッパリしてからうまいメシ食いたいし」
すると、風呂上がりとみられる女性と出くわした。大浴場から自室へ戻るだけだからだろうか、濡れた金髪を束ねてシンプルなパーカーとショートパンツを着ていた。
はて、こんな人いたっけ。と違和感を感じていると、彼女から声をかけてきた。
「あ…指揮官…。お疲れ様です……。」
「……もしかして、AS VALか?」
このオドオドした感じ、間違いない。戦術人形のAS VALだ。一瞬TMPかとも思ったが、彼女自慢の尻尾とネコ耳がないので見分けるのは容易だった。
「すまん、メガネをかけてないから誰だか分からなかった」
「えと…、お風呂入ってたから……部屋においてきたの…」
なるほど、と適当な相づちを打ち、俺は普段とは雰囲気が違う彼女をまじまじと見ていた。
「なにか顔についてるの……?」
「ああ、すまん。いつものAS VALと違ってなんか新鮮だなあって思って。メガネを外した姿も可愛いな」
「かっ…可愛っ……!?」
途端、彼女の顔が赤くなった。風呂上がりだからかな?
「ああああの!その…!し、失礼します!!」
そして走り去っていった。なんかマズいこと言っちゃったかな……。
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「あー、さっぱりしたぁ!やっぱお風呂で足を伸ばせるって最高だな」
仕事の疲れを湯船で落としてきた俺は先ほどとは打って変わってとても高揚していた。やはりお風呂とは偉大である。
しかし、まだ腹の方は満たされていない。数時間ぶりの食事にありつけるということもあって、なにを食べようか考えながら社員食堂へ向かう。もちろん今回もぼっち飯だ。とはいえこんな時間ではそもそも人が少ないだろうから、必然的にぼっちになりそうではあるが。
「ボス、こんなとこにいたのか。探したぞ」
振り向くとそこには作戦報告書を持っているトンプソンと…え…M4…かな…?がいた。多分M4だろう…メガネかけてるけど……。
「えっと…M4だよな?なんでまたメガネを?」
「この前の戦闘でアイカメラを損傷してしまって……ここの設備では直せないから、ペルシカのところで修復してもらおうと思ったんですけど……」
「あいにくペルシカの姉御も最近忙しくて予定が合わなくてな。で、戦術人形用のアイウェアを装着してるってわけだ」
「なるほど……」
M4がかけてるのはシンプルな黒縁メガネ。色白の肌と綺麗な黒髪ロングにとてもよく似合っていた。普段とは違う姿だからってのもあるんだろう。所謂ギャップ萌えってやつだ。
「おいおいボス、私だってメガネかけてるじゃないか」
「お前のはメガネじゃなくてただのサングラスだろ」
「チッ…M4、ちょっとメガネを貸してくれないか?」
「ええ、どうぞ……」
トンプソンはM4からメガネを受け取り、サングラスを外してかけてみた。
「どうだ?」
「うーん……」
なんだろう、凄まじいコレジャナイ感。トンプソンは逆に普段のサングラス姿に慣れてるからだろうか。似合っていないことはないが、サングラスじゃないことにすごい違和感を感じる。
「トンプソンさんはへリアンさんのような
「あんな婚期を逃して必死な人と一緒にしないでくれ……」
「ほう…トンプソン……。それは誰のことを言ってるんだ……?」
「ハハッ!そりゃあもちろん昨日の合コンでも失敗し……た…」
トンプソンの背後から子供に話しかけるような優しい声と末恐ろしい表情で彼女の肩を掴んだのは、ただいま合コン7連敗中のヘリアンだった。まあさっきまで一緒に会議してたんだからまだ支部内にいるわな。哀れトンプソン。
「ヘヘヘリアンの姉御!?いやあ、違うんですこれは!あのー…その……!」
突然の本人登場でAIがバグったのか、普段の男らしいシカゴタイプライターはいずこへ。めちゃめちゃテンパってる。テンパってるトンプソンってなんか可愛いな。これまたギャップ萌えってやつか。
しかしいくら可愛いとはいえヘリアンさんの怒りを買ったやつにこれ以上関わりたくない。すまんがここは撤収させてもらう。M4と一緒に逃げるか。
「さて、俺は食事を済ませてくるよ。M4も一緒にどうだ?」
「あ…はい!ご一緒させていただきます!」
「そんな!ボス!M4!!」
「来いトンプソン!私と楽しい恋バナでもしようじゃないか……!」
さらばだ、シカゴタイプライター。君のことは忘れない、2分くらいは。
「時に指揮官」
「うぇっ!?な…なんでしょう……?」
急にへリアンさんから声をかけられた俺は、驚きのあまり声が裏返ってしまった。M4が口を塞いで俯いてるけど、笑われてないよね?
「その……私も…メガネをかけたら…異性の目を惹くことができるのだろうか……///」
まさかこの人、さっきの会話を全部聞いていたのか…。いやなに顔を赤らめて部下にそんなこと聞いてんだよ。トンプソンとM4が(うわぁ……)みたいな目で見てますよ。
「あ…ああ、そうですね……。可能性はあると思います。メガネ女子が嫌いな男なんていないでしょうから」
「つまり、普段からかけてる方がいい……ということでしょうか?」
「うーん…それもまたいいと思うんだが、やはりメガネ女子最大の魅力はズバリ!生活感だ!!」
「生活……感…?」
3人が声を揃えて首をかしげた。まあこればっかりは男にしか分からないかもな。ふっ…よかろう、教えてあげよう!メガネ女子の魅力を!!
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時刻は午後11時。遅い時間ながらふと小腹がすいた俺は近所のコンビニに立ち寄っていた。今日は土曜日だからな。明日も休みだし、なにか食べながらゲームでもするか。
財布を片手にお菓子コーナーへ立ち寄ると、なんと同じクラスの女子とぱったり出会ったのだ。
風呂上がりなのだろうか、可愛らしい寝巻きの姿…。黒髪からほのかに漂うシャンプーの香り……。いつものコンタクトレンズとは違い、知的なメガネをかけている彼女は、いつも教室で見かける可憐な姿とはまた違った印象を与えていた。
「あ…えと、こんばんわ。こんなとこで会うなんて奇遇だね」ニッコリ
「お…おう、そうだな……その…メガネ姿って珍しいな」
「家だと面倒だし、寝る前だからね。家ではいつもこんな感じだよ」
い…家ではいつもそうなんだね!!ご両親の前ではそんな感じなんだね!!!
自分だけが彼女の家での過ごし方を知っているという背徳感。それを煽るかのような彼女の微笑み。たまらず俺はレジでフランクフルトを買って食べさせたい衝動に駆られるぅぅぅっ!!!
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「と、まあこんな感じでメガネ女子には男を簡単にオトせるという強力なアドバンテージが……あれ?」
気づくとそこにトンプソン達の姿はなく、代わりにこれから夜間作戦へ赴くノーマッド率いるヘリパイロット達が、生ゴミを見るような視線を向けていた
「あんた……、こんなとこでなに一人で妄想を垂れ流してんだ…」
「………。」
こうしてまた、俺の黒歴史に新たな1ページが増えた。
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「ああああああああぁぁぁあっ!!堕ちろ!あいつらのヘリ墜ちろ!
『帰ったら一杯どうだ?いい店を知ってるんだ』
ってフラグを立てた後にどこからかロケットランチャーが飛んできて墜落してしまえ!!」
「また一人でなにを言ってるんですか…指揮官さま……」
ひとり食堂で食事をしながら先ほどの失態に苛まれていた俺は、またまたカリーナに気味悪がられていた。
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「ふーん、メガネ女子…ですか。でもさすがにその妄想は気持ち悪いですよ、指揮官さま…」
彼女にことの顛末とメガネ女子の
「にしてもあのM4さんがメガネを……。たしかに
「そういやカリーナも書類仕事とかパソコン使う時はかけてるよな、結構似合ってるぞ」
「あはは…、なんか照れますね……。指揮官さまもかけてみては?これなんてどうですか?」
「それお前がクリスマスの時にかけてたおふざけメガネじゃねえか」
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翌日。俺はAR小隊を交えて、ヘリアンさんとクルーガーさんへ作戦報告をしていた。
「S04地区からの報告は以上です。クルーガーさん」
「分かった。これからもAR小隊を頼んだぞ、指揮官。ああそれとヘリアン」
「?なんでしょうか」
「新しいメガネに替えたんだな。老眼か?」
絶 対 に 笑 っ て は い け な い グ リ フ ィ ン 2 4 時
#6 恐らく、彼の妄想は現実にならない
VectorとM4と45にメガネかけてほしいな(妄想全開)
そろそろ404のメンツも書いていきたいですね