だけど二次は少ないから一回自分で書いてみた
インフルテンションの一発ネタみたいな物です
読んだ人は自分も書いてね(にっこり)
そもそも原作知らない人は読んでハマれ
堕落も技巧も暴力も金銭も感性もいらない
ただ必要なのは、ほんの少しの覚悟だけ
こんな感じがリィンカーネーションの花弁
「ジョゼフ!本当に大丈夫なの?!」
「勿論で御座いますお嬢様。このジョゼフ、社長よりしかと送り届けるように言い付けられております故」
「そう言うことじゃなくて後ろの車よ!機関銃持ち出してるんだけど!」
「一応この車両も防弾加工済みですが」
「あらそうなら大丈夫って平常心を保てる訳ないでしょ?!」
イタリア、トリエステ。アドリア海に夕日が沈む絶景をバックに、数台の車がカーチェイスを繰り広げていた。先頭を白いリムジン、その後ろを黒いバンの群れが追いかける形だ。
別に、映画で見るようなイタリアンマフィアの抗争とかでは決してない。
ただ、後部座席に心細げに座る中学生ほどの少女が、イタリア軍需産業のトップをひた走る会社のご令嬢でなければ、もっとフィクションとの乖離は少なくて済んだだろう。
ハンドルを握るジョゼフと呼ばれたスーツ姿の青年は、東洋とのハーフらしき薄い顔立ちに険しい色を見せる。
「あぁぁ撃ってきたぁ!!」
「少々運転が荒くなりますがご容赦ください」
「うえっ」
連なる発砲音に揺れる車体。勢いのついたゴム鞠のような挙動に体が跳ね、銃弾を受け止める堅固な窓ガラスに令嬢は頭を
ツーンとした鋭い痛みを伴って、ゆっくりと視界は薄いベールを重ね掛けるように暗くなっていき───
「おはよう嬢ちゃん。ご機嫌いかが?」
次に目を開けた時には、手足を縛られて知らない密室の中に座らされていた。話しかけてきたのもジョゼフではなく見ず知らずの男。知的なマフィアと言うより粗暴な
「誰」
「別に名乗るほどのモンじゃあない」
「あ、そうね。聞く価値は無いわ。それよりもここから出してくれない?あとジョゼフはどこ? あれがいないと帰れないんだけど」
何が面白いのか、クツクツと卑屈に笑うのをスルーして周囲をぐるりと見渡すも、脳裏に描く姿はない。
「さすがにここから出す訳にはいかないなあ。まだ親御さんの会社から代金を貰ってないんでな」
「はぁ……。本当に誰よ、こんな面倒くさい真似をしたの。もし首謀者が貴方だって言うなら、もう一回名前を聞いてあげるけど?」
「残念だがリーダーは俺たちも言えねえ。ああ、だが実行犯なら知ってるぜ? ジョゼフって運転手だ。おい」
「お呼びでしょうか」
禿げた男が呼べば、背後の
「え……」
「ほらよ。約束通りアメリカドルで20万だ。受け取れよ、
「東洋の伝承において、鼠小僧とは金銭をばらまく義賊を指すそうですよ」
「そりゃあ初耳だ。だが生憎とここは西洋、意味が逆になっててもおかしくはないだろ」
「どんな理屈ですか」
小切手を渡しながら交わされた遣り取りには信頼や親しみが感じられ、敵愾心など微塵も無かった。
「ジョゼフ! 裏切ったの?! 父の会社に勤めてる恩義も忘れて!!」
「失敬な。恩義はしっかりと覚えてますよ。報いるかどうかは別にしてね。そうぎゃーぎゃー騒がないでください、はしたない」
コツコツと革靴の踵を鳴らしながら、令嬢へと近付いていく。日本人特有の気味の悪い笑顔を浮かべて、至近距離でこう言い放つ。
「これもまた、一つの予定調和ですよお嬢様」
「ジョゼフ! 絶対に許さないぞ!」
「もう遅いですが、言葉遣いは人間性が露骨に現れますのでご注意下さい」
人差し指を唇に当て、静々と
「テメエも中々の悪人だよな」
「何をおっしゃいますか。私はどこにでもいる思考の柔軟な企業雇いの運転手ですよ?」
「ハッ、ぬかせ」
そこに、外から慌てふためいた様子の若者が転がり込んでくる。顔は青ざめ、危険信号を全身から発信している。
「大変だ! 外に警察が!」
「嘘だろ? ここがどこだが分かってんのか?!アドリア海の上だぞ!」
彼らが今いるのは海外へと向かうタンカーの一室。故に地上のアジトと違ってそうそう見つかる事は無く、追っ手が来ることも無いと思われていた。
全員の視線が交錯する。「お前がバラしたのか」「いや違う」と言った風なアイコンタクトを何度も試行されて、最後は外様の、まだ得体の知らない奴に注目が収束する。
その場の視線を掻き集めた張本人、自称『しがない運転手』はとり乱しながらも貰った小切手を振り翳して声高に主張する。
「私だってコレを受け取った以上共犯ですが?それに、金銭よりも固い繋がりなんて存在しないでしょう?」
「それもそうか」
「……………まあ固いからと言って切れない訳ではないんですけどね」
「今何か言ったか?」
「いえ、何も?」
話は振り出しに戻り、疑念が狭い部屋を埋め尽くす。
その時。
バァァン!!と一発の銃声が轟き、取り巻きの一人の肩が爆ぜる。時間切れだ。
「警察だ! 全員膝をついて腕を頭の後ろで組め!」
「クソがッ」
その銃声を号砲にして、ライフジャケットのように分厚い装甲を着込んだ屈強な警察官が、我先に雪崩れてくる。もちろん中にいた男たちも最初は反撃を試みるが不意を打たれた上、警官の手には黒光りする凶器が幾つも握られている。勇敢にも立ち向かった何人か以外は、早々に逃げ出していた。
そんな喧噪の最中で、一人顔色を変えずに佇む者へ警官が引き金に指を添えて慎重に接近する。
「お前もメンバーか?」
「いえ、私は攫われたお嬢様の運転手です」
「なら何故縄を解かれている」
「
「いやに落ち着いているな」
「大企業のご令嬢を預かる身ですから、相応の訓練は積んでおります。このようなケースもマニュアルの上では一応」
「……後で身元確認するがいいな?」
「もちろんですとも」
ポンポンと口から流れるように言葉が紡がれる。
騙されるな! そいつは裏切り者だ! そう絶叫したい令嬢の口を猿ぐつわが戒める。せめてもの思いを込めて怨嗟の呻きを上げれば、寄ってくるのは詐欺師のみ。
「苦しいですよねお嬢様。急いでここを離れましょう…………巻き込まれてはいささか不味いので。いいですか? 抵抗しないでくださいね?」
最後の方だけ何故か極端に声のボリュームを絞ってこう言った。
「おい。まだ聴取は終わってないぞ」
「上陸してからならいくらでもお受けいたします。しかし今のここにいては大層危険ですので」
「武器商人の飼い犬ならもう粗方逮捕したが?」
壮年の鍛えられた警官は不思議そうに首を傾げ、そのまま動きを止め───
──腹部から噴き出る液体を、周りの視界に刻みつけながら膝から力無く崩れた。その影から見えたのは、黒犬のお面に箒を構える痩せた男。犬の面と体型が相まって狡猾な印象を受ける。
そして何よりも鮮烈なのが、首から舞い続ける花弁。
「ヒャホッホウハッハァー! 血だ、血だ!!大丈夫か?怪我してるじゃないか!治してやろう!血を見せろ!」
犬面男が片手を翳せば、ドクドクと流れ出る血河は勢いを失う。かと思えば、突然手に握った箒を振り回し、警官・誘拐犯問わずに血を流させ、そしてそれもすぐに治癒する。
──イヴァン・ヴァシリエヴィチ
──才能『慈愛と狂気の二面体』
「ごめんねぇジョゼフ。警察はやるなってボクも止めたんだけどさぁ、ほら。イヴァンって二重人格の危ない人じゃん? 聞く耳持たなくてさぁ」
ジョゼフが令嬢を抱え上げ、暴れる犬面男から部屋の隅に避難すると、別のドアからひょっこりと2人分の頭が覗いていた。
「貴方も人の事を言えないようですが?」
「あーこれ? 殺してないからセーフでしょ。発狂はするかもしんないけど。今回は五年くらいだし」
覗けた頭のうち一人は、肩にピグミーマーモセットを乗せた丸めがねの少年。年齢は令嬢と同じくらいではなかろうか。そして、その首からはやはり花弁が舞う。
そしてもう一人分は、白目を剝いて口から泡を吹いている警官のイカれてしまった頭だった。おそらく、実際の被害者はこの一人どころではないだろう。
──ハリー・ハーロウ
──才能『絶望の小部屋』
「ボクなんてまだ良い方だよ。イヴァンがやっちゃったせいで婦人までエスカレートしちゃってさぁ」
「……………はあ」
「それよりもジョゼフは何時までその気味悪い顔なの?ちょっと生理的に相性が悪いんだけど」
「個人的にはまあまあだと思ったんですが……」
乾いた笑い声を上げるすぐ隣でドゴンッッ!!と壁が粉砕される。そこは、見えている範囲では血生臭いこの部屋とは違って、血痕のシミ一つない小綺麗な通路。
しかし、踊る真っ赤な乙女たちによって、倒れている犠牲者の数は段違いに多い。
「げっ婦人か!」
「私はお嬢様を連れて逃げますが、後はよろしくお願いしても?」
「そうした方がいいねぇ。変態の婦人はそのくらいの少女がドストライクゾーンだから」
「では」
彼らが婦人(変態)と呼ぶ人物は、通路の奥で大口を開けて金切り声を響かせていた。
「妾の愛しい
彼女の怒りに応えるように、まだ乾いていない血溜まりから紅の少女が産まれる。少女は駆け出し、通路の先にいた残党の男へ飛びかかる。
「うおおおっガッ」
男も銃口を向けて連射するも、相手は液体。コンマ何秒の足止めにもならずに男の喉は掻き切られ、新たな血溜まりを生み、それがまた新たな少女を産む。結果的に残るのは十数人の乙女の園。
──バートリ・エルジェーベト
──才能『鉄血の母』
「お先に失礼します」
「ああ、ジョゼフか。ん、その少女は?! 詳しく見せろ聞かせろ触らせろ!!」
攻撃されないよう挨拶しながら通路を駆け足で横切る。それでも抱えた令嬢を見逃さないあたり、目聡い。
「イヴァンならもっと向こうですよ」
「そうか…………じゃない! まずは少女だ!チッ、逃げられたか」
仕方が無いので熱心にプロポーズされていたイヴァンを生贄にして場を逃れる。そして、船の中の入り組んだ道を迷わずに疾走し、甲板のヘリポートへ辿り着く。
来るときに使われたと思われるヘリコプターの鍵をこじ開け中に令嬢を押し込み、自分も乗る。
「お疲れさまでした」
「…………、」
「ああ、申し訳ない。これでどうです?」
労いの言葉を掛けても返事がない。猿ぐつわがそのままなのだから当然だ。急いで令嬢の拘束を解く。
「結局、ジョゼフは裏切っていなかったの?」
「正確には、
「打算的ね。彼らからは恨まれない?」
「恨まれるでしょうね」
仮にも仲間だった誘拐グループを一つ丸々見捨てておいて、反省の色が見えないことに呆れる。
「反省しなさいよ……。それから、アレは何なの?」
アレ。たった二文字の代名詞の意味を、ジョゼフは正しく理解する。
「あの人たちは、いや
曰く、才能を望むが故に現世の才能を諦め、前世の才能を身に宿した者。偉人罪人英雄国賊。善悪こそあれ、漏れなくその才能はすべて強大である。
「なんで人殺しなんてするの? もっと役に立ちそうな使い方だってあるでしょう」
「前世は選べません。言ったはずですが? 罪人や国賊の才能に開花する事だってあるんです。とはいえ、今回の犯罪グループ掃討のような社会に睨まれない殺人で暴動を防いでいたのですが、やはり限界がありました。もっとカリスマチックな主導者でもいれば変わったのかもしれませんがね」
「なんかその言い方だともう……」
まるで、救いがないと断言しているようで。これからどうなるのか、悲観的な想像の暗雲が立ちこめる。
しかもそれを肯定するように深々と頷くジョゼフ。
「ええ、お嬢様の想像通りです」
「まだ分からないでしょ! 悪用せずに済むかも……」
「よりもよって軍需会社の令嬢がそれを言いますか。滑稽にも程がある。罪人の業の深さなんてものは圧倒的に私の方が知っています」
令嬢の言を一蹴し、ヘリのエンジンを動かす。
同時に胸ポケットから携帯を取り出し、どこかへ掛け始めた。
「さてと」
「ひっ」
シュワリと炭酸が溶けるような音と共に顔の造形、肌の質感、終いには全身の色が切り替わる。
その姿はまるでスーツ姿のカメレオン。
「本日最後のお仕事です」
花弁が、舞った。
「──────ああ。分かった、今回は乗せられてやるとしよう。じゃあな」
「ノイマン、誰からだい?」
「旧い知り合いだ。それよりもニュートン。今からアインシュタインと他何人かメンバーを連れてアドリア海へ行け。もし間に合えば、歴史に名を残す大罪人をまとめて海の藻屑にできるぞ」
「さっきのがタレコミの電話か。本当に信用していいのかい?」
「問題ない。なにしろ相手は
そこではない遙か彼方で、今も次の策謀を張り巡らすカメレオンが嗤っていた。
──ジョゼフ・フーシェ
──才能『冷酷なる変幻自在』
それは『自分が計画した裏切りは100%成功する』才能。
ヒマだったんだ。反省はしてない。後悔はしてる
リィンカーネーション読者、もっと増えろ!
そして自分の欲求のままに書け!!頼む!
以下おまけ
イヴァン・ヴァシリエヴィチ
──才能『慈愛と狂気の二面体』
・箒状の刃を生成、それは人体ならば骨格だろうが筋繊維だろうが容易く切断する性質を持つ。だが同時にこれにより増えた傷は首の切断であっても即座に修復されてしまう。もっとも、痛覚はそのままなので拷問には変わりないが……。
ハリー・ハーロウ
──才能『絶望の小部屋』
・彼の目を見てしまった人間は、体感速度は通常の数千倍にまで引き上げられた上で、何もない広大な世界に一人取り残された幻覚を見る。五感は完全に支配され、誰かに触れても何かを嗅いでも対象は一切を感知できない。
バートリ・エルジェーベト
──才能『鉄血の母』
・彼女の視認した血液の操作権を得る。量さえあれば形状も実は自由であり、少女の形なのは完全に趣味。拷問器具の製作もお手の物。