自宅
目が覚める、
昨日の酒が少し残ってるのか頭が重い。
少しふらつく足取りで肌着から着物に着替える
慣れてないせいか、少し時間がかかってしまった。
さて、着替えも終わった。刀も差した。貴重品も裾に入れて準備は万端だ。
さぁ、就職活動にいきますか。
自分に活を入れるように勢いよく戸をあけて人里へ向かった。
人里(居酒屋前)
確かここでいいんだよな
暖簾の出てない居酒屋の戸を開ける
その中は、広いはずの店内が狭く見えるほどの人数がいた。
店の入り口の前でその光景に呆然としていると、奥から私を呼ぶ声がした。
「おーい在処、こっちだ」
その声の主は、どうやら慧音のようだ。
声の聞こえる方に向かうと、慧音が案の定腕を組んで立っていた。
「在処、昨日は遅かったようじゃないか」
「げ、何で慧音が知ってるんだよ・・」
どこから情報が流れたんだ・・霊夢か?
「私の友人が教えてくれてな、
出歩くなとは言わないが、あの時間帯の外は危ないんだ、少しは気をつけてくれよ」
「はいはい次から気をつけるよ」
まったくどこのかーちゃんだ
「全く、まぁいい
それより今日から仕事をしてもらうが、まずは自己紹介だな」
「自己紹介? おいおい慧音とはもうしただろ」
ボケか?
「ボケたとか思ってないだろうな
私にではない、私の後ろにいる人にだ」
そう言われて慧音の後ろを覗く
そこには、青髪で長身の男性と、少々小柄な茶髪の男性がいた。
「今日から仕事仲間になる人だ。
挨拶はちゃんとしておけよ
挨拶が済んだら、私のところに来てくれ」
そう言うとまたどこかのチームへ行ってしまった。
その場に残ったのは沈黙だった。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
やりずらい・・
「な、なぁ、もう二人は挨拶は済んだのか?」
「・・いや」
「まだだけど」
もうやだこのチーム・・
「なら、私から
私の名前は木崎在処だ」
私から挨拶をすると、青髪の男が口を開いた。
「私の名は輝元だ」
それに便乗するかのように茶髪の男も自己紹介をした。
「俺は弾」
「一応自己紹介はしたな
なら慧音のところに行こうか」
無言のまま慧音のところに向かった。
「お、自己紹介は済んだようだな」
「まぁ・・一応」
「煮え切らないな、まぁいい
それじゃあ、仕事の説明をするぞ
依頼者は香霖堂店主、森近霖之助
内容は、配達だ」
やけに簡単なものだな
「最初のうちは軽いものからってか」
「まぁそういうことだ
それで、これが配達物」
そう言って小さな漆器を渡された。
「大事なものだから無くさないようにな」
「そんなへまはしないつもりだ」
そう言って裾に入れる
「さて、それじゃあ仕事開始だ
頑張ってくれよ、期待している」
その言葉を聞いて店を出た。
道中
またも道中では沈黙が支配していた。
「・・・・」
「・・・・」
気まずい・・
その沈黙に耐えられなくなり、裾から煙草を取り出し吸い始めた。
「・・ふぅー」
「なぁ」
煙草を吸っていると横から弾が話しかけてきた。
「何?」
「煙草、一本くれないか?」
どうやら自分のは持っていないらしい
「ああ、いいぞ、ほれ」
そう言って煙草の箱から一本出して渡した。
「へへ、すまねぇな」
それから、煙草のおかげか弾とは話が進んだ。
「あんた、ここの人間か?」
「いや、外来人だ」
「あんたもそうなのか
俺も外来人なんだ
知らない間にここにいたんだが
起きた時が大変でよ・・・・」
彼と雑談をしていると、急にどこかからか視線を感じた。
「二人とも止まれ」
「! 急にどうしたんだ?」
「・・・・」
輝元は言われるまでもなく止まっていた。
「誰かが、森から見ている」
「ひっ、だ、誰なんだよ・・」
「・・・・」
体を屈めて茂みの方に行き、森の奥を覗こうとした瞬間
奥から、私の頭目掛けて矢が飛んできた。
「っ!」
それを間一髪で回避する
矢はさっきまで私の頭のあった場所を一直線に捕らえて地面に刺さった。
「お、おい大丈夫か?」
そう言ってダンが無防備に近づいてくる
「近づくなっ!」
「え、ぐぁっ」
私の呼びかけ虚しく弾の右ひざに矢が刺さる
「ふん、無防備に近づきすぎだ」
輝元が私のように屈んだ姿勢でこちらに来る
「おい弾、動けるか?」
「む、無理だ、助けてくれ!」
はぁしょうがない
「輝元、少しの間、敵の注意を逸らしてくれないか」
「なぜ私がそんなことをしなきゃならない
エースにそんなことをさせるつもりか?」
ッチ 予想以上にイラつく性格だ。
だが今は我慢
「そのエース様はチームプレイもできない素人なのか?」
「っく、まぁいい、少しの間だけだ」
だが、こういう性格は扱いやすいな
輝元はその場で立ち上がって向こうのほうに注意を向けるように走り出した。
「よし、今のうちだ」
弾が倒れているところに向かって走り出す
彼は右ひざを押さえながら倒れていた。
「よし、早く離脱するぞ」
そう言って肩を貸し、反対側の林の木に寝かせる
「すまねぇ・・」
「謝るくらいなら最初から油断するな」
そう言って輝元のほうを見ると・・
「・・・・」
無言で無駄の無い動きで矢を避けていた。
あの言葉ははったりじゃなかったのか
「さて、どこどいつか知らんが報復させてもらうぞ」
腰にある刀を抜き、剣先を前に構え
輝元の方に走る
彼は涼しい顔をして確実に矢を避けていた。
「流石はエースか」
「そう言う貴様は、俺にここまで言う実力があるのだろうな」
憎たらしくニヤリと笑った顔でこちらを向く
「それはお前が見て判断することだっ」
顔面を狙う矢を刀で切り伏せる
「さて、反撃と行こうか」
そう言うと、輝元は腰からドスを抜く
「それじゃあ1、2、3の合図で走るぞ」
「1」
「2」
3と言おうとした瞬間に輝元が走りだす
「おい! あぁもう、どんだけチームプレイできないんだ!」
その後を追うように走り出す
生い茂る木々の隙間から矢が飛んでくる
木の裏に隠れて一度息を整えようと休憩するが・・
その木の前の地面に一本の矢が刺さると、その矢が急に爆発した。
その光景を確認できない在処は爆風を確認できづにいた。
「っく、爆発なんてそんなのありか!」
その爆風から逃げるように身をかがめる
隠れていた木こそ折れなかったものの威力としては相当なものだろう
在処の前を進んでいた輝元はというと、右肩から出血しながら苦しそうな顔をしている。
立つことができず近くの木にもたれかかっている状態だ。
その木には、ちょうど肩辺りの部分に矢が通りそうな穴が開いている
その穴も新しいもので、想像したくは無いが、敵の放った矢が貫通したと予想できた
だが、その苦しみ方は尋常じゃないように見えた。
見るからに呼吸がおかしい、肩で息をしていて、目の焦点が合っていないように見える
想像できる最悪の状況としては、あの貫通した矢に毒が塗られていたのだろう
さて、今できることは・・・・戦略的撤退だな
体が見えないように屈みながら彼に近づく
「おい、歩けそうか」
「ハァ・・ハァ・・ハァ・・ハァ・・」
目の焦点は合ってなく、私の声も聞こえていないようだ
少々深刻だな
「はぁ・・面倒だが」
動けそうにない輝元を担ぎ戦線を離脱する
不思議と矢は飛んでこなかった。
また道に出て、反対側の林にいる弾のところに行った。
「よかった、無事みたいだな・・ってこいつどうしたんだ!?」
「たぶん毒にやられたと思う。相手を仕留めてくるから、介抱頼んだぞ」
「む、無理だろ! あきらめようぜ、こんな仕事
普通じゃねぇよ!」
「仕事は信頼が命、やり遂げないとな」
そう言ってまたあの矢の飛んでくる林に入っていった。
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