東方万屋録   作:ビーツー

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5話 何かあったら慧音さん

 

   人里

 

「はぁ・・手が疲れた。ってか痛い・・」

 

そういうと霊夢がシレっとした顔で私を見る

 

「でも早く来られたでしょ」

 

「まぁそうだけど・・」

 

「それじゃあ、まずは慧音に会いに行きましょう」

 

そう言って私の先を歩く霊夢

 

「へいへい・・」

 

そう言ってとぼとぼと歩きながらついていく

 

 

   人里(寺小屋)

 

 

目的地に着いたのか、ある大きな建物の前で霊夢が立ち止まった。

 

「ここなのか? 」

 

「ええ、たぶんいると思うわ」

 

そう言ってドアを叩く

 

すると、奥から足音が聞こえてきた

 

「やっぱりいたわね」

 

「らしいな」

 

そう話しているとドアが開いた

 

「どちらさ・・何だ霊夢か」

 

「久しぶりね慧音」

 

「ここに来るのは珍しいな

 その後ろにいる人関連か? 」

 

「別の用事で来たんだけど、ついでにね

 さぁもう用は無いし私は行くわよ」

 

そう言って後ろを向き歩き出した。

 

「ありがとな、また頼るかもしれないが」

 

「その時は、食事ぐらい奢りなさいよ」

 

そう言ってその場を去った。

 

 

「さて、私に何か用があると見たが」

 

「ああ、霊夢に仕事口と衣食住に関しては慧音に聞いたらいいと言われてな

 頼りに来たわけだ」

 

そういうと手を顎に当て何か考えているように頷く

 

「成る程、まぁ詳しい話は中で話そう」

 

そう言って中に入る

 

建物の中は広い間取りになっていて

 

廊下の横には学校の教室のような部屋がある

 

「気になったんだが、学校でもやってるのか? 」

 

「うーん・・似て非なるものだ。

 寺小屋をやらせてもらっている」

 

「寺小屋、学ぶところには変わりないんじゃないか? 」

 

「学校は義務教育だ

 寺小屋は自由に学ぶことができる

 やめたら何かあるわけでもない、

 それに人間妖怪関係なしに学ぶ気があれば学ぶことができる

 そこが学校との違いかな」

 

やはり外とは違うようだ・・と言うよりは昔の学び方と言った方がいいだろうな

 

 

簡単な説明を聞きながら、客間のような部屋に着いた。

 

中は少し大きめの四角机に座布団、掛け軸に花瓶といったシンプルな客間だった

 

「まぁ色々とあるだろうが座ってくれ」

 

「どうも・・」

 

そう言って差していた刀を左側に置き、慧音の正面に座る

 

 

「自己紹介がまだだったな、知っていると思うが

 ここで寺小屋をやらせてもらっている 上白沢慧音 だ

人里で困ったことがあったらなんでも聞いてくれ」

 

成る程、詰るところ、この里の管理人みたいなものか

 

「私は 木崎在処 人間だ。

 ちなみに女だからな」

 

「分かっているさ、・・何回か間違えられたようだな」

 

「・・まぁね」

 

「でも、そのなりだと間違えてもしょうがないぞ」

 

「自覚はしてるんだがな・・今更変えようが無いし」

 

ずっとこんな服装だし、今更女の格好なんて、その・・恥ずかしい

 

「そうだなぁ・・あ、ちょっと待っててくれ」

 

そう言うと慧音は急に立ち上がり、奥の部屋に行ってしまった。

 

「なんかあったのか? 」

 

 

疑問に思いながらも数分待つと、両手に風呂敷を抱えた慧音が戻ってきた。

 

「いや、前にお古の着物を貰ったことを思い出してね

 家に持ち帰るのも面倒だったからここに置いていたんだ」

 

「成る程、で、その着物がどうしたんだ? 」

 

「在処が着るんだ」

 

ん、何だって?

 

「私が着る? 」

 

「そうだ、女性らしくなりたいんだろ? 」

 

「別に、そういうわけじゃ・・」

 

「まぁまぁ、今回だけだと思って着てみてくれ」

 

そういうと強引に隣の部屋に連行された。

 

 

 少女?着替え中・・・

 

 

「うぅ・・」

 

どうして幻想郷の女性はこんなに強引なんだ・・

 

「似合っているじゃないか」

 

「まぁ・・そんなに悪くないけど・・色はどうにかならないのか? 」

 

今着ている着物は桜色に白百合の柄の中々派手なものだった

 

「まぁ、あるにはあるが、地味だぞ? 」

 

「それでいい、それがいい」

 

正直恥ずかしくて死にそうだ・・

 

「しょうがないな、ならこれだな」

 

そう言って慧音が手に取ったのは、藍色の何の柄も無い着物だ。

 

 

 少女?着替え中・・・

 

 

「まぁこれなら・・」

 

まぁ多少動きにくいが、収納も難なくできる、それに着物ならこの幻想郷でも早く溶け込めそうだ。

 

「落ち着きのある感じになったな、似合っているぞ」

 

「そいつはどうも、それで、大分脱線してしまったが」

 

そう言ってまた、最初のように座る

 

「ああ、仕事口と衣食住だったな

 仕事口に関しては、この寺小屋の近くに酒場があるんだ

 そこに明日の朝に来てくれ、一応そこで仕事をもらえる

 衣食住に関しては、ちょっと人里の外れになるが空き家がある

 最近人が出たばかりだから、一通り生活用品はあるはずだ」

 

「成る程なぁ、なら明日は、朝にその酒場に行けばいいんだな

 そんで今日ぐらいにその空き家を見に行けばいいか」

 

今日一日で解決したな、頼ってよかった慧音さん!

 

「なら、案内をするから今から行くぞ」

 

「よろしく頼む」

 

そう言い、刀を腰に差して、慧音と一緒に寺小屋を出る

 

 

   人里(街中)

 

 

「気になってたことがあるんだが、仕事って何をやるんだ?

 詳しくは聞いてなかったけど」

 

「まぁ、簡単に言うと何でも屋だ

 何かの調査や運送、そう言ったことをメインにやっていく仕事だ

 でも、仕事の結果次第では首が飛ぶから覚悟した方がいいぞ」

 

中々シビアだな・・

 

「こっちだと本当に首が飛びそうだから怖いな」

 

そう言って、手で首を切るふりをする

 

そういうと、慧音はクスクスと笑い出した。

 

「確かにな、幻想郷ではありえる話だ」

 

そんな雑談をしながら人里外の空き家に向かった。

 

 

   人里外(空き家)

 

空き家に到着し、二人は中に入った

 

 

「意外とまともだ・・」

 

想像してたのは、ボロボロな小さな小屋だと思ったが

 

見た感じ普通の空き家だ

 

「最近まで使っていたんだ

 そんなにボロボロなわけないだろ」

 

「まぁそうか、家具も・・確かに一通りあるな」

 

空き家の中には、囲炉裏、台所、タンスと生活に必要最低限のものがあった。

 

「布団は押入れの中にあるが、新しいほうがいいか? 」

 

「いや、別に気にしないけど」

 

「ならいいか、それじゃあ私は仕事があるから行くが、

 何かあったら言ってくれてかまわないからな」

 

「ああ、そうさせてもらうよ」

 

私がそう言うと慧音は寺小屋の仕事に行ってしまった。

 

 

「・・さて、衣食住、衣と住は確保したが、問題は食だよなぁ

 うーん・・どうするべきか」

 

そう言って財布の中を確認する

 

「諭吉2枚、野口1枚、小銭は・・無いな」

 

一人暮らしが長かったせいか独り言が多くなってしまったな・・

 

我ながら寂しいもんだ

 

「まぁこれだけあれば何とかなるだろ

 明日には一応仕事があるらしいし」

 

ただ、今日の昼食と夕食をどうするかだ

 

人里でぶらぶらして食べ歩くのもいいけど

 

「まぁ人里行ってから考えよう」

 

そう言って我が家となった小屋を出た。

 

 

   人里(通り)

 

 

少し大きな通りに出ると、朝、人通りの少なかったのに比べて昼は中々に活気付いていた。

 

少し歩けば八百屋が活気ある声で野菜を売っていたり、茶屋では外でお茶を楽しんでいる人たちを多く見る。

 

 

そのまま歩いていくと、小さな広場のようになった場所に着いた。

 

そこを見渡すと、小物屋、雑貨屋、駄菓子屋などが出店のように店を構えていて、人里の中心部だということが分かる。

 

そんな中、人が多く集まっている場所を見つけた。

 

少し気になったのでその人ごみの中を掻き分けて前に行くと・・

 

「~~♪」

 

洋服を着た金髪の少女が何の手品か知らないが、糸を使わず人形劇をしていた。

 

 

劇を見ていると、どうやら騎士とお姫様の話のようだ。

まぁ騎士が見るからに女だが、あまり気にしないようにしよう

話の内容は・・・・、悪い魔女に攫われた姫を助ける騎士の冒険ストーリーと言ったところか

この幻想郷で西洋文化がどれだけ珍しいかはこの人だかりを見れば分かるだろうが、話の内容、人形の動き、

どれを取っても魅入るレベルの出来だろう、正直私も魅入っていた。

人形劇を生で見るのは初めてだが、これほど完成度の高いものを見たのは、正直はじめてだ。

 

 

そうして魅入っていると姫が助けられてハッピーエンドで劇は終了した。

 

中々いいものを見れたと満足して、その場を去った。

 

 

  人里(喫茶店)

 

さて、劇に夢中で昼食を忘れていた。

 

ある程度店はあったが、路地裏の店って何か惹かれるものがあったから

 

裏路地で店を探していると「万」とだけ書いてある洋風な店があった

 

この幻想郷にもこんな店があるのかと珍しく思い、入った。

 

店内は紅茶の香りの漂う落ち着いた店内だ。

 

この店のオーナーと思える執事服を着た老けた男性がティーカップを磨いていた。

 

私は、とりあえずカウンターに座った。

 

 

「いらっしゃいませ、ご注文はどうされますか? 」

 

「紅茶とサンドウィッチ」

 

「畏まりました。少々お待ちください」

 

そう言うと見事な手際で暖めていたカップに紅茶を注ぐ

 

「昼食ですので、くせの少ないアッサムを淹れさせていただきました。

 お好みでミルクをどうぞ」

 

そう言って紅茶の入ったティーカップとミルクをカウンターに出した。

 

カップを手に取り一口、

 

「・・美味い」

 

自分の淹れる紅茶よりも香りがあって凄くおいしい

それに紅茶特有の渋みが少なくて飲みやすい

紅茶にはいつも砂糖を入れるけど、これだけおいしいとなんだか無粋な気がするな

 

 

紅茶を楽しんでいると、カウンターに皿に盛られたサンドウィッチが乗せられた。

 

「ハムサンドとサラダサンドでござます」

 

喫茶店の定番メニューの一つだけど、はずれが無いから好きなんだよなぁ

 

 

そう思いハムサンドを一口

 

うん、美味い

 

紅茶でも思ったけど、ここのオーナー只者じゃないだろ

ただのサンドウィッチだと思って舐めていた。

ハムとマヨネーズとからしの組み合わせは反則だ

 

 

そしてサラダサンドも食べる

 

これもか・・美味い・・美味すぎる!

レタスとトマト、それとチーズ、味付けもチーズの塩味とバジルソースでさっぱりしている

少しこってりしてるハムサンドを食べた後にこれはいい

この組み合わせでいつも思うんだが、トマトとチーズの組み合わせは最強だと思うんだ。

 

 

サンドウィッチを食べ終えて、食後の紅茶を飲む

中々いい時間をすごせているな

 

少し暇だったから、オーナーに話しかけてみた。

 

「オーナー」

 

「何でしょうか」

 

「もしかして外来人か? 」

 

「ええ、外来人でございます」

 

幻想郷では珍しい、ヨーロッパ系の顔をしていたから気になっていたんだ

 

「ふーん・・前の職は喫茶店だったとか」

 

「いえ、執事をやらせてもらっていました」

 

あぁ、納得

執事ね、凄くしっくりくるわ

 

「成る程ね、執事の能力を喫茶店に流用しているわけだ」

 

「おっと、大きな誤解をなされているようですね

 ここは喫茶店ではございません」

 

「・・・・は? 」

 

いやいや、それは無いだろ

 

「なら、なんで注文したとき紅茶やサンドウィッチが出てきたんだ? 」

 

「あれは趣味です」

 

「この ザ・小洒落た喫茶店 な内装も・・」

 

「趣味でございます」

 

趣味でこのレベル・・恐るべし執事

 

「じじいの戯れなので代金もいりませんよ」

 

「いやいや、それは悪い

 こんな美味しいものを食わせてもらったんだ

 少しは払わせてくれ」

 

そう言うとオーナーは少し考えるような仕草をすると、チラッと私の方を見て

何か思いついたかのように、にっこり笑うと

 

「それなら、その刀を少しは意見させてもらってもよろしいでしょうか」

 

「そんなことでいいのか」

 

「私の趣味でして」

 

「成る程、趣味ね

 いい趣味してるよ」

 

悪い意味で言ったわけではないからな

 

 

そう言って腰に差してある刀を抜きオーナーに渡した。

 

「失礼、それでは拝見させていただきます」

 

そう言うとゆっくりと鞘から刃を抜いた。

 

「これは・・中々の業物ですね」

 

色々な角度から熱い目線で観察しているようだ

 

観察してる様子を眺めながら着物の裾から煙草とライターを取り出し火をつける

 

「ふぅー・・、私もこの刀を見たときは興奮したもんだ」

 

その後も観察を続けて、満足したのか、こちらに話しかけてきた

 

「やはり日本の鍛冶師とは凄いものです

 いい物を拝見させていただきました」

 

そういうとオーナーは刀を丁寧に仕舞うと私に渡した

 

吸っていた煙草を灰皿に押し付けて刀を受け取る

 

「そりゃどうも、さてそれじゃこの辺でお暇させていただくとするよ」

 

 

「またのお越しをお待ちしております」

 

その言葉を聞くと私は席を立ち店を出る

 

 

 

   人里(通り)

 

さて、大体ここでの用事は済ませた気がするな

 

あとは・・

 

「やることが無い・・」

 

時間帯は大体15時ぐらいか

 

夕食には早いな

 

うーん・・あ

 

「そういえば」

 

確か文から貰った幻想郷の地図があったな

 

「確かこの辺に・・」

 

そう言って着物の裾を探る

 

「あったあった」

 

一枚の紙を取り出し広げる

 

「さて、どこに行くか

 ・・・・すっかり忘れてた」

 

そうだ香霖堂に行こう

 

 

そう言うと人里を出て香霖堂に向かった。

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

射命丸は悩んでいた

 

「うーん・・」

 

木崎在処について取材をしたのはいいが

 

「正直記事にしにくい・・」

 

木崎在処は外来人で幻想郷の賢者からのお墨付きの人物

 

ネタとしてはこれまでにないほど書きやすいはずなどだが・・

 

「人間の度を越える強さ・・正直危険ね」

 

これが記事にしにくい原因だ

 

木崎在処については一個人としては嫌いじゃない人間だ

 

だが・・

 

「敵には回したくない・・先にこう考えてしまう私は

 なんだかんだ言って組織に属してる妖怪なんでしょうね」

 

ここで面白おかしく能力のことを伏せてルーミアのことを記事にするというのも考えた、が・・

 

「どうやって勝ったというとこを追求されたらおしまいだし」

 

考えれば考えるほど分からなくなっていく・・

 

「あぁぁっ! もう考えるのをやめた! 今回は記事にしない

 これで決定! もう決定! 」

 

記事にしないことで決定した。

 

「うぅ・・いいネタだと思ったのになー

 この欲求・・次起きた事件で発散してやるしかない・・ふっふっふ」

 

 

この時偶然文の部屋の前を通った椛は上司の不振な笑い声に、嫌な予感を抱いたようだった・・。

 

 

 

 





これ書いたきっかけが友人とやった東方TRPGなんですけど

名残が多すぎで手直しが大変です・・
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