香霖堂前
地図を見ながら着いたのはいいが・・
「骨董屋なのか? 」
店の外に無造作に置かれているガラクタを見るとまともな店とは思えない
「まぁ、入らないことには何も始まらないな」
そう言って店の中に入った
香霖堂
中に入ると、そこは店の前のガラクタとまでは言わないが
よく分からない物が所狭しと置いてある
そんな中に、カウンターで椅子に座り、読書をしている青年らしき人がいた
私が店内に入るのを見ると、読んでいた本を閉じこちらに顔を向けた
「・・いらっしゃい、見ない顔だね」
「どうも、最近ここに来た新参者なんで」
そう言って店長らしき青年の前に行く
「 木崎在処 人間だ。よろしく」
右手を前に差し出す
「新参者と言うから妖怪か何かかと思ったよ
この香霖堂の店主をやっている半人半妖の 森近霖之助 だ
こちらこそよろしく」
そう言って私の右手を握る
「さて、挨拶も済んだとこだし少し聞いていいか?」
「なんだい」
「ここは何を取り扱ってるんだ?」
見渡す限りガラクタが目立っているようだが
「簡単に言うと、外の世界で忘れられた物を取り扱っているかな」
「外の世界ねぇ・・」
周りを見渡して商品を見てみる
「あ、これ懐かしいな」
そう言うと丸い見た目で画面の付いた何かの端末を手に取る
「これは外の世界のゲーム機だね
動力になるものが無いから動かないけど」
「た○ごっち・・ここに流れ着くまで忘れ去れているとは・・」
「買うのかい?」
「買わないよ」
そう言って元の場所に戻す
「あとは・・これは? 」
よく分からないが細長い画面の付いた小さな端末のようだ
「これは遠くの人と数字を使って会話のやり取りをする機械だ」
「数字?・・・・あぁ、ポケベルか」
実際に見るのは初めてだ。ってかホント古い物しかないんだな
おっと本来の目的を忘れるところだった。
「ひとつ頼みたいことがあるんだが」
「内容によるね」
腰から鞘ごとナイフを取り出し、着物の袖から霊撃札を取り出す
「この札の効果をこのナイフに取り入れることはできるか?」
そう言うと霖之助は少し考える仕草をして話し始めた。
「できない事もないけど、少し時間がかかるかな
たぶん、1日ぐらいでできると思う」
思った以上に早いな、もっとかかるものだと思っていた
「なるほど、値段は?」
「そうだね、5千円でどうだい?」
5千円か、相場は分からないが今でも払えるな
「わかった、じゃあよろしく頼む」
袖から財布を取り出し金を出す
「確かに受け取ったよ」
そう言うと霖之助は札を受け取ると、ナイフと霊撃札を受け取り、また読書に戻ろうとしていた。
「気になったんだが、どうしてこういう物を集めているんだ?」
「僕の趣味だよ
流れ着いたものの用途を知る
憶測をする
それだけでいい
その結果に事実はいらない
それだけで僕は十分に楽しいんだ」
「有意義な趣味なことで」
「まぁ、この店が僕の適材適所ってことだよ」
「そうでなきゃ店主なんてやらないだろ」
「まぁね、さて、時間は大丈夫かい?」
窓から外を見ると少し夕焼けに近くなったような空だった
「帰る時間を考えると危ないか、それじゃこの辺でお暇させてもらうかな」
「ああ、僕も久々のまともな客だったから楽しかったよ」
「暇な時、また来させてもらうさ」
「いつでも歓迎するよ、どこぞの魔法使いや巫女と違って
無断で何も持って行かないし、つけにして帰らないからね」
巫女とは霊夢のことだろうか・・まぁいいか
「それじゃ、またな」
そう言って店の外を出た
空はさっきよりも夕焼けに染まって赤かった。
文字数が短い話が続きます