人里までの道中
すっかり辺りも暗くなってきた。
一応整備された道だが横を見ればすぐ林だ。
正直この時間に出歩くのは危ない気がするな
ってかこの時間に出歩いてたことが慧音にばれればうるさく言われそうだ・・。
まぁ早く着けばいい話なんだが・・
そんなことを考えながら歩いていると、道の端に赤い光が見える。
なんだ? ほんのり光っているが・・まぁいいや、行けば分かるか
その光につられるように、光に向かっていった。
少し歩くと、その光の正体が分かった。
どうやら屋台のようだ。
店の暖簾には、「八目鰻」と書いてあった。
鰻は食べたことはあるが、八目鰻は初めてだな
そんな好奇心に駆られて店の暖簾をくぐった。
「いらっしゃい。あら、こんな時間に人間なんて珍しい」
鰻の下準備をしていたのは、変った帽子を被り、羽の生えた少女だった。
「人間がここに来るのはやっぱまずかったか?」
私がそう言うと、私を見ながら考える素振りをしている
「うーん、弱そうな奴なら気まぐれで襲うんだけど
あなた強そうだもの、そんな人間は私からしたらただの客よ」
やっぱ手当たり次第に襲う妖怪は稀なのだろうか
「そんじゃお客さんってことでいいのかな」
「ええ、あなたはお客様、それで、何を頼むの、って言っても鰻しかないけど」
屋台のカウンターにはメニューらしきものは無かった。
「なら酒一合と白焼きで」
「はいはいちょっと待ってね」
そう言って鰻に包丁を入れていく
その料理の様子を見ていると、暖簾が上がり横に誰か入ってきた。
「珍しいわね、こんな時間に人間の客なんて・・・・え」
聞いたことのある声に、横を向くと、朝別れた霊夢が丸い目をして私を見ていた。
「お、霊夢じゃないか、変な顔して突っ立ってないで座ったら?」
「そ、そうね、そうするわ」
なんだか様子が変な気がするな・・
「何動揺してるんだよ」
「別に、あんたの適応力にすこし驚いただけよ」
適応力? あ、着物姿を見るのは初めてだったな
「どうだ、似合ってるだろ?」
そう言って着物の裾をちらつかせる
「はいはい似合ってるわよー」
そんな適当な感想を聞いていると、どうやら私の頼んだ物ができたらしい
「はい、白焼きとお酒ね」
そう言って屋台のカウンターにできたての白焼きと日本酒の入ったコップが置かれた。
「これを待ってたんだ
いただきます」
そう言うと、ふっくらとした白身に箸を入れ
身を一口サイズに切り、ワサビ醤油につけ、食べる
醤油の少し塩辛い味にワサビの鼻にくるツンとした味
ふっくらとした鰻の身はとてもマッチしていた。
そして日本酒を一口飲む
魚と日本酒は本当に合うな・・
ってかおっさんか!
「はぁー、幸せそうに食べるわねぁ」
そう言う霊夢は熱燗を飲んでいた。
「いやぁ、おいしいからね
箸と酒が進んでしまうよ」
「あんたの第一印象がどんどん崩れていくわ・・」
「ちなみに、どんな第一印象だったんだ?」
「目つきのあまりよくない男が煙草を吸ってて、救世主」
なんと、断片的過ぎて傍から聞いたら理解不能だ。
「まぁ、今更第一印象なんて関係ないか」
「あんたから振っておいて・・」
「まぁいいや、それよりも飲みますか
今日は私のおごりだ」
「あら気前がいいのね」
「奢るって約束もしたしな」
次の酒も頼んで飲み進める
二人で何気ないことを話しながら夜は続く・・・・・・