アカメが斬る!帝都の繁栄と腐敗   作:色々し隊

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 リアルでガッタガタして投稿するのが遅れてしまいました。

 お兄さん許して


第10話 救出と言う名の破壊

 確かに驚いた。1人でもかたがつくこの戦況でわざわざ来るとは考え難かったが、納得が行った。

 

 罪人の成れの果てだろうか?

 連中は血肉が改造されている。切ったり潰したりした瞬間に飛び散って凝固する。浴びたら動きを完全に止められる。その隙に捕獲する算段なのだろうな。

 

スタイリッシュ

「あらあら〜私のラボの前でなんの騒ぎかと思えば、ナイトレイドじゃないノ!」

 

 大勢の軍勢を引き連れDr.スタイリッシュは人心に満ちた声で豪語する。自分の研究成果に絶対的な信頼を寄せているのだろう。事実、対強敵様と言ってもいいだろう代物だ。雑魚どもに使ったら宝の持ち腐れになるだけなのだから、戦場においての数秒の拘束は十分過ぎるほど戦局を左右する。

 

 何となく察することができた。捉えて実験台にするのだろうと、ライオネルの装着者あたりはベストだろう。失敗しようと奥の手(超速再生)で時間が経てば何事もなかった様になるし、インクルシオも鎧を研究すればそれなりの事はできる。

 

スタイリッシュ

「伯爵には感謝しなきゃネー!

 こいつらをここで足止めしてくれてありがとう!」

 

タナトス

「?」

 

アカメ

「やはり貴様ら…組んでいたのか!?」

 

タナトス

「!?」

 

 ああ、そういう事かよ。組んでたことにしたいわけだ。しかし、反乱軍に肩入れしたい気持ちはあるのだが相手はDr.スタイリッシュ、ヘタを打てば大惨事になる。

 頭を抱えてため息を出し考え込むタナトスにすれ違いざまにスタイリッシュが小さな声で嘲笑う様に口を開いた。

 

スタイリッシュ

「後のことは任せなさい。」

 

タナトス

「……………………そうだな。なら先に行ってるぞ。」

 

 少し驚いた様子のスタイリッシュをよそに森の奥へとタナトスは消えていく。

 強敵は1人減ったが依然ナイトレイドの劣勢に変わりはない。

 

スタイリッシュ

「さァ、邪魔者もいなくなったことだしアタシの発明であなた達をこの子達の仲間にしてあげましょう!」

 

 豪語すると影に隠れていた危険種が大量に姿を表す。人を歪めた様な奇妙でグロテスクな外見は心理的嫌悪感を誘発しナイトレイド総員の怒りを買った。

 理由は簡単、その危険種は人の形を歪めた姿をしている。罪人や今まで拐われた民間人が非道な実験によって変えられた姿なのだから、

 ナジェンダ以外の全員がスタイリッシュに向けて走り出す。帝具を構えて標的に狙いを済ますが危険種の肉壁に阻まれて失敗に終わる。肉が裂け、血が飛び散ると付着した血は瞬く間に膨張し固まり身動きを封じる。

 

スタイリッシュ

「ふふッ、この子達は普通の人間の五倍の量の特殊血液が入ってるのよ。切ったりしたら最後、ボンッ!身動き封じてくれる私の自信作ゥ!

 元帝国将軍のナジェンダ、貴女もこの子たちに負けるわ。必ずね!!アハハハハァァ!!!!」

 

 ナイトレイドのピンチには誰も手を出さないでいる。タナトスさえも…

 

 

 一方、タナトスはナイトレイドとの戦いを静観する訳でもなく足を進めていた。向かう場所はスタイリッシュの秘密基地。

 帝具の力で地面に埋まった地下基地となっている。樹々に覆われ入口さえ定かで無いこの地でタナトスは迷わず地面に手をかける。衝撃波と共に小さな範囲が静かに砕け地下への入り口を掘り当てる。

 空間に足音が冷たく響く。耳を澄まし少し音を楽しみながら目的地へと向かう。セキュリティロックを無理やり突破してたどり着いた場所は牢獄。監視を暗殺し鍵を引き千切る。

 怯えた顔でこちらを見るのは捕獲された実験材料…もとい、民間人の女子供達。

 

「あ…彼方様は…?」

 

タナトス

「支度しろ。出るぞ。」

 

 周りは混乱している。急に現れた鎧男が監視を殺し、鍵をこじ開けたとあっては理解する方が難しい。がタナトスは意に返さず今後の計画を伝えるだけ伝える。ふとタナトスの視線が下に向く、沢山の子供がぐったりと地面に伏している。肌は変色し、湿疹が出来ている。命が長く無いことは誰の目にも明らかだった。

 

タナトス

「そこの、死にそうだな。」

 

「えッ!?」

 

 子供達の元に行き、しゃがんで死にそうな者の決断を聞く。

 

タナトス

「助けて欲しいか?」

 

「………ァハ………」

 

 無言だ。衰弱し切っている。話せる体力などあるはずも無い。彼らは懸命に生き、今も死に争っている立派な戦士。

 タナトスは子供達を抱えて立ち上がり殺した監視のそばへ置く。

 

「何をするつもりですか!?やめてください!」

 

「その子達は変な実験でおかしくなった!もう助からないわ!」

 

 大人は皆「無理だ」と言う。全身に廻った病を感知させる術など無いのだと絶望している。非常な現実を突きつけられ続けとうとう自分達の子供の命すら諦めていた。

 

 タナトスは尻尾を掲げると神速の勢いで殺した監視と子供達の部位を切り分け、正確に接合する。一瞬の出来事に誰も反応出来ずに唖然とするだけだった。次にそっと手をかざし、腹から何かを抜き出す動作をする。見えないが確かに存在するーー『災厄』手につかまれたそれは鼓動をし、躍動する。

 グシャリ、握り潰したそれは監視の死体に押し込んでタナトスは女達に振り返る。

 

タナトス

「さて、子供達は助けた。これから普通よりもちょっとばかり強い身体能力を手に入れて幸運になるだろうが、とりあえずは助かった。どうする?にげるか?」

 

「あ、彼方は一体…?」

 

 女の問いはこの場の全員が思っていたことだった。突然現れたと思えば死ぬ寸前だった我が子らの命を救い親である自分たちも救うと静かに豪語したのだ。

 

タナトス

「……そうだな、よし!

 俺は《騎士/ナイト》レイドだ。この名、忘れるなよ。」

 

 んじゃ、と剣を手に取り真空を切り裂き女子供をその中に押し込む。そして、いきに持ってきた風呂敷袋を開き中から取り出したのは帝具に匹敵する破砕力を秘めた道具のパーツだった。それらを組み立てて完成したのは特殊な形状をした銃のようなもの。

 トリガーを引くと側面のパーツが展開し基部ごと回転する。高い金属音を鳴らしながら秘密基地の壁を掘り進む。壁、柱すら削った結果がどうなったかと言うと、

 

 支えるものがなくなった→重量を支えきれずに基地は崩壊☆

 

 勿論、男達のことも忘れているわけでは無い。流石にそこまでドジでは無く、全員を集めた後、一人を代表とし秘密基地の大半を壊した道具を渡して自分は再び戦場の様子を見に行った。とは言っても大体の検討はついている。スタイリッシュの持つ籠手型帝具《パーフェクター》では《インクルシオ》を倒す事は不可能だ。

 元々パーフェクターは汎用性に富んだ品。使い手の技量次第で大体の事はできるが本人の戦闘力を上げる手段は標準装備されてはいない。つまりパーフェクターを付けただけではそこらの人間と何も変わらないと言う事。裏方にあってこそ真の力を発揮する。そんな品を前線につけてくると言う事はあの数相手に勝算があると踏み切ったことに他ならない。だが、いくらデータがあろうと無意味だった。

 インクルシオがそれを許さない。帝具のデーターが詰まった書物では 

 

【あらゆる環境に対応した超級危険種タイラントが素材となっている。その筋肉組織はまだ生きており宿主に適応した姿へと変質する】

 

 と記されている。単純な事だがどれだけ脅威な事か、氷で拘束しようが、雷撃で焼き殺そうが、変質し適応する。

 

 力による破壊

 

 それだけがインクルシオに対抗する唯一の策。が難度もとてつもなく高い。ただでさえ強力な能力に加え身体的強度も高く筋力もある。生半可な力では返り討ちに遭うだけだと言うことを。

 

 

 

 

 手札を全て潰されたスタイリッシュは基地の崩壊という絶望を知らされ四つん這いで俯いていた。竜を宿した戦士に全ての策を撃ちやぶやれ無様にやられる姿は、自身が理想とするスタイリッシュな姿とは真逆ーー

 

 地に跪き、悔しさを噛み締め、眼前の強敵に恐怖する。

 

 あってはならない。理想を求めた先が、このように無様などと。認めない…認めたら自分には一体何が残る?何も残らない。大量の実験と犠牲によって得た個人が持つには強力だった戦力も今となっては風前の灯火。残るは技術のみ、ならば今は逃げることを考える?

 

 否

 

 逃げるなど愚の骨頂。懐に忍ばせた“最終兵器”を使おうとポケットに手を突っ込んだ瞬間に何かを察したインクルシオは音速の勢いで跳躍しスタイリッシュに肉薄する。

 最終兵器が発動するのが先か、インクルシオの攻撃が先か

 

 刹那、光よりも早く二人の間に黒騎士が割って入る。

 

タナトス

「言っただろう?ここで殺されては困るとな。」

 

 スタイリッシュを庇うように立ち塞がるタナトスの手にはスモークグレネードがあった。そっと手を離しグレネードが垂直に地面に落下すると大きな煙を立てて視界を塞いだ。

 このままでは逃げられると思ってインクルシオのサブ武装である槍《ノインテーター》を煙幕へと闇雲に振るう。当たるはずなどない、煙幕で視界が封じられさらにはタナトスという最強の敵が護っているのだから。が、おとづれた結果は意外なものだった。

 煙幕から何かが斬り飛んだ。 

 空中に舞う五本の円柱のような物、それは指だった。帝具のパーフェクターの指先ごと切り飛ばされてスタイリッシュは悲鳴を上げ泣き叫んでいる。

 

タツミ

「!?」

 

タナトス

「チッ!!やられたか!?」

 

アカメ

「逃がすかァ!!」

 

 地面を蹴って最速の剣撃を振るう。煙で視界が遮られていようと声が聞こえるのならば、そこを頼りに狙いを定めれば良いだけのこと。

 一斬が振われる。それは必殺である一撃、当たれば呪詛が体を蝕んで死に追いやる呪いの刀。

 肉と骨が切れる音が聞こえる。その後にスタイリッシュの絶叫は途絶えて生死の狭間を彷徨った。煙の向こうで何が起こっているのか、認識する事はまだ出来ない。突風が吹き荒れ煙が晴れた後に残ったのは、斬り落とされた腕と指だけでスタイリッシュ本人の姿はどこにも無かった。

 

アカメ

「逃したか…」

 

ナジェンダ

「心配無いだろう。村雨で斬られたんだ。いずれ呪いで死ぬさ」

 

 皆が安堵する中でタツミだけが底知れぬ違和感を抱いている。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

タナトス

「はぁ〜

 中々どうして…」

 

 スタイリッシュを片手に頭を抱えて思った。

 

 死んではいないだろうか?此処で死なれては後が困る。急所は外した。ギリギリで死なない程度なのに、情け無い。

 生きろ!生きろ!生きろ!と心の中で呪文の如く唱えていると、神に届いたのかスタイリッシュの身体が鼓動を取り戻した。

 

 ホッと胸を撫で下ろし死なない程度にまた痛めつける。今度は脳に直接攻撃を加えることにした。頭蓋骨を高速振動させて、脳を揺らして抵抗するという考えが出来ないほどに痛めつければ後々から反乱などは出来ないだろう。

 帰り道でこの後の事を思考しながら進む足取りは物凄ーく軽いものだった。

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